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第12話
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兄に追及されウィスタリアはすべて話した。
「なるほど、裏にそんな話があったのだな…」
ベゴニアはレモンナスの出所を探っていたが途中からあっさりと分かった事が不思議だったようだ。
「ピアニーの所にレモンナスが渡った事はきちんと報告しているわよ」
「当たり前だ」
また穏やかに茶会が進むのかと思われたがピアニーが思い出したように発した。
「あっウィリーがペガサスだとは誰にも言ってませんよね?」
「ええ、もちろん。神獣の事は国家機密だものね」
国家機密だが家族には話してあるのはご愛敬なのだ。
「ウィリーという名前をピアニーが付けた事はさっき聞いたばかりだがね」
父が茶々を入れる。
「はぁ、そうですよね。すいません、疑ったりして…実は…最近そのことで貴族同士の間で問題が発生してるんです」
「問題とはなんだね」
父だ。
「はい、羽根です」
「羽根?」
「ペガサスの羽根は高値で取引される事ようです。どこからかペガサスがこの国にいると知った商人から貴族に売ってほしいと打診があったようなんです。それでテイマーである僕たちの所にも問い合わせが来ていて…答えられるはずもないのに…」
城の中にはテイマーは何人もいる。
「どこからペガサスがいると知れたのか…」
「なるほどな…昔、神獣の事で噂を聞いたな。なんでも神獣の素材は伝説級の武器になるのだそうだな」
「茶会の席でも神獣の話は出ますわね。ドラゴンの鱗で作ったポーションは肌が赤子のように若返る事が出来るのだとか…」
母だ。
「もちろん、自分の息子がテイマーとして神獣に関わっているなどと言ってはおらんよ」
「私もです」
「私はそんな話も出ないわね」
女中のマリアとはそんな話はしない。
「ペガサスの羽根は弓矢に使われると鏃やじりはダイヤモンドのようになり、狙った獲物を決して外しません。そしてその矢は放った主の元に戻ると言われています」
「すごい矢が出来るのだね」
「まぁ文献での情報ですけどね…それくらいの武器になるので貴族も商人も目の色を変えているという訳です」
「ピアニーはその羽根は手に入るの?」
ウィスタリアは聞いてみた。
「…入ると言われれば入ります。私は手入れもしますし、その辺に普通に抜け落ちています。それは門外不出ですし、矢を作る事もしませんよ?」
「拾った羽根はどうしているの?」
「拾ったものは私の部屋の大きな籠に入れています。その籠はもう5つほどになっています」
「使ってはいけない決まりがあるの?」
「え?いや、まあ…そういう訳でもないですがウィリーはいい気分はしないでしょうから…」
「そっか…」
「なんです、姉さま」
「ウィリー様に聞いてみたら?王様に献上して有効活用してもいいものかと…」
「え?」
「神獣って意思疎通が出来るんでしょう?」
「そうだけど…」
「だってそんなにいい素材なら、使わないなんて勿体ないじゃない」
「いや、勿体ないって…」
「武器と言っても戦争に使う訳じゃなくて魔獣によるスタンピードとかあるわけだし、そんな時に備えてとか…」
「な、なるほど…そうですね…うーん、陛下にお伺いを立ててからウィリーに話をした方がいいかな…」
「おいおい、ピアニー止めないか、侍女の話を鵜呑みにするんじゃない。神獣様を怒らせて国から去られたりしたらどうするのだ。ウィスタリアも余計な事をいうんじゃない」
父が慌てて二人の会話を止めた。母と兄は、ウィスタリアがジョークを言っているのだろうと笑っている。
「ごめんなさい」
だって本当に勿体ないじゃないか…スタンピードだって遠い未来の話じゃない。最近は森の魔素が濃い気がする。近い内に本当に起こるかもしれないのに…
ウィスタリアは真面目に思っていた。
「なるほど、裏にそんな話があったのだな…」
ベゴニアはレモンナスの出所を探っていたが途中からあっさりと分かった事が不思議だったようだ。
「ピアニーの所にレモンナスが渡った事はきちんと報告しているわよ」
「当たり前だ」
また穏やかに茶会が進むのかと思われたがピアニーが思い出したように発した。
「あっウィリーがペガサスだとは誰にも言ってませんよね?」
「ええ、もちろん。神獣の事は国家機密だものね」
国家機密だが家族には話してあるのはご愛敬なのだ。
「ウィリーという名前をピアニーが付けた事はさっき聞いたばかりだがね」
父が茶々を入れる。
「はぁ、そうですよね。すいません、疑ったりして…実は…最近そのことで貴族同士の間で問題が発生してるんです」
「問題とはなんだね」
父だ。
「はい、羽根です」
「羽根?」
「ペガサスの羽根は高値で取引される事ようです。どこからかペガサスがこの国にいると知った商人から貴族に売ってほしいと打診があったようなんです。それでテイマーである僕たちの所にも問い合わせが来ていて…答えられるはずもないのに…」
城の中にはテイマーは何人もいる。
「どこからペガサスがいると知れたのか…」
「なるほどな…昔、神獣の事で噂を聞いたな。なんでも神獣の素材は伝説級の武器になるのだそうだな」
「茶会の席でも神獣の話は出ますわね。ドラゴンの鱗で作ったポーションは肌が赤子のように若返る事が出来るのだとか…」
母だ。
「もちろん、自分の息子がテイマーとして神獣に関わっているなどと言ってはおらんよ」
「私もです」
「私はそんな話も出ないわね」
女中のマリアとはそんな話はしない。
「ペガサスの羽根は弓矢に使われると鏃やじりはダイヤモンドのようになり、狙った獲物を決して外しません。そしてその矢は放った主の元に戻ると言われています」
「すごい矢が出来るのだね」
「まぁ文献での情報ですけどね…それくらいの武器になるので貴族も商人も目の色を変えているという訳です」
「ピアニーはその羽根は手に入るの?」
ウィスタリアは聞いてみた。
「…入ると言われれば入ります。私は手入れもしますし、その辺に普通に抜け落ちています。それは門外不出ですし、矢を作る事もしませんよ?」
「拾った羽根はどうしているの?」
「拾ったものは私の部屋の大きな籠に入れています。その籠はもう5つほどになっています」
「使ってはいけない決まりがあるの?」
「え?いや、まあ…そういう訳でもないですがウィリーはいい気分はしないでしょうから…」
「そっか…」
「なんです、姉さま」
「ウィリー様に聞いてみたら?王様に献上して有効活用してもいいものかと…」
「え?」
「神獣って意思疎通が出来るんでしょう?」
「そうだけど…」
「だってそんなにいい素材なら、使わないなんて勿体ないじゃない」
「いや、勿体ないって…」
「武器と言っても戦争に使う訳じゃなくて魔獣によるスタンピードとかあるわけだし、そんな時に備えてとか…」
「な、なるほど…そうですね…うーん、陛下にお伺いを立ててからウィリーに話をした方がいいかな…」
「おいおい、ピアニー止めないか、侍女の話を鵜呑みにするんじゃない。神獣様を怒らせて国から去られたりしたらどうするのだ。ウィスタリアも余計な事をいうんじゃない」
父が慌てて二人の会話を止めた。母と兄は、ウィスタリアがジョークを言っているのだろうと笑っている。
「ごめんなさい」
だって本当に勿体ないじゃないか…スタンピードだって遠い未来の話じゃない。最近は森の魔素が濃い気がする。近い内に本当に起こるかもしれないのに…
ウィスタリアは真面目に思っていた。
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