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第45話 文化祭案とメテオ迎撃
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担任の先生の監視のもと、林さんは文化祭の実行委員をやらされることになった。修学旅行でのやらかした罪の償いは持続していた。
林さんは、教台に立ってクラスメートに問いかけた。
「えっと、出し物案があれば、板書して行きます。無ければ休憩室という事で─」
「はい!林さんとミトちゃんがW主役で劇をして欲しいです。私が脚本書きたいです!」
最近仲良くなった、望月さんが始めに発言をした。
「私……劇はちょっと。」
「劇なんて、やった事ねーよ……」
二人のからみ合いが見たい。二人が対決するのは?二人の王子に選ばれたい。二人に求愛ダンスをして欲しい。そんなクラスメートの意見を望月さんは良いね良いねと、メモしていった。
このままでは、この案一択で決まってしまいそうだったので、林さんは他に案は無いかと問いかけた。
「コスプレ喫茶!」
(ふむ、この子は……中々の経営センスを持っているんですよね。)
「喫茶店なら、茶道部の子にお茶を立てて貰うのは?」
(茶道部の方を起用するなら、邦楽部の方との演奏のコラボレーションも良いかもしれません。)
「それに合う和菓子も注文したいかも!」
(この子に仕入れを任せるのは適任ですね。)
「それなら、脚本を和風にしたいです!」
(望月さんは、演劇部ですからね。)
林データベースは、クラスメートのどの子が何に興味があって、得意なのかを知っていた。
しかし林さんは、今出た意見を板書していきながら、面白そうだと思う気持ちよりも、面倒くさいな。という気持ちが勝っていた。
「小池さんはどうです?」
(妖精さんは、ズボラですから多分休憩室と言うでしょう。ありがたい。)
林さんは職権乱用及び、えこひいきをする気満々だった。クラスの視線がノブ子に向かった。
「……休憩室。だけど、教室じゃないところ。プールが良いです。今頃沢山の葉っぱが浮いてる。腐敗していく木の葉を眺めながらお茶をするのが良いと思います。わび・さびだと思います。」
「其れ、良いんじゃない?」
と、クラスの中心人物のミトが肯定する。
「私もそれがいいと思います。」
林さんも、勿論肯定をした。
クラスメート達は、ミトちゃんと林さんが良いと言うならと、肯定的な意見でまとまった。
楽そうで良かった。と、林さんは安堵しながら板書をした。
という事で、我がクラスの出し物は─
「プールに浮かぶ腐敗しゆく木の葉を眺め、わび・さび感じる和風喫茶をする。そして、ショータイムが来たら、望月さんの考えた脚本で、お客さんに斉藤さんと私が寸劇サービスをする。と、いう……事で、ほんとに良いんでしょうか!?」
と、林さんはクラスメートの正気を疑い、確認する様に問いかけた。
すると、肯定的な拍手喝采が巻き起こったのだった─
(先生、これは何でも実行するのは難しいですよね!)
林さんは担任の先生の方を向いて助けを期待した。先生は林さんに笑顔を向け、サムズアップをした。
(グッドじゃないです先生ーー!!)
「えーと……それでは、各担当を決めて行きたいと思います……」
データベース林さんは、次々とクラスメートに役職を指名していき、話合いはスムーズに終わった。
ふらふらと知らぬ間に居なくなったノブ子を探しに、渡り廊下をミトと一緒に歩いていた。
「但し、プール場を使用する為には、安全策のプレゼンをして許可を得ること。って先生言ってたけど大丈夫なのかよ?」
「ええ、中庭の人工池のネットを参考にセイフティネットを自作しようと思います。」
「25メートルもあるプールにか!?」
「今の私の発言、落下防止用ネットと安全対策のセイフティネットと掛けてみたのですが、笑えるでしょう?」
「……びっくりする程、笑い所が分からんのだが。」
林は笑いのセンスねーな。と、ミトさんは笑った。
秋晴れの空、ピカッと光るものが見えた。少ししてから、ドーンッと音が響いて来た。日中でも、散らばった流星が燃え落ちてゆくのが見えた。
暫くしてスマートフォンを見ると、天気予報の流星情報が発表されていた。
《本日の隕石被害件数0件》
学習机の上には、工具箱から出した道具が広げられていた。
「聡見、手際がいいなあ。」
「だって、パパが用意してくれた設計図通りに作れば良いだけなんだもん。」
「つまらなかったかな?」
「ううん、楽しいよ!だって、これがロケットで打ち上げられて、流星さんを撃ち落とす為の装置の一つになるんでしょ?楽しみー」
「この歳で人類に役に立つものが作れるなんて、なんて自慢の娘なんだ!」
「もうパパったら、お髭ジャリジャリしてる!剃った方がカッコいいよ?」
(あの頃は良かったな……)と、林さんは回想した。
「なあなあ、今の散らばった流星がさあ……花火に見えなかった?」
「確かに……もう少し暗い時間なら、綺麗に見えたのでしょうね……」
「夏休みに、やり忘れた事あったの思い出したんだけどさあ!」
あっ、と林さんはミトさんを見た。
「花火!お祭りに出かけていません!」
「そうなんだよ。文化祭は和風喫茶に決まっただろ?だから、皆で浴衣着るっていうのはどうだろうか!」
「良いですね!コスプレ案も出てましたし、きっと皆さんも同意してくれる筈です!」
「それなら、早くノブ子を見つけて放課後浴衣を一緒に見に行かないか?」
「それは、良いお考えですね!何処に居るかは、この妖精さん追跡システムで目星がついています。」
「ただのストーキングGPSだけどなー。」
「いいえ、このGPSと連動させた正確に点滅する位置情報。そして、妖精さんが誰かと居る場合も表示され─」
その頃、ノブ子はいち早くプール場へと下見に来ていた。
「私の取って置きの場所……賑やかになりそう……」
と、相変わらず不気味に微笑んだ。
苦手な塩素の香りはすっかり消えていた─
林さんは、教台に立ってクラスメートに問いかけた。
「えっと、出し物案があれば、板書して行きます。無ければ休憩室という事で─」
「はい!林さんとミトちゃんがW主役で劇をして欲しいです。私が脚本書きたいです!」
最近仲良くなった、望月さんが始めに発言をした。
「私……劇はちょっと。」
「劇なんて、やった事ねーよ……」
二人のからみ合いが見たい。二人が対決するのは?二人の王子に選ばれたい。二人に求愛ダンスをして欲しい。そんなクラスメートの意見を望月さんは良いね良いねと、メモしていった。
このままでは、この案一択で決まってしまいそうだったので、林さんは他に案は無いかと問いかけた。
「コスプレ喫茶!」
(ふむ、この子は……中々の経営センスを持っているんですよね。)
「喫茶店なら、茶道部の子にお茶を立てて貰うのは?」
(茶道部の方を起用するなら、邦楽部の方との演奏のコラボレーションも良いかもしれません。)
「それに合う和菓子も注文したいかも!」
(この子に仕入れを任せるのは適任ですね。)
「それなら、脚本を和風にしたいです!」
(望月さんは、演劇部ですからね。)
林データベースは、クラスメートのどの子が何に興味があって、得意なのかを知っていた。
しかし林さんは、今出た意見を板書していきながら、面白そうだと思う気持ちよりも、面倒くさいな。という気持ちが勝っていた。
「小池さんはどうです?」
(妖精さんは、ズボラですから多分休憩室と言うでしょう。ありがたい。)
林さんは職権乱用及び、えこひいきをする気満々だった。クラスの視線がノブ子に向かった。
「……休憩室。だけど、教室じゃないところ。プールが良いです。今頃沢山の葉っぱが浮いてる。腐敗していく木の葉を眺めながらお茶をするのが良いと思います。わび・さびだと思います。」
「其れ、良いんじゃない?」
と、クラスの中心人物のミトが肯定する。
「私もそれがいいと思います。」
林さんも、勿論肯定をした。
クラスメート達は、ミトちゃんと林さんが良いと言うならと、肯定的な意見でまとまった。
楽そうで良かった。と、林さんは安堵しながら板書をした。
という事で、我がクラスの出し物は─
「プールに浮かぶ腐敗しゆく木の葉を眺め、わび・さび感じる和風喫茶をする。そして、ショータイムが来たら、望月さんの考えた脚本で、お客さんに斉藤さんと私が寸劇サービスをする。と、いう……事で、ほんとに良いんでしょうか!?」
と、林さんはクラスメートの正気を疑い、確認する様に問いかけた。
すると、肯定的な拍手喝采が巻き起こったのだった─
(先生、これは何でも実行するのは難しいですよね!)
林さんは担任の先生の方を向いて助けを期待した。先生は林さんに笑顔を向け、サムズアップをした。
(グッドじゃないです先生ーー!!)
「えーと……それでは、各担当を決めて行きたいと思います……」
データベース林さんは、次々とクラスメートに役職を指名していき、話合いはスムーズに終わった。
ふらふらと知らぬ間に居なくなったノブ子を探しに、渡り廊下をミトと一緒に歩いていた。
「但し、プール場を使用する為には、安全策のプレゼンをして許可を得ること。って先生言ってたけど大丈夫なのかよ?」
「ええ、中庭の人工池のネットを参考にセイフティネットを自作しようと思います。」
「25メートルもあるプールにか!?」
「今の私の発言、落下防止用ネットと安全対策のセイフティネットと掛けてみたのですが、笑えるでしょう?」
「……びっくりする程、笑い所が分からんのだが。」
林は笑いのセンスねーな。と、ミトさんは笑った。
秋晴れの空、ピカッと光るものが見えた。少ししてから、ドーンッと音が響いて来た。日中でも、散らばった流星が燃え落ちてゆくのが見えた。
暫くしてスマートフォンを見ると、天気予報の流星情報が発表されていた。
《本日の隕石被害件数0件》
学習机の上には、工具箱から出した道具が広げられていた。
「聡見、手際がいいなあ。」
「だって、パパが用意してくれた設計図通りに作れば良いだけなんだもん。」
「つまらなかったかな?」
「ううん、楽しいよ!だって、これがロケットで打ち上げられて、流星さんを撃ち落とす為の装置の一つになるんでしょ?楽しみー」
「この歳で人類に役に立つものが作れるなんて、なんて自慢の娘なんだ!」
「もうパパったら、お髭ジャリジャリしてる!剃った方がカッコいいよ?」
(あの頃は良かったな……)と、林さんは回想した。
「なあなあ、今の散らばった流星がさあ……花火に見えなかった?」
「確かに……もう少し暗い時間なら、綺麗に見えたのでしょうね……」
「夏休みに、やり忘れた事あったの思い出したんだけどさあ!」
あっ、と林さんはミトさんを見た。
「花火!お祭りに出かけていません!」
「そうなんだよ。文化祭は和風喫茶に決まっただろ?だから、皆で浴衣着るっていうのはどうだろうか!」
「良いですね!コスプレ案も出てましたし、きっと皆さんも同意してくれる筈です!」
「それなら、早くノブ子を見つけて放課後浴衣を一緒に見に行かないか?」
「それは、良いお考えですね!何処に居るかは、この妖精さん追跡システムで目星がついています。」
「ただのストーキングGPSだけどなー。」
「いいえ、このGPSと連動させた正確に点滅する位置情報。そして、妖精さんが誰かと居る場合も表示され─」
その頃、ノブ子はいち早くプール場へと下見に来ていた。
「私の取って置きの場所……賑やかになりそう……」
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苦手な塩素の香りはすっかり消えていた─
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