幼馴染に聖女として異世界に呼び出し喰らいました

藤雪たすく

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◆第13話「意地っ張りの陥落」

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結局俺のスキルがAランクの魔物も一撃必殺なのかはわからなかったが、軍隊を動かすほどだと聞いていたAランクの魔物だろうと、悠也にかかれば一瞬ということはわかった。

ボスの死体とダンジョンの宝とを回収してダンジョンの外に出ると、太陽?で良いのかな?陽が沈んでいくところだった。

「見て、悠生。夕日綺麗」

「ああ、そうですね……」

堤防に腰を下ろす感覚で崖っぷちに腰を下ろして並んで座る。

「小さい頃はさ、こんな夕焼けを並んで歩いて帰ったよね」

小学生低学年の頃まではお互い外で遊んだりもしていたからな。だんだん外に出て遊こともなくなり、家でぼんやり過ごすばかりだった。

小さい頃は泣き虫な悠也を元気付けるために本当は自分も怖いことだって強がってたっけな……俺が悠也を守んなきゃって……。

「なあ、悠也……」

「何?」

こちらに向いた夕日に照らされた顔は、幼いあの日の顔ではない。しっかりとした男の顔。守られる存在などではないのだ。

「俺、もうレベル上げ諦める……」

夕日に少しおセンチになっているのかもしれない。無性に悔しくて涙がボロボロと溢れた。

「悠生……泣かないでよ。悠生に泣かれるとどうしていいか困る……俺だって頑張ったんだよ?悠生『助けて』って全然言わずに頑張ってるから、俺が手を出しちゃダメだって……サテュールスルは我慢できなかったけど」

俺が助けてというまで手を出すなって言ったのを律儀に守っていたのか、こいつは。嫌味か何かかとも思うがこいつなら本気でそう思っていそうだ……。

「まあ、意地張ってたのはあるかな。悠也を守らなきゃってずっと思ってきたのに……逆に守られるだけになるとか、プライドが……悠也のことを守れるのは俺だけだって思ってたのにな」

「ゆうちゃんっ!!」

ああ……こいつは本当に馬鹿なんだな。
勢いよく飛びつかれて俺の体は堤防を転がり、滑り落ちた……どころではない。崖だぞ?浮遊感を感じ怖いが死の心配はしていない。

俺を抱きしめたまま悠也は華麗に着地を決めるとキョロキョロあたりを確認してから走り出した。

日は沈みもう辺りは薄暗くなってきたが、悠也の足は森の奥へ向かって走る……そして、その足が止まった場所は……。

「泉?綺麗だな……」

何が光を発しているのか知らないが、ぼんやりと微かに光を放つ泉。蛍のような光も舞っている。

「俺……すごくすごく我慢してて……それなのに悠生があんなこと言うから……」

「悠也?なに……」

地面に下ろされ、そのまま横たえさせられる。
背中に感じるのは硬い地面ではなく……いつの間に取り出していたのかベッドの上だ。

こんな野外にぽつんと置かれたベッドは違和感でしかないだろうが、ぼんやりとした蒼い光に照らされる泉の景色の美しさと、そのほのかな光に照らされた、真剣な表情の悠也にツッコミを入れる気にはならなかった。

「ゆうちゃん……好き、ずっと好きだった。これからもずっとずっと……愛してる」

言葉と共に唇を塞がれて、返事をする隙は与えられない。

「ん……は……るぅ……」

どんな早技だか、気づくと一糸まとわぬ姿にされていた俺の体を悠也の掌が撫でていき……先ほどまで散々魔物たちに弄られてきた体はそれだけで熱く火照り、興奮を露わにしている。

「んんんぅ……ん……んはっ……は、は、ぁ」

悠也の手や舌の動きに落ち着きなどは微塵もなく、まるで貪るかのような性急さ。

「っ!!…………あ……」

何度も狙われて、何度も侵入を回避していた箇所に悠也の指が触れた。

相手は悠也、その先を……遮るモノなどない。
少し震える手で悠也の肩を掴んで……震えを無理矢理に止めた。

「ゆうちゃん……怖い……よね?」

「……やめろって言って……お前はやめれんの?」

目に見えた強がりで悠也の目を睨むと少し困った様に眉が下がる。

「……ゆうちゃんが嫌がるなら……頑張……」

全ては言わせずに、今度は俺から悠也の口を塞いだ。
何度も啄むような口づけを交わして深く悠也の口内の熱を確かめていく。

この景色の……ムードに流されている可能性は大いにある……が、

「……お前となら何も怖くねょ……バァカ……」

「っ!!!!はるちゃんっ!!!!」

「グガハッ!!」

今までのどの魔物の攻撃よりも強い力で抱きしめられて、今までのどの魔物よりも荒々しく腰を、ブツを何度も擦り付け押し付けられる。

「まっ!!落ち着け!!待って待って!!まずは慣らして……く……っっっっっーーーー!!」

ズンッと重い衝撃が背骨を抜けていった。

「あっ……あ……あぁ…………」

重い衝撃の後にじわじわと襲いくる突き刺すような鋭い痛みが広がって足が痙攣を始める。

挿入った……。

ムードもひったくれもない、俺を抱きしめたままの悠也からは「ハーハー」と興奮した獣の様な荒い呼吸だけが聞こえる。これは俺が悪いんだろうか……。

だけど……本当だった。

悠也なら怖くない。
悠也となら……こういう関係になっても嫌じゃない。
聖女として生きるなら……悠也が良いと……。

悠也のこと……そういう意味で好きになれると……。

「ゆうちゃん……ゆうちゃんの中に……俺、俺が……」

ぼんやりと悠也の光が白く発光して、痛みが引いていく。
回復魔法をかけられたらしく痛みは無くなったが、挿入されたままの太いモノの与えてくる圧迫感だけが浮き彫りになり、悠也と繋がったことを、セックスしているのだということをリアルにさせる。

嫌悪感なんて全くない。
むしろこんなに自我を無くすように求められる事に、必要とされていることに喜びを感じている。

あれだけ腰を振って押し付けてきていた悠也も、今は静止してただ震えている。お前も俺と同じように、感慨に耽っているのだろうか?
それはそれで嬉しいのだが……。

「動いてよ、悠也……もっとお前に求められたい……もっと……お前を感じたい」

ずっと布団に沈めていたままだった悠也の頬に触れて、俺の方を無理矢理向かせて……

ああ、悠也だ。

ボロボロと大粒の涙を零す顔は昔の……俺がこいつを守るんだって何度も思ってきた時のままの顔。

違うと思っていた……でも……。

「俺も……愛してるよ、はるちゃん」

きっとずっと……ずっと前から俺も悠也を愛してた。悠也より俺が少し子供だっただけのこと。




激しく何度も突き上げられて、揺れる頭でそんな事をぼんやりと思う。

愛しさが全身を駆け巡り快感とぐちゃぐちゃに混ざり合って脳を麻痺させていく。

「はるちゃ……好き……すきぃ……」

必死にしがみついた、記憶よりも逞しくなった体が、今度は優しく抱きしめてくれる。宝物の様に優しく優しく腕の中に包み込まれて安心感の中で愛が弾けた。

それでも終わらない愛。

幻想的な景色の中、相反する荒々しい獣のような行為は一晩続いていった。
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