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第13話 弟子になりました
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次の日に、アネモネに連れられて元だんなさんの付与師の所に行くことになった。業者宅から待合馬車で二時間だ。繁華街の中心にある昨日行った付与専門店街よりちょっと先に行った所だ。住宅地になっている。大きな邸が連なっていて、業者宅のような一般的な家ではない。
「元だんなの名前は、シラー・ペルビアナ男爵と言うんだ」
「貴族なの?」
「今はね、優秀な付与師とのことで王様から姓を頂いたんだよ」
馬車から降りたらすぐにペルビアナ男爵家だ。
アネモネが大きな扉をノックをする。中から出てきたのは、メイドの恰好をしたメイドさんだ。主人に取り次ぐようにと言うと、顔見知りなのかすぐに中に通された。
客室のようだが、なかなか立派なテーブルセットだ。高そうな花瓶にたくさんの花が飾ってある。
しばらくすると、四十代くらいの男性が現れた。真っ黒な髪にグレーの瞳をしているが無属性なら色も変えられるだろう。
「やあ、久しぶりだね。アネモネ」
「シラー、急に済まなかったね。紹介した人がいてね」
アネモネは朝に、速達で手紙を送っていた。バイク便のような物だろうがお金がそこそこかかる。
「ルイだ。この子も付与師なんだが働いたことがなくてね。価格基準が分からないようなんだよ。事務の仕事でもなんでもいいから雇ってくれないかい?」
シラーはルイを見る。
「こんな若いお嬢さんが付与師なのかい?付与師になりたいのではなく?」
「はじめまして、ルイと申します。付与は独学ですのでそれで合っているのかはわかりませんが、とりあえずは付与は出来ています」
第一王子からのクレームは来ていなかった。自分が使っている収納も特に問題はない。
「独学?それはすごいね。付与師は弟子入りして技術を学ぶんだよ。師匠の周りのお世話をしながらだから最低七・八年はかかるんだ」
簡単に技術を教えてしまうと自分のライバルになりかねない。三年ほど事務の仕事をして、顔を覚えてもらい依頼主の信用を得るのだそうだ。
「なにか付与した物を持っている?」
ルイはアメジストのネックレスをシラーに渡す。シラーはネックレスに魔力を流し性能を確認する。
「これはすごい。本来ならこの小さいアメジストの石では、指輪のケースが入るかぐらいの容量にしかならないのに、ルイがした収納は小さい鞄くらいの容量だ。隅々まで宝石の持つ魔力を利用している。これは熟年の技だよ。魔力が多ければいいっでものでもないのでね!」
シラーはネックレスをルイに戻す
「いや、本当に優秀な付与師だよ。君は、ぜひうちで働いてくれたまえ」
「へぇ、ルイは優秀な付与師なんだね」
その日から雇われることとなった。アネモネは昼の待合馬車で帰って行った。
「今日は少し説明をしよう。妻と子供たちは今王都に住んでいる。冬になると王都に出かけて妻はパーティー三昧だよ。まぁ営業目的ってのもあるんだけどね」
夫婦仲は良好のようだ。
街にある付与専門店の主が全員付与師であるわけではないらしい。付与師で自分で作業する人もいるようだが、依頼を他の付与師に回している店もあるようだ。
シラーもそのパターンで高級な石を毎月数件請け負っているとのことだ。シラーは付与師の中でも際立って魔力が多く高級な石に耐えうる存在なのだとか。
「独学でそこまで出来ているのなら私の仕事も回そうかな。実は仕事が多くなってきていてなかなか辛くなってきているんだ」
「でも先ほど営業って」
「なんというか中くらいの石とかだといいんだけどね。あまり高価な石になるとね…上級貴族から回ってくる付与はけっこう石が高価になるんだよ。よく貴族は自分の娘の宝石に収納を付与させて嫁がせたりするらしいんだ。だからけっこう大変でね」
歳をとってくると魔力の戻りも遅いのだとか、若い頃は一晩寝れば戻っていた魔力も今は四十代になり、高価な宝石に付与すると二・三日は魔力が戻らないようになったのだとか。
部屋があるのでここに住んでもいいと言われたが奥さんがいないときにそんな行為をすると面倒なことになりかねない。二時間かけて通うことにした。明日から十時くらいまでにくればいいと言われ作業場を簡単に見せて貰ってその日は返してもらった。
「アネモネ、ありがとう。明日から通うことになったわ」
「そうかい、よかったよ。あの邸に住み込みでいいって言われなかったかい?週末だけ帰ってきて平日はあそこに住み込みでもいいんだよ?」
「ありがたいことにそう言われましたが、奥様もいないときにそれはちょっと…今はいいです」
「元だんなの名前は、シラー・ペルビアナ男爵と言うんだ」
「貴族なの?」
「今はね、優秀な付与師とのことで王様から姓を頂いたんだよ」
馬車から降りたらすぐにペルビアナ男爵家だ。
アネモネが大きな扉をノックをする。中から出てきたのは、メイドの恰好をしたメイドさんだ。主人に取り次ぐようにと言うと、顔見知りなのかすぐに中に通された。
客室のようだが、なかなか立派なテーブルセットだ。高そうな花瓶にたくさんの花が飾ってある。
しばらくすると、四十代くらいの男性が現れた。真っ黒な髪にグレーの瞳をしているが無属性なら色も変えられるだろう。
「やあ、久しぶりだね。アネモネ」
「シラー、急に済まなかったね。紹介した人がいてね」
アネモネは朝に、速達で手紙を送っていた。バイク便のような物だろうがお金がそこそこかかる。
「ルイだ。この子も付与師なんだが働いたことがなくてね。価格基準が分からないようなんだよ。事務の仕事でもなんでもいいから雇ってくれないかい?」
シラーはルイを見る。
「こんな若いお嬢さんが付与師なのかい?付与師になりたいのではなく?」
「はじめまして、ルイと申します。付与は独学ですのでそれで合っているのかはわかりませんが、とりあえずは付与は出来ています」
第一王子からのクレームは来ていなかった。自分が使っている収納も特に問題はない。
「独学?それはすごいね。付与師は弟子入りして技術を学ぶんだよ。師匠の周りのお世話をしながらだから最低七・八年はかかるんだ」
簡単に技術を教えてしまうと自分のライバルになりかねない。三年ほど事務の仕事をして、顔を覚えてもらい依頼主の信用を得るのだそうだ。
「なにか付与した物を持っている?」
ルイはアメジストのネックレスをシラーに渡す。シラーはネックレスに魔力を流し性能を確認する。
「これはすごい。本来ならこの小さいアメジストの石では、指輪のケースが入るかぐらいの容量にしかならないのに、ルイがした収納は小さい鞄くらいの容量だ。隅々まで宝石の持つ魔力を利用している。これは熟年の技だよ。魔力が多ければいいっでものでもないのでね!」
シラーはネックレスをルイに戻す
「いや、本当に優秀な付与師だよ。君は、ぜひうちで働いてくれたまえ」
「へぇ、ルイは優秀な付与師なんだね」
その日から雇われることとなった。アネモネは昼の待合馬車で帰って行った。
「今日は少し説明をしよう。妻と子供たちは今王都に住んでいる。冬になると王都に出かけて妻はパーティー三昧だよ。まぁ営業目的ってのもあるんだけどね」
夫婦仲は良好のようだ。
街にある付与専門店の主が全員付与師であるわけではないらしい。付与師で自分で作業する人もいるようだが、依頼を他の付与師に回している店もあるようだ。
シラーもそのパターンで高級な石を毎月数件請け負っているとのことだ。シラーは付与師の中でも際立って魔力が多く高級な石に耐えうる存在なのだとか。
「独学でそこまで出来ているのなら私の仕事も回そうかな。実は仕事が多くなってきていてなかなか辛くなってきているんだ」
「でも先ほど営業って」
「なんというか中くらいの石とかだといいんだけどね。あまり高価な石になるとね…上級貴族から回ってくる付与はけっこう石が高価になるんだよ。よく貴族は自分の娘の宝石に収納を付与させて嫁がせたりするらしいんだ。だからけっこう大変でね」
歳をとってくると魔力の戻りも遅いのだとか、若い頃は一晩寝れば戻っていた魔力も今は四十代になり、高価な宝石に付与すると二・三日は魔力が戻らないようになったのだとか。
部屋があるのでここに住んでもいいと言われたが奥さんがいないときにそんな行為をすると面倒なことになりかねない。二時間かけて通うことにした。明日から十時くらいまでにくればいいと言われ作業場を簡単に見せて貰ってその日は返してもらった。
「アネモネ、ありがとう。明日から通うことになったわ」
「そうかい、よかったよ。あの邸に住み込みでいいって言われなかったかい?週末だけ帰ってきて平日はあそこに住み込みでもいいんだよ?」
「ありがたいことにそう言われましたが、奥様もいないときにそれはちょっと…今はいいです」
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