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第53話 イケメンのだんな様です
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ハートはローズのいない時間を有意義に過ごしていた。結婚して一年ほど経っていたがあまり夫とふたりでのんびりすることはなかった。いつもローズに振り回されていたからだ。
ローズは勝手にハートの住居に訪れ夫や姑の悪口を言って帰って行く。ハートの夫はそれが原因なのか邸に寄り付かなくなってしまっていた。浮気されたり、愛人を作ったりしても文句は言えなかった。しかし、ハートがローズとは決別すると夫に宣言をすると「では、私はあなたの夫に戻りましょう」と、言ってくれた。
今では新婚のような生活になっている。これが幸せというものね、とローズのいない間に幸せを噛みしめている。
「まあ、それはよかったわね」
ひとり身の婚約破棄サレ女にノロケを言う強者がいようとは、とルイはあの地下の喫茶店でコヒィを堪能している。
「ご、ごめんなさい。私ったら初めての経験だったから…あなたもいつか愛する人と結ばれるわ」
「いいんじゃない。今までローズに振り回されていたのだから幸せを嚙みしめても」
「ええ、ありがとう。ローズが帰って来てももう面倒は見ないわ」
と、宣言するハートは全力でいい人なのだと思った。
キャラハン公爵やハートの旦那様と仕事のと調整が上手く行き、会わせて頂く日程が三日後になった。ルイはノーズレクスの事を調べていたが、行き詰っていた。図書館で調べられる事には限度がある。今ではロザージュの連絡を待つばかりとなっている。ロザージュにはイヤリング型の携帯電話を持たせているがさすがに二・三日で話がまとまる訳がない。
約束の日にお茶会が開催された。ルイは同じちょっとキレイ目のワンピースを着用して馬車が迎えに来てくれ城に向かった。
「ルイよ。夫の」
「フィロデン・ドロン・キャラハンだ。フィロデンでいい。妻が世話になっているね」
「いえ、こちらこそ、フィロデン様」
「フィカス・ドロン・キャラハンだ。君は以前あったね」
「はい、キャラハン公爵様。あの時はありがとうございました」
ルイはカーテシーで挨拶をした。馬車に同行させてくれた事や高級宿に泊めて貰ったお礼を言った。時折、ハートが省略した箇所を色々聞いて来たのでやんわりと話を反らした。
「我が儘妃から妻を取り戻せたのは君が大きく貢献しているらしいね。お礼を言うよ」
「え、そんな私はなにも」
「ははは、フィロは初めてハートに会った時に一目惚れをしてねぇ、最初は初めて会う女性との婚姻など考えられないと言っていたのに、ハートを見た途端、婚姻に納得したのだよ」
「父上、やめてください。妻が聞いています」
「おまえがハートにぞっこんなのは有名な事だ」
ハートとフィロデン様は見つめ合い、頬を赤くした。
ハートはキツメの美形だがプラチナブロンドで透き通るような緑の瞳をしている。所謂美女だ。フィロデン様も長身で黒髪に蒼い瞳のすこぶるイケメンだ。シオンと比べるとシオンは柔らかいイケメンだけど、フィロデン様の方はクールなイケメンだ。カインは可愛い系だ。
「しかし…ローズ様がなぁ、あの通りの我が儘妃でね。この国の未来も先が思いやられる」
驚いたことにローズは将来、国王様の妃となるようだ。ローズはこの国の王太子と結婚していたようで、他人事ではあるが心配である。
「…ハートがいれば大丈夫だろうと各補佐たちは言っていてなぜかハートに妃教育を進めようとして来てね。あの妃では心配ではあるがさすがにそれは違うだろうと止めていたのだよ。ローズ様は勉強が苦手のようだ」
「そうだったのですね、そういえばそのようなことを言われたような気がします。ローズ様の為に勉強するように、と」
「妃でもないのに、可笑しな話だ」
「まったくだ」
と、一般人がいるのになんの話をしているのだ。
「あ、ごめん、ルイを置き去りにしてしまったわね」
「いえ、いいの」
まったくだ。
「ルイ殿は恋人を捜しに来たのではないのならこの国になにをしに来たのだね」
ルイはキャラハン公爵に村人ではない事を説明していた。
「ちょっと気になった事があって、サウーザからこちらに来ました」
「ルイはサウーザの住民だったのね」
「ええ」
なにをどこまで話ていいのかルイには分からない。
「なにか話せない事情があるのかい?」
優しい言葉でフィロデン様は話してくださるが、打ち明けてもいいのだろうか。
ローズは勝手にハートの住居に訪れ夫や姑の悪口を言って帰って行く。ハートの夫はそれが原因なのか邸に寄り付かなくなってしまっていた。浮気されたり、愛人を作ったりしても文句は言えなかった。しかし、ハートがローズとは決別すると夫に宣言をすると「では、私はあなたの夫に戻りましょう」と、言ってくれた。
今では新婚のような生活になっている。これが幸せというものね、とローズのいない間に幸せを噛みしめている。
「まあ、それはよかったわね」
ひとり身の婚約破棄サレ女にノロケを言う強者がいようとは、とルイはあの地下の喫茶店でコヒィを堪能している。
「ご、ごめんなさい。私ったら初めての経験だったから…あなたもいつか愛する人と結ばれるわ」
「いいんじゃない。今までローズに振り回されていたのだから幸せを嚙みしめても」
「ええ、ありがとう。ローズが帰って来てももう面倒は見ないわ」
と、宣言するハートは全力でいい人なのだと思った。
キャラハン公爵やハートの旦那様と仕事のと調整が上手く行き、会わせて頂く日程が三日後になった。ルイはノーズレクスの事を調べていたが、行き詰っていた。図書館で調べられる事には限度がある。今ではロザージュの連絡を待つばかりとなっている。ロザージュにはイヤリング型の携帯電話を持たせているがさすがに二・三日で話がまとまる訳がない。
約束の日にお茶会が開催された。ルイは同じちょっとキレイ目のワンピースを着用して馬車が迎えに来てくれ城に向かった。
「ルイよ。夫の」
「フィロデン・ドロン・キャラハンだ。フィロデンでいい。妻が世話になっているね」
「いえ、こちらこそ、フィロデン様」
「フィカス・ドロン・キャラハンだ。君は以前あったね」
「はい、キャラハン公爵様。あの時はありがとうございました」
ルイはカーテシーで挨拶をした。馬車に同行させてくれた事や高級宿に泊めて貰ったお礼を言った。時折、ハートが省略した箇所を色々聞いて来たのでやんわりと話を反らした。
「我が儘妃から妻を取り戻せたのは君が大きく貢献しているらしいね。お礼を言うよ」
「え、そんな私はなにも」
「ははは、フィロは初めてハートに会った時に一目惚れをしてねぇ、最初は初めて会う女性との婚姻など考えられないと言っていたのに、ハートを見た途端、婚姻に納得したのだよ」
「父上、やめてください。妻が聞いています」
「おまえがハートにぞっこんなのは有名な事だ」
ハートとフィロデン様は見つめ合い、頬を赤くした。
ハートはキツメの美形だがプラチナブロンドで透き通るような緑の瞳をしている。所謂美女だ。フィロデン様も長身で黒髪に蒼い瞳のすこぶるイケメンだ。シオンと比べるとシオンは柔らかいイケメンだけど、フィロデン様の方はクールなイケメンだ。カインは可愛い系だ。
「しかし…ローズ様がなぁ、あの通りの我が儘妃でね。この国の未来も先が思いやられる」
驚いたことにローズは将来、国王様の妃となるようだ。ローズはこの国の王太子と結婚していたようで、他人事ではあるが心配である。
「…ハートがいれば大丈夫だろうと各補佐たちは言っていてなぜかハートに妃教育を進めようとして来てね。あの妃では心配ではあるがさすがにそれは違うだろうと止めていたのだよ。ローズ様は勉強が苦手のようだ」
「そうだったのですね、そういえばそのようなことを言われたような気がします。ローズ様の為に勉強するように、と」
「妃でもないのに、可笑しな話だ」
「まったくだ」
と、一般人がいるのになんの話をしているのだ。
「あ、ごめん、ルイを置き去りにしてしまったわね」
「いえ、いいの」
まったくだ。
「ルイ殿は恋人を捜しに来たのではないのならこの国になにをしに来たのだね」
ルイはキャラハン公爵に村人ではない事を説明していた。
「ちょっと気になった事があって、サウーザからこちらに来ました」
「ルイはサウーザの住民だったのね」
「ええ」
なにをどこまで話ていいのかルイには分からない。
「なにか話せない事情があるのかい?」
優しい言葉でフィロデン様は話してくださるが、打ち明けてもいいのだろうか。
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