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第17話 休日でのカフェ
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『カランカランッ』
俺がドアの取っ手に右手を掛けて引くとドアに付いているドアベルが鳴り響く。
ドアベルの音にやや注意を奪われるが、それも1秒ほどであり、俺は気にせず中に入る。
中に入るなり如何にもカフェと言うような情景が目に入ってくる。カフェの中は全面茶色の壁紙が貼られており、テーブル席には何人かお客さんがいる。
その上、店舗内に入ってからかコーヒー?またはコーヒー豆?の匂いかは分からないが近くで匂えば鼻がモワーッとする苦みのある匂いが俺の鼻腔をくすぐる。
俺はこの匂いが嫌いではない。まぁ、特別好きってことでもないけど。
今までの間説明をしていなかったが、今現在俺は自宅の近くにある『グラッチェッ』というカフェの店の中にいる。
今日は土曜日のため学校はお休みで、そのために14時頃にこうしてカフェに足を運んだのである。通常通り学校がある平日ではこの時間にカフェに来ることは不可能である。
まぁ、そのようなことはさておき、俺は誰も座っていないカウンター席の方に足を進める。カウンター席は俺が今いる入り口付近からまっすぐ一直線に進めば辿り着く位置に設置されている。
俺はその通りに歩を進める。カウンター席に向かう際にはテーブル席に座っている2人の女性が他愛もない雑談をしている声が耳に意識せずに入ってくる。いや、本当に意識してないからね。どこの誰かも知らない人の話をひっそり聞こうとするような嫌らしい趣味は持ってない。
暫く、歩を進めるとカウンター席に到着する。
俺はカウンター席に到着すると、腰をやや折り曲げてカウンター席の革イスに臀部を密着させて座る。座った際に、背中や両方の肩甲骨、臀部といった箇所にむにゅっと革の
柔らかい感触が伝わってくる。
うんっ。柔らかく居心地がいい。
「すいません。オレンジジュースを1つお願いできますか?」
俺はカウンター席から真正面に見える鼻の下にひげを適度に生やした30代後半ぐらいの男性に声を掛けて注文をお願いする。
「はい・。わかりました」
男性は注文を受け準備に取り掛かる。言い忘れたがこの男性はこのカフェのマスターだ。マスターは寡黙なのかあまり口数が多くない人だ。俺の中では"黙々と仕事をする男性"というイメージだ。
俺は注文した品の準備が完了するまで店の中で流れるゆったりとして落ち着くBGMを耳で聞いて待つことにした。
あ~。このBGMがこの店のムードを創り出し、良い空気を醸(かも)し出すんだよなー。
「お待たせしました。オレンジジュースです」
そのようなことを脳内で考え、1人でいい感じになって楽しんでいると、マスターが俺の目の前に注文した品を差し出す。
「ありがとうございます!」
俺は差し出されたオレンジジュースを確認すると律義にマスターに感謝の言葉をを述べる。
その後、差し出されたオレンジジュースの方向に視線を向ける。オレンジジュースは500cc以上入れれば溢れてしまいな位のLサイズのガラスコップに注がれており、容器にはまだ淹れたてなのかいくつかの大き目の氷がやや溶けた状態で液体に浸っており、目を凝らして見ると漂った冷気も認知する。
俺は、「いただきますっ」と飲み物なのに自宅以外で飲むときはなぜか両手を綺麗に重ね合わせそう言ってしまう癖があるのだ。いや、そうしなければならないと自分の中で決定づけているのかもしれない。
さて、ここまで長々と胸中の色々なことを伝えてきたが、ここからは注文したジュースを堪能していこうと思う。
ガラスの容器を手に取り、オレンジジュースを一口啜(すす)るようにして飲む。飲む際に、溢れるように容器から出る氷が上唇と鼻の下に当たる、氷が当たった瞬間、非常に冷たい感覚が伝わってくる。
うんっ。冷たくて美味しい。
声には決して出さず、素直な感想を心中に抱く。
この店オリジナルのオレンジジュースの濃厚な味に、非常に冷たい氷のおかげで液体がよく冷えていてその冷え具合と濃厚な味が絶妙にマッチしている。
「この店はコーヒー専門店なんだけどね。しかし、君は来店すると毎回そのオレンジジュースを頼むよね」
ジュースの味の余韻に浸っている最中にマスターの声が聞こえたため、オレンジジュースから意識を逸らして声が聞こえた方向に視線を向ける。
「俺、この店のオレンジジュース、大好きなんですよ」
俺は率直に思っている気持ちを口に出す。実際に本当のことだし。この店のオレンジジュースじゃなきゃわざわざ店まで来ることはない。俺はインドアだからね。できるだけ、休日は家から外出することはしたくない。
「それと・・」
俺はそう言って少しの間を空ける。
「俺、コーヒー飲むことができないんですよ」
笑顔でマスターの目を見てそう言い切る。ちなみに、これは本当だ。俺はコーヒーを飲むと何時間後に頭痛が発生して寝込む状態になってしまう。これはなぜかはわからないが、小さい頃からその症状が出るようになった。そのため、俺は何回かこの症状が出ると理解したときにはコーヒーを飲むことを絶っていた。多分、コーヒーが体に合わないんだろう。そのため、体調を崩す。
「コーヒーが飲めないんなら・・確かに仕方ないが」
マスターは苦笑いというか半ば呆れたような表情をしている。
確かに、そのような表情になるよな。俺がマスターだったらその言い分を聞いたら多分、同じ心情と表情をしたはずだ。だって、しょうがないだろう。この店のオレンジジュース本当に好きで1番美味しいんだもん。
この後、俺は残っているオレンジジュースを味わって飲み、マスターに「ごちそうさまでしたっ」と感謝の言葉を述べて店から出た。
店から出る際にドアに取り付けられているドアベルが『カランカランッ』と鳴った。
俺がドアの取っ手に右手を掛けて引くとドアに付いているドアベルが鳴り響く。
ドアベルの音にやや注意を奪われるが、それも1秒ほどであり、俺は気にせず中に入る。
中に入るなり如何にもカフェと言うような情景が目に入ってくる。カフェの中は全面茶色の壁紙が貼られており、テーブル席には何人かお客さんがいる。
その上、店舗内に入ってからかコーヒー?またはコーヒー豆?の匂いかは分からないが近くで匂えば鼻がモワーッとする苦みのある匂いが俺の鼻腔をくすぐる。
俺はこの匂いが嫌いではない。まぁ、特別好きってことでもないけど。
今までの間説明をしていなかったが、今現在俺は自宅の近くにある『グラッチェッ』というカフェの店の中にいる。
今日は土曜日のため学校はお休みで、そのために14時頃にこうしてカフェに足を運んだのである。通常通り学校がある平日ではこの時間にカフェに来ることは不可能である。
まぁ、そのようなことはさておき、俺は誰も座っていないカウンター席の方に足を進める。カウンター席は俺が今いる入り口付近からまっすぐ一直線に進めば辿り着く位置に設置されている。
俺はその通りに歩を進める。カウンター席に向かう際にはテーブル席に座っている2人の女性が他愛もない雑談をしている声が耳に意識せずに入ってくる。いや、本当に意識してないからね。どこの誰かも知らない人の話をひっそり聞こうとするような嫌らしい趣味は持ってない。
暫く、歩を進めるとカウンター席に到着する。
俺はカウンター席に到着すると、腰をやや折り曲げてカウンター席の革イスに臀部を密着させて座る。座った際に、背中や両方の肩甲骨、臀部といった箇所にむにゅっと革の
柔らかい感触が伝わってくる。
うんっ。柔らかく居心地がいい。
「すいません。オレンジジュースを1つお願いできますか?」
俺はカウンター席から真正面に見える鼻の下にひげを適度に生やした30代後半ぐらいの男性に声を掛けて注文をお願いする。
「はい・。わかりました」
男性は注文を受け準備に取り掛かる。言い忘れたがこの男性はこのカフェのマスターだ。マスターは寡黙なのかあまり口数が多くない人だ。俺の中では"黙々と仕事をする男性"というイメージだ。
俺は注文した品の準備が完了するまで店の中で流れるゆったりとして落ち着くBGMを耳で聞いて待つことにした。
あ~。このBGMがこの店のムードを創り出し、良い空気を醸(かも)し出すんだよなー。
「お待たせしました。オレンジジュースです」
そのようなことを脳内で考え、1人でいい感じになって楽しんでいると、マスターが俺の目の前に注文した品を差し出す。
「ありがとうございます!」
俺は差し出されたオレンジジュースを確認すると律義にマスターに感謝の言葉をを述べる。
その後、差し出されたオレンジジュースの方向に視線を向ける。オレンジジュースは500cc以上入れれば溢れてしまいな位のLサイズのガラスコップに注がれており、容器にはまだ淹れたてなのかいくつかの大き目の氷がやや溶けた状態で液体に浸っており、目を凝らして見ると漂った冷気も認知する。
俺は、「いただきますっ」と飲み物なのに自宅以外で飲むときはなぜか両手を綺麗に重ね合わせそう言ってしまう癖があるのだ。いや、そうしなければならないと自分の中で決定づけているのかもしれない。
さて、ここまで長々と胸中の色々なことを伝えてきたが、ここからは注文したジュースを堪能していこうと思う。
ガラスの容器を手に取り、オレンジジュースを一口啜(すす)るようにして飲む。飲む際に、溢れるように容器から出る氷が上唇と鼻の下に当たる、氷が当たった瞬間、非常に冷たい感覚が伝わってくる。
うんっ。冷たくて美味しい。
声には決して出さず、素直な感想を心中に抱く。
この店オリジナルのオレンジジュースの濃厚な味に、非常に冷たい氷のおかげで液体がよく冷えていてその冷え具合と濃厚な味が絶妙にマッチしている。
「この店はコーヒー専門店なんだけどね。しかし、君は来店すると毎回そのオレンジジュースを頼むよね」
ジュースの味の余韻に浸っている最中にマスターの声が聞こえたため、オレンジジュースから意識を逸らして声が聞こえた方向に視線を向ける。
「俺、この店のオレンジジュース、大好きなんですよ」
俺は率直に思っている気持ちを口に出す。実際に本当のことだし。この店のオレンジジュースじゃなきゃわざわざ店まで来ることはない。俺はインドアだからね。できるだけ、休日は家から外出することはしたくない。
「それと・・」
俺はそう言って少しの間を空ける。
「俺、コーヒー飲むことができないんですよ」
笑顔でマスターの目を見てそう言い切る。ちなみに、これは本当だ。俺はコーヒーを飲むと何時間後に頭痛が発生して寝込む状態になってしまう。これはなぜかはわからないが、小さい頃からその症状が出るようになった。そのため、俺は何回かこの症状が出ると理解したときにはコーヒーを飲むことを絶っていた。多分、コーヒーが体に合わないんだろう。そのため、体調を崩す。
「コーヒーが飲めないんなら・・確かに仕方ないが」
マスターは苦笑いというか半ば呆れたような表情をしている。
確かに、そのような表情になるよな。俺がマスターだったらその言い分を聞いたら多分、同じ心情と表情をしたはずだ。だって、しょうがないだろう。この店のオレンジジュース本当に好きで1番美味しいんだもん。
この後、俺は残っているオレンジジュースを味わって飲み、マスターに「ごちそうさまでしたっ」と感謝の言葉を述べて店から出た。
店から出る際にドアに取り付けられているドアベルが『カランカランッ』と鳴った。
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