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第65話 ドキマギしました
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「ルイ、今いいかな。話がしたいのだが…」
早朝、移動をその日の移動を終わらせルイは宿で休んでいた。そこへ第四王子がルイの元へやってきた。
ルイは自分の部屋から移動をして宿の庭で話をした。
「実は私の方からも第四王子にお願いがあります」
「クラルテ」
「え?」
「僕の名前はクラルテというんだ。もう第四王子ではないし、身分もない」
「そうですね…それではクラルテ、あ、その前にずいぶんと移住に力を貸してくださったようですね。ありがとうございます。反対する貴族が王族たちに言いつけないが心配していたのですが、どうやって知ったのですか?」
「僕は常に情報を欲している。発明を生業としているのだよ。情報は宝だ。その中でなにかコソコソと動いていると嗅ぎ付けてね。まあそれが君だと知れたわけだ」
「なるほど…」
クラルテの情報網は侮れないという事のようだ。
「それに彼らだって助かりたいだろうしね。今よりいい暮らしが待っている。私が発明したものは地上では高値で取引をされているからまた同じように生きていけるよと適当に話を盛ったのだよ。ははは」
クラルテはストレートの長いを髪を後ろで縛り、服装もラフであった。国で話をしている時にはこんな人だとは思っていなかった。
「反乱があるかも…」
「ははは、その時は君に任すよ、君に敵う人なんていないんだから」
「それは魔力でしょ?」
「魔力で制圧できると思うけど?」
クラルテはニコニコと笑っている。相変わらずつかみどころのないお人だ。
「それでお願いというのは?」
ルイはタールタクトの開拓をお願いした。
「僕はそういうの…苦手なんだけど…」
「でも他に適任者がいないので、お願いしますね」
ルイは押し付けてしまえと言わんばかりに強引にお願いをした。拒否権はない。
「…わかった」
クラルテはルイの長い水色の髪を触った。
「じゃあルイも一緒に手伝ってくれる?」
「え?手伝える所は手伝いますが私は王族ではないですし、誰も言うことを聞かないと思いますけど…」
クラルテはルイの水色の髪を触ったままだ。
「君の淡いグレーの髪の色が好きだったのだが、どうしてこの色に?」
ドキリとした。ルイの生まれつきの髪の色は艶の無いくすんだグレーだった。そして瞳は黒だ。幼い頃は黒の瞳と灰色の髪色で死人だと散々嫌がらせをさせた。
「…」
「キライな色だった?」
「…いい思い出はありません。おばあさんの様な色だったでしょ?」
「僕は好きだよ」
「…」
ルイは顔が赤くなるのがわかった。
「それより…開拓の話を」
ルイはクラルテの優しい手を払いのけ話を続けた。
「ああ、わかっている。開拓はみなと協力をして進めよう。中心になる者がいないなら僕でいいよ」
「お願いします…」
「ごめんね」
「え?なぜ謝るのですか?」
ルイは顔を上げてクラルテを見た。クラルテの美しい緑の瞳が目に映る
「君と発明をするのは楽しかった。君のメチャクチャな発想力も驚いたし、無属性ってことですべての属性を使えるにしても組み合わせが斬新で面白かった。でもものすごく雑で穴だらけ…」
クラルテはルイの顔を覗き込む
「君は兄上の事が好きみたいだったから、兄上の言う事はなんでも聞いちゃうし」
「そ、それは今では恥ずかしい事だったと気が付いています」
「そう、よかった」
にっこりとクラルテは笑った。
「も、もう変な発明はしませんよ」
小瓶の事だろう
「そうだね、君の発明は僕が査定しよう。君はお願いされると断れないからね」
「今はそんな事ないです!」
「そうかい?もう兄上の事はなんとも思っていないんだね?」
「恨みならあります」
「そっか」
クラルテはなにやら目を見開いて、「じゃあまた」と言い残して野営している場所へと戻って行った。
なぜ謝ったのか謎のままだ。結局、クラルテはそのことは言わずに行ってしまった。
なんだろう、またなんか開発をさせたいのだろうか…もうあんまり思い浮かばないんだけど、まあ、開拓にはお金がかかる。お金を稼がなければ。…あんな暗い色の髪を好きだとは変わり者だと思っていたけどやはり変わり者だ。
長年嫌いだった髪色を好きだと言われてドキマギするルイだった。
早朝、移動をその日の移動を終わらせルイは宿で休んでいた。そこへ第四王子がルイの元へやってきた。
ルイは自分の部屋から移動をして宿の庭で話をした。
「実は私の方からも第四王子にお願いがあります」
「クラルテ」
「え?」
「僕の名前はクラルテというんだ。もう第四王子ではないし、身分もない」
「そうですね…それではクラルテ、あ、その前にずいぶんと移住に力を貸してくださったようですね。ありがとうございます。反対する貴族が王族たちに言いつけないが心配していたのですが、どうやって知ったのですか?」
「僕は常に情報を欲している。発明を生業としているのだよ。情報は宝だ。その中でなにかコソコソと動いていると嗅ぎ付けてね。まあそれが君だと知れたわけだ」
「なるほど…」
クラルテの情報網は侮れないという事のようだ。
「それに彼らだって助かりたいだろうしね。今よりいい暮らしが待っている。私が発明したものは地上では高値で取引をされているからまた同じように生きていけるよと適当に話を盛ったのだよ。ははは」
クラルテはストレートの長いを髪を後ろで縛り、服装もラフであった。国で話をしている時にはこんな人だとは思っていなかった。
「反乱があるかも…」
「ははは、その時は君に任すよ、君に敵う人なんていないんだから」
「それは魔力でしょ?」
「魔力で制圧できると思うけど?」
クラルテはニコニコと笑っている。相変わらずつかみどころのないお人だ。
「それでお願いというのは?」
ルイはタールタクトの開拓をお願いした。
「僕はそういうの…苦手なんだけど…」
「でも他に適任者がいないので、お願いしますね」
ルイは押し付けてしまえと言わんばかりに強引にお願いをした。拒否権はない。
「…わかった」
クラルテはルイの長い水色の髪を触った。
「じゃあルイも一緒に手伝ってくれる?」
「え?手伝える所は手伝いますが私は王族ではないですし、誰も言うことを聞かないと思いますけど…」
クラルテはルイの水色の髪を触ったままだ。
「君の淡いグレーの髪の色が好きだったのだが、どうしてこの色に?」
ドキリとした。ルイの生まれつきの髪の色は艶の無いくすんだグレーだった。そして瞳は黒だ。幼い頃は黒の瞳と灰色の髪色で死人だと散々嫌がらせをさせた。
「…」
「キライな色だった?」
「…いい思い出はありません。おばあさんの様な色だったでしょ?」
「僕は好きだよ」
「…」
ルイは顔が赤くなるのがわかった。
「それより…開拓の話を」
ルイはクラルテの優しい手を払いのけ話を続けた。
「ああ、わかっている。開拓はみなと協力をして進めよう。中心になる者がいないなら僕でいいよ」
「お願いします…」
「ごめんね」
「え?なぜ謝るのですか?」
ルイは顔を上げてクラルテを見た。クラルテの美しい緑の瞳が目に映る
「君と発明をするのは楽しかった。君のメチャクチャな発想力も驚いたし、無属性ってことですべての属性を使えるにしても組み合わせが斬新で面白かった。でもものすごく雑で穴だらけ…」
クラルテはルイの顔を覗き込む
「君は兄上の事が好きみたいだったから、兄上の言う事はなんでも聞いちゃうし」
「そ、それは今では恥ずかしい事だったと気が付いています」
「そう、よかった」
にっこりとクラルテは笑った。
「も、もう変な発明はしませんよ」
小瓶の事だろう
「そうだね、君の発明は僕が査定しよう。君はお願いされると断れないからね」
「今はそんな事ないです!」
「そうかい?もう兄上の事はなんとも思っていないんだね?」
「恨みならあります」
「そっか」
クラルテはなにやら目を見開いて、「じゃあまた」と言い残して野営している場所へと戻って行った。
なぜ謝ったのか謎のままだ。結局、クラルテはそのことは言わずに行ってしまった。
なんだろう、またなんか開発をさせたいのだろうか…もうあんまり思い浮かばないんだけど、まあ、開拓にはお金がかかる。お金を稼がなければ。…あんな暗い色の髪を好きだとは変わり者だと思っていたけどやはり変わり者だ。
長年嫌いだった髪色を好きだと言われてドキマギするルイだった。
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