EDGE LIFE

如月巽

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Case.01 影者

【unknown ?月?日 ?時??分】

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ボクは、牛乳をのんじゃいけない。
のんじゃうと、からだに赤いのが出て、かゆくなっちゃうから。

だから、親せきのおじさんとおばさんに、お豆でできてる牛乳を送ってもらってた。


お父さんがいつもいないのは、いっぱいお仕事して、おじさんとおばさん達が住んでる【とうと】に行くためだよ、ってお母さんが教えてくれた。

お父さんがいなくて泣いちゃった時、お母さんはいつでもギュッてしてくれた。
【とうと】に来てからも、お父さんはいっぱいお仕事があって、おうちにあんまりいない。
かなしくなってお母さんにギュッてしたら、ギュッてしてくれた。


でも今は、お母さんはギュッてしてくれない。


お父さんが帰ってくると、お母さんはボクに「お部屋に行きなさい」って言う。
お父さんがボクと遊んでくれる時も、「お部屋に行きなさい」って言う。


お母さん、ボクのことがイヤになっちゃったのかな。
お母さん、ボクもお父さんとおはなししたいよ。
おかあさん、みんなでご飯たべたいよ。


ごめんなさい、いい子にしてるから、いっしょにいさせて…!
ごめんなさい、お外に出さないで…!
イヤだ、痛いゴメンなさい、たたかないで……寒いよ…くらいよ、叩かないで、ごめんなさい、ゴメンなさいごめんなさいゴメンなさい…


どうしてこうなっちゃったの?
ボクが牛乳飲めない悪い子だからなの?


かんりにんさんは、みんなちがって良いって言ってたよ。
お母さんは、みんな同じじゃないとダメだって言うの。

どっちがあってるの?
どうすればいいの?

お父さんに聞きたくても聞けない。
お母さんに聞いたら怒られちゃう。


あし、冷たいよ…、からだ、つめたいよ…


たすけて…、たすけて…!




「かん、り、にん、さん…」
『飛鳥か?!どうした!』
「さ、むい……こわい…、たすけ、て…!」

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