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第9話 住み良い住まいを見つけました

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 同じ時間に依頼業者宅に行き依頼書をもらう。行先は昨日とは正反対の場所だ。昨日は森が近くにある涼しげな場所にある邸だったが、今日の邸は大きな湖がある畔だ。別荘街のようだ。大きくオシャレで可愛い別荘が立ち並んでいる。
 依頼はこの近辺の六件だ。もうすぐ夏になるので避暑地としてご主人様たちが数ヶ月過ごすようだ。
 期間は六日間で報酬は五十万ペント!何人で掃除を行ってもよいとの事。別荘の管理人に六件分のカギをもらう。終わったら知らせるだけだ。泊まりになるので管理室に泊めて貰える。

 六日間もいらない。一日で十分だった。誰もいなくなった湖の畔の別荘を一気に風を送り水滴を舞い散らせ、乾燥させる。魔力をガツンと使うと一気に終わらせることが出来る。どこの邸もまったく汚れもいないし、散らかってもいない。ホコリを取るだけだ。でも終わったことをまだ管理人には言わない。せっかくなので五日間くらいはこの避暑地でのんびり読書でもさせてもらう。

 この仕事けっこういいかもしれない。

 六件ある屋敷をすべて使い避暑地を堪能した。でも一人ではつまらない。四日で飽きてしまったので帰ることにする。管理人がすべてを確認してキレイに掃除出来ていることを確認してもらいサインを貰う。
「早くてキレイだね。またお願いするよ」

 アルベルスに戻ると掃除業者宅に行く。
「やはり早かったね。あそこの別荘地はこれまた大きくて量も六件だ。みんな嫌がるんだよ。助かったよ」
 いつもの受付のアネモネが言う。真っ赤な髪と瞳をしている。四十歳くらいの様だがモデルのようなスタイルで美人だ。

 あっという間に五十万ペント稼いでしまった。ちょろくないかい?
「ルイだっけ?住まいはどうしているんだい?宿かい?」
「ええ、そうです」
「しばらくこの掃除婦をするならここ三階が空いているよ。家具も付いているし、私も住んでいる。どうだい?家賃は十日で一万でいいよ。他の女たちも住んでいるし若い女がいつまでも宿暮らしはきついだろう?」
「部屋を見ても?」
「ああ、いいよ。掃除婦たちも紹介しよう」

 掃除業者宅は大通りにある住宅街にある。横に連なって住宅や事務所がある造りになっている。掃除業者宅は一階が事務所になっていてキッチンは地下にある。二階が三室ある住宅だ。三階はバス・トイレがあって共同だ。その階に部屋が一室ある。そこが空いているのだとか。
 アネモネの他に、掃除婦が二人住んでいる。緑の瞳で明るいブラウンの髪をしたプリムラ、ルイと同じ金髪碧眼のネメシアだ。二人も三十は超えていそうな如何にも行き遅れの女性たちだった。
「よろしく」
 二人はここに住んでいるということは独身だろう。けっこうキレイなのになぜ独身で掃除婦をしているのだろう? 大きなお世話だがとても気になる仲良くなったら聞いてみよう。

 しばらくはここを拠点にしていこう。宿を探すのも大変だったので助かった。朝食はアネモネが用意してくれる。親切!と思っていたら家賃とは別に十日で三千ペントだと言われた。安いんだけどね。三階は入れ替わりが激しいらしく大体結婚して辞めてくのだそうだ。「あんたもそうなったらいいね」と言われた。三人は結婚とか考えてないんだなと思う。

 四日で別荘の掃除を終わらせたので今日は休日だ。本当は六日の仕事を四日で終わらせたのだから二日余ってはいるが休んでもすることがない。テレビも映画もないしね。
 街を探索する。拠点も決まったしお金も出来た服でも購入しよう。二日目に買った古着の一着しか持っていないのだ。アネモネに教えてもらい服屋を探す。新品のオートクチュールから中古の古着屋まで数件立ち並んでいる。もちろん古着屋に入り、数着購入する。他にも下着や靴にカバンに装飾品など購入する。また、異国の服を買い取ってくれる古着屋を数件教えてもらう。宝石収納に貯めこんたドレスを引っ張り出して次々と売っていく。もう持っていても仕方ないものだ。数件歩き周りドレスを売った。その時は緑の髪で赤い瞳に変え一応変装して売り歩いたのだ。一着数十万ペントにもなり二十数着あったものすべて高額で売れた。
 
 ドレスはかさ張るから早めに売りたかった。無限収納とかではないので空の方がいい
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