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9.嫉妬は恋のスパイス※

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奉仕という言葉を龍平が気にしているようだ。
深い意味はないのだが、もしや私と社長の関係を気にしている?

「それはまあそうですね、奉仕はしておりました。というか社長に対しては仕事ですから。高鷲社長は私生活ではだらけたところがありますから私がしっかりお世話をして差し上げないといけないという感じでしたね」
「世話って、俺にしてるみたいな?」
「あー、そうですね。駄々をこねる子供のようになられて服を着替えさせたりヒゲをそったりしたこともありますね」
「風呂とか、も?」
「入浴ですか?」
二日酔いの朝に叩き起こしてシャワー室に放り込んだことはあるにはあるが、龍平は何をききたいのだろう。
これではまるで、自分の父親に妬いているように聞こえるが……。

「さっき親父がなんかそれっぽいこと言って迫ってたよな。親父、あんたにそういうあっちのほうの世話とかさせてたの? このホテルも馴染みとか言ってたし、それって親父とってこと?」

こ、これは、私の都合のよい解釈ではなく、龍平は本当に妬いている?

「答えにくいならいいんだけどさ」
そういった龍平の瞳が不安げに揺れている! ような気がする。

これはこれは、社長に妬いているということはまさか、龍平さんは私のことが本当は好き……?!

「龍平さんっ!!!」
私は立ったままガバッと龍平を抱きしめる。
ぷちっと理性の尾が切れた気がした。

「えっ? ちょっと、突然なに?」
龍平は驚いているが私をふりほどこうとはしない。
これはやはり私の思い違いではないということだろう。

「龍平さん、あなたが好きです!」
「え、え? なんで突然?」
「あなただけです、私が好きなのは。社長とは仕事上の付き合いだけです」
「えっと、別にそういうことが聞きたいわけじゃ」
「私が社長に性的な奉仕をしていなかったか、とか抱かれていなかったのかを聞きたいんですよね、そんなものありませんよ」
「それならよかった、クソ親父があんたにセクハラして迷惑かけてたんじゃないかと思って」
「そうじゃなくて社長に妬いていたんですよね」
「いや、そういうわけじゃ」
「素直じゃないですね、酔ってしなだれれかって匂いを嗅いだり、背中を流すといって体をつかって体を洗ったり舌を使ってたっぷりご奉仕したりご褒美と称して挿入を懇願したり、髪を拭いたらそのまま押し倒して上に乗って朝まで愛し合いたいと思うのは龍平さんだけです」
「そ、そんなこと考えてたんだ……?」
「考えるだけならいいじゃないですか、ちゃんと理性で抑えていました」

龍平の顎をすくい取り、こちらを向かせる。
私の片思いと思っていましたが、同じ気持ちならいいですよね?

「キスしてもいいですか?」

龍平の瞳が真っ直ぐ私をとらえている。

「ーーーーだめ、俺がする」



「んっ、……ふ、……んあっ」

ベッドの縁に腰掛けた龍平の手に頭を引き寄せられ、お互いの唇が重なる。
噛み付くように吸われたかと思うと、熱い舌が口の中に割り込んできた。

「ほら、舌ひっこめないで出してよ」

おすおずと舌を差し出すと、すぐにそれは龍平の舌に絡み取られる。

ぬるぬるしていて、熱くて、やらしい。それがうごめくたびに頭の奥がじんじんと痺れる。

「……ん、……りゅ、……んっ、りゅう、へいさ、……んっ」

突然膝から力が抜けて、その場に倒れ込みそうになってしまった。

「ん、大丈夫? 腰抜けちゃった?」
龍平が抱き止めてくれて、そっと隣に座らせてくれる。

「キスとはこんなにすごいものなんですね……きもちよすぎて、力が入らないです」

龍平の手がよしよしするように私の頭をなでる。それだけでうっとりと夢見心地ではあるのですが。

「ん」

龍平の襟元に手を伸ばし、自分の唇を龍平の唇に押し当てる。
しっとりとしたその感触をもっと味わいたくて、薄く口を開いて柔らかく食む。

唇同士は触れているけれど、これだけでは足りない、もっともっと深くまで触れたい。
私は龍平のバスローブの合わせ目から素肌に手を滑らせた。すべすべした感触は気持ちがいいがそれだけでは満足できず、龍平の襟元に頬を寄せてすりすりと擦りつけてみる。

「なにそれ、可愛いけどちょっとくすぐったい」
「んんー、龍平さんに触れたいんです」

頬ずりだけでは足りなくて、はむはむと鎖骨のあたりを甘噛みを繰り返す。
この強烈な物足りなさはどうしたら埋められるのだろう。

「りゅう、へいさん……好きです、好き、好きなんです」

龍平を見上げると、彼は驚いたような顔でこちらを見つめる。何か変だろうか。

「……宇佐美さん」
「雪人です」
「ユキト、すごい可愛い、なんかたまんない」

龍平が私の髪に指を絡ませると、熱烈なキスが降ってきた。
強弱をつけて舐め吸われ、飲みきれなかった唾液が喉元を伝う。息継ぎもままならず、頭を支えられていなければ倒れてしまいそうだ。

「ん……、あ、……っ、りゅ……さん、も……い、れて下さい」
「ん?」
私の言葉を聞き返すために龍平の唇が離れていってしまった、ほんの少しでも離れてほしくない。

「私に龍平さんのここ、入れてください」
私は龍平の股間にすりすりと触れながら、今度ははっきりと言葉にする。

「はっ?! そんないきなり無理だから! 初めてなんだろ? まず前戯とか……」
「前戯……! これは失礼しました」

私は来ているものをバッと脱ぎ落とし、最後の一枚、パンツをも脱ぎ捨てる。
私のそこは完全に臨戦態勢に入っている。

「え? ちょ、なんで脱ぐ、なんで脱がす!」
龍平が抵抗するのも構わず、私は龍平の着ているバスローブの合わせを構わず開く。

ちゅ、ちゅ、ーーはむっ!

「う、わっ」
私は迷わず龍平の陰茎を口に含む。
というか、先端に軽く口づけをしたら堪えきれなくなってかぶりついていた。

フェラチオの正しい仕方はわからないが、これが龍平の体の一部だと思うと愛しくて愛しくて夢中で舐め吸っている。

はじめは柔らかくふにふにしていたそれは、口の中で味わっているうちに硬化してきた。
口に入りきらなくなったそれの先端をちゅう、と吸いながら、自分の口陰で龍平が反応してくれたと思ったらうれしくなる。

「りゅうへいさん、ここ、きもちいいれすか?」
「気持ちいいけど……、前戯って俺のほうじゃなくて」
「りゅうへいさんの、おいひい」
「な、あじあわなくていいから! っていうか、そんなとろけた顔で咥えたまましゃべられるといろいろやばい」

「んーーーー」
 龍平のそこを喉につかえる限界まで口に含んでから、ゆっくりと味わいながら先端まで吸い上げる。
龍平の肩がわずかに揺れて息を漏らしたことから、こうすると気持ちがいいのだと解釈してそれを何度か繰り返す。

「それ、やば……」
ぬろりと根本から先端まで何度か吸い上げると、つるつるした先端からほろ苦い先走りの液が溢れてきた。
「龍平さんのえっちな蜜が出てきましたよ」
「……蜜とか言うな」
もう堪らず先端の鈴口に舌を滑り込ませ、ぬるぬるとその感触を堪能する。
唾液と混ざって溢れた愛液が先端を流れ落ちる。
一滴でも失うのが惜しい気がして、私は夢中ですくい取るようにして舌先で陰茎を舐めあげる。
そうして先端を口に含んでじゅっと吸い上げた直後、龍平の両手に頬を掴まれてそこから引き離されてしまう。

「んっーー!?」

私は一瞬何が起こったかわからず呆けてしまう。でもすぐに不安になり頭から血の気が引いていく。

「あの……、私のやりようが下手で嫌になってしまいましたか?」
「いや、そうじゃないから、そんな悲しそうな顔しないで」
「でも………どうして?」
「……いや、だからさ、いきそうだったから」
「そうなんですか!? それならそうと、遠慮なく私の口に出していただいて結構でしたのに」
ああ、それとも私を愛して下さる為に温存をしてくださったのでしょうか。

「龍平さん、さあどうぞ挿れて下さい!」
私はベットに四つん這いになり、龍平が挿入しやすいよう尻を軽く突き上げる。
「さあ、遠慮なく! 早く下さい!」
「いやいやいや、いきなりとか無理だから」
「……私では無理なんですか?」
「いやいや、宇佐美さんが無理ってことじゃなくて、初めてならもっと濡らしたり解したりとかいろいろしないと」
「もう、我慢できません……。はやく、欲し……」
「そんな尻出して泣きそうな顔されても、……ああ、もう!」

龍平が私の太腿をきゅっと掴んで閉じさせると、足の間にぬるりと熱くて硬いものが入り込んできた。

「俺だって、限界……っ」
「ーーえっ?」
脚の間に差し込まれたものは龍平の先走りと私の唾液でたっぷり潤されている。
それがまるで本当にセックスをしているような動きでぐちゅぐちゅと行き来してーー

「あ、あっ……、龍平さんっ、すごい、えっちでっ、あん、すごい、けどっ、い、れて、欲しい! のにっ」
「宇佐美さんが奉仕とかするから、余裕なくなった」
「えっ、ひど、……いれて欲しい、のにっ」
後ろから腰を掴まれ、脚の間を龍平の滾ったものが行き来しているだけでのぼせそうに身体が熱くなる。
でも、ちゃんと後ろに欲しかったのに。
「すご、素股なのにこんな、なにこれ。宇佐美さんの太ももすべすべ」
「い、れてっ、くださっ、あっ、んんっ」
「わかったから、ちょっとまって」

脚の間を擦られながら、突然背後から龍平の手が伸びてきて私の陰茎を掴まれる。
「ひ、あっ」
初めて他人の手に、しかも龍平に触れられた衝撃に電撃のような痺れが全身を走る。
「すっごいぬるぬる、宇佐美さんって濡れやすいんだね」
龍平の手が私の陰茎を数回上下するように撫でたあと、ぎゅっと掴む。
そうすると龍平が腰を打ちつけるたびにこすりあげられて目の前がチカチカするほど気持ちがいい。

「ひ、ああっ! あ、あんっ、あっ」
「気持ちいいよ、宇佐美さん」
「あっ、んっ、んんっ、りゅ、へいさっ、ああっ、そんな、されたらすぐ……いっちゃ、あっ、んんっ」

四つん這いの私の後ろで、龍平がゆっくりと私の横に片手をついて背中に覆いかぶさってくる。そして背中を顎の感触が撫でたかと思うとーー

「……ユキト、可愛い」

背中から耳元に向かって吐息のような声で囁かれた。

いっそう激しく動かれて、真っ白になった頭のまま精を吐き出していた。
太ももから生暖かいものが流れ、背後で龍平の息がわずかに乱れた。
龍平も達したのだろう。

私が振り返って恨みを込めた視線を送ると、龍平は困ったように笑って私にキスをした。

「ずるいです、あんなふうに私を黙らせるなんて」
「宇佐美さんがエロすぎるのが悪い」
「わ、私が悪いんですかっ?」
「ごめんね、こっちにおいで」
ベッドに腰掛けた龍平が両手を広げておいでをしている。
悔しいが抗えない。

龍平は私にちゅ、と音を立てて頬にキスをしたあと、ベッドサイドのティッシュで行為のあとを拭き取ってくれる。

「まだできる? お楽しみは今度にとっておく?」
「できます!」
「即答かよ」
ちゅ、とさっきはしなかった唇に軽いキスをされる。

「いいよ、今度は俺に可愛がらせて」
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