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第72話 決着しました
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サンの移動後には、あちこちに卵(糞)が落ちていた。
「あれはサウーザがかの国と交渉して貰ったと言っていた幻のツチノコではないか?!回収しよう!」
「フィロデン様、このままにしていたら砂漠に緑が増えませんかね?まだ移住出来ない人たちにここで頑張ってもらうっているのは…」
今さら荒地に行くのはキツイと言っていた老人たちはパルドブロムで野営をして過ごしていた。行先がまだ決まっていないのだ。
「ああ、そうだな、サウーザの敷地だが、砂漠が農地になってもサウーザもいやだとは言わないだろうが…しかしここだって荒れ地のような物のだろう。…でも少しは持って帰ってもいいかい?」
「助けて貰っていますし、お礼になるのでしたら…」
本当は私の許可なんていらないけどね…
サンはプリプリとたくさんのツチノコを残している。半分くらい貰ってもいいかもしれない。
ルイの肩の上にいつもいたモナルダがいなくなってしまった。ここ数ヶ月ではあったものの寂しさが募る。
「ラグ爺はムーンと一緒に行かなくてよかったの?」
『なに、解放されておればそれでよい』
「あ、もう神獣はいないわよね?」
『おらんゾイ』
神獣には聞かない事には答えない節があるので、きちんと聞いた方がよいとルイは学んだ。
抜け殻のようになっているかの国の第二王子ロロイカ、そして小瓶に入っている第一王子ユリトス、この人間たちをどうするかだ。
ロロイカはルイに連れられて戻った時は歩けてはいたものの、ずっとぼんやりとしていた。内情は知らなかった為、お咎めなしと言う事になるだろうとノーズレスクの城に軟禁ではあるがひとまず休ませている。
ユリトスに至ってはすべて知った上で指示を出していた。そしてルイをも拘束しようとしていたのだ。王が死んだ以上全責任はこのユリトスが背負う事となるだろう。しかし、表向き現在は行方不明で捜索中である。王が死んでいる事も小瓶の中にユリトスがいる事もルイしか知らない。
ルイは宿の一室で小瓶を取り出しテーブルの上に置く。この小瓶の中でユリトスが生きているのか死んでいるのか確認が出来ない。また出して暴れても面倒だ。そして裁判に掛けるとかも面倒である。なんなら無罪放免とかになってもまた面倒である。
ルイはフィロデンのみ、かの国での事を打ち明ける事にした。ずっと捜索させるのは気の毒である。
「そうか…そうであるのならば、数日捜索させて行方不明で終わらせる。その小瓶はルイ殿の持ち物だ。我らは口出しはしない。どうするかも聞かない」
と、ルイに丸投げにして去ってしまった。
小瓶はどす黒い色に変貌していた。はっきり言って気持ち悪い。いつまでも持っていたくない品物だ。
小瓶の中が今どのようになっているのか確かめる事は出来ない。動物実験をした事もないのだ。虫を一回出し入れをした事があったくらい。ルイはこんな物を作った自分を恥じた。あの時はどうかしていたのだ。ユリトスに淡い恋心があったにせよ、作り出してはいけない品物だった。
このどす黒い色はユリトスの血ではないか…もしかしたらもう小瓶の中で死んでいるかもしれない。
『どうするのこれ?』
ビクッっとなるルイ
「どうすればいいと思う?」
『ルイが責任を負う必要はないよ。面倒なら湖にでも捨てちゃえば、僕ならすぐに拾う事も出来るし、誰にも見つからないように底に沈めても来れるよ』
「今さら出て来ても、迷惑な話よね」
ルイは迷ったあげくノーズレスクの近くの湖に小瓶を捨てることにした。今さらユリトスを裁判に掛け、各国に公にした所で生贄にされた乙女たちは生き返ったりしない。誰も幸せにはならないのだ。
ルイは湖に向かい小瓶を捨てた。小さくポチャンといっただけだった。彼がどうなったのかわからないし、これから先あの小瓶がどうなるかもわからない。ルイが死んだら解放されるのかもしれない。
『ルイが死んで効力がなくなったら、あの小瓶の主は僕がなるよ。そしてユリトスが生きていれば次の水龍になってもらう』
「水龍になるなんてご褒美じゃない?」
『そんな事ないよ。水龍の縛りはすごく強いんだ。身体に馴染むまでも苦しいしね。死んだ方がましだと思うほどだよ』
「…お任せします」
「あれはサウーザがかの国と交渉して貰ったと言っていた幻のツチノコではないか?!回収しよう!」
「フィロデン様、このままにしていたら砂漠に緑が増えませんかね?まだ移住出来ない人たちにここで頑張ってもらうっているのは…」
今さら荒地に行くのはキツイと言っていた老人たちはパルドブロムで野営をして過ごしていた。行先がまだ決まっていないのだ。
「ああ、そうだな、サウーザの敷地だが、砂漠が農地になってもサウーザもいやだとは言わないだろうが…しかしここだって荒れ地のような物のだろう。…でも少しは持って帰ってもいいかい?」
「助けて貰っていますし、お礼になるのでしたら…」
本当は私の許可なんていらないけどね…
サンはプリプリとたくさんのツチノコを残している。半分くらい貰ってもいいかもしれない。
ルイの肩の上にいつもいたモナルダがいなくなってしまった。ここ数ヶ月ではあったものの寂しさが募る。
「ラグ爺はムーンと一緒に行かなくてよかったの?」
『なに、解放されておればそれでよい』
「あ、もう神獣はいないわよね?」
『おらんゾイ』
神獣には聞かない事には答えない節があるので、きちんと聞いた方がよいとルイは学んだ。
抜け殻のようになっているかの国の第二王子ロロイカ、そして小瓶に入っている第一王子ユリトス、この人間たちをどうするかだ。
ロロイカはルイに連れられて戻った時は歩けてはいたものの、ずっとぼんやりとしていた。内情は知らなかった為、お咎めなしと言う事になるだろうとノーズレスクの城に軟禁ではあるがひとまず休ませている。
ユリトスに至ってはすべて知った上で指示を出していた。そしてルイをも拘束しようとしていたのだ。王が死んだ以上全責任はこのユリトスが背負う事となるだろう。しかし、表向き現在は行方不明で捜索中である。王が死んでいる事も小瓶の中にユリトスがいる事もルイしか知らない。
ルイは宿の一室で小瓶を取り出しテーブルの上に置く。この小瓶の中でユリトスが生きているのか死んでいるのか確認が出来ない。また出して暴れても面倒だ。そして裁判に掛けるとかも面倒である。なんなら無罪放免とかになってもまた面倒である。
ルイはフィロデンのみ、かの国での事を打ち明ける事にした。ずっと捜索させるのは気の毒である。
「そうか…そうであるのならば、数日捜索させて行方不明で終わらせる。その小瓶はルイ殿の持ち物だ。我らは口出しはしない。どうするかも聞かない」
と、ルイに丸投げにして去ってしまった。
小瓶はどす黒い色に変貌していた。はっきり言って気持ち悪い。いつまでも持っていたくない品物だ。
小瓶の中が今どのようになっているのか確かめる事は出来ない。動物実験をした事もないのだ。虫を一回出し入れをした事があったくらい。ルイはこんな物を作った自分を恥じた。あの時はどうかしていたのだ。ユリトスに淡い恋心があったにせよ、作り出してはいけない品物だった。
このどす黒い色はユリトスの血ではないか…もしかしたらもう小瓶の中で死んでいるかもしれない。
『どうするのこれ?』
ビクッっとなるルイ
「どうすればいいと思う?」
『ルイが責任を負う必要はないよ。面倒なら湖にでも捨てちゃえば、僕ならすぐに拾う事も出来るし、誰にも見つからないように底に沈めても来れるよ』
「今さら出て来ても、迷惑な話よね」
ルイは迷ったあげくノーズレスクの近くの湖に小瓶を捨てることにした。今さらユリトスを裁判に掛け、各国に公にした所で生贄にされた乙女たちは生き返ったりしない。誰も幸せにはならないのだ。
ルイは湖に向かい小瓶を捨てた。小さくポチャンといっただけだった。彼がどうなったのかわからないし、これから先あの小瓶がどうなるかもわからない。ルイが死んだら解放されるのかもしれない。
『ルイが死んで効力がなくなったら、あの小瓶の主は僕がなるよ。そしてユリトスが生きていれば次の水龍になってもらう』
「水龍になるなんてご褒美じゃない?」
『そんな事ないよ。水龍の縛りはすごく強いんだ。身体に馴染むまでも苦しいしね。死んだ方がましだと思うほどだよ』
「…お任せします」
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