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第25話
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ヴィヴィアンヌのネックレスは真っ赤な石は真っ赤な血のようにギラギラとしていた。以前あの嫌味なおばあさんがしていたデザインのネックレスではないが重いモヤモヤは変わらない。ウィスタリアはギラギラした光を見つめると嫌な気分になった。
この嫌な感じは何なのか…
借りて来たネックレスはキレイに梱包をされ、宝石ボックスに収まっていた。ウィスタリアはネックレスを手に取ろうとした。
「ウィスタリア、鑑定をするときは手袋をしなさい」
と、父オリバーに手袋を渡された。
そしてウィスタリアはネックレスをよく見ようと手袋をした手でネックレスを触った。
一気にモヤモヤがウィスタリアの腕に絡みついた。
「キャッ!」
そしてそれはウィスタリアの腕に纏わり付いて、ねっとりとした感触があるようで気持ちが悪かった。ウィスタリアはネックレスから手を離すと、腕を振ってモヤモヤを払いのけた。
「どうしたのだ?!ウィスタリア」
「き、気持ち悪い…この魔石の魔素が襲って来た…」
「襲って来た…?」
父は驚き、母は口に手を覆っている。
ネックレスは手を離したと時に落ちて、絨毯に敷き詰められている床に転がっていた。誰も揺れようとはしなかった。それほどウィスタリアが怖がっていたからだ。
ウィスタリアは自分の右腕は自分の者ではないかのようになっていた。自分の腕に薄くあの石のモヤモヤが残っているのだ。しかしビヨンセは借りたネックレスという事もあり、箱に戻そうと手を伸ばした。
「触らないで!」
ウィスタリアは瞬間的に叫んだ。
ビヨンセを後ろに下がらせ、落ちていたネックレスをオリバーが箱に戻した。
「何でもない。大丈夫だ。落ち着いてくれ、ウィスタリア」
「大丈夫じゃないわ、母様は触らないで…」
二人は顔を見合わせた。
「何を見たのだ?」
オリバーが触っても特になんの反応もなかったが、母が触ろうとした途端、モヤモヤがビヨンセの手に伸びて来たのだ。
ウィスタリアは女性に反応しているのではないかと思った。
ウィスタリアはネックレスの行方を回想する。あのネックレスは婦人の遺体から外され、リメイクする為に人に渡る。たぶん皆男性の手によって移動している。
ネックレスをリメイクしたのも男性で、ヴィヴィアンヌは嫌な記憶しかないネックレスの出来も見てもいないという。ビヨンセも使用人から使用人に箱事、手に渡り、ネックレスに触れる事はなかった。
オリバーは不気味がっているウィスタリアの話を信じ、ネックレスを城の鑑定士に見せると言った。もちろん、男性の鑑定士をと念を押すと約束してくれた。
城の鑑定士はスペシャリストの集まりだ。父オリバーも鑑定士として優秀な方だが、城の鑑定士ともなれば規模が違う。平民だろうがどこかの貴族の三男坊だろうが優秀なものしか城の鑑定士という称号は手に入らない。超絶エリートなのだ。
「ウィスタリア、腕は大丈夫なのか?」
「まだモヤモヤが残っていて少しだるいわ」
「明日、事情を話して泉で清めたらどうだろうか?」
「そうね、それがいいわ」
「できればそうしたい。それで無くなるかは分からないけど…本当に気持ち悪い」
「明日、早急に申請するから!」
父は兄のベゴニアに至急連絡をした。兄はその日の夜に魔法水を持って実家に訪れてくれた。
「実験用に採取していた魔法水だ。一瓶は持ってこれたから」
兄はそう言って、オケに水を移した。ウィスタリアは魔法水が注がれたオケに右手を入れた。その瞬間、シュパシュパと音を立ててモヤモヤが消えた。
「今のはなんの音だ?」
「今の音、聞こえたの?あれはモヤモヤが弾けて消えた音よ」
「弾けて消えた?音?」
兄も両親も困惑中だ。しかし、確かに聞こえたのだ。
取り敢えずは、ウィスタリアの腕のだるさも無くなった。
「本当に魔法水が効いたわ、よかった」
「もう平気なんだな?」
「ええ、兄さまのおかげ。ありがとう」
「いや、あの泉はウィスタリアが見つけたもの何だからお前が危険な時は迷わず使わせて貰う…しかし、魔素が襲ってくるなんて…」
「明日、城の鑑定士の所で見て貰うつもりだ」
「それがいいでしょう」
この嫌な感じは何なのか…
借りて来たネックレスはキレイに梱包をされ、宝石ボックスに収まっていた。ウィスタリアはネックレスを手に取ろうとした。
「ウィスタリア、鑑定をするときは手袋をしなさい」
と、父オリバーに手袋を渡された。
そしてウィスタリアはネックレスをよく見ようと手袋をした手でネックレスを触った。
一気にモヤモヤがウィスタリアの腕に絡みついた。
「キャッ!」
そしてそれはウィスタリアの腕に纏わり付いて、ねっとりとした感触があるようで気持ちが悪かった。ウィスタリアはネックレスから手を離すと、腕を振ってモヤモヤを払いのけた。
「どうしたのだ?!ウィスタリア」
「き、気持ち悪い…この魔石の魔素が襲って来た…」
「襲って来た…?」
父は驚き、母は口に手を覆っている。
ネックレスは手を離したと時に落ちて、絨毯に敷き詰められている床に転がっていた。誰も揺れようとはしなかった。それほどウィスタリアが怖がっていたからだ。
ウィスタリアは自分の右腕は自分の者ではないかのようになっていた。自分の腕に薄くあの石のモヤモヤが残っているのだ。しかしビヨンセは借りたネックレスという事もあり、箱に戻そうと手を伸ばした。
「触らないで!」
ウィスタリアは瞬間的に叫んだ。
ビヨンセを後ろに下がらせ、落ちていたネックレスをオリバーが箱に戻した。
「何でもない。大丈夫だ。落ち着いてくれ、ウィスタリア」
「大丈夫じゃないわ、母様は触らないで…」
二人は顔を見合わせた。
「何を見たのだ?」
オリバーが触っても特になんの反応もなかったが、母が触ろうとした途端、モヤモヤがビヨンセの手に伸びて来たのだ。
ウィスタリアは女性に反応しているのではないかと思った。
ウィスタリアはネックレスの行方を回想する。あのネックレスは婦人の遺体から外され、リメイクする為に人に渡る。たぶん皆男性の手によって移動している。
ネックレスをリメイクしたのも男性で、ヴィヴィアンヌは嫌な記憶しかないネックレスの出来も見てもいないという。ビヨンセも使用人から使用人に箱事、手に渡り、ネックレスに触れる事はなかった。
オリバーは不気味がっているウィスタリアの話を信じ、ネックレスを城の鑑定士に見せると言った。もちろん、男性の鑑定士をと念を押すと約束してくれた。
城の鑑定士はスペシャリストの集まりだ。父オリバーも鑑定士として優秀な方だが、城の鑑定士ともなれば規模が違う。平民だろうがどこかの貴族の三男坊だろうが優秀なものしか城の鑑定士という称号は手に入らない。超絶エリートなのだ。
「ウィスタリア、腕は大丈夫なのか?」
「まだモヤモヤが残っていて少しだるいわ」
「明日、事情を話して泉で清めたらどうだろうか?」
「そうね、それがいいわ」
「できればそうしたい。それで無くなるかは分からないけど…本当に気持ち悪い」
「明日、早急に申請するから!」
父は兄のベゴニアに至急連絡をした。兄はその日の夜に魔法水を持って実家に訪れてくれた。
「実験用に採取していた魔法水だ。一瓶は持ってこれたから」
兄はそう言って、オケに水を移した。ウィスタリアは魔法水が注がれたオケに右手を入れた。その瞬間、シュパシュパと音を立ててモヤモヤが消えた。
「今のはなんの音だ?」
「今の音、聞こえたの?あれはモヤモヤが弾けて消えた音よ」
「弾けて消えた?音?」
兄も両親も困惑中だ。しかし、確かに聞こえたのだ。
取り敢えずは、ウィスタリアの腕のだるさも無くなった。
「本当に魔法水が効いたわ、よかった」
「もう平気なんだな?」
「ええ、兄さまのおかげ。ありがとう」
「いや、あの泉はウィスタリアが見つけたもの何だからお前が危険な時は迷わず使わせて貰う…しかし、魔素が襲ってくるなんて…」
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