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俺の話

親への挨拶

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レトルトのルーの味その物のカレーを都居くんはとても美味しそうに食べてくれた。
その賛辞はメーカーさんに言ってあげて下さい。

残りは明日のお昼にしようと冷蔵庫へ仕舞った。

「山川、明日は?何か予定ある?」

洗い物をしながら都居くんが首だけ向けてくる。

「特に……無いかな?」

「じゃあ、俺の父親に会ってくれないか?」

「都居くんの……お父さん?」

「そう、結婚しますの報告」

「無理」

「即答しないでよ」

どう考えても無理だろう?

「男の恋人なんて連れて行ったら勘当されちゃうよ?」

「恋人……良い響きだね。そうか……山川と恋人かぁ……」

トリップしてないで話を戻して欲しい。

「……都居くんの迷惑になりたくないし……別れろって言われたら……どうして良いか分かんない」

「大丈夫だよ。そんな細かい事、気にする人じゃ無いし」

全然細かい事じゃない。

「まあ……冗談はさておき……」

冗談だったのか……分かりづらいな。

「父親に会って欲しいのは本当だよ?」

「……付き合ってるって言わなくても良い?」

「友人として紹介する」

都居くんの家に上がり込んで、挨拶無しは悪いもんね。友達としてなら……。

「……わかった」

「ありがとう」

都居くんは嬉しそうに額にキスをしてくれた。

「都居くんと恋人なのが嫌な訳じゃ無いから……まだカミングアウトする勇気が無いだけで、都居くんの存在を否定してる訳じゃ無いから……」

ぴったり都居くんに引っ付くと、ぎゅうぎゅう締め付けられた。

「俺……明日は授業午後からだから……」

「へ……?」

「そんな可愛いこと言って……今夜は寝かせないからね」

都居くんは悪い顔をして笑った。

「俺なしではいられない様にしてあげる」

「そんなの……とっくに都居くん無しでは生きてらんない……」

「煽ったのは山川だからね……」

「へ……?うわぁっ!!」

ベッドに連れ込まれ、破られるんじゃないかという勢いで服を脱がされる。

「昨日の今日で……するつもり無かったのに……山川のせいだからね」

微笑んだ笑顔はちょっと怖かった。


「ふっ……あっ!!あぁ!!都居くん!!もう……無理」

昨日教えられたばかりの快感を何度も体に与えられる。

「山川……俺を抱こうとしてたよね?そんな感じまくってて俺を抱けるの?」

「あぁ……ん……とっ……都居くんが、慣れすぎてるから……っひあぁっ!!あ、あ……」

繋がったまま、体を起こされて都居くんに抱っこしてる形になり……自分の重みで都居くんのモノが深く入ってくる。

「こんな時にそんな事言うんだ……山川って意外にM?……俺、動かないから……山川さ、自分で動いてよ」

「そんな……」

「早く終わらせたいなら、早く俺をいかせて?」

足を踏ん張って腰を動かす。

「う……あぁ……あぅ……」

自分のペースで……動かすと自分の良い場所がわかって……都居くんをいかせたいのに自分の快感を追ってしまう。

「都居くん……都居くんの……気持ち良い……あぁぁ!!」

夢中で腰を振って自分のモノに触れていた。自分でシゴイてるの見られてるなんて恥ずかしいのに……止められなくて、都居くんのお腹の上に射精した。

「山川ばっかりズルい……そんなに気持ち良いの?」

「うぅ……都居くんの意地悪」

「俺が意地悪しちゃうのも、山川が可愛いすぎるからしょうがないよね……でも俺も限界、イったばっかでごめんね」

ぐるりと体を反転させられて、バックから都居くんが腰を掴んだ。

「ひぅっ!!……あ、あ、あ、あっ!!」
激しく腰を打ち付けられ……背後から抱き締められて、都居くんの体がビクンと震えた。

「山川……好きだよ……もう絶対離して上げない」

ーーーーーー

気だるい体に鞭を打って体を流し、都居くんのベッドで横になる。

都居くんのバカ……明日お父さんと会うのに、体しんどい……。

「山川『みやこ ただしミュージアム』で働きたいって具体的に何をしたいか決まってるの?」

「………」

「狸寝入り」

都居くんはクスクス笑いながら俺の鼻を摘んだ。

「不純な動機だから言いたくない……」

「不純な動機?そう聞くと余計に聞きたくなる」

「………」

いきなり都居くんに組み敷かれた。

「なっ!!何!?」

「山川の事、全部知りたい……教えて?駄目?」

おねだりする様に都居くんが見つめて来る。

うぅ……キラキラの無駄遣いだよ……。

「……『みやこ ただしミュージアム』って建物とかモニュメントも絵本の世界に入り込んだ様な造りになってて、いるだけで幸せな気持ちになれるんだけど、庭園……公園に遊具とかもあって……」

「うん」

「王子様の作ったオムレツをイメージした黄色いドームトランポリンとか、スパゲッティのネットのジャングルジムとかソーセージのローラー滑り台とか……全部子供向けなんだけど……」

「なんだけど?」

言いたくない……けど、都居くんの視線が許してくれない。

「短大になってこっちに来て初めて行ったから……大人の方はご遠慮下さいって……」

「まぁ……子供向けだからね」

「そこで働いたら閉館後に遊ばせて貰えるかもって……」

「ぷっ……あはははははっ!!マジで?それが夢なの!?」

都居くんは声を上げて笑う……だから言いたくなかったのに!!
しっかりした夢を持ってる都居くんにこんな馬鹿げた夢、語るつもり無かったんだ!!

恥ずかしくて隠れたいけど都居くんに手を押さえられてて動けない。

恥ずかしいわ、夢を笑われて悔しいわでジワリと目頭が熱くなる。

「ごめん、泣かないで?バカにした訳じゃないんだよ?ただ可愛過ぎて……」

「………」

「明日の朝はオムレツにするから……機嫌直して、ね?」

「『レッカーの魔法で幸せになぁれ』て感情込めて言ってくれたら直るかも……」

レッカー……王子様の名前。
どこかの国の言葉で『美味しい』だったかな?王子様の呪文だ。

「え……それは……ちょっと恥ずかしい……」

「じゃあ、もう、都居くんには何も言わない……」

「ちょっと待って……!!うぅ……」

いつも余裕な都居くんが慌ててる姿だけで満足したけど……都居くんは耳元でそっと呪文を唱えてくれた。

結局二人で寝坊して……朝食は取らず早めの昼食になった。

昨夜のカレーがオムバーグカレーに変身して、俺が作った平凡なカレーも都居くんが手を加えるとご馳走に変わる。

「片付けはしておくから、いってらっしゃい」

「じゃあ、後でね」

頬にキスをして、都居くんは和やかに学校へ向かった。

片付けをして……お父さんに挨拶するシミュレーションをする。

都居くんお父さん似だって言ってたから、お父さんもかっこいいんだろうな……。
都居くんのお父さんってことは、都会のお金持ちかっ!?どうしよう?何を着ていけば良いんだろう?

服を集めてみたけど、似た様なパーカーとジーンズばっか。
あ!!就活用に安物だけどスーツ買ったんだった。
いやいや、友達のお父さんに会うのにスーツっておかしいだろ。

……都居くん。家の物は自由にして良いって言ってたよね。

都居くんの部屋に忍び込み都居くんの服を漁る。高そうな服が詰まってた。

俺でも着れそうな服を探して着てみるが……全然サイズが合ってない。
くそっ!!都居くんめ!!足長過ぎだろう!!

『ガチャ』

はっ!!都居くんが帰って来ちゃった!!

「山川?ただいま?」

俺を呼ぶ声がする。
早く着替えなきゃ……。

慌てて脱ごうとして、ズボンの裾を踏んづけて転び、派手な音を立てた。

「山川!?どうし……」

音に気付かれて都居くんがドアを開けて転がったまま目が合う。

「……ごめん……服、借りてます……」

「あ~!!もぉ!!何でそんなに可愛い訳!?」

抱き上げられて、痛いぐらい頬ずりをされた。

「このまま可愛がりたいなぁ……約束キャンセルしようかなぁ……」

都居くん目が本気だ。

「駄目だよ!!お父さん待ってるんでしょ!?」

「こんな可愛い山川を見せたくない……」

「何も可愛くないから!!早く都居くんも支度して!!」

そして早く俺にズボンを履かせてくれ。
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