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所変われば……
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マルトリノさんに試食してもらう前に、豪快さが似ていて同じ村出身という事で、隊長の反応を見てみようと、詰所のお昼ご飯でおむすびを出してみた。
「変わった食べ物だけど美味いな!!」
さすが隊長、全く躊躇する事なく食べてくれた。
ディックもすぐに手を伸ばして美味いと言ってくれて、若さの勢い凄いと感心させられた。
「見た目はあれだが……食べてみると美味いな」
隊長が食べてくれた事もあり、ナタスンさんもゴルカーさんも手を伸ばしてくれた。
ハイケンさんは……躊躇していたので貴族出身者には厳しいのかもしれない。
ルノさんの反応を見て不安だったけど、隊長やディックの反応でちょっと安心した。よかったよ、俺の味覚がおかしいんじゃなくて。
この分ならマルトリノさんも見た目で敬遠して食べてくれないという事は無さそうだ。
ククの実の大規模な取引はなくても、この街で俺が消費するぐらいは仕入れてくれるかもしれない。
もし無理でも、そんなに珍しい植物ではない植物みたいだからルノさんに生えてるとこまで連れて行ってもらえたら採り放題、でもできたら……アシルさんのお世話になりたいな。
夜、マルトリノさんと会うのが楽しみだった。
ーーーーーー
マルトリノさんもククの実の味は気に入ってくれて、一定量を定期的に店に並べてくれるそうだ。
ルノさんと未開の地に籠もっていた時に入手して、ギルドでは引き取ってもらえなかった素材の買取もお願いできて、スクロールが大変だったインベントリもすっきりとした。
馴染みのある主食を手に入れる事ができていい感じだと思ったんだけど……。
ーーーーーー
ククの実は『魔物の食べ物』とルノさん言ってたっけ。そんなまさか……と思うけど食べさせてしまった俺の罪かもしれない。そう心の中で悔やみながら目の前の光景を眺めていた。
日が沈み、暗くなった詰所の中庭。
地面に描かれた魔法陣みたいな図形と蝋燭の明かりだけが揺れていた。
「スモヤラスモカンガンドゥラカ……」
何を言っているのか理解できない呪文をルノさんは魔法陣の中心で唱え続けている。その背後には大きな二体の鳥っぽい魔物の死体。
魔法陣の周りにはそれを見守る様に隊員達が蝋燭を持って立っている。わざわざアシルさんとオットーさんまで集まってくれている。俺はというと、祭壇みたいな物の前に置かれた椅子に座らされて……怪しい儀式の生贄の様……。
これがククの実が与える効果だとしたら大分ヤバい代物……でもアシルさんの田舎の近くは普通に食べてたって言ってたのに……。
何が起こるのかハラハラしながら流れを見守っているとルノさんが片手を天高く突き上げる。
「トスルムゥドゥンバンハアドーラウィ!!」
ルノさんは掌に光を集めるとそのまま魔法陣の中心へ押し付けた。
………何も起こらない?
静まりかえった中庭にちょっと拍子抜け感を感じていると突然背後に眩い光が降り立った。
「迷える子よ……汝の願い、聞き入れた。望み通り我が汝の誓いに立ち会い、しかと見届けよう」
……神降臨。
エルポープス呼び出す儀式?どう考えても悪魔召喚する勢いだったけど……。
大体こんな大掛かりな事をしなくても「話がある」って念じたら普通に来るじゃん。
でもルノさんは恭しく一礼をすると、後ろに置いてあった魔物の死体を魔法陣の中心に運び入れた。
いつも思うけど、よくその大きさの魔物を運べるよなぁ…………うっ!?
いきなり目の前で解体が始まった。
少しだけど、一緒に旅に出で見慣れたとはいえ不意打ちは驚く。
逃げ出そうとしたけれど、後ろからエルポープスに押さえられた。
「主役が席を立っちゃ駄目だろ?」
「主役って何の主役だよ?意味分かんない、何の儀式?」
小声で注意をされたので小声で文句を返しておいた。
「そっか、シーナは知らないのか。昔の人間がよくやってて、何してんだろうと不思議だったんだけどさ。ルノルトスにお願いされて俺も初めて知ったんだけど、いやぁ~シーナは幸せ者だと思うよ。俺の国に来て良かったと思うと思うな」
今のところ、この儀式において幸せは感じていない。
「だから何だって聞いてるんじゃん」
「ふふふ……求愛」
何故エルポープスがそこまで誇らしげなのかは放っておいて……なんて言った?求愛?
「……は?」
この儀式がおよそ求愛らしいムードが全く無いのも問題だけど、求愛ってあれだよな……プロポーズ。何で?『お付き合いしましょう』も無く、何故いきなりプロポーズ?
全くそんな素振りなく、今日の朝だって普通だったじゃん!!甘い雰囲気とか……皆無で……いつもと変わりなく……。
「くくく、パニクってんねぇ~皆の見ている前で公開プロポーズ、これは断れないよね。シーナは俺の世界に永住決定!!」
ルノさんにプロポーズされなくても永住する予定だったけど……公開処刑は避けたいな。
逃げ出そうとしたがまた捕まった。
「シーナのおかげでさ、この世界の生命力も上がって来てんだ。シーナには俺の世界に来た事を後悔して欲しくなくて幸せになって欲しいんだ」
いや、プロポーズなんてされなくてもルノさんと一緒にいられるだけで幸せですから!!
「俺が神格6以上あれば体作り変えて子供もつくれるようにしてやれたんだけど……」
いらない!!子供いらないから!!誰に産ませる予定だ!?エルポープスがショボ神で助かった。
何とかして逃げ出そうと試みようとしたけれど、目の前にルノさんがやってきていた。
「シーナ、俺と君では結婚は出来ない。それでも、叶うなら君と残りの人生を共に歩ませて欲しい。俺の愛……どうか受け取ってください」
そう言って目の前に差し出されたのは、新鮮な魔物の……。
何が求愛だ……やっぱり呪いの儀式じゃないか……俺の意識は何処か遠くへ飛んでいった。
ーーーーーー
「シーナ……ごめん。喜んでくれるかと思ったんだが……」
倒れてしまった俺は、祭壇に寝かせられていて、まんま生け贄だ。
心配そうに覗き込まれても何も答えられなかった……だって、俺の為を思ってやってくれたにしても喜ぶポイントが見つからないんだもん。
ルノさんを落ち込ませたままにするのは気が引けるけど、なにぶんインパクトが大きすぎ。俺はホラーは苦手なんだよ。
「あの……この儀式は一体どういう物なんですか?」
項垂れたままのルノさんはポツリポツリと説明をしてくれた。
「変わった食べ物だけど美味いな!!」
さすが隊長、全く躊躇する事なく食べてくれた。
ディックもすぐに手を伸ばして美味いと言ってくれて、若さの勢い凄いと感心させられた。
「見た目はあれだが……食べてみると美味いな」
隊長が食べてくれた事もあり、ナタスンさんもゴルカーさんも手を伸ばしてくれた。
ハイケンさんは……躊躇していたので貴族出身者には厳しいのかもしれない。
ルノさんの反応を見て不安だったけど、隊長やディックの反応でちょっと安心した。よかったよ、俺の味覚がおかしいんじゃなくて。
この分ならマルトリノさんも見た目で敬遠して食べてくれないという事は無さそうだ。
ククの実の大規模な取引はなくても、この街で俺が消費するぐらいは仕入れてくれるかもしれない。
もし無理でも、そんなに珍しい植物ではない植物みたいだからルノさんに生えてるとこまで連れて行ってもらえたら採り放題、でもできたら……アシルさんのお世話になりたいな。
夜、マルトリノさんと会うのが楽しみだった。
ーーーーーー
マルトリノさんもククの実の味は気に入ってくれて、一定量を定期的に店に並べてくれるそうだ。
ルノさんと未開の地に籠もっていた時に入手して、ギルドでは引き取ってもらえなかった素材の買取もお願いできて、スクロールが大変だったインベントリもすっきりとした。
馴染みのある主食を手に入れる事ができていい感じだと思ったんだけど……。
ーーーーーー
ククの実は『魔物の食べ物』とルノさん言ってたっけ。そんなまさか……と思うけど食べさせてしまった俺の罪かもしれない。そう心の中で悔やみながら目の前の光景を眺めていた。
日が沈み、暗くなった詰所の中庭。
地面に描かれた魔法陣みたいな図形と蝋燭の明かりだけが揺れていた。
「スモヤラスモカンガンドゥラカ……」
何を言っているのか理解できない呪文をルノさんは魔法陣の中心で唱え続けている。その背後には大きな二体の鳥っぽい魔物の死体。
魔法陣の周りにはそれを見守る様に隊員達が蝋燭を持って立っている。わざわざアシルさんとオットーさんまで集まってくれている。俺はというと、祭壇みたいな物の前に置かれた椅子に座らされて……怪しい儀式の生贄の様……。
これがククの実が与える効果だとしたら大分ヤバい代物……でもアシルさんの田舎の近くは普通に食べてたって言ってたのに……。
何が起こるのかハラハラしながら流れを見守っているとルノさんが片手を天高く突き上げる。
「トスルムゥドゥンバンハアドーラウィ!!」
ルノさんは掌に光を集めるとそのまま魔法陣の中心へ押し付けた。
………何も起こらない?
静まりかえった中庭にちょっと拍子抜け感を感じていると突然背後に眩い光が降り立った。
「迷える子よ……汝の願い、聞き入れた。望み通り我が汝の誓いに立ち会い、しかと見届けよう」
……神降臨。
エルポープス呼び出す儀式?どう考えても悪魔召喚する勢いだったけど……。
大体こんな大掛かりな事をしなくても「話がある」って念じたら普通に来るじゃん。
でもルノさんは恭しく一礼をすると、後ろに置いてあった魔物の死体を魔法陣の中心に運び入れた。
いつも思うけど、よくその大きさの魔物を運べるよなぁ…………うっ!?
いきなり目の前で解体が始まった。
少しだけど、一緒に旅に出で見慣れたとはいえ不意打ちは驚く。
逃げ出そうとしたけれど、後ろからエルポープスに押さえられた。
「主役が席を立っちゃ駄目だろ?」
「主役って何の主役だよ?意味分かんない、何の儀式?」
小声で注意をされたので小声で文句を返しておいた。
「そっか、シーナは知らないのか。昔の人間がよくやってて、何してんだろうと不思議だったんだけどさ。ルノルトスにお願いされて俺も初めて知ったんだけど、いやぁ~シーナは幸せ者だと思うよ。俺の国に来て良かったと思うと思うな」
今のところ、この儀式において幸せは感じていない。
「だから何だって聞いてるんじゃん」
「ふふふ……求愛」
何故エルポープスがそこまで誇らしげなのかは放っておいて……なんて言った?求愛?
「……は?」
この儀式がおよそ求愛らしいムードが全く無いのも問題だけど、求愛ってあれだよな……プロポーズ。何で?『お付き合いしましょう』も無く、何故いきなりプロポーズ?
全くそんな素振りなく、今日の朝だって普通だったじゃん!!甘い雰囲気とか……皆無で……いつもと変わりなく……。
「くくく、パニクってんねぇ~皆の見ている前で公開プロポーズ、これは断れないよね。シーナは俺の世界に永住決定!!」
ルノさんにプロポーズされなくても永住する予定だったけど……公開処刑は避けたいな。
逃げ出そうとしたがまた捕まった。
「シーナのおかげでさ、この世界の生命力も上がって来てんだ。シーナには俺の世界に来た事を後悔して欲しくなくて幸せになって欲しいんだ」
いや、プロポーズなんてされなくてもルノさんと一緒にいられるだけで幸せですから!!
「俺が神格6以上あれば体作り変えて子供もつくれるようにしてやれたんだけど……」
いらない!!子供いらないから!!誰に産ませる予定だ!?エルポープスがショボ神で助かった。
何とかして逃げ出そうと試みようとしたけれど、目の前にルノさんがやってきていた。
「シーナ、俺と君では結婚は出来ない。それでも、叶うなら君と残りの人生を共に歩ませて欲しい。俺の愛……どうか受け取ってください」
そう言って目の前に差し出されたのは、新鮮な魔物の……。
何が求愛だ……やっぱり呪いの儀式じゃないか……俺の意識は何処か遠くへ飛んでいった。
ーーーーーー
「シーナ……ごめん。喜んでくれるかと思ったんだが……」
倒れてしまった俺は、祭壇に寝かせられていて、まんま生け贄だ。
心配そうに覗き込まれても何も答えられなかった……だって、俺の為を思ってやってくれたにしても喜ぶポイントが見つからないんだもん。
ルノさんを落ち込ませたままにするのは気が引けるけど、なにぶんインパクトが大きすぎ。俺はホラーは苦手なんだよ。
「あの……この儀式は一体どういう物なんですか?」
項垂れたままのルノさんはポツリポツリと説明をしてくれた。
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