7 / 17
第一章〜はじまりの村〜
第七話「将来の夢」
しおりを挟む
木剣のぶつかる音が響き……俺の手から弾き飛ばされた剣は地面へと突き刺さった。
「まいりました……」
痺れる両手を挙げて、降参ポーズを取ると俺の首に突き付けられていた剣はゆっくりと下ろされた。
狩人の父親から剣を習っているパリスに頼み込んで、こうやって稽古をつけてもらっているが、まだ一度としてその体に剣を掠められたことがない。
「お前には戦士系の職は向いてないって……大人しく魔法の練習をしておけ。魔力操作もサボるなよ?お前は魔力がダダ漏れなんだから」
「う~……」
【クロリアスティーナ】
《人族/村人/男/12歳》
Lv.53
生命力:81
魔力:693
力:32
守備:27
素早さ:48
精神:5
《魔法:適正属性 闇》
貫く闇 Lv.3
暴食の闇 Lv.6
影潜り Lv.4
恐慌の吐息 Lv.2
蝕む触手 Lv.2
ファイア Lv.4
ウォーター Lv.3
ウインドウ Lv.1
サンダー Lv.1
《特性》
ブラックボックス Lv.8
剣技 Lv.2
料理人 Lv.4
錬金 Lv.2
洞察力 Lv.5
魔力操作 Lv.1
苦痛耐性 Lv.6
状態異常耐性 Lv.2
環境変化耐性 Lv.3
単純にレベルだけなら俺のほうが上だし、稽古を始めて数年たつが取得した『剣技 Lv.1』のままなのを見ると、一度も勝てないのは俺の圧倒的な戦闘センスのなさが敗因かもしれない。
この辺りの魔物なら『暴食の闇』で吸収できてしまうから剣技を極める必要はないんだけど、基礎的な体づくりというのは大事だからね。レベルが上がっても体力とかの伸び率が低いのは『暴食の闇』でお手軽戦闘スタイルで楽をしているせいかもしれないと読んでいる。
魔力だけ異様に上がったが体力と筋力が必要なんだ、計画のためには……。
俺の計画、2年前に魔法受諾の儀式のために訪れたルーシンの街で見た『冒険者ギルド』。そう、この世界には冒険者がいるのだ。ブリ☆スクの舞台である学園では出会うことのなかった冒険者。
異世界物よろしく、己の力だけを武器にクエストを受けて自由に生きる冒険者!!
今はまだ魔王は身を潜め、魔族との争いも魔族領と人族領の境界付近で睨みあい、どちらが優勢ということもない。
魔王が目覚めたかあんまり理由は覚えていないが、魔族領に近いポトの村が襲われる事件が起こって魔族との争いが本格化して魔王討伐のために攻略対象者と関わりを持つことに……。
俺が冒険者になって境界付近の魔族を排除していけばポトの村が襲われることはない。
ポトの村が襲われなければ俺が聖女の力に目覚めることもない。
聖女の力に目覚めなければ学園へ入学することもない。
学園へ入学しなければブリ☆スクのストーリーに従うこともない。
これが俺の計画なのだが……懸念点は「15歳にポトの村が魔族に襲われる」という部分だ。
ざっくりと15歳。冒険者としてギルドに登録できるのは15歳から。
誕生日を迎えてすぐに登録しようとしても、誕生日を迎えるその日に村が襲われては計画が台無しだ。
レベルを上げて魔族を追い払うにしても、ただの村人にそんな力があるとバレてはいけない。
正直個人的には『不可侵の闇』よりも『暴食の闇』の方がチートだ。
あくまで個人的であって、王都全体を守るなら『不可侵の闇』の結界の方が優秀ではあるが……『暴食の闇』の真価を他人に見せるのは危険だが、戦うことが専門の冒険者という肩書きがあれば、魔族とやり合ってもまだ目立たないかもしれない。そんな冒険者になるためには歩き続け、探索し続ける体力は必須なのだ。
「冒険者になる夢は、まだ諦めきれないのか?2年前それ言ってマリサさん意識失って倒れてたじゃん」
「二人は何もできない幼かった時の俺がいつまでも頭にあるからだよ」
俺の飛ばされた木剣を拾って差し出してくれるのを受け取る。
そう……冒険者になる計画のための第二の壁が両親、過保護すぎる両親をどう説得するか……この2年間で結構信用を築けてきていると思うが、もう一押し……両親が安心できる要素を……。
ジッとパリスを見つめる。
「な……なんだよ」
パリスのステータスに見える好感度はハート4つ。
「パリスはさ、将来の夢とか決まってるの?」
「将来?親父の跡を継いで、狩人業じゃないか?この村で肉を調達できる人材は多い方がいいだろ」
交易が盛んでなく、自給自足に頼るこの村では肉を確保できる狩人は貴重。
しかし……俺の計画のためにも既に父親の手伝いで狩りをしているパリスの村人からの信頼度は貴重。
「この村で嫁を……」
「パリスさぁ……俺を殺そうとしたじゃん?」
「は?あ?それは!!その……」
唐突な話にパリスは可哀想なほどに動揺し始める。殺されかけた記憶を持っているのはクロリアスティーナであり、俺はどこか他人事の感覚なのでパリスに対して恐怖は抱いてない。仲直りをしてからはむしろ頼りになる幼馴染だ。
「俺を守るって言ってくれたよね?じゃあさ……俺が15歳の誕生日を迎えたら……」
俺から一歩後ずさるパリスに、二歩近づく。
「む……迎えたら?」
何を言われるのか分からず、吃るパリス。
そんな彼の右手を両手で掴む。
「俺と……俺と一緒に冒険者になってよ」
パリスが一緒なら両親を説得しやすいし、俺を殺しかけた罪滅ぼしとしては破格だろう。
「まいりました……」
痺れる両手を挙げて、降参ポーズを取ると俺の首に突き付けられていた剣はゆっくりと下ろされた。
狩人の父親から剣を習っているパリスに頼み込んで、こうやって稽古をつけてもらっているが、まだ一度としてその体に剣を掠められたことがない。
「お前には戦士系の職は向いてないって……大人しく魔法の練習をしておけ。魔力操作もサボるなよ?お前は魔力がダダ漏れなんだから」
「う~……」
【クロリアスティーナ】
《人族/村人/男/12歳》
Lv.53
生命力:81
魔力:693
力:32
守備:27
素早さ:48
精神:5
《魔法:適正属性 闇》
貫く闇 Lv.3
暴食の闇 Lv.6
影潜り Lv.4
恐慌の吐息 Lv.2
蝕む触手 Lv.2
ファイア Lv.4
ウォーター Lv.3
ウインドウ Lv.1
サンダー Lv.1
《特性》
ブラックボックス Lv.8
剣技 Lv.2
料理人 Lv.4
錬金 Lv.2
洞察力 Lv.5
魔力操作 Lv.1
苦痛耐性 Lv.6
状態異常耐性 Lv.2
環境変化耐性 Lv.3
単純にレベルだけなら俺のほうが上だし、稽古を始めて数年たつが取得した『剣技 Lv.1』のままなのを見ると、一度も勝てないのは俺の圧倒的な戦闘センスのなさが敗因かもしれない。
この辺りの魔物なら『暴食の闇』で吸収できてしまうから剣技を極める必要はないんだけど、基礎的な体づくりというのは大事だからね。レベルが上がっても体力とかの伸び率が低いのは『暴食の闇』でお手軽戦闘スタイルで楽をしているせいかもしれないと読んでいる。
魔力だけ異様に上がったが体力と筋力が必要なんだ、計画のためには……。
俺の計画、2年前に魔法受諾の儀式のために訪れたルーシンの街で見た『冒険者ギルド』。そう、この世界には冒険者がいるのだ。ブリ☆スクの舞台である学園では出会うことのなかった冒険者。
異世界物よろしく、己の力だけを武器にクエストを受けて自由に生きる冒険者!!
今はまだ魔王は身を潜め、魔族との争いも魔族領と人族領の境界付近で睨みあい、どちらが優勢ということもない。
魔王が目覚めたかあんまり理由は覚えていないが、魔族領に近いポトの村が襲われる事件が起こって魔族との争いが本格化して魔王討伐のために攻略対象者と関わりを持つことに……。
俺が冒険者になって境界付近の魔族を排除していけばポトの村が襲われることはない。
ポトの村が襲われなければ俺が聖女の力に目覚めることもない。
聖女の力に目覚めなければ学園へ入学することもない。
学園へ入学しなければブリ☆スクのストーリーに従うこともない。
これが俺の計画なのだが……懸念点は「15歳にポトの村が魔族に襲われる」という部分だ。
ざっくりと15歳。冒険者としてギルドに登録できるのは15歳から。
誕生日を迎えてすぐに登録しようとしても、誕生日を迎えるその日に村が襲われては計画が台無しだ。
レベルを上げて魔族を追い払うにしても、ただの村人にそんな力があるとバレてはいけない。
正直個人的には『不可侵の闇』よりも『暴食の闇』の方がチートだ。
あくまで個人的であって、王都全体を守るなら『不可侵の闇』の結界の方が優秀ではあるが……『暴食の闇』の真価を他人に見せるのは危険だが、戦うことが専門の冒険者という肩書きがあれば、魔族とやり合ってもまだ目立たないかもしれない。そんな冒険者になるためには歩き続け、探索し続ける体力は必須なのだ。
「冒険者になる夢は、まだ諦めきれないのか?2年前それ言ってマリサさん意識失って倒れてたじゃん」
「二人は何もできない幼かった時の俺がいつまでも頭にあるからだよ」
俺の飛ばされた木剣を拾って差し出してくれるのを受け取る。
そう……冒険者になる計画のための第二の壁が両親、過保護すぎる両親をどう説得するか……この2年間で結構信用を築けてきていると思うが、もう一押し……両親が安心できる要素を……。
ジッとパリスを見つめる。
「な……なんだよ」
パリスのステータスに見える好感度はハート4つ。
「パリスはさ、将来の夢とか決まってるの?」
「将来?親父の跡を継いで、狩人業じゃないか?この村で肉を調達できる人材は多い方がいいだろ」
交易が盛んでなく、自給自足に頼るこの村では肉を確保できる狩人は貴重。
しかし……俺の計画のためにも既に父親の手伝いで狩りをしているパリスの村人からの信頼度は貴重。
「この村で嫁を……」
「パリスさぁ……俺を殺そうとしたじゃん?」
「は?あ?それは!!その……」
唐突な話にパリスは可哀想なほどに動揺し始める。殺されかけた記憶を持っているのはクロリアスティーナであり、俺はどこか他人事の感覚なのでパリスに対して恐怖は抱いてない。仲直りをしてからはむしろ頼りになる幼馴染だ。
「俺を守るって言ってくれたよね?じゃあさ……俺が15歳の誕生日を迎えたら……」
俺から一歩後ずさるパリスに、二歩近づく。
「む……迎えたら?」
何を言われるのか分からず、吃るパリス。
そんな彼の右手を両手で掴む。
「俺と……俺と一緒に冒険者になってよ」
パリスが一緒なら両親を説得しやすいし、俺を殺しかけた罪滅ぼしとしては破格だろう。
81
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる