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第6話
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今日は家族での月一の茶会の日だったが、姉妹で茶会となってバイオレットは憤慨している。侍女頭補佐バイオレットの住まいは城の一角にある、侍女塔の2番目にいい部屋を使用している。テラス付きの部屋だ。
「せっかく部屋もキレイにして菓子も用意したのに…」
バイオレットは侍女頭補佐になりテラス付きの部屋になった事を自慢したかったのである。
「素敵な部屋ね。テラス付きのお部屋を使わせて貰えるなんて姉として自慢よ」
「えへへ、ありがと。姉さま」
褒められるのが大好きな妹は昔から何も変わらない。
「それで仕事はどう?バイオレット」
「ええ、順調よ…と言いたい所だけど、どうして姉さまには分かっちゃうのかしら…」
なんとなく聞いただけである。
「なにか問題が?」
「んー…最近、ものが無くなるのよ…消耗品だったりするからメイドがこっそり持って帰っているのかなって…まぁ昔からない話ではないそうなんだけど…でもこうも頻繁だと注意しない事には…ね」
「何が無くなるの?」
「紙とかインクかな、あとタオルとかね。他にも無くなっているものがあるか確認中なの」
マニーが言っていた件だな。
「それって最初からメイドのせいにしていない?確信もないのにメイドのせいにするのは良くないわ」
「でもメイドが一番怪しいでしょう?部屋の出入りもするし、シーツとかに紛れ込ませて盗れたり出来るでしょ?」
「怪しいだけではね…」
「でも侍女は給金はいいのよ。わざわざ盗ったりしないでしょ?メイドは…ほら…ね?」
バイオレットも何か言いにくそうにする。
「…ものが無くなる部屋は決まっているの?」
「王妃様の部屋と王女様の部屋が多いわ」
「多いわってたまに別の部屋から無くなるの?」
「まぁそうね、って、どうしてそんなに細かく聞くのよ?」
「え?細かく聞かないと犯人像が分からないじゃない」
「犯人像?」
「そんな王族の中でもトップクラスの人達の部屋なら入る人も決まって来るでしょう?下っ端メイドなんてトップクラスの人達の部屋なんてどこに在るかさえも知らないでしょうから狙って入る事は出来なんじゃない?なら最初から除外に出来るじゃない。反対に部屋に入れる許可を持っている人は何人いるの?」
「なるほど、王妃様と王女様の部屋に入れるメイドと侍女は大体10人ほどいるわ」
「そう…で、王族の方はなんて?」
「なんてって?」
「この件に関して話を聞いてないの?」
「そんな事聞ける訳ないでしょ?」
「どうしてよ?聞かないと分からないじゃない」
「え、でも…」
「侍女頭補佐のバイオレットがひるんでどうするのよ?二部屋から紙やインクがなくなるなら何か知っているかもしれないじゃない。まず部屋の家主に話を聞きなさい」
「そうは言うけど、王妃様よ?いくら私が侍女頭補佐といってもまだ新参者だし、若いから昔からいる侍女達からは煙たがられているし…」
普段バイオレットは王女様付きの侍女として仕事をしている。なにかの為にと役職が付いているのだ。
「じゃあその、王妃様の侍女たちはなんて言っているの?」
「紙やインクが補充されてないってメイドを叱っていたわ…」
「ふ~んじゃ、侍女も何も知らないわね…メイドだって叱られるのが分かっていてそんなもの盗まないだろうしね…」
「だから関係ないメイドがこっそりと侵入して…」
「それはおかしいわ。だって紙やインクならどの部屋にもあるでしょう?」
「あ…」
バイオレットはでもでもだってっと、とても部下たちには見せられないような態度を取っていたが、何か心当たりでもあったのか、覚悟を決めたようだった。そして夕方にはお茶会はお開きになった。
「せっかく部屋もキレイにして菓子も用意したのに…」
バイオレットは侍女頭補佐になりテラス付きの部屋になった事を自慢したかったのである。
「素敵な部屋ね。テラス付きのお部屋を使わせて貰えるなんて姉として自慢よ」
「えへへ、ありがと。姉さま」
褒められるのが大好きな妹は昔から何も変わらない。
「それで仕事はどう?バイオレット」
「ええ、順調よ…と言いたい所だけど、どうして姉さまには分かっちゃうのかしら…」
なんとなく聞いただけである。
「なにか問題が?」
「んー…最近、ものが無くなるのよ…消耗品だったりするからメイドがこっそり持って帰っているのかなって…まぁ昔からない話ではないそうなんだけど…でもこうも頻繁だと注意しない事には…ね」
「何が無くなるの?」
「紙とかインクかな、あとタオルとかね。他にも無くなっているものがあるか確認中なの」
マニーが言っていた件だな。
「それって最初からメイドのせいにしていない?確信もないのにメイドのせいにするのは良くないわ」
「でもメイドが一番怪しいでしょう?部屋の出入りもするし、シーツとかに紛れ込ませて盗れたり出来るでしょ?」
「怪しいだけではね…」
「でも侍女は給金はいいのよ。わざわざ盗ったりしないでしょ?メイドは…ほら…ね?」
バイオレットも何か言いにくそうにする。
「…ものが無くなる部屋は決まっているの?」
「王妃様の部屋と王女様の部屋が多いわ」
「多いわってたまに別の部屋から無くなるの?」
「まぁそうね、って、どうしてそんなに細かく聞くのよ?」
「え?細かく聞かないと犯人像が分からないじゃない」
「犯人像?」
「そんな王族の中でもトップクラスの人達の部屋なら入る人も決まって来るでしょう?下っ端メイドなんてトップクラスの人達の部屋なんてどこに在るかさえも知らないでしょうから狙って入る事は出来なんじゃない?なら最初から除外に出来るじゃない。反対に部屋に入れる許可を持っている人は何人いるの?」
「なるほど、王妃様と王女様の部屋に入れるメイドと侍女は大体10人ほどいるわ」
「そう…で、王族の方はなんて?」
「なんてって?」
「この件に関して話を聞いてないの?」
「そんな事聞ける訳ないでしょ?」
「どうしてよ?聞かないと分からないじゃない」
「え、でも…」
「侍女頭補佐のバイオレットがひるんでどうするのよ?二部屋から紙やインクがなくなるなら何か知っているかもしれないじゃない。まず部屋の家主に話を聞きなさい」
「そうは言うけど、王妃様よ?いくら私が侍女頭補佐といってもまだ新参者だし、若いから昔からいる侍女達からは煙たがられているし…」
普段バイオレットは王女様付きの侍女として仕事をしている。なにかの為にと役職が付いているのだ。
「じゃあその、王妃様の侍女たちはなんて言っているの?」
「紙やインクが補充されてないってメイドを叱っていたわ…」
「ふ~んじゃ、侍女も何も知らないわね…メイドだって叱られるのが分かっていてそんなもの盗まないだろうしね…」
「だから関係ないメイドがこっそりと侵入して…」
「それはおかしいわ。だって紙やインクならどの部屋にもあるでしょう?」
「あ…」
バイオレットはでもでもだってっと、とても部下たちには見せられないような態度を取っていたが、何か心当たりでもあったのか、覚悟を決めたようだった。そして夕方にはお茶会はお開きになった。
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