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◆第10話「朝チュン希望」

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チュンチュン……

そんな可愛い小鳥の囀りはなく。
ギャワギャワと謎の鳴き声で目が覚める。

軽い倦怠感を感じるのは……一晩中、体の上に回されていたこいつの腕のせいか、昨夜のこいつのご乱心のせいか。

乱れたままの着衣に昨夜の記憶が蘇ってくる。

======

「ゆうちゃん、好き、大好き……ずっとこうして触れたかったんだ」

いつものじゃれあいの接触とは違う、明らかな欲を持った手つきの掌がシャツの裾から入り込んで、俺のお腹を撫でてから上へと……胸へと移動してくる。

「あ……悠也、ちょっと……」

胸を撫でられて体が強張る。押し退けようとしても……こんなに力の差があっただろうか、のしかかってくる体はビクともしない。

「ん……んぅ……」

黙ってろというように唇を塞がれる。
生温かい舌が割り入ってきて、何かを確かめるかのように口内で動く。

こいつだってずっと彼女なんていなかったはず……なんでこんなに慣れたふうに。

「んんっ」

ずっと優しく撫でられていた乳首を急に指でつままれて、条件反射化体が軽く弓形に跳ねる。

「はっ……はぁ……あっ!!」

解放された口で大きく息を吸い込むが、すぐに吐き出させられた。いつの間にかはだけさせられて開放されていた胸に、乳首に……悠也の唇が触れる。愛おしそうに口付けられ、舐められ、吸われて……。

「悠也……シャレになんねぇって」

「洒落や冗談でこんなことしない」

こんな事と言った手がズボンの中に差し込まれ、更に下着の中へ。そして……生で直に……。

「悠也っ!!」

「大丈夫、最後まではしない」

全然大丈夫じゃないです。
しかし悠也のては構わず俺のモノを優しく握りしめた。

「あ……俺、いま……ゆうちゃんのに触れてるんだ……」

嬉しそうな、陶酔したような悠也の顔。
乳首への刺激、直接下半身へ与えられる刺激。
初めて人に触れられ刺激を与えられて……なれない所業に俺のモノは素直にヌルリとした液体を溢す。それがまた新たな刺激として脳を撃つ。

「あ……ぅ……」

「ゆうちゃん気持ち良い?俺も気持ち良くさせて?」

どうやって?
と聞く前に太ももを揃えて持ち上げられた、股の間に硬いけど柔らかいものが突き込まれる。

悠也のだ……これは俗にいう『素股』か。
悠也のモノもすでに勃ち上がり、俺と同じように我慢できない欲を垂らしていて、お互いのモノがヌルヌルと擦れ合う。

「あ……はっ……はるちゃん……はるちゃん!!」

乳首へと戻ってきた頭を俺はしがみつく。何かに掴まっていないと不安になるような浮遊感。

悠也のモノがさらに熱く、大きく、速くなった気がする。

舐められた乳首に掛かる吐息すら刺激。

「あ、ああ、はるちゃん、俺……だめ……」

頭が痺れるような快感に俺は必死で悠也の頭にしがみ付く。

「ゆうちゃん可愛い……好きだよ。ずっとずっと好きだった」

2本一緒に握り込んだ掌が終わりを促すように上下して……

「んんっ……!!」

ビクンビクンと細かく揺れた俺の腰の動きに合わせて吐き出される精と開放感。

「ゆうちゃんっ」

少し遅れて悠也のモノからも吐き出された液体が俺の腹に落ちて……気だるさのまま……俺は襲ってきた羞恥から逃げるように瞳を閉じた。

======

さっぱりした体に昨日の名残はないが、記憶だけはしっかりある。
つい、とは言え「はるちゃん」なんて昔の呼び方までして甘えてしまった羞恥心に身悶えていると、体の上に乗っけられていた腕が意識を持って体を抱きしめてきた。

「ゆうちゃん、おはよ……」

何その眩しくて甘い笑顔。
一度やったぐらいで彼氏面して~ってやつか!?甘い、甘すぎるよその笑顔!!

「お……はよ」

顔が熱い、それと同じぐらいに抱きしめられて密着した悠也の体が熱い。

「朝からそんな食べて下さいみたいな可愛い顔やめてよ……可愛すぎて死にそう」

さらに強く抱きしめられて……脚に硬いモノが触れる。
朝だから仕方ないけど恥ずかしい。

「馬鹿な事言ってないで、朝ごはん作るから離せ……」

軽く押すと体はすんなりと離れた。

「俺も手伝う、何したらいい?」

「手伝ってほしい事出来たら声掛ける。テント片付けてて……」

「わかったー」

指示をすると素直な返事をしてテントをしまい始める。
昨夜の完全に主導権を握っていた男とは別人の様にその首に首輪とリードの幻が見えるぞ。

卵を器に割り入れて、甘めに味をつけてから混ぜる。
混ぜて、焼きながら軽く混ぜて一箇所に寄せて……。

「ゆうちゃん終わった、他には何したらいい?」

『ゆうちゃん可愛い……好きだよ。ずっとずっと好きだった』

名前を呼ばれて、昨日囁かれた甘い言葉と甘い声が蘇る。
ずっとずっとっていつから?いつから悠也は……。
言葉と共に昨夜覚えた快感をも思い出して体がブルっと震えた。

「ゆうちゃん風邪ひいた?」

「ひゃうっ!!」

不意打ちで顔を触られて変な声出た。
フライパンの中ではかき混ぜすぎたスクランブルエッグがそぼろになっていた。

「ああ~……」

食べられない事はないがちょっと残念。

「もう!!悠也が急に触るからだからな!!それと、改めて『ゆうちゃん』は禁止!!」

「え~何で?昨夜はゆうちゃんも『はるちゃん』って呼んでくれたじゃん、俺思わずイっちゃうとこだった」

「ああ!!良いから朝から黙れ!!とにかく禁止だ、禁止!!」

気を取り直してハムという名の茹で豚の様なものを焼こうとした頬にまたまた不意打ちで……キス。

「了解、テーブルセットしてくるね。悠生」

捨て台詞の様に名前を囁かれた俺の頭に、フライパンからフライングしたハムが……くそっ!!あいつはあんな奴だったか?
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