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こんにちは宇宙船
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「克真さんっ!!」
慌てたナディユさんの声を聞きながら、こんなデカい体でどうやってこの浅瀬まできたんだろう?かなり急深だったのだろうか?海水浴しなくてよかった……などと目の前に迫る大きな口を見つめ、どうでもいい事を考えていた。
小さな口で食いちぎられるより大きな口で丸呑みの方が苦しくないだろうか?でもじわじわ窒息というのも苦しそう……痛いぐらいの強い力で体が引かれて、目の前まで迫っていた大きな口は……頭もろとも吹き飛んでいた。
巨体が倒れ込んだことで起こった波に流されそうになるのを力強い腕に支えられ、波が引いた後にはわずかばかりの怒りを漂わせるナディユさんに見下ろされていた。
「克真さん、なんて無茶なことを「ナディユさんにもしもの事があったらどの道、俺一人では生きていける自信がありませんから」
最悪、齧られて俺が体の一部を失ったとしても、ナディユさんが元気ならなんとかなりそう。それならナディユさんを生かす行動を取るのが当然。
「私だって……克真さんにもしもの事があったらきっと生きていけません……このままだと風邪をひいてしまいますね。お風呂にしましょう」
ナディユさんはスマホを取り出して宇宙船を呼んだ……気がつかなかったけれど宇宙船なかったのか。
数分してやってきた宇宙船に乗り込んで、急いで汚れを洗い流して順番を変わるとベッドにダイブする。
「疲れた……」
目の前に迫ってきていた大きな口を思い出すと、手が少し震えていた。
『お疲れですか?安眠効果と疲労軽減の効果のあるアロマはいかがでしょうか』
誰だ?と驚いたけど、どうやらスマホから聞こえる。
お風呂に入っている間に音声アシスタント機能が追加されたようだ。
「アロマなんて出せるのか?」
『ご要望であれば』
「へえ……じゃあそのお勧めをお願い」
そう答えるとスマホから仄かにアロマの香りが……詳しくないので何の香りかとかは分からないけれど、店でアロマコーナーを通った時ほど香りはキツく無く、リラックス効果がある様な気がしてきた。
「スマホから匂いがするってのも妙な感じだけど、いい香りだな」
『魔弾式銃機能の応用です。獣の嫌う匂いを調合し獣よけを作る事が出来ます』
「蚊取り線香みたいなもんか……ていうか音声アシスタント機能なんてあったんだ」
獣が避けて通る程の臭いに癒されてる俺って……。
『先程マスターより追加されました。本体はこの宇宙船ですが、克真様の身に危険が迫った時などはスマートホンを通じ魔弾式銃の遠隔操作などサポートいたします。その他にも魔機の使用方法など、お困りの事がありましたらなんでもお手伝いいたします』
スマホの機能では無く、この宇宙船の機能か。
ナディユさんが死んだら俺一人では生きていけないと言ったから俺が一人でも生活できる様にしてくれたのかな。優しいけど……少し優しさがズレた人。
「なんて呼んだら良い?宇宙船って呼ぶのも味気無いよな……この船の名前は?」
「魔機に名前なんてありませんよ」
宇宙船と会話をしている内にナディユさんがお風呂から出て来て真後ろに立っていた。
「名前、無いんですか?」
「魔機は魔機ですから、名前なんて必要ないです」
まあ機械は機械なんだけど、名前があったほうが愛着が湧くと思うんだけど……機体を区別するのにも楽だと思うんだけどな。
「……昔から魔機に名前を与えるものでは無いとずっと言われて育ってきたので、名前を付けようと思った事がないのですが、克真さんが名前を与えたいなら名前を付けても良いのでは無いですか?ここにはそれを制限する者はいませんから」
「良いんですか?名前を付けちゃいけないと言われていたんでしょう?何か理由があるのでは?」
「禁止されていた訳ではなく、実際名前を付けていた者も多くいました。ただなぜ避けられる様になったのか知られていないので油断は禁物ですが」
名前をつけるぐらいで一体どんな危険があるというのだろう?
流石に家電一つ一つにまで名前を付けようとは思わないけど『船』となると名前を付けたくなる。それが『宇宙船』となれば尚のこと……。
「名付けはあまり良くないみたいだけど、愛称みたいなもんと思って俺が付けても良いかな?」
『はい。問題ありません』
宇宙船……船といえばベタに〇〇丸にしたり、大和か武蔵と名付けたいところだけど……。
「よし、アマギだ。アマギはどうかな?」
『アマギ……私はアマギ……はい、登録いたしました。素晴らしい名をありがとうございます』
船の名前としては曰く付きな感じもするが、未完成なまま終わったという不遇さに浪漫があって好きだ。
「ナディユさんもありがとうございます。スマホ全く使いこなせていなかったので助かります」
「これで克真さんの命が守ることができるなら」
お安いごようと嬉しそうに笑ってくれるけど、俺としては逆に突き放された様な捻くれた印象を持ってしまったが為にその笑顔を遠い目で眺めてしまった。
日常のサポートは魔機に頼らず、ナディユさんが側にいてくれたら良くない?
慌てたナディユさんの声を聞きながら、こんなデカい体でどうやってこの浅瀬まできたんだろう?かなり急深だったのだろうか?海水浴しなくてよかった……などと目の前に迫る大きな口を見つめ、どうでもいい事を考えていた。
小さな口で食いちぎられるより大きな口で丸呑みの方が苦しくないだろうか?でもじわじわ窒息というのも苦しそう……痛いぐらいの強い力で体が引かれて、目の前まで迫っていた大きな口は……頭もろとも吹き飛んでいた。
巨体が倒れ込んだことで起こった波に流されそうになるのを力強い腕に支えられ、波が引いた後にはわずかばかりの怒りを漂わせるナディユさんに見下ろされていた。
「克真さん、なんて無茶なことを「ナディユさんにもしもの事があったらどの道、俺一人では生きていける自信がありませんから」
最悪、齧られて俺が体の一部を失ったとしても、ナディユさんが元気ならなんとかなりそう。それならナディユさんを生かす行動を取るのが当然。
「私だって……克真さんにもしもの事があったらきっと生きていけません……このままだと風邪をひいてしまいますね。お風呂にしましょう」
ナディユさんはスマホを取り出して宇宙船を呼んだ……気がつかなかったけれど宇宙船なかったのか。
数分してやってきた宇宙船に乗り込んで、急いで汚れを洗い流して順番を変わるとベッドにダイブする。
「疲れた……」
目の前に迫ってきていた大きな口を思い出すと、手が少し震えていた。
『お疲れですか?安眠効果と疲労軽減の効果のあるアロマはいかがでしょうか』
誰だ?と驚いたけど、どうやらスマホから聞こえる。
お風呂に入っている間に音声アシスタント機能が追加されたようだ。
「アロマなんて出せるのか?」
『ご要望であれば』
「へえ……じゃあそのお勧めをお願い」
そう答えるとスマホから仄かにアロマの香りが……詳しくないので何の香りかとかは分からないけれど、店でアロマコーナーを通った時ほど香りはキツく無く、リラックス効果がある様な気がしてきた。
「スマホから匂いがするってのも妙な感じだけど、いい香りだな」
『魔弾式銃機能の応用です。獣の嫌う匂いを調合し獣よけを作る事が出来ます』
「蚊取り線香みたいなもんか……ていうか音声アシスタント機能なんてあったんだ」
獣が避けて通る程の臭いに癒されてる俺って……。
『先程マスターより追加されました。本体はこの宇宙船ですが、克真様の身に危険が迫った時などはスマートホンを通じ魔弾式銃の遠隔操作などサポートいたします。その他にも魔機の使用方法など、お困りの事がありましたらなんでもお手伝いいたします』
スマホの機能では無く、この宇宙船の機能か。
ナディユさんが死んだら俺一人では生きていけないと言ったから俺が一人でも生活できる様にしてくれたのかな。優しいけど……少し優しさがズレた人。
「なんて呼んだら良い?宇宙船って呼ぶのも味気無いよな……この船の名前は?」
「魔機に名前なんてありませんよ」
宇宙船と会話をしている内にナディユさんがお風呂から出て来て真後ろに立っていた。
「名前、無いんですか?」
「魔機は魔機ですから、名前なんて必要ないです」
まあ機械は機械なんだけど、名前があったほうが愛着が湧くと思うんだけど……機体を区別するのにも楽だと思うんだけどな。
「……昔から魔機に名前を与えるものでは無いとずっと言われて育ってきたので、名前を付けようと思った事がないのですが、克真さんが名前を与えたいなら名前を付けても良いのでは無いですか?ここにはそれを制限する者はいませんから」
「良いんですか?名前を付けちゃいけないと言われていたんでしょう?何か理由があるのでは?」
「禁止されていた訳ではなく、実際名前を付けていた者も多くいました。ただなぜ避けられる様になったのか知られていないので油断は禁物ですが」
名前をつけるぐらいで一体どんな危険があるというのだろう?
流石に家電一つ一つにまで名前を付けようとは思わないけど『船』となると名前を付けたくなる。それが『宇宙船』となれば尚のこと……。
「名付けはあまり良くないみたいだけど、愛称みたいなもんと思って俺が付けても良いかな?」
『はい。問題ありません』
宇宙船……船といえばベタに〇〇丸にしたり、大和か武蔵と名付けたいところだけど……。
「よし、アマギだ。アマギはどうかな?」
『アマギ……私はアマギ……はい、登録いたしました。素晴らしい名をありがとうございます』
船の名前としては曰く付きな感じもするが、未完成なまま終わったという不遇さに浪漫があって好きだ。
「ナディユさんもありがとうございます。スマホ全く使いこなせていなかったので助かります」
「これで克真さんの命が守ることができるなら」
お安いごようと嬉しそうに笑ってくれるけど、俺としては逆に突き放された様な捻くれた印象を持ってしまったが為にその笑顔を遠い目で眺めてしまった。
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