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第1話 婚約破棄されました
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「君とは婚約を破棄する」
結婚式を一か月後に控えた婚約者から呼び出され向かった屋敷で言われた言葉
「破棄…」
わざわざ呼び出して私に言うのか…親に言ってくれ
親と親とで交わした婚約だ。
「そ…それは…ご両親には報告はしているのでしょうか?」
なぜ私ひとり呼び出して言うのか…
「なぜ、そんなことを私がする?君が言うべきだろう?」
「私がですか?なぜでしょう?」
「私はこの国の王子だぞ。面倒なことは下の者がすべきだろう」
第五王子ですけどね
「では私が報告すればいいのですね。わかりました。では理由をお願いします」
「理由?理由とは?君は私に相応しくない、それ以外なにがあるのか?」
「わかりました。そう報告します」
「どう報告するつもりだ。まさか言葉の通りに言うつもりか?」
「と言いますと?」
「君がこの私を裏切ったことをしたとか適当に上手いこと言っておいてくれ。最後くらいいい女でいてくれよ」
気取った態度はいつもの事だが、内容は相変わらず残念だ。
「恐れながら、「相応しくない」との理由の方が王子の威厳が保たれる事になると思います」
私が他の男と浮気したとしたら王子が捨てられた事になるのでは?
「そうか、ではそのように」
第五王子は手のひらひらとさせ、さっさと退室しろと言いたげだ。
第五王子には、城からちょっと離れた貴族街に大きな屋敷をあてがわれている。大した仕事もなくのほほんと過ごしていた。
この国には次期王として結果を出している若き王太子がいる。すでに二人の妻と王子二人がおり、この国は安泰だ。そして第二王子はその補佐役として公務をこなしている。結婚もすでにしている。
第三王子は隣国にお婿に行きこの国との外交に成功した。第四王子は変わり者と噂があるが魔術具の研究に余念がない。色々な便利グッズを開発し販売しているヒットメーカーでもある。
そして第五王子は…
私ごときが比べるのはおこがましい事だが、第五王子は特に特徴がない。第五王子は王の第二夫人の次男だ。第三王子の弟になる。勉学が優れているわけでもなく戦闘に向いているわけでもない。所謂普通の男だ。王子という特徴があるだけだ。
そんな第五王子の妻にと見染められたのが上級貴族を親に持つ私だ。第五王子にぜひにと言われたわけではなく、私が第一王子の幼馴染だったとの事で実現した。私の母が第一王子の教育係りをしていたのだ。教育係りと言っても貴族だ。母は子供を自分の手で育てたいとのことで教育係りを一度は断っていたが、子供を連れてきても構わないとのことで、仕事を受けたのだと言っていた。
私は幼少時代を共に過ごした第一、第二王子の幼馴染となった。どちらかと結婚出来るのではないかと幼心に淡い恋心があったが、見事に引き裂かれた。第一王子は学院で好きな女性を見つけてすぐに結婚されてしまった。それは第二王子も一緒だ。
第二王子まで母が教育係りを務めていたが、母は妊娠してしまったので引退をした。私はその頃、八歳だった。王子と引き離されて悲劇のヒロインごっこをよくしていた事を思い出す。今では母は第一王子の息子の教育係りとして復帰している。
我が家に弟が生まれ順調に育ち跡取りが出来たと同時に、王家から私に第五王子との婚約の打診があった。私が十五歳の時だ。両親は喜び第五王子との婚約が決定した。
私は一応学園を主席で卒業した才女だ。自分で言うほど恥ずかしい事はないのだが誰も言ってはくれないので自分で言う。私は学園を卒業した後、学院に進学をすることが決定していた。女性が院に進学することは最近ではめずらしくはなかったが主席での卒業は多いに驚かれた。そして学院をまた主席で卒業したら、最近この国でも整備された銀行に勤めるはずだった。これからは女性も男性と同じように仕事をして男性とは違う目線で意見がほしいと鳴り物入りで入社するはずだった。
それが第一王子の一言で婚約者にされ進学もなくなった。ロイヤルファミリーになるのだから王家の勉強と公務をお願いしたいとの事だ。今では初恋の君だった第一王子には恨みしかない。
私は第五王子から好かれていない事は分かっていた。最初は機嫌を取るようにしていたが勝手に決められた婚約に第五王子は不満げだった。その腹いせは私に来た。交友を深めようとお茶会を開催したり、王子の誕生日には盛大にお祝いをしたりすいぶんとお金を掛けた。どれも1回出席しただけであとはドタキャンだ。うちの両親は第五王子にはずいぶんと振り回された。
私はそんな事を思いながら両親の元に向かう。気が重い…元々両親は仲が悪かった。しかし、娘が第五王子の婚約者となり両親の仲は表立ってはよくなっていた。
両親に話をしなければならない。
「婚約破棄?そんないまさら…あとお式まで一ヶ月よ。ドレスも靴もなにもかもすでに用意しているのよ。一時金も受け取っているし…」
母は金の計算を始めた。同然だ。結婚は金が掛かる。
「なにをしたのだ?第五王子の機嫌を損ねたのではないのか!」
父は娘に怒りをぶつける。
え?私が悪いの?
母を見ると、帳簿を持って部屋の中を右往左往している。
「困ったわ。陛下と王妃に…第一王子にも連絡をしなければ…」
母を指折り数えている。
「まてまて!これから第五王子の屋敷に行くぞ。頭を下げて婚約破棄を破棄してもらうのだ!」
なにを言っているのだ…
結婚式を一か月後に控えた婚約者から呼び出され向かった屋敷で言われた言葉
「破棄…」
わざわざ呼び出して私に言うのか…親に言ってくれ
親と親とで交わした婚約だ。
「そ…それは…ご両親には報告はしているのでしょうか?」
なぜ私ひとり呼び出して言うのか…
「なぜ、そんなことを私がする?君が言うべきだろう?」
「私がですか?なぜでしょう?」
「私はこの国の王子だぞ。面倒なことは下の者がすべきだろう」
第五王子ですけどね
「では私が報告すればいいのですね。わかりました。では理由をお願いします」
「理由?理由とは?君は私に相応しくない、それ以外なにがあるのか?」
「わかりました。そう報告します」
「どう報告するつもりだ。まさか言葉の通りに言うつもりか?」
「と言いますと?」
「君がこの私を裏切ったことをしたとか適当に上手いこと言っておいてくれ。最後くらいいい女でいてくれよ」
気取った態度はいつもの事だが、内容は相変わらず残念だ。
「恐れながら、「相応しくない」との理由の方が王子の威厳が保たれる事になると思います」
私が他の男と浮気したとしたら王子が捨てられた事になるのでは?
「そうか、ではそのように」
第五王子は手のひらひらとさせ、さっさと退室しろと言いたげだ。
第五王子には、城からちょっと離れた貴族街に大きな屋敷をあてがわれている。大した仕事もなくのほほんと過ごしていた。
この国には次期王として結果を出している若き王太子がいる。すでに二人の妻と王子二人がおり、この国は安泰だ。そして第二王子はその補佐役として公務をこなしている。結婚もすでにしている。
第三王子は隣国にお婿に行きこの国との外交に成功した。第四王子は変わり者と噂があるが魔術具の研究に余念がない。色々な便利グッズを開発し販売しているヒットメーカーでもある。
そして第五王子は…
私ごときが比べるのはおこがましい事だが、第五王子は特に特徴がない。第五王子は王の第二夫人の次男だ。第三王子の弟になる。勉学が優れているわけでもなく戦闘に向いているわけでもない。所謂普通の男だ。王子という特徴があるだけだ。
そんな第五王子の妻にと見染められたのが上級貴族を親に持つ私だ。第五王子にぜひにと言われたわけではなく、私が第一王子の幼馴染だったとの事で実現した。私の母が第一王子の教育係りをしていたのだ。教育係りと言っても貴族だ。母は子供を自分の手で育てたいとのことで教育係りを一度は断っていたが、子供を連れてきても構わないとのことで、仕事を受けたのだと言っていた。
私は幼少時代を共に過ごした第一、第二王子の幼馴染となった。どちらかと結婚出来るのではないかと幼心に淡い恋心があったが、見事に引き裂かれた。第一王子は学院で好きな女性を見つけてすぐに結婚されてしまった。それは第二王子も一緒だ。
第二王子まで母が教育係りを務めていたが、母は妊娠してしまったので引退をした。私はその頃、八歳だった。王子と引き離されて悲劇のヒロインごっこをよくしていた事を思い出す。今では母は第一王子の息子の教育係りとして復帰している。
我が家に弟が生まれ順調に育ち跡取りが出来たと同時に、王家から私に第五王子との婚約の打診があった。私が十五歳の時だ。両親は喜び第五王子との婚約が決定した。
私は一応学園を主席で卒業した才女だ。自分で言うほど恥ずかしい事はないのだが誰も言ってはくれないので自分で言う。私は学園を卒業した後、学院に進学をすることが決定していた。女性が院に進学することは最近ではめずらしくはなかったが主席での卒業は多いに驚かれた。そして学院をまた主席で卒業したら、最近この国でも整備された銀行に勤めるはずだった。これからは女性も男性と同じように仕事をして男性とは違う目線で意見がほしいと鳴り物入りで入社するはずだった。
それが第一王子の一言で婚約者にされ進学もなくなった。ロイヤルファミリーになるのだから王家の勉強と公務をお願いしたいとの事だ。今では初恋の君だった第一王子には恨みしかない。
私は第五王子から好かれていない事は分かっていた。最初は機嫌を取るようにしていたが勝手に決められた婚約に第五王子は不満げだった。その腹いせは私に来た。交友を深めようとお茶会を開催したり、王子の誕生日には盛大にお祝いをしたりすいぶんとお金を掛けた。どれも1回出席しただけであとはドタキャンだ。うちの両親は第五王子にはずいぶんと振り回された。
私はそんな事を思いながら両親の元に向かう。気が重い…元々両親は仲が悪かった。しかし、娘が第五王子の婚約者となり両親の仲は表立ってはよくなっていた。
両親に話をしなければならない。
「婚約破棄?そんないまさら…あとお式まで一ヶ月よ。ドレスも靴もなにもかもすでに用意しているのよ。一時金も受け取っているし…」
母は金の計算を始めた。同然だ。結婚は金が掛かる。
「なにをしたのだ?第五王子の機嫌を損ねたのではないのか!」
父は娘に怒りをぶつける。
え?私が悪いの?
母を見ると、帳簿を持って部屋の中を右往左往している。
「困ったわ。陛下と王妃に…第一王子にも連絡をしなければ…」
母を指折り数えている。
「まてまて!これから第五王子の屋敷に行くぞ。頭を下げて婚約破棄を破棄してもらうのだ!」
なにを言っているのだ…
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