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お豆腐メンタルとお豆腐ボディ
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瞬間湯沸かし機だった。
街に近付き、見えてきたルノさんの姿は……レイニート様のゴーレム達が押さえてくれているけれど魔物化しちゃってるじゃん。レイニート様がなんとか呼び戻しを試みてくれているらしい。
「ルノさ~ん!!大丈夫ですから!!コレは魔物じゃないですから!!」
無事を知らせる為に持っていた鍬を思い切り振り回すと、チカチカ光る鍬のおかげかこっちに気付いてくれた。
こっちに顔を向けた二人へ向けてエルポープスは下降していく。
良かった……今すぐ戻れば大丈夫……。
「……って、何で通り過ぎるんだよ!?」
「だって、あの二人めっちゃ睨んでくる……」
怖がってる場合か!!
ほら……ルノさんレイニート様のゴーレム吹き飛ばしちゃった。あ、でも他の隊員達も集まって来てくれてる。
隊長をはじめ皆が西区に向かって走ってくるのが見える。隊長いたらルノさんの事は安心……。
「安心じゃねぇ!!翼まで生えちゃってんじゃん!!手遅れになる前に早く降ろせって!!打たれ強いんだから平気だろ!?」
岩をも砕く鍬でエルポープスを叩くけどビクともしない。
「平気でも怖いもんは怖い!!」
「怖くない!!早く行け!!」
エルポープスは唸りながらも旋回して皆の元へ……また通り過ぎた。
「やっぱり怖い!!」
本当にどうしようもない神様だ。
時間がないというのに……イライラしても解決しない。俺は大きく深呼吸をして、エルポープスの体を気を遣いながら優しく撫でた。
「もう1回だけ勇気出して近付いて……皆はエレーナとは違う怖くないよ」
「シ……シーナが言うなら……神様頑張ってみちゃうっ!!」
もう一度っと勇気を振り絞って皆に近付いてくれたがまた通り過ぎようと上昇を始めた時、エルポープスの背中を思い切り蹴った。
「ルノさんっ!!」
「「「シーナッ!!」」」
皆が集まってくる。ルノさんは……自我が残っているのかわからない……残っていれば俺を受け止めてくれるはずと思ったけど……。
「止めときゃ良かったぁぁぁっ!!」
勇気を出してエルポープスの背中から飛び降りてみたけど、風が痛いほど顔に当たるし……レイニート様の屋敷の屋根から飛び降りた時とは比べ物にならない程怖い!!
そして、何故か今になって飛び降り自殺した人を受け止めようとしてお互い亡くなったというニュースを観たことあるのを思い出した。
「ひぃぃ……ガボッ!?」
突然視界が歪み、口の中に……水!?突然の事にパニックになって溺れる俺の体を誰かが抱きしめてくれた。誰か……なんてわかってる。
「ヴボバッ!!」
しがみつき返した時……目の前の水が全て弾けた。
「ゲホッ!!ゴホッ……ル……ノさっひいいいっ!!」
感動の再会だけど体はまだ落ちている途中だった。
「シーナ……しっかり掴まっていて……」
落下地点に現れた水の塊に向けて……俺とルノさんの体は思い切りダイブした。
水は消えてびしょ濡れで畑の真ん中にルノさんと座り込んでいる。
「えへ……へ……怖かったです……ね」
「怖かったですねじゃない!!俺は……心臓が止まるかと思った……」
抱き締められて、手を回してルノさんの背中を撫でた。
「大丈夫かい!?シーナ!!」
「お前はっ!!怖がりなくせに何無謀な事してやがるっ!!」
隊長に怒鳴られ、その声量に体が強張った。
「ルノが水で衝撃を弱められたから良かったものの……俺達はお前を受け止めるぐらいどうって事ねぇが、受け止められたお前の体は衝撃に耐えられねぇのぐらいわかるだろ!?」
分かってるよ。気付いたのは落ちてる最中だったけど。
「心配掛けてすみませんでした……」
まだ震えの止まらないルノさんの背中を撫でてやる……その背中には翼は無い。
早く側に行かないとっと気持ちがはやり飛び出してしまったけど、ルノさんが冷静でいてくれて助かった。
漫画みたいに普通に受け止められてたら、俺だけ即死してたよ。それこそ最悪の事態になるとこだった。
気持ちが落ち着いて来たのか、ルノさんに頬を擦り寄せられる……けど、ルノさん周りも見て?皆に取り囲まれているんだよ?
「シーナ……シーナが無事に帰ってきてくれて良かった……じゃあもうあのクソ竜、撃ち落としても良いな」
ルノさんは俺を抱きしめたまま、未だに上空をウロウロしているエルポープスへ氷の視線を向けた。
クソなのは否定しないけど撃ち落としちゃ駄目です。一応神なので……。
「ルノさん……残念ですがあのクソ竜が……神様なんです」
「「「神っ!?アレが!?」」」
皆の声がハモる。そう……ビクビクしながら飛んでいるアレが神なんです。
「あの……皆さん少し向こうを向いていて貰っても良いですか?」
「あ?何で?」
「ちょっと呼んでみます」
これからもちょこちょこ現れそうなんだけど……その度にこんな騒ぎになられては困るから、皆と顔見知りになっておいてもらいたい。
ルノさん達が攻撃してこないとわかったら流石にあのへっぽこ神様だって怖がりはしないだろう。
「じゃあ、わかったら向こうむいててください」
隊長の体を裏返しにしようと力いっぱい押した。
隊長なんて1番顔が凶悪だからね。
「わかった、わかった。みんなもそういう事らしい。良いな?」
皆に後ろを向いてもらっている間に、場所を移動し鍬を振り回してエルポープスに合図を送った。
街に近付き、見えてきたルノさんの姿は……レイニート様のゴーレム達が押さえてくれているけれど魔物化しちゃってるじゃん。レイニート様がなんとか呼び戻しを試みてくれているらしい。
「ルノさ~ん!!大丈夫ですから!!コレは魔物じゃないですから!!」
無事を知らせる為に持っていた鍬を思い切り振り回すと、チカチカ光る鍬のおかげかこっちに気付いてくれた。
こっちに顔を向けた二人へ向けてエルポープスは下降していく。
良かった……今すぐ戻れば大丈夫……。
「……って、何で通り過ぎるんだよ!?」
「だって、あの二人めっちゃ睨んでくる……」
怖がってる場合か!!
ほら……ルノさんレイニート様のゴーレム吹き飛ばしちゃった。あ、でも他の隊員達も集まって来てくれてる。
隊長をはじめ皆が西区に向かって走ってくるのが見える。隊長いたらルノさんの事は安心……。
「安心じゃねぇ!!翼まで生えちゃってんじゃん!!手遅れになる前に早く降ろせって!!打たれ強いんだから平気だろ!?」
岩をも砕く鍬でエルポープスを叩くけどビクともしない。
「平気でも怖いもんは怖い!!」
「怖くない!!早く行け!!」
エルポープスは唸りながらも旋回して皆の元へ……また通り過ぎた。
「やっぱり怖い!!」
本当にどうしようもない神様だ。
時間がないというのに……イライラしても解決しない。俺は大きく深呼吸をして、エルポープスの体を気を遣いながら優しく撫でた。
「もう1回だけ勇気出して近付いて……皆はエレーナとは違う怖くないよ」
「シ……シーナが言うなら……神様頑張ってみちゃうっ!!」
もう一度っと勇気を振り絞って皆に近付いてくれたがまた通り過ぎようと上昇を始めた時、エルポープスの背中を思い切り蹴った。
「ルノさんっ!!」
「「「シーナッ!!」」」
皆が集まってくる。ルノさんは……自我が残っているのかわからない……残っていれば俺を受け止めてくれるはずと思ったけど……。
「止めときゃ良かったぁぁぁっ!!」
勇気を出してエルポープスの背中から飛び降りてみたけど、風が痛いほど顔に当たるし……レイニート様の屋敷の屋根から飛び降りた時とは比べ物にならない程怖い!!
そして、何故か今になって飛び降り自殺した人を受け止めようとしてお互い亡くなったというニュースを観たことあるのを思い出した。
「ひぃぃ……ガボッ!?」
突然視界が歪み、口の中に……水!?突然の事にパニックになって溺れる俺の体を誰かが抱きしめてくれた。誰か……なんてわかってる。
「ヴボバッ!!」
しがみつき返した時……目の前の水が全て弾けた。
「ゲホッ!!ゴホッ……ル……ノさっひいいいっ!!」
感動の再会だけど体はまだ落ちている途中だった。
「シーナ……しっかり掴まっていて……」
落下地点に現れた水の塊に向けて……俺とルノさんの体は思い切りダイブした。
水は消えてびしょ濡れで畑の真ん中にルノさんと座り込んでいる。
「えへ……へ……怖かったです……ね」
「怖かったですねじゃない!!俺は……心臓が止まるかと思った……」
抱き締められて、手を回してルノさんの背中を撫でた。
「大丈夫かい!?シーナ!!」
「お前はっ!!怖がりなくせに何無謀な事してやがるっ!!」
隊長に怒鳴られ、その声量に体が強張った。
「ルノが水で衝撃を弱められたから良かったものの……俺達はお前を受け止めるぐらいどうって事ねぇが、受け止められたお前の体は衝撃に耐えられねぇのぐらいわかるだろ!?」
分かってるよ。気付いたのは落ちてる最中だったけど。
「心配掛けてすみませんでした……」
まだ震えの止まらないルノさんの背中を撫でてやる……その背中には翼は無い。
早く側に行かないとっと気持ちがはやり飛び出してしまったけど、ルノさんが冷静でいてくれて助かった。
漫画みたいに普通に受け止められてたら、俺だけ即死してたよ。それこそ最悪の事態になるとこだった。
気持ちが落ち着いて来たのか、ルノさんに頬を擦り寄せられる……けど、ルノさん周りも見て?皆に取り囲まれているんだよ?
「シーナ……シーナが無事に帰ってきてくれて良かった……じゃあもうあのクソ竜、撃ち落としても良いな」
ルノさんは俺を抱きしめたまま、未だに上空をウロウロしているエルポープスへ氷の視線を向けた。
クソなのは否定しないけど撃ち落としちゃ駄目です。一応神なので……。
「ルノさん……残念ですがあのクソ竜が……神様なんです」
「「「神っ!?アレが!?」」」
皆の声がハモる。そう……ビクビクしながら飛んでいるアレが神なんです。
「あの……皆さん少し向こうを向いていて貰っても良いですか?」
「あ?何で?」
「ちょっと呼んでみます」
これからもちょこちょこ現れそうなんだけど……その度にこんな騒ぎになられては困るから、皆と顔見知りになっておいてもらいたい。
ルノさん達が攻撃してこないとわかったら流石にあのへっぽこ神様だって怖がりはしないだろう。
「じゃあ、わかったら向こうむいててください」
隊長の体を裏返しにしようと力いっぱい押した。
隊長なんて1番顔が凶悪だからね。
「わかった、わかった。みんなもそういう事らしい。良いな?」
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