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第28話 危なかったです
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「カミノア、ありがとう。もう少しで捕まる所だったわ」
ルイは顔に膜を張り、水中にふよふよと漂っている。
『いいけど、なんであんな方法を?こんなことならあの日すぐに逃げ出せばよかったのに…』
「ん~そうなんだけどね、宝石を返せば追って来なくなるかなって思ってたのよ」
『…』
「最初は宝石を返すからって交渉してもらおうと思ってたけど、サウーザの王子たちから時間を稼ぐって言われて交渉は最終手段みたいになったの。サウーザも多分かの国の事を何か探りたかったのでしょうね。私だけの為に交渉はしないでしょうし、で、なにかあればカミノアがいるから逃げれるなって思ってた所にあのドラゴ〇レーダーでしょう。ビビったわぁ」
『ドラ〇ンレーダー?』
「探知機よ、探知機。私がいるってなぜか分かっちゃって、で、一度あの国の使者たちに私の姿を見せてそれから逃げおうせたって事にしたかったんだよね」
『なんでさ?』
「一応、サウーザの人たちにはお世話になっているし、サウーザは何も知りませんでしたって事にすればいいじゃんって。でも第一王子自らお出ましなんて思ってなかったから、これはヤバいなって。で、カミノアを呼ぶしかないでしょ?で、サウーザにも迷惑かけないし、いい考えだったでしょ?」
『迷惑かけてないって思ってるの?城は今、大パニック中だよ?』
「まあまあ、上手くいったんだからいいじゃない、ふふ」
『相変わらず、行き当たりばったりだね』
水龍は今は美しい青年の姿になって水中に漂っている。カミノアの昔話によると前の水龍の寿命が尽きる前に、人として生きていたカミノアが生贄として差し出されたのだ。カミノアは生前の行いが悪く悪魔の魔法を作り出し、人々を苦しめたとして罪人になっていた。そして生贄に選ばれたのである。そして水龍として寿命が来るまで生きなければならないという苦行を強いられたのである。水龍になって大暴れしてやろうとしたが、水龍の縛りがキツく出来なかったのだとか。しばらく大人しく水龍として勤めていたが千年が経ち、疲れて長い間眠っていたのだそうだ。それを水中散歩をしていたルイに叩き起こされたのである。
『普通、眠っている龍を起こすかね?』
と、言われたが起こしたのではなく、通りかかったらカミノアが勝手に起きたのだと、ルイは主張する。
「それより、荷物を取って来たいわ。置いて来てしまったから…」
『大丈夫そうだよ?まだ地上は大パニックに陥っている』
城の離れにあるルイ専用になっていた屋敷を見に戻ると人影はなかった。城の方では事が大きくなっているようで騒ぎ声が聞こえてきた。
あれ?カミノアってば、やり過ぎたのかしら?
ルイはカミノアの中にいたのでまさか城を半壊しているとは思っていない。ルイは水龍の姿にびっくりして騒いでいるのだろうと思っている。サウーザの人たちに申し訳ないと思いつつ、残していた私物をこっそり頂きまた湖に戻る。キレイなドレスや装飾品に心奪われそうになるがこれは王子たちが用意してくれた借り物だ。手は出せない。
湖に戻るとカミノアと合流する。今度は衣服が濡れないように身体全体に膜を追おう。
『荷物は取り戻せたようだね』
「ええ、鞄ひとつだもの」
ルイの私物は安物の肩掛け鞄ひとつだ。その中に高価な宝石を縫い付けてある。収納魔法を付与してたくさんの物を入れているのだ。多くの高価な宝石はシオンに渡してしまったが、かの国の第一王子から「これは母上の分、これは娘の分だ」と渡された数個の宝石は返していなかった。他国の物は返さないと困るだろうからと返したが自国の分なら今まで付与した分の代金にとして、自分が貰っても問題はないはずだと、ルイの勝手なルールが発動した。
『そういえば、あの時なにしてたの?』
「あの時って?」
『ビアを飲み込んだ時だよ。あの王子からなにか取らなかった?』
「ああ、王子の持っていた小瓶を回収したの。私が作ったものだし」
『小瓶?』
「これよ」
ルイはネックレスに収納していた、ガラスで出来たキレイな小瓶を取り出した。
「これは罪人を運ぶためにって、王子に頼まれて私が開発したの。カミノアがいなかったら王子に、この小瓶に入れられた事でしょうね。そうなると第一王子の魔力でしか出られないもの、危なかったわ。もう解除したけど」
魔力を込めると魔力が形になりターゲットを引き寄せられ、魔力の持ち主に触れられるとこの小瓶に収納されてしまうのだ。今の持ち主はルイだ。
『それにビアを入れようとしたの?』
顔が険しくなるカミノア
「持ってたってことはそうなんでしょうね」
『ひどい…』
「もうなんとも思わないわ。もうちょこちょこひどかったし、これを回収してしまえばもう大丈夫よ。これは苦労して作ったからコピーが効かなかったの。何度も作り方を教えてくれないかと言われたけど教えなかった。というか…教えられなかったの。色々試し過ぎて偶然出来てしまったものだから」
『封印だね』
「そうね、それより私はルイって名前に変えたの。これからはルイって呼んで」
『ルイだね、わかった』
ルイとカミノアは王都を離れることにした。
ルイは顔に膜を張り、水中にふよふよと漂っている。
『いいけど、なんであんな方法を?こんなことならあの日すぐに逃げ出せばよかったのに…』
「ん~そうなんだけどね、宝石を返せば追って来なくなるかなって思ってたのよ」
『…』
「最初は宝石を返すからって交渉してもらおうと思ってたけど、サウーザの王子たちから時間を稼ぐって言われて交渉は最終手段みたいになったの。サウーザも多分かの国の事を何か探りたかったのでしょうね。私だけの為に交渉はしないでしょうし、で、なにかあればカミノアがいるから逃げれるなって思ってた所にあのドラゴ〇レーダーでしょう。ビビったわぁ」
『ドラ〇ンレーダー?』
「探知機よ、探知機。私がいるってなぜか分かっちゃって、で、一度あの国の使者たちに私の姿を見せてそれから逃げおうせたって事にしたかったんだよね」
『なんでさ?』
「一応、サウーザの人たちにはお世話になっているし、サウーザは何も知りませんでしたって事にすればいいじゃんって。でも第一王子自らお出ましなんて思ってなかったから、これはヤバいなって。で、カミノアを呼ぶしかないでしょ?で、サウーザにも迷惑かけないし、いい考えだったでしょ?」
『迷惑かけてないって思ってるの?城は今、大パニック中だよ?』
「まあまあ、上手くいったんだからいいじゃない、ふふ」
『相変わらず、行き当たりばったりだね』
水龍は今は美しい青年の姿になって水中に漂っている。カミノアの昔話によると前の水龍の寿命が尽きる前に、人として生きていたカミノアが生贄として差し出されたのだ。カミノアは生前の行いが悪く悪魔の魔法を作り出し、人々を苦しめたとして罪人になっていた。そして生贄に選ばれたのである。そして水龍として寿命が来るまで生きなければならないという苦行を強いられたのである。水龍になって大暴れしてやろうとしたが、水龍の縛りがキツく出来なかったのだとか。しばらく大人しく水龍として勤めていたが千年が経ち、疲れて長い間眠っていたのだそうだ。それを水中散歩をしていたルイに叩き起こされたのである。
『普通、眠っている龍を起こすかね?』
と、言われたが起こしたのではなく、通りかかったらカミノアが勝手に起きたのだと、ルイは主張する。
「それより、荷物を取って来たいわ。置いて来てしまったから…」
『大丈夫そうだよ?まだ地上は大パニックに陥っている』
城の離れにあるルイ専用になっていた屋敷を見に戻ると人影はなかった。城の方では事が大きくなっているようで騒ぎ声が聞こえてきた。
あれ?カミノアってば、やり過ぎたのかしら?
ルイはカミノアの中にいたのでまさか城を半壊しているとは思っていない。ルイは水龍の姿にびっくりして騒いでいるのだろうと思っている。サウーザの人たちに申し訳ないと思いつつ、残していた私物をこっそり頂きまた湖に戻る。キレイなドレスや装飾品に心奪われそうになるがこれは王子たちが用意してくれた借り物だ。手は出せない。
湖に戻るとカミノアと合流する。今度は衣服が濡れないように身体全体に膜を追おう。
『荷物は取り戻せたようだね』
「ええ、鞄ひとつだもの」
ルイの私物は安物の肩掛け鞄ひとつだ。その中に高価な宝石を縫い付けてある。収納魔法を付与してたくさんの物を入れているのだ。多くの高価な宝石はシオンに渡してしまったが、かの国の第一王子から「これは母上の分、これは娘の分だ」と渡された数個の宝石は返していなかった。他国の物は返さないと困るだろうからと返したが自国の分なら今まで付与した分の代金にとして、自分が貰っても問題はないはずだと、ルイの勝手なルールが発動した。
『そういえば、あの時なにしてたの?』
「あの時って?」
『ビアを飲み込んだ時だよ。あの王子からなにか取らなかった?』
「ああ、王子の持っていた小瓶を回収したの。私が作ったものだし」
『小瓶?』
「これよ」
ルイはネックレスに収納していた、ガラスで出来たキレイな小瓶を取り出した。
「これは罪人を運ぶためにって、王子に頼まれて私が開発したの。カミノアがいなかったら王子に、この小瓶に入れられた事でしょうね。そうなると第一王子の魔力でしか出られないもの、危なかったわ。もう解除したけど」
魔力を込めると魔力が形になりターゲットを引き寄せられ、魔力の持ち主に触れられるとこの小瓶に収納されてしまうのだ。今の持ち主はルイだ。
『それにビアを入れようとしたの?』
顔が険しくなるカミノア
「持ってたってことはそうなんでしょうね」
『ひどい…』
「もうなんとも思わないわ。もうちょこちょこひどかったし、これを回収してしまえばもう大丈夫よ。これは苦労して作ったからコピーが効かなかったの。何度も作り方を教えてくれないかと言われたけど教えなかった。というか…教えられなかったの。色々試し過ぎて偶然出来てしまったものだから」
『封印だね』
「そうね、それより私はルイって名前に変えたの。これからはルイって呼んで」
『ルイだね、わかった』
ルイとカミノアは王都を離れることにした。
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