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第62話 *クロード家の奮闘*
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ロザージュが虹の橋を渡り、かの国に戻った頃、ロザージュの兄ロザリオ・クロードは家で仕事をしていた。父エミリオ・クロードから後を引き継ぎ仕事を任されていたのだ。
そんな時、真夜中に窓から入る大きく光る虹が目に入った。ロザリオは部屋から飛び出し何事かと階段を駆け下りた。そこには玄関でロザージュがなにやらキョロキョロと不思議そうな顔で佇んでいた。
「ロザージュ…?」
「あ、お兄様、只今戻りました。お久しぶりです」
「え、ほ、本当にロザージュなのか?どうやって戻って来たのだ、今は虹の橋が消えて誰も戻って来れないというのに…それにさっきのは…」
ロザリオは目の前にいる妹の存在が信じられない。その後ろから父と母が起きて来ていた。
「ロザリオ、その話はあとで聞きましょう。ロザージュ、お帰りなさい。良く無事に帰って来てくれたわ」
「お母様、少しやせたみたい」
「あなたが戻って来てくれたからもう大丈夫よ」
メイドに光を灯させ、紅茶を入れて貰った。家族四人でひっそりと暖炉の前で時間を過ごした。
「ロザージュ、とにかく無事でよかった。虹の橋が無くなってから手紙も届けられなくなってしまったから不安はあったのだ」
「お父様、ありがとう。私は帰って来られる所があって幸せよ」
「でも本当にどうやって?」
「ええ、ゆっくり話すわ」
ロザージュは今までの事、自分が調べた事、ルイの話、王族の古くからの生贄の話を聞かせた。ロザージュの母タンシアは泣き崩れた。異国の地で生きているかもと淡い希望を持っていたがやはりひどい仕打ちをされていた。
「ひどい…メサージュ姉さまを…」
「ロザリオはお姉ちゃん子だったものね」クスっと母が笑う
「…かわいそうな事をしたが、どうする事も出来ん、王族にケンカなんか売れんからな」
「そうですが…」
ロザリオはギュッとこぶしを握る
「そのケンカを売ろうとしているのよ」
「「は?誰が?」」三人が一斉にロザージュに振り替える
「だから…」
その日からクロード家は動いた。まずクロード派に声をかけ味方を集めようと父と兄は駆けずり回った。母のタンシアは過去に戻らなかった子供たちの親族などを辺りお茶会と称し集めた。
ロザージュは外国から帰国していない事になっているので、まず仲の良かった学園の子たちにこっそりと連絡を取り、そこから学院の友人たちに話を通してもらった。
半信半疑の人はもちろんいた。今の暮らしに満足を持っている者たちは反発するだろう。しかし、水龍はルイを追い地上に戻り、虹の橋も消えた。
神獣がルイを慕ってこの国を出たのならば、ルイがこの国に戻って来てはどうかいう者もいたが、殺されるのが分かっていて戻る分けがないだろうとロザリオは声を荒げた。ロザリオもルイの件では第五王子の事で腹を立てていたのだ。ロザリオに取ってルイも可愛い妹なのだ。
「ビア、、いやルイはあの婚約者の為に一生懸命にやっていた。それなのに第五王子のあの態度はひどかった。ルイがなにをやっても知らん顔で、見ていて可哀そうだったよ。第一王子と第二王子には俺からも第五王子の態度を改めてもらうようお願いしたが叶わなかった。挙句に婚約破棄され、おじ様たちはさっさと邸を売ってルイの事は家出したから捜してくれって、で、今度は生贄だって?!俺たちの為に?俺の姉さまも王族に殺された。母上の叔母様も…」
ロザリオはこの国の負の連鎖を止めよう俺たちの代でやめて新しい国を作ろうと精一杯熱弁した。ルイが受け入れ先を探してくれているとも話をした。
長男で留学を止められた若い世代が集まり話し合いに参加した。
「しかし、今のこの地位を捨てるのは…今まで頑張って来たんだ」
「しかし、神獣がいなくなれば実りがなくなり、いずれこの国はつぶれるのだぞ」
「本当に浮いている島なのか」
「残念だが農民の多くは秘密事項だとしてみんな知っていたよ」
「なに…」
「まあ森が近いからな、知らないと無茶をする若者が出て来るから成人になれば親から知らされると言っていたな」
「明日にもこっそりと見に行って見ろ。大勢でいかないでくれよ」
それから父親世代にも話が通り、頭の固い年寄りの男性たちも今の地位が無くなるのはいやだが孫の世代までこの国が持たない事を悟った。
「まあタンシア様、そんな話を信じろと?私の妹も留学中に帰らぬ人となりましたが、今は父も母も亡くなり、もう昔の事ですわ。それをいまさら声を荒げるのは…」
タンシアより、十歳以上も年上の夫人が言う
「ええ、そうね。でも私は娘の事を信じています。それに私は叔母と娘を失ったこの国にはもう居たくありませんわ。私は娘についていきます。この国が滅びる運命にあるという事をわかっていて知らぬ顔をするのは心苦しいと思ったから伝えているのです。真剣に私の話を聞いてほしい」
信じないのならそれでもいい、でもこの事は自分の夫以外には言わないでほしいと念を押した。家族とよく相談をして決断をしてほしいと告げた。急に信じられるはずがない。それは分かっている。
しかし、話は徐々に口コミで広がった。クロード家に地元の有志達が集まった。そして最初は国の端に住んでいる農民や酪農をしている人から移動するという計画を立てる。早々に王族たちにバレては困るのだ。見つかりにくい平民から移動する事を提案したのだ。
国の端から人々が移動すると王族にバレにくいと考えた。国を出ると決断した者から優先に移動させる事で話はまとまった。
そんな時、真夜中に窓から入る大きく光る虹が目に入った。ロザリオは部屋から飛び出し何事かと階段を駆け下りた。そこには玄関でロザージュがなにやらキョロキョロと不思議そうな顔で佇んでいた。
「ロザージュ…?」
「あ、お兄様、只今戻りました。お久しぶりです」
「え、ほ、本当にロザージュなのか?どうやって戻って来たのだ、今は虹の橋が消えて誰も戻って来れないというのに…それにさっきのは…」
ロザリオは目の前にいる妹の存在が信じられない。その後ろから父と母が起きて来ていた。
「ロザリオ、その話はあとで聞きましょう。ロザージュ、お帰りなさい。良く無事に帰って来てくれたわ」
「お母様、少しやせたみたい」
「あなたが戻って来てくれたからもう大丈夫よ」
メイドに光を灯させ、紅茶を入れて貰った。家族四人でひっそりと暖炉の前で時間を過ごした。
「ロザージュ、とにかく無事でよかった。虹の橋が無くなってから手紙も届けられなくなってしまったから不安はあったのだ」
「お父様、ありがとう。私は帰って来られる所があって幸せよ」
「でも本当にどうやって?」
「ええ、ゆっくり話すわ」
ロザージュは今までの事、自分が調べた事、ルイの話、王族の古くからの生贄の話を聞かせた。ロザージュの母タンシアは泣き崩れた。異国の地で生きているかもと淡い希望を持っていたがやはりひどい仕打ちをされていた。
「ひどい…メサージュ姉さまを…」
「ロザリオはお姉ちゃん子だったものね」クスっと母が笑う
「…かわいそうな事をしたが、どうする事も出来ん、王族にケンカなんか売れんからな」
「そうですが…」
ロザリオはギュッとこぶしを握る
「そのケンカを売ろうとしているのよ」
「「は?誰が?」」三人が一斉にロザージュに振り替える
「だから…」
その日からクロード家は動いた。まずクロード派に声をかけ味方を集めようと父と兄は駆けずり回った。母のタンシアは過去に戻らなかった子供たちの親族などを辺りお茶会と称し集めた。
ロザージュは外国から帰国していない事になっているので、まず仲の良かった学園の子たちにこっそりと連絡を取り、そこから学院の友人たちに話を通してもらった。
半信半疑の人はもちろんいた。今の暮らしに満足を持っている者たちは反発するだろう。しかし、水龍はルイを追い地上に戻り、虹の橋も消えた。
神獣がルイを慕ってこの国を出たのならば、ルイがこの国に戻って来てはどうかいう者もいたが、殺されるのが分かっていて戻る分けがないだろうとロザリオは声を荒げた。ロザリオもルイの件では第五王子の事で腹を立てていたのだ。ロザリオに取ってルイも可愛い妹なのだ。
「ビア、、いやルイはあの婚約者の為に一生懸命にやっていた。それなのに第五王子のあの態度はひどかった。ルイがなにをやっても知らん顔で、見ていて可哀そうだったよ。第一王子と第二王子には俺からも第五王子の態度を改めてもらうようお願いしたが叶わなかった。挙句に婚約破棄され、おじ様たちはさっさと邸を売ってルイの事は家出したから捜してくれって、で、今度は生贄だって?!俺たちの為に?俺の姉さまも王族に殺された。母上の叔母様も…」
ロザリオはこの国の負の連鎖を止めよう俺たちの代でやめて新しい国を作ろうと精一杯熱弁した。ルイが受け入れ先を探してくれているとも話をした。
長男で留学を止められた若い世代が集まり話し合いに参加した。
「しかし、今のこの地位を捨てるのは…今まで頑張って来たんだ」
「しかし、神獣がいなくなれば実りがなくなり、いずれこの国はつぶれるのだぞ」
「本当に浮いている島なのか」
「残念だが農民の多くは秘密事項だとしてみんな知っていたよ」
「なに…」
「まあ森が近いからな、知らないと無茶をする若者が出て来るから成人になれば親から知らされると言っていたな」
「明日にもこっそりと見に行って見ろ。大勢でいかないでくれよ」
それから父親世代にも話が通り、頭の固い年寄りの男性たちも今の地位が無くなるのはいやだが孫の世代までこの国が持たない事を悟った。
「まあタンシア様、そんな話を信じろと?私の妹も留学中に帰らぬ人となりましたが、今は父も母も亡くなり、もう昔の事ですわ。それをいまさら声を荒げるのは…」
タンシアより、十歳以上も年上の夫人が言う
「ええ、そうね。でも私は娘の事を信じています。それに私は叔母と娘を失ったこの国にはもう居たくありませんわ。私は娘についていきます。この国が滅びる運命にあるという事をわかっていて知らぬ顔をするのは心苦しいと思ったから伝えているのです。真剣に私の話を聞いてほしい」
信じないのならそれでもいい、でもこの事は自分の夫以外には言わないでほしいと念を押した。家族とよく相談をして決断をしてほしいと告げた。急に信じられるはずがない。それは分かっている。
しかし、話は徐々に口コミで広がった。クロード家に地元の有志達が集まった。そして最初は国の端に住んでいる農民や酪農をしている人から移動するという計画を立てる。早々に王族たちにバレては困るのだ。見つかりにくい平民から移動する事を提案したのだ。
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