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第40話 ***かの国の話*** その参
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騒動が起きて一ヶ月と半月が過ぎた頃、ピティナスピリツァ国の城内では、王と第二王子が帰らぬ第一王子の安否を案じていた。
「兄上は大丈夫でしょうか?」
第一王子より気の弱そうな第二王子は父王の様子を伺う。
「だから私は反対したんだ。次期王が自ら出向くなどと…」
「兄上は自分になにかあれば、父上とこの国を頼むと私に言われました。私は兄上がなにをそんなに大げさな事を言っているのか分かりませんでした。そもそもあのモノのためにこの国を動かしてまで追いかける意味があるのですか?」
父王は気の弱そうな第二王子を見て考える。
「…あのモノは…色々な発明をしているのだろう?」
「ええ、どういった発想を持っているのか、とても不思議で便利な物を次々に…それを第四王子がその品を見ただけで完コピしていました。それで随分と儲けさせて貰いましたよ。…しかしそれだけの理由ではないはずです」
「…第一王子が戻らぬ時にはおまえにすべて話をしよう」
「…わかりました」
ピティナスピリツァ国はラグラスが消えて、ピティナスピリツァ国に渦巻いていた雷雲が消えかけている。雷雲はラグラスの魔力で維持出来ていた。ラグラスがいる事で保っていたのだ。
大きな島が空に浮いているのが浮き彫りになり始めている。その光景は地上の大陸に住む人々からも徐々に浸透していった。あまりの大きさに大陸の人々はパニックになった。
「陛下、第二王子、雲の神獣が消えてこの国はむき出しになっています。大陸のものたちがパニックになっているようです」
大陸にいるピティナスピリツァ国の者とルイが発明した電話でのやり取りがあるようだ。当然、砂漠の上に雷雲の隙間から巨大な島が出現したのだ。大陸の人間は恐怖に陥っているだろう。
「大陸の者たちのことなどほっとけばよい。第一王子が戻らねば動く事はできない」
「父上どう交渉するのです?」
「第一王子が土産を用意していた。あれを出す」
「水の粉ですか?」
「いや、あれはもうない。残っていたものすべてノーズレクスに売った」
「目覚めた水龍はもう水の粉を作ってはくれませんでしたね。何のために乙女を何人も捧げたのか…ガルーナ王国と存在しない国に留学と偽ってまで…」
「言うな。神獣は気紛れだ。我々の思い通りにはならぬ」
「申し訳ありません。では…土産とはなんです?」
「ツチノコだ」
「ツチノコ?それはなんですか?」
「この国には神獣が四体いる。いたと言うべきか…それは知っておろう」
「はい、水龍、雲のウサギ、虹の鳥、土の蛇、ですよね。四大神獣として水龍は水の神、ウサギは風の神、鳥は火の神、蛇は土の神、と聞いています」
「そうだ、我らの国に眠る最大の神、雲や鳥、龍など、どうでもよいのだ。土の神、蛇様が居ればこの国は安泰なのだ。あれは卵を産む。その卵を土に埋めると作物が数倍良く育つのだ」
「それがツチノコですか」
「そうだ。この地にあの蛇様がおられるからこそ天空でも作物が育ち生きていけるのだ」
「なるほど、ではそのツチノコを交渉の材料にしましょう」
「だが待て、それは最終手段だ」
しかし、ピティナスピリツァ国の国王は知らない。水の龍がいなくなれば水源は絶たれ、雲のウサギがいなくなった事で空中でのバランスが取れなくなり、すべて「ビアンカ」の負担となる。虹の橋がいなければ物資が滞る。その事には気にもかけていない国王であった。
▽
▽
ルイが食事をしているとまた声を掛けられた。今度はおじさんだ。
「あんたノーズレクスに行くのかい?やめた方がいいよ」
「どうして?」
「観光で行くんだろう?あそこはもう終わりだな、虹の橋がなくなっちまったからな。まあ水のベッドやソファーは気持ちいいがね」
「私は親戚がいて…」
「ああ、そうかい。ならいいか、俺は船乗りなんだが観光客は目に見えて減ってきているな」
「虹の橋で愛の誓いをすると永遠に成就するって言われていた橋がなくなったの?私も見たかったのに」
「そうそう、それだよ。急になくなったのさ。ノーズレクスは大騒ぎだよ、ハハハ」
「残念だわ」
棒読みだ。
「まあ、あんたは観光じゃないのならいいんじゃないか、食べ物はうまいからな」
「そうなんだ」
「ああ、変わった調理法でね。楽しみにしてるんだな、ハハ」
「それは楽しみだわ」
もしかして…
昔、第一王子や第二王子たちの料理人にハンバーグやオムライスを教えた事がある。自分も食べたかったからだが…もしそうなら完全にかの国とノーズレクスは繋がっている。ガルーナ王国は何だったのか?かの国のやる事はよくわからない。
「兄上は大丈夫でしょうか?」
第一王子より気の弱そうな第二王子は父王の様子を伺う。
「だから私は反対したんだ。次期王が自ら出向くなどと…」
「兄上は自分になにかあれば、父上とこの国を頼むと私に言われました。私は兄上がなにをそんなに大げさな事を言っているのか分かりませんでした。そもそもあのモノのためにこの国を動かしてまで追いかける意味があるのですか?」
父王は気の弱そうな第二王子を見て考える。
「…あのモノは…色々な発明をしているのだろう?」
「ええ、どういった発想を持っているのか、とても不思議で便利な物を次々に…それを第四王子がその品を見ただけで完コピしていました。それで随分と儲けさせて貰いましたよ。…しかしそれだけの理由ではないはずです」
「…第一王子が戻らぬ時にはおまえにすべて話をしよう」
「…わかりました」
ピティナスピリツァ国はラグラスが消えて、ピティナスピリツァ国に渦巻いていた雷雲が消えかけている。雷雲はラグラスの魔力で維持出来ていた。ラグラスがいる事で保っていたのだ。
大きな島が空に浮いているのが浮き彫りになり始めている。その光景は地上の大陸に住む人々からも徐々に浸透していった。あまりの大きさに大陸の人々はパニックになった。
「陛下、第二王子、雲の神獣が消えてこの国はむき出しになっています。大陸のものたちがパニックになっているようです」
大陸にいるピティナスピリツァ国の者とルイが発明した電話でのやり取りがあるようだ。当然、砂漠の上に雷雲の隙間から巨大な島が出現したのだ。大陸の人間は恐怖に陥っているだろう。
「大陸の者たちのことなどほっとけばよい。第一王子が戻らねば動く事はできない」
「父上どう交渉するのです?」
「第一王子が土産を用意していた。あれを出す」
「水の粉ですか?」
「いや、あれはもうない。残っていたものすべてノーズレクスに売った」
「目覚めた水龍はもう水の粉を作ってはくれませんでしたね。何のために乙女を何人も捧げたのか…ガルーナ王国と存在しない国に留学と偽ってまで…」
「言うな。神獣は気紛れだ。我々の思い通りにはならぬ」
「申し訳ありません。では…土産とはなんです?」
「ツチノコだ」
「ツチノコ?それはなんですか?」
「この国には神獣が四体いる。いたと言うべきか…それは知っておろう」
「はい、水龍、雲のウサギ、虹の鳥、土の蛇、ですよね。四大神獣として水龍は水の神、ウサギは風の神、鳥は火の神、蛇は土の神、と聞いています」
「そうだ、我らの国に眠る最大の神、雲や鳥、龍など、どうでもよいのだ。土の神、蛇様が居ればこの国は安泰なのだ。あれは卵を産む。その卵を土に埋めると作物が数倍良く育つのだ」
「それがツチノコですか」
「そうだ。この地にあの蛇様がおられるからこそ天空でも作物が育ち生きていけるのだ」
「なるほど、ではそのツチノコを交渉の材料にしましょう」
「だが待て、それは最終手段だ」
しかし、ピティナスピリツァ国の国王は知らない。水の龍がいなくなれば水源は絶たれ、雲のウサギがいなくなった事で空中でのバランスが取れなくなり、すべて「ビアンカ」の負担となる。虹の橋がいなければ物資が滞る。その事には気にもかけていない国王であった。
▽
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ルイが食事をしているとまた声を掛けられた。今度はおじさんだ。
「あんたノーズレクスに行くのかい?やめた方がいいよ」
「どうして?」
「観光で行くんだろう?あそこはもう終わりだな、虹の橋がなくなっちまったからな。まあ水のベッドやソファーは気持ちいいがね」
「私は親戚がいて…」
「ああ、そうかい。ならいいか、俺は船乗りなんだが観光客は目に見えて減ってきているな」
「虹の橋で愛の誓いをすると永遠に成就するって言われていた橋がなくなったの?私も見たかったのに」
「そうそう、それだよ。急になくなったのさ。ノーズレクスは大騒ぎだよ、ハハハ」
「残念だわ」
棒読みだ。
「まあ、あんたは観光じゃないのならいいんじゃないか、食べ物はうまいからな」
「そうなんだ」
「ああ、変わった調理法でね。楽しみにしてるんだな、ハハ」
「それは楽しみだわ」
もしかして…
昔、第一王子や第二王子たちの料理人にハンバーグやオムライスを教えた事がある。自分も食べたかったからだが…もしそうなら完全にかの国とノーズレクスは繋がっている。ガルーナ王国は何だったのか?かの国のやる事はよくわからない。
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