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そこで商人ギルドにいた「ヴァイ」コーナーのヨモを思い出した。困ったらいつでも相談に乗ると言ってくれていた。もちろん、社交辞令なのも分かっているがアホの子のふりして訪ねてみようと思ったのだ。商人ギルドに行くと端にあるコーナーに暇そうにしているヨモがいた。
「こんにちは、ヨモ」
「あ、こんにちは。リアだったわよね。何か困りごと?」
「昨日は宿を紹介してくれてありがとう。今日は商人ギルドに登録するのか冒険者に登録するのがいいのか相談に乗って貰おうと思って来たの」
「ああ、なるほどね。そっちでお茶でもしながら話をしましょ」
ヨモはいい暇つぶしになりそうだと、笑顔で対応してくれた。ヨモは自分の為に買った茶葉をカバンから取り出し、リアにカップを渡した。いい香りのする紅茶を入れてくれた。
「いい香り、ありがとう。こんなに香りのいい紅茶、高いんじゃない?私に入れてくれていいの?」
「いいの、いいの。私、いい茶葉でゆっくりとティータイムをするのが趣味なの。その為に働いているのよ。人が来ればすぐにそっちに対応するから気にしないで」
「ありがとう。今度なにかお菓子でも買ってくるわね」
「うれしい。待ってるわ」
知らない土地で明るく対応してくれるヨモには有難かった。
「商人か冒険者だったわね。それなら断然商人よ」
「そうなの?」
「そりゃ冒険者の方が直だからすごく儲かるのよ。でもクラス制で危険な事もあるし依頼も絶対に週に2回は達成しないといけない。クラスはA~Fクラスあって最初はFから。依頼を達成していけばクラスも当然上がって来る。クラスが上がっていけば依頼も難しくなる。週2回依頼を達成できないと降格になる。せっかくEになったのにFに戻るの。A以上の人になったらAA、その上はAAA、それ以上はSになるの。そんな人滅多に出てこないけど。EとかFを行ったり来たりしていたら罰金だし、それ以上になると1年間の冒険者剥奪になるわ」
「冒険者も厳しいのね。自由な職業だと思ってた」
「それは他の国ではそうかもね。でも10年前に法改正があってその時に冒険者も職業としてきちんとした仕組みを取り入れたのよ。冒険者は反発していたけど」
「そうなのね。なんだか冒険者は腕に覚えがないとなれない感じね」
「そういうことよ。だから絶対に登録は商人よ」
「じゃあ、商人に登録するわ」
「ただ、商人も難しいのよ」
「商人もなにかあるの?」
どちらも難しいのかい!
「簡単に商人になれるのなら皆なってるわよ。商人には試験があるの。それに合格しないと登録は出来ないわ。週に数回試験が行われているわ、勉強会もあるからそれに参加してみるといいわよ」
「そっか…」
「商人試験に合格出来なかった場合はなにかの店の売り子とか、あとはそうね、手っ取り早いのはどこかの男と結婚するしかないわね。リアはまだ若いでしょ?そんなババ臭い恰好をしているけど、お母さんのお下がりなの?若いのだからキレイにしていたらお金持ちの男が引っかかるわよ。古着屋ならそんなに高額でもないから一緒に選んであげようか?」
「ありがとう。まずは勉強会に参加してみるわ。ヨモは結婚しているの?この仕事はどうやってついたの?」
「私は28歳で既婚よ。夫がいたけど魔の森に入って帰って来なくなって5年経つわね。夫は冒険者でBクラスだったわ。力を過信したのよ。よくいるわ、そんな男。ほんとバカ。魔の森にいるローウルフの魔石と毛皮の依頼が達成出来れば、速攻でAクラスになれるって言って…」
ヨモはため息を吐く。
「ローウルフなんて単独のシルバーウルフと違って集団行動する魔獣なのにパーティーだったとしても難しい依頼なのよ。一発で仕留めないと仲間を呼ぶから。それなのにあのバカは…」
ヨモは少し涙目だ。
「周りは5年も経っているから手続きをして、また結婚を進めてくるけど、またこんな思いするなら、もう結婚なんてしたくないわ」
ヨモはまだ待っていたいのだと周りにセンチな事を言って同情をしてもらっているのだと笑っていた。
「ごめん、愚痴っちゃった。この仕事についてだったわね。ここは父の紹介なの。父が商人ギルドの役員で頼み込んで入らせて貰ったの。他の社員もほとんどがコネよ。そういう繋がりなの。少しお金のある平民は学校にも行っているしね。間違いはないでしょう?」
「そう、じゃあ私は無理ね」
「まあ無理ね。商人ギルドの男と結婚すれば、その子供は商人ギルドに入れるわよ。あっでも紹介とか無理だからね。若い男は大体結婚相手はもう決まっているから、自力で見つけてね」
「ええ、結婚相手は自力で見つけるわ。お茶と情報をありがとう。また来てもいい?」
「もちろん!」
リアはその足で商人ギルドの登録に行った。
「こんにちは、ヨモ」
「あ、こんにちは。リアだったわよね。何か困りごと?」
「昨日は宿を紹介してくれてありがとう。今日は商人ギルドに登録するのか冒険者に登録するのがいいのか相談に乗って貰おうと思って来たの」
「ああ、なるほどね。そっちでお茶でもしながら話をしましょ」
ヨモはいい暇つぶしになりそうだと、笑顔で対応してくれた。ヨモは自分の為に買った茶葉をカバンから取り出し、リアにカップを渡した。いい香りのする紅茶を入れてくれた。
「いい香り、ありがとう。こんなに香りのいい紅茶、高いんじゃない?私に入れてくれていいの?」
「いいの、いいの。私、いい茶葉でゆっくりとティータイムをするのが趣味なの。その為に働いているのよ。人が来ればすぐにそっちに対応するから気にしないで」
「ありがとう。今度なにかお菓子でも買ってくるわね」
「うれしい。待ってるわ」
知らない土地で明るく対応してくれるヨモには有難かった。
「商人か冒険者だったわね。それなら断然商人よ」
「そうなの?」
「そりゃ冒険者の方が直だからすごく儲かるのよ。でもクラス制で危険な事もあるし依頼も絶対に週に2回は達成しないといけない。クラスはA~Fクラスあって最初はFから。依頼を達成していけばクラスも当然上がって来る。クラスが上がっていけば依頼も難しくなる。週2回依頼を達成できないと降格になる。せっかくEになったのにFに戻るの。A以上の人になったらAA、その上はAAA、それ以上はSになるの。そんな人滅多に出てこないけど。EとかFを行ったり来たりしていたら罰金だし、それ以上になると1年間の冒険者剥奪になるわ」
「冒険者も厳しいのね。自由な職業だと思ってた」
「それは他の国ではそうかもね。でも10年前に法改正があってその時に冒険者も職業としてきちんとした仕組みを取り入れたのよ。冒険者は反発していたけど」
「そうなのね。なんだか冒険者は腕に覚えがないとなれない感じね」
「そういうことよ。だから絶対に登録は商人よ」
「じゃあ、商人に登録するわ」
「ただ、商人も難しいのよ」
「商人もなにかあるの?」
どちらも難しいのかい!
「簡単に商人になれるのなら皆なってるわよ。商人には試験があるの。それに合格しないと登録は出来ないわ。週に数回試験が行われているわ、勉強会もあるからそれに参加してみるといいわよ」
「そっか…」
「商人試験に合格出来なかった場合はなにかの店の売り子とか、あとはそうね、手っ取り早いのはどこかの男と結婚するしかないわね。リアはまだ若いでしょ?そんなババ臭い恰好をしているけど、お母さんのお下がりなの?若いのだからキレイにしていたらお金持ちの男が引っかかるわよ。古着屋ならそんなに高額でもないから一緒に選んであげようか?」
「ありがとう。まずは勉強会に参加してみるわ。ヨモは結婚しているの?この仕事はどうやってついたの?」
「私は28歳で既婚よ。夫がいたけど魔の森に入って帰って来なくなって5年経つわね。夫は冒険者でBクラスだったわ。力を過信したのよ。よくいるわ、そんな男。ほんとバカ。魔の森にいるローウルフの魔石と毛皮の依頼が達成出来れば、速攻でAクラスになれるって言って…」
ヨモはため息を吐く。
「ローウルフなんて単独のシルバーウルフと違って集団行動する魔獣なのにパーティーだったとしても難しい依頼なのよ。一発で仕留めないと仲間を呼ぶから。それなのにあのバカは…」
ヨモは少し涙目だ。
「周りは5年も経っているから手続きをして、また結婚を進めてくるけど、またこんな思いするなら、もう結婚なんてしたくないわ」
ヨモはまだ待っていたいのだと周りにセンチな事を言って同情をしてもらっているのだと笑っていた。
「ごめん、愚痴っちゃった。この仕事についてだったわね。ここは父の紹介なの。父が商人ギルドの役員で頼み込んで入らせて貰ったの。他の社員もほとんどがコネよ。そういう繋がりなの。少しお金のある平民は学校にも行っているしね。間違いはないでしょう?」
「そう、じゃあ私は無理ね」
「まあ無理ね。商人ギルドの男と結婚すれば、その子供は商人ギルドに入れるわよ。あっでも紹介とか無理だからね。若い男は大体結婚相手はもう決まっているから、自力で見つけてね」
「ええ、結婚相手は自力で見つけるわ。お茶と情報をありがとう。また来てもいい?」
「もちろん!」
リアはその足で商人ギルドの登録に行った。
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