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第53話
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「反対の丘にはレインボーボアの生息地がある。俺たちはそこからの帰りだ。ピンクちゃんがユリウスの元婚約者である事は何となく分かっていた。ユリウスとは隣国の王子同士って事で交流があった。だから最近の婚約者のいざこざは耳にしていたよ。そして新しい婚約者の容姿も耳にしていた。一度お祝いの手紙を送ったからな。形式的なものだけど、お礼状としてユリウスからのメッセージも書かれていた。ピンク色の髪をした天使だってね。
しかしその二人が紅茶ショップに揃っていた時はびっくりしたよ。二人ともユリウスの元婚約者な訳だしね。そんな二人が揃って並んでるんだから。今日何となくピンクちゃんが冒険者ギルドに登録に行ったのは分かっていた。冒険者ギルドの近くの店に隠れていただろう?」
「おい、マオ。俺たちにもなんの事だか教えてくれないか。レインボーボアを追うのを止めて急に薬草の池に行こうなんて言うし、いきなり火の玉を打つし、びっくりするだろう」
マオの行動が分からないガロが文句を言う。
「サンダーボルトだ。なんか嫌な予感がしたんだ。ガロなら何か気が付いていたかもしれないと思ったがそうでもないのな」
「いや、全然分からなかった。でもなんでシンはリアを襲ったんだ。リアが元婚約者だなんて気が付いてなかっただろう?」
「それは俺にも分からん」
「それは…私が迂闊にモグリベルの出身だと言ってしまって…」
「え?なんでそんな事を言ったの?」
「関わりたくなかったから。仲良くなんてしたくなかったし声を掛けないでほしかったから。でも別に何かを要求するつもりなんてなかった…」
「シンは脅されると思ったのかな?だからここで死んで貰おうとしたのか…」
「ここで死ねば誰にも気が付かれる事もないもんな。薬草のエキスになるだけだ」
キトが言った。
「ここの場所は俺がシンに教えた場所だ。新人の冒険者には教えている。金に困らないようにな。ここで剣も教えたな」
リアはまだ少し震えている。
「無理もない急に剣を向けられたんだから、今日はもう宿に戻ろう」
「シンも連れていくか?まだ生きている。火傷がひどいが」
シンの様子を見ていたドクが言った。
「俺が運ぼう」
体の大きなベアが言った。
「リア、歩けるかい?」
「はい…」
シンはそのまま門番に渡された。リアを襲った罪として裁かれるようだ。
宿に戻ったリアは夕食を取り、湯を浴びてぐっすりと眠った。
朝起きて外出の準備をする。もう隠す事はないと黒のショールを巻かずにマオたちのいる宿の最上階に向かった。昨日のお礼を全く伝えていない事に気が付いたからだ。
ドアをノックしてリアは返事を待った。
「はいよ、誰だい。こんな朝早くに…」
ドアを開けたのはキトだった。キトは息を吞んだ。白い肌に澄んだ青い瞳のピンクプラチナにゆるフワヘアの美少女が目の前に立っているのだから。
「やあ、リア。何々どうしたの?」
マオがキトの後ろから声を掛けた。
「リア?あの地味っ子のリア?」「信じられん…」「気は一緒だな」「…」
「ああ、ドクは纏っている気が分かるんだっけ。リア、お入りよ。今朝食をしていた所だ。リアも一緒にどうだい?」
「その前に昨日は助けて頂いてありがとうございました。昨日は動転してしまってお礼も言えないまま部屋に戻ってしまって」
「いいの、いいの。男が女を守るのは当たり前の事だろう。そんなんでいちいちお礼貰っていたらきりがない」
「おかみに追加の朝食を頼むよ。みんなで食べよう」
ガロがリアを部屋に入れた。
「ありがとうございます」
リアは5人に聞かれた事に返事をした。そしてありのままの話をした。婚約破棄からの魔の森に追放と兵士の事とそれからの体験した話をしたのだ。しかしその話からモジャは外して答えた。ウソを付かなければマオには疑われない。なので本当の話だがモジャを上手く入れずに話をした。
そして黒のショールを見せた時はヨモと同じように大騒ぎだった。しかもリアにしかその術は効かないものだったため、また驚いた。
「何だか出来過ぎている感じはするが…今はその説明だけでいいよ」
やはりマオは鋭い。
「…」
「これからどうするの?」
「叔父の所に行こうかと…」
「ついて行こうか?」
「いえ、たぶん叔父から遣いか来ると思いますから」
「叔父さんって貴族なの?」
「そうです」
「名前は?」
「ショーン・コバック男爵です」
「え?」
「茶葉のコバックかぁ」
「じゃあ俺とガロが付き添うよ」
「いえ、そこまでして貰わなくても…」
「コバックとも話がしたいしね。それにリア、君はモグリベルから追われているんだろう?だったら王族に力を借りた方がいいんじゃないのか?」
「それはとても助かりますが…」
「よし、明日向かおう!」
「え?まだ叔父に連絡してなくて…」
「大丈夫!俺はこの国の王子だよ。余裕、余裕」
何が?
「私がこれからコバック男爵に連絡して訪問する事を伝えるよ」
ため息交じりにガロが言った。
「…はい」
リアは薬草を摘んだりしながら1週間は暇を繋げようとしていたのにいきなりこの国の第2王子を叔父の所に連れていくことになってしまった。叔父と言っても昔、数回会った事があるだけの親族なのになんだか申し訳なく思ってしまった。
しかしその二人が紅茶ショップに揃っていた時はびっくりしたよ。二人ともユリウスの元婚約者な訳だしね。そんな二人が揃って並んでるんだから。今日何となくピンクちゃんが冒険者ギルドに登録に行ったのは分かっていた。冒険者ギルドの近くの店に隠れていただろう?」
「おい、マオ。俺たちにもなんの事だか教えてくれないか。レインボーボアを追うのを止めて急に薬草の池に行こうなんて言うし、いきなり火の玉を打つし、びっくりするだろう」
マオの行動が分からないガロが文句を言う。
「サンダーボルトだ。なんか嫌な予感がしたんだ。ガロなら何か気が付いていたかもしれないと思ったがそうでもないのな」
「いや、全然分からなかった。でもなんでシンはリアを襲ったんだ。リアが元婚約者だなんて気が付いてなかっただろう?」
「それは俺にも分からん」
「それは…私が迂闊にモグリベルの出身だと言ってしまって…」
「え?なんでそんな事を言ったの?」
「関わりたくなかったから。仲良くなんてしたくなかったし声を掛けないでほしかったから。でも別に何かを要求するつもりなんてなかった…」
「シンは脅されると思ったのかな?だからここで死んで貰おうとしたのか…」
「ここで死ねば誰にも気が付かれる事もないもんな。薬草のエキスになるだけだ」
キトが言った。
「ここの場所は俺がシンに教えた場所だ。新人の冒険者には教えている。金に困らないようにな。ここで剣も教えたな」
リアはまだ少し震えている。
「無理もない急に剣を向けられたんだから、今日はもう宿に戻ろう」
「シンも連れていくか?まだ生きている。火傷がひどいが」
シンの様子を見ていたドクが言った。
「俺が運ぼう」
体の大きなベアが言った。
「リア、歩けるかい?」
「はい…」
シンはそのまま門番に渡された。リアを襲った罪として裁かれるようだ。
宿に戻ったリアは夕食を取り、湯を浴びてぐっすりと眠った。
朝起きて外出の準備をする。もう隠す事はないと黒のショールを巻かずにマオたちのいる宿の最上階に向かった。昨日のお礼を全く伝えていない事に気が付いたからだ。
ドアをノックしてリアは返事を待った。
「はいよ、誰だい。こんな朝早くに…」
ドアを開けたのはキトだった。キトは息を吞んだ。白い肌に澄んだ青い瞳のピンクプラチナにゆるフワヘアの美少女が目の前に立っているのだから。
「やあ、リア。何々どうしたの?」
マオがキトの後ろから声を掛けた。
「リア?あの地味っ子のリア?」「信じられん…」「気は一緒だな」「…」
「ああ、ドクは纏っている気が分かるんだっけ。リア、お入りよ。今朝食をしていた所だ。リアも一緒にどうだい?」
「その前に昨日は助けて頂いてありがとうございました。昨日は動転してしまってお礼も言えないまま部屋に戻ってしまって」
「いいの、いいの。男が女を守るのは当たり前の事だろう。そんなんでいちいちお礼貰っていたらきりがない」
「おかみに追加の朝食を頼むよ。みんなで食べよう」
ガロがリアを部屋に入れた。
「ありがとうございます」
リアは5人に聞かれた事に返事をした。そしてありのままの話をした。婚約破棄からの魔の森に追放と兵士の事とそれからの体験した話をしたのだ。しかしその話からモジャは外して答えた。ウソを付かなければマオには疑われない。なので本当の話だがモジャを上手く入れずに話をした。
そして黒のショールを見せた時はヨモと同じように大騒ぎだった。しかもリアにしかその術は効かないものだったため、また驚いた。
「何だか出来過ぎている感じはするが…今はその説明だけでいいよ」
やはりマオは鋭い。
「…」
「これからどうするの?」
「叔父の所に行こうかと…」
「ついて行こうか?」
「いえ、たぶん叔父から遣いか来ると思いますから」
「叔父さんって貴族なの?」
「そうです」
「名前は?」
「ショーン・コバック男爵です」
「え?」
「茶葉のコバックかぁ」
「じゃあ俺とガロが付き添うよ」
「いえ、そこまでして貰わなくても…」
「コバックとも話がしたいしね。それにリア、君はモグリベルから追われているんだろう?だったら王族に力を借りた方がいいんじゃないのか?」
「それはとても助かりますが…」
「よし、明日向かおう!」
「え?まだ叔父に連絡してなくて…」
「大丈夫!俺はこの国の王子だよ。余裕、余裕」
何が?
「私がこれからコバック男爵に連絡して訪問する事を伝えるよ」
ため息交じりにガロが言った。
「…はい」
リアは薬草を摘んだりしながら1週間は暇を繋げようとしていたのにいきなりこの国の第2王子を叔父の所に連れていくことになってしまった。叔父と言っても昔、数回会った事があるだけの親族なのになんだか申し訳なく思ってしまった。
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