12 / 33
第12話
しおりを挟む
兄に追及されウィスタリアはすべて話した。
「なるほど、裏にそんな話があったのだな…」
ベゴニアはレモンナスの出所を探っていたが途中からあっさりと分かった事が不思議だったようだ。
「ピアニーの所にレモンナスが渡った事はきちんと報告しているわよ」
「当たり前だ」
また穏やかに茶会が進むのかと思われたがピアニーが思い出したように発した。
「あっウィリーがペガサスだとは誰にも言ってませんよね?」
「ええ、もちろん。神獣の事は国家機密だものね」
国家機密だが家族には話してあるのはご愛敬なのだ。
「ウィリーという名前をピアニーが付けた事はさっき聞いたばかりだがね」
父が茶々を入れる。
「はぁ、そうですよね。すいません、疑ったりして…実は…最近そのことで貴族同士の間で問題が発生してるんです」
「問題とはなんだね」
父だ。
「はい、羽根です」
「羽根?」
「ペガサスの羽根は高値で取引される事ようです。どこからかペガサスがこの国にいると知った商人から貴族に売ってほしいと打診があったようなんです。それでテイマーである僕たちの所にも問い合わせが来ていて…答えられるはずもないのに…」
城の中にはテイマーは何人もいる。
「どこからペガサスがいると知れたのか…」
「なるほどな…昔、神獣の事で噂を聞いたな。なんでも神獣の素材は伝説級の武器になるのだそうだな」
「茶会の席でも神獣の話は出ますわね。ドラゴンの鱗で作ったポーションは肌が赤子のように若返る事が出来るのだとか…」
母だ。
「もちろん、自分の息子がテイマーとして神獣に関わっているなどと言ってはおらんよ」
「私もです」
「私はそんな話も出ないわね」
女中のマリアとはそんな話はしない。
「ペガサスの羽根は弓矢に使われると鏃やじりはダイヤモンドのようになり、狙った獲物を決して外しません。そしてその矢は放った主の元に戻ると言われています」
「すごい矢が出来るのだね」
「まぁ文献での情報ですけどね…それくらいの武器になるので貴族も商人も目の色を変えているという訳です」
「ピアニーはその羽根は手に入るの?」
ウィスタリアは聞いてみた。
「…入ると言われれば入ります。私は手入れもしますし、その辺に普通に抜け落ちています。それは門外不出ですし、矢を作る事もしませんよ?」
「拾った羽根はどうしているの?」
「拾ったものは私の部屋の大きな籠に入れています。その籠はもう5つほどになっています」
「使ってはいけない決まりがあるの?」
「え?いや、まあ…そういう訳でもないですがウィリーはいい気分はしないでしょうから…」
「そっか…」
「なんです、姉さま」
「ウィリー様に聞いてみたら?王様に献上して有効活用してもいいものかと…」
「え?」
「神獣って意思疎通が出来るんでしょう?」
「そうだけど…」
「だってそんなにいい素材なら、使わないなんて勿体ないじゃない」
「いや、勿体ないって…」
「武器と言っても戦争に使う訳じゃなくて魔獣によるスタンピードとかあるわけだし、そんな時に備えてとか…」
「な、なるほど…そうですね…うーん、陛下にお伺いを立ててからウィリーに話をした方がいいかな…」
「おいおい、ピアニー止めないか、侍女の話を鵜呑みにするんじゃない。神獣様を怒らせて国から去られたりしたらどうするのだ。ウィスタリアも余計な事をいうんじゃない」
父が慌てて二人の会話を止めた。母と兄は、ウィスタリアがジョークを言っているのだろうと笑っている。
「ごめんなさい」
だって本当に勿体ないじゃないか…スタンピードだって遠い未来の話じゃない。最近は森の魔素が濃い気がする。近い内に本当に起こるかもしれないのに…
ウィスタリアは真面目に思っていた。
「なるほど、裏にそんな話があったのだな…」
ベゴニアはレモンナスの出所を探っていたが途中からあっさりと分かった事が不思議だったようだ。
「ピアニーの所にレモンナスが渡った事はきちんと報告しているわよ」
「当たり前だ」
また穏やかに茶会が進むのかと思われたがピアニーが思い出したように発した。
「あっウィリーがペガサスだとは誰にも言ってませんよね?」
「ええ、もちろん。神獣の事は国家機密だものね」
国家機密だが家族には話してあるのはご愛敬なのだ。
「ウィリーという名前をピアニーが付けた事はさっき聞いたばかりだがね」
父が茶々を入れる。
「はぁ、そうですよね。すいません、疑ったりして…実は…最近そのことで貴族同士の間で問題が発生してるんです」
「問題とはなんだね」
父だ。
「はい、羽根です」
「羽根?」
「ペガサスの羽根は高値で取引される事ようです。どこからかペガサスがこの国にいると知った商人から貴族に売ってほしいと打診があったようなんです。それでテイマーである僕たちの所にも問い合わせが来ていて…答えられるはずもないのに…」
城の中にはテイマーは何人もいる。
「どこからペガサスがいると知れたのか…」
「なるほどな…昔、神獣の事で噂を聞いたな。なんでも神獣の素材は伝説級の武器になるのだそうだな」
「茶会の席でも神獣の話は出ますわね。ドラゴンの鱗で作ったポーションは肌が赤子のように若返る事が出来るのだとか…」
母だ。
「もちろん、自分の息子がテイマーとして神獣に関わっているなどと言ってはおらんよ」
「私もです」
「私はそんな話も出ないわね」
女中のマリアとはそんな話はしない。
「ペガサスの羽根は弓矢に使われると鏃やじりはダイヤモンドのようになり、狙った獲物を決して外しません。そしてその矢は放った主の元に戻ると言われています」
「すごい矢が出来るのだね」
「まぁ文献での情報ですけどね…それくらいの武器になるので貴族も商人も目の色を変えているという訳です」
「ピアニーはその羽根は手に入るの?」
ウィスタリアは聞いてみた。
「…入ると言われれば入ります。私は手入れもしますし、その辺に普通に抜け落ちています。それは門外不出ですし、矢を作る事もしませんよ?」
「拾った羽根はどうしているの?」
「拾ったものは私の部屋の大きな籠に入れています。その籠はもう5つほどになっています」
「使ってはいけない決まりがあるの?」
「え?いや、まあ…そういう訳でもないですがウィリーはいい気分はしないでしょうから…」
「そっか…」
「なんです、姉さま」
「ウィリー様に聞いてみたら?王様に献上して有効活用してもいいものかと…」
「え?」
「神獣って意思疎通が出来るんでしょう?」
「そうだけど…」
「だってそんなにいい素材なら、使わないなんて勿体ないじゃない」
「いや、勿体ないって…」
「武器と言っても戦争に使う訳じゃなくて魔獣によるスタンピードとかあるわけだし、そんな時に備えてとか…」
「な、なるほど…そうですね…うーん、陛下にお伺いを立ててからウィリーに話をした方がいいかな…」
「おいおい、ピアニー止めないか、侍女の話を鵜呑みにするんじゃない。神獣様を怒らせて国から去られたりしたらどうするのだ。ウィスタリアも余計な事をいうんじゃない」
父が慌てて二人の会話を止めた。母と兄は、ウィスタリアがジョークを言っているのだろうと笑っている。
「ごめんなさい」
だって本当に勿体ないじゃないか…スタンピードだって遠い未来の話じゃない。最近は森の魔素が濃い気がする。近い内に本当に起こるかもしれないのに…
ウィスタリアは真面目に思っていた。
3
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

邪魔しないので、ほっておいてください。
りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。
お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。
義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。
実の娘よりもかわいがっているぐらいです。
幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。
でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。
階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。
悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。
それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!

私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる