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第27話 謎は謎のままです
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「…わたしは…ピティナスピリツァ王国の第一王子だ」
第一王子は、目を閉じ観念した。
「なんと、幻の国の後継者でしたか。大物ですな」
陛下は驚いて見せたが、王子たちはざわついている。ルイとのやり取りは見えていたが、まさか王子自ら使者に扮して乗り込んでくるとは思っていなかった。
「わかったら出してくれ」
「名は?」
「名は明かせない。名は家族以外明かせぬというのが我が国の決まりだ」
「ふむ、嘘は言ってはいないようだ。変わった決まりだの…では王子よ、それ相当の部屋にお通ししよう」
「しかし、一国の王子がなぜ使者に紛れてこの国に?そんなに大切な姫だったのか?そのビアンカ嬢は」
シオンは本当に不思議だと思い聞いた。
「我が国の大切な人ですよ」
腕輪は反応しない。嘘はないように思うがなぜがしっくりこない。
「違和感があるが、まあいいでしょう。お話はまだ色々とさせて頂きますよ、第一王子殿。我が国で派手にやってくれたのですからね。第一王子殿にはこの騒動の件での責任を取って頂きます」
シオンはかの国の第一王子だと聞いてなお、使者としての身分で扱うようだ。
「…水龍はビアンカが連れてきたのだ!」
「どうやってかね?それに大切な人だと言うておるが、我が城でそのビアンカ嬢に攻撃を仕掛けたと見たものから聞いている」
「それは…捕まえる為に…」
「あれがか?!」
コールが叫ぶ。近くで見ていた王子たちはどう見ても殺傷能力がある攻撃だと感じたようだ。
「やはりこれだけの騒動を起こしたのだから、そなたに責任があることに間違いはなさそうですな。その場で話合いをする事も十分出来たわけですしな。第一王子殿に責任を取ってもらうのが筋でしょうな?」
「ぐっ…」
第一王子以外はそのまま貴族牢に残し、第一王子は城の最上階にある監視付きの豪華な牢へと移動させた。ここは王族が罪を行った時に入る牢だ。数百年は使われていない。
「結局、牢ではないか!」
「先ほどの牢よりは住みやすくしてやっただろう。これでも配慮している」
「どうしろと言うのだ!修繕の賠償金なら払う。我が国に書簡を出そう」
「まあ、そうだな。話はそれからだろうな。書簡の中身も確認させてもらうぞ」
「なっ…」
第一王子直筆の書簡を使者に持たせた。修繕費用を請求する。また貴国の神獣が我が国に多大な被害と恐怖を陥れた、として賠償金を上乗せした。
第一王子には神獣とはなにか、水龍とはなにか、あのメイドはなんの目的で我が国にきたのか、どんな関係なのか、あの写真を見せこれは貴国で間違いないか、どうやって浮いているなど尋問した。コールに至ってはあの攻撃方法を教えてほしいと耳元で懇願していた。第一王子は手を緩めない王子たちに狼狽し、疲労し、最後には泣き出してしまった。
結局、国の秘密はなにひとつ聞き出せなかった。さすがにそこまで期待はしていなかったが、やはり一国の王子は王子なのだなと思う。だがなぜ王子がルイを直接捕まえに来たのか、ということも「大切な人だから」の一点張りで詳しい理由は聞けなかった。もちろんそこに嘘はない。
ではなぜルイは逃げている?付与をさせたいだけにしては執着し過ぎている。これもまだ謎のままだ。
かの国とも交渉し、これ以上引き延ばせないとして使者団はかの国に引き渡す事になった。しかしサウーザに虚偽の報告をし我が城の中で第一王子が攻撃したのは確かなこと。今後、我が国とうそ偽りなく友好関係を築くことを王子の魔力に約束させた。そして第一王子は使者団として、かの国にお帰り頂いた。
そんなやり取りを半年ほどしていた。
【魔力に約束させる】
その行為は約束させたい人の体内に、約束させる人の魔力を特殊な方法で残すという行いだ。つまり第一王子の体内にはサウーザの王族の魔力が残された。第一王子が裏切ったと判断した場合サウーザの王族は、体内に残した魔力で第一王子の魔力を燃えさせることが出来る。魔力が燃えてなくなると人は死んでしまう。
体内に魔力を残す行いを『カミノア』という。以前カミノアという青年が生み出したとされる行いだ。悪魔の行いと言われている為、今や禁止事項になっている。許されるのは王族だけだ。『カミノア』をされたモノは『魔力付き』と呼ばれ罪人認定されるのである。ただ、本人であれば魔力を取り除く事も出来るがその行為は行われたことはない。
かの国は大事な跡取りを魔力付きにされた事に対して恨んではいるものの攻撃は出来ない。友好関係を築くと約束させられている。約束を破れば第一王子の魔力が燃えつき死んでしまう。大人しく引き下がるしかなかった。
そんな中、かの国でも色々あったようで大きく変化していた。
▽
▽
かの国との騒動後、水龍によって湖の中に連れ込まれたルイは、飲み込まれる瞬間に自分の顔の周りに膜を作り息が出来るようにした。その膜からは水中から酸素が取り込まれるようになっており、永久的に水の中にいることが出来る仕組みにしていた。
そしてこれらは想定外で想定内の事であった。
第一王子は、目を閉じ観念した。
「なんと、幻の国の後継者でしたか。大物ですな」
陛下は驚いて見せたが、王子たちはざわついている。ルイとのやり取りは見えていたが、まさか王子自ら使者に扮して乗り込んでくるとは思っていなかった。
「わかったら出してくれ」
「名は?」
「名は明かせない。名は家族以外明かせぬというのが我が国の決まりだ」
「ふむ、嘘は言ってはいないようだ。変わった決まりだの…では王子よ、それ相当の部屋にお通ししよう」
「しかし、一国の王子がなぜ使者に紛れてこの国に?そんなに大切な姫だったのか?そのビアンカ嬢は」
シオンは本当に不思議だと思い聞いた。
「我が国の大切な人ですよ」
腕輪は反応しない。嘘はないように思うがなぜがしっくりこない。
「違和感があるが、まあいいでしょう。お話はまだ色々とさせて頂きますよ、第一王子殿。我が国で派手にやってくれたのですからね。第一王子殿にはこの騒動の件での責任を取って頂きます」
シオンはかの国の第一王子だと聞いてなお、使者としての身分で扱うようだ。
「…水龍はビアンカが連れてきたのだ!」
「どうやってかね?それに大切な人だと言うておるが、我が城でそのビアンカ嬢に攻撃を仕掛けたと見たものから聞いている」
「それは…捕まえる為に…」
「あれがか?!」
コールが叫ぶ。近くで見ていた王子たちはどう見ても殺傷能力がある攻撃だと感じたようだ。
「やはりこれだけの騒動を起こしたのだから、そなたに責任があることに間違いはなさそうですな。その場で話合いをする事も十分出来たわけですしな。第一王子殿に責任を取ってもらうのが筋でしょうな?」
「ぐっ…」
第一王子以外はそのまま貴族牢に残し、第一王子は城の最上階にある監視付きの豪華な牢へと移動させた。ここは王族が罪を行った時に入る牢だ。数百年は使われていない。
「結局、牢ではないか!」
「先ほどの牢よりは住みやすくしてやっただろう。これでも配慮している」
「どうしろと言うのだ!修繕の賠償金なら払う。我が国に書簡を出そう」
「まあ、そうだな。話はそれからだろうな。書簡の中身も確認させてもらうぞ」
「なっ…」
第一王子直筆の書簡を使者に持たせた。修繕費用を請求する。また貴国の神獣が我が国に多大な被害と恐怖を陥れた、として賠償金を上乗せした。
第一王子には神獣とはなにか、水龍とはなにか、あのメイドはなんの目的で我が国にきたのか、どんな関係なのか、あの写真を見せこれは貴国で間違いないか、どうやって浮いているなど尋問した。コールに至ってはあの攻撃方法を教えてほしいと耳元で懇願していた。第一王子は手を緩めない王子たちに狼狽し、疲労し、最後には泣き出してしまった。
結局、国の秘密はなにひとつ聞き出せなかった。さすがにそこまで期待はしていなかったが、やはり一国の王子は王子なのだなと思う。だがなぜ王子がルイを直接捕まえに来たのか、ということも「大切な人だから」の一点張りで詳しい理由は聞けなかった。もちろんそこに嘘はない。
ではなぜルイは逃げている?付与をさせたいだけにしては執着し過ぎている。これもまだ謎のままだ。
かの国とも交渉し、これ以上引き延ばせないとして使者団はかの国に引き渡す事になった。しかしサウーザに虚偽の報告をし我が城の中で第一王子が攻撃したのは確かなこと。今後、我が国とうそ偽りなく友好関係を築くことを王子の魔力に約束させた。そして第一王子は使者団として、かの国にお帰り頂いた。
そんなやり取りを半年ほどしていた。
【魔力に約束させる】
その行為は約束させたい人の体内に、約束させる人の魔力を特殊な方法で残すという行いだ。つまり第一王子の体内にはサウーザの王族の魔力が残された。第一王子が裏切ったと判断した場合サウーザの王族は、体内に残した魔力で第一王子の魔力を燃えさせることが出来る。魔力が燃えてなくなると人は死んでしまう。
体内に魔力を残す行いを『カミノア』という。以前カミノアという青年が生み出したとされる行いだ。悪魔の行いと言われている為、今や禁止事項になっている。許されるのは王族だけだ。『カミノア』をされたモノは『魔力付き』と呼ばれ罪人認定されるのである。ただ、本人であれば魔力を取り除く事も出来るがその行為は行われたことはない。
かの国は大事な跡取りを魔力付きにされた事に対して恨んではいるものの攻撃は出来ない。友好関係を築くと約束させられている。約束を破れば第一王子の魔力が燃えつき死んでしまう。大人しく引き下がるしかなかった。
そんな中、かの国でも色々あったようで大きく変化していた。
▽
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かの国との騒動後、水龍によって湖の中に連れ込まれたルイは、飲み込まれる瞬間に自分の顔の周りに膜を作り息が出来るようにした。その膜からは水中から酸素が取り込まれるようになっており、永久的に水の中にいることが出来る仕組みにしていた。
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