もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

文字の大きさ
49 / 139

38.

しおりを挟む
「ただいま、モジャ。う~寒い。温かいスープが飲みたい」
 リアが買い出したものを麻袋から取り出しキッチンの上に並べていた。

『おかえり、なんじゃ友達を連れてきたんと違うのか?』
「え?友達?」
『人間が近くでウロウロしておるぞ』
「え?」
 リアは慌ててモジャの枝の上から当たりを見渡した。魔法円を奪うために誰かに付けられていたか、それともただの迷子か…あのイケメン兵士が訪ねて来たのかと、色々と考えていた。

 遠くの方で女だと思われる人物がキョロキョロと何かを探している。リアが招き入れない限りはモジャの周辺は周りと同化される。そして人間は結界に触れるとなぜか右か左に行くように設定されている。本人は分かっていないが自然と避けるように組み込まれているようだ。
「人が結界に触れても魔獣みたいに死なないのね。安心」
『そんな事したら人間の死体だらけになってしまうではないか』
 しばらくその女はウロウロしていたが諦めたのか街の方に引き返していった。

『友達ではなかったようだの』
「遠くてよく見えなかったけど、たぶん知らない人よ。ヨモじゃないようだったし…迷い込んだだけじゃないかしら」
『こんな吹雪の雪の日にか?』
「…確かに」

 リアはそんな出来事を気にする事なく、また引き籠りの生活に戻った。そして街から戻った日からしばらく経ったある晴れた日のこと。久しぶりに吹雪がやみ、一面に真っ白な雪景色が太陽でキラキラと輝き美しい表情を見せていた。そんな美しい景色の所に、ガヤガヤと数人の男たちが乗り込んできた。

『おっと、アリアナ。まずいのぉ、たくさんの人間が近くに来とるぞい』
 リアはモジャの枝から観察をしている。
「何がまずいの?アルディの魔法陣は完璧なんでしょう?」
『完璧ではあるがのぉ、人が多ければ誰かひとりぐらい結界が張っている事を見抜くものが出てくるもんじゃ。この間、ウロウロしておった女もおるのぉ』
「え!」

 ようやく、リアはつけられていた事に気が付き、危機感がなかった事を悔やむ。キョロキョロしていたのは自分を探していたからだ。どうしてあの後、場所を移動しなかったかと後悔した。

「この辺で消えたのよ!」
 遠くから声が聞こえる。リアは叫んでいる女に見覚えがない。あれは一体誰なのだろうと、望遠の魔法円を取り出し、女の顔を見た。

 誰だ?見覚えがなくもない。あっ!あの時ぶつかった女に似ている。タルとか言っていた商人ギルドの職員ではないか。
 リアはようやくあの女の事を思い出した。

「本当にここか?この奥に行くと魔の森に繋がっている。森の住民でさえ近寄らない場所だぞ。こんな晴れた雪の日はシルバーウルフが出る。危険だ。引き返そう」
 数人いる中の一人の男が女に提案をしているようだ。男たちのリーダー格なのだろう。
「でも確かにこっちに来たのよ!」

「俺たちも命は惜しいんだ。この先にはいけない。依頼はここまでだ」
「金は出さないわよ!」
「森の住民がいる所を数か所知っている。そちらを訪ねてみよう」
 数人の男たちと引き返した。女は渋々と後を追った。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

【完結済】悪役令嬢の妹様

ファンタジー
 星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。  そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。  ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。  やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。  ―――アイシアお姉様は私が守る!  最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する! ※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>  既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした

タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。 身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。 だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり―― それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

処理中です...