48 / 87
俺の冒険はこれからだ!!
しおりを挟む
街では神が復活したという噂で持ちきりらしい。
『青い竜人が、現れた魔物を次々になぎ倒して行った』
うん。
それは半魔物化していたルノさんだね。
実際に神様は復活したけどすぐにドロップアウトしたし、神竜の像の様な猛々しい姿ではなくひょろっとしていて全体的に黒く目の下に深い隈のある引きこもり廃ゲーマーみたいな風貌だった。
でもそれは街の人は知らなくて良い……隊員達はみんな気がついているけれど、何も言わない。でも街の人にルノさんが魔物化しかけていたなんて知られたら、次はルノさんが討伐対象にされてしまう。
隊員達にはいろいろ端折りはしたけど『神様が復活して助けてくれた』と、伝えたのでみんなは神の復活について知ってはいる、また消えてしまった事も。
神が悪魔との戦いで敗れて消失していた事も教えると「見捨てられた訳ではないのか」と隊長は何故か少し嬉しそうだった。
ハイケンさんなんかは『聖女様』と手を組んで天を仰気ながら泣いていたから、無宗教の俺にはわからないけど、信仰心というものが完全に捨てられていた訳ではなく、みんな心の片隅で神様の帰還を待ち望んでいたんだろうな……あんな神でも。
心の拠り所である神は偉大な方が良いに決まっている。
真実は墓場までなんとしても持っていかなければ……俺がルノさんの人形を勝手に作って、ルノさんの毛髪、制服、パンツを隠し持っていた真実は……。
『公認ストーカーと非公認ストーカーが戦った』より『街の危機を神の化身が救った』の方がかっこいい。
獣人の中でも上位に置かれることの多い竜人。
ヤバイ……ルノさんのかっこいいが止まることを知らない。どこまでイケメン要素をガン積みしていくつもりだ。
自称神よりルノさんの方が何倍も強いしルノさんが神だってほうがしっくり来てしまう。ルノさんが神だったらきっと魔物なんていない平和な世界になるよ。
『(エンドロール)』
『ルノさん、ついに魔物のいない世界を実現させる事が出来ましたね。でも、警備隊の仕事なくなっちゃいましたね』
『ああ……そうだな。でもこの平和な世界なら君を連れて何処までだって行ける』
『ルノさん?』
『シーナ、君のいた世界には敵わないかもしれないが、これが君に贈れる精一杯の世界だ。この世界の良さを君に伝えたい。俺と一緒に……旅してくれないか?』
『ルノさん……これから、ここから俺達の旅が始まるんですね……』
「お前は本当に土を見ながらニヤニヤするのが好きだな」
「失敬な。こうして愛情たっぷりに命を育みながら、いかにしてこの街に緑溢れる未来を残そうかと考えているところです」
「へぇ~でも、食うんだろ?その命」
まあ……その為に育ててますから……。
隊長は情緒と言うものが無い。
「このノウモ一つが大勢の人の命を救うかもしれないでしょう。若い命を繋ぐために俺はノウモを育てるんですよ」
エレーナの襲撃から難を逃れた植木鉢産ノウモはオットーさんの『灰になったドュリュス』のお陰でスクスクと育ち過ぎて緑の蔓は植木鉢からはみ出している。体に悪いものでは無いと信じたい。
「はい、立派立派。だがお前が憂いていなくても世界は常に動いてる。新しい領主も決まったしな」
「え!?もう領主決まったんですか?早くないですか?」
領主の家の跡取りはあの魔物騒ぎの中、街を見捨て、自警団を連れて誰よりも早く逃げ出したくせに、戻ってきた途端に必死で復興作業をしている人たちに対し、武力で自分の分の食料や倒壊した屋敷の代わりの住居を要求して来て、街の人と対立してるって先日まで隊長、鬼瓦みたいな顔してたのに……。
「ああ、3日程前に兵を連れたヤシルの領主に攻め込まれたからな。国は国王の土地を侵さなければ領地争いに口出しはしねぇし、ヤシルの領主は一流貴族、三流貴族の能無しは降伏するしかねぇわ」
貴族の位は流なのか。一流と三流にどれ程の力の差があるか知らないけど領地争いの戦争が普通にあるんだ。
しかし国が何も関与してこないとか……放任主義で大丈夫?力を持った貴族が反旗を翻すとかないのか?
「もともと王都の奴らに取ってユノスは流刑地みてぇな扱いだしヤシルの領主に口出ししてまで欲しがる貴族なんて物好きは居ねぇよ。こんな辺境の街を手に入れたところで旨味がねぇ」
その流刑地の警備隊の隊長ですよね。俺も魔物だらけのこの世界に流刑として飛ばされて来たんだけどさ。
「新領主様がえらくお前存在を気にしているんだが……」
「俺の事話したんですか!?いやですよ!?王様とか貴族様とか面倒な事になる匂いしかしない!!」
きっと身柄を拘束されて無茶な事をやらされるに決まってる。雑巾で国中の土地を磨けとか、全ての土地の地図をかけとか……。
「俺は何も言ってねぇよ。まあ、力の事はバレてねぇと思う……ただ、昨日面会した時に『君たちの詰所でとても可愛らしい子を隠しているそうじゃないか。そんなに可愛い子ならぜひ俺も会ってみたいものだな』と言われた。まぁ貴族さんは好きもんが多いらしいし……気を付けろ」
何か意味深な視線で立ち去りぎわに腰を叩かれた。
「お、おれはかわいくないので、あんしんですね」
言いながらも背筋がゾクリと冷える……世の中には容姿関係なく、とにかく若ければ良いという人種もいなくはない。何をどう気をつけたら良いのかアドバイスをください!!
俺の救いを求める視線に気づいたのか、隊長は振り返りニッと笑って手をあげた。
「そんな事ねぇぞ?お前は十分可愛いさ。じゃ、見回り行ってくる。気をつけろよぉ~」
またそうやってあんたは、中途半端に言い捨てて……だから何をどう気をつければ良いか教えろよっ!!
相手領主だぞ!?貴族だろ!?
貴族といえば横暴で権力を振りかざし、平民の全てを毟り取っていくある意味『魔物』!!
魔物退治は十八番なんだから守ってくれよと心で泣いていたその時……。
「シーナ~!!お前に客だぞ!!」
「ひいっ!!」
ナタスンさんに呼ばれ、手が早いお貴族様は行動が早いっ!!と逃げ出そうと思ったが、ナタスンさんに連れられて中庭に入って来たのは、エレーナの魅了の驚異も消え、顔パスとなったカカルさんだった。
「大丈夫ですか?なんか顔色も悪いですね」
「変な声出してすみません。俺の大切な物が奪われそうだったもので……」
何としてでも守り抜かなければ……俺は権力には屈しない!!
「ルノルトスさん何処か悪いんですか!?まさかこの間の事件で大怪我を!?」
ルノさん?
「今はゆっくり休んでいるので大丈夫ですよ」
ただの二日酔いだし。ヒール薬は怪我は治しても二日酔いは治してくれないみたいだ。
「そうですか……良かった」
「そういうカカルさんは?もう得意先まわりしてるんですね。お店の方とか大丈夫だったんですか?」
食べ放題パーティーで在庫が心許なくなっていたから助かるけど、マルトリノさん達は大丈夫だったのだろうか?
「はは、マルトリノさんこういう時こそ商売だって言って燃えてますよ。たくさん持って来たし半額中なんで、いっぱい買ってください」
どこも食べ物に苦労してるだろうからって事か、さすがマルトリノさん。もし俺ブランドが立ち上がったらマルトリノさんと専売契約してもらおう。
シートの上に並べられていく食材達。
肉に関してはまだ余裕があるし、もしもの時はみんなにお願いすれば魔物を狩って来て解体してくれるから他の人達に回してもらおう……やっぱり欲しいのは野菜や調味料類だな。
必要な物を選んでいると、小さな袋がいくつか置いてある。
「これは?」
鑑定してみると『チェッドの種』と出た。
「種?」
カカルさんは、してやったりとドヤ顔で笑った。
「はい!!シーナさんノウモを育ててましたよね。うちで買ってくれる量が減るのは困るんですけどね……マルトリノさんにお願いしておきました」
俺が欲しがっていると思って用意してくれたのか……そんなんされたらもう買うしかないじゃん!!
こんなに気遣って貰ったら何かをお返ししたくなるけど……持ち物の中に何か良い物あったかな?
「シーナの声がすると思ったらカカルが来てたのか」
階段をルノさんが降りてきた。
「ルノさんもう起きて大丈夫なんですか?」
「ああ、シーナに呼ばれた気がしたから」
呼んでないけど、ナイスタイミングです!!
カカルさんには何よりのお礼になる。ルノさんファンサービスお願いします。
拝み始めた俺にルノさんは笑顔で首を傾げた。
「ルノルトスさん!!お怪我は大丈夫ですか!?まさかあんなに大勢の人が魔物化するなんて何かの前触れでなければいいんですが……」
「……そうだな」
あからさま過ぎるルノさんの塩対応だがカカルさんは喜んでいたのでお礼は出来た……のかな。
ーーーー
買った物を一旦収納鞄へしまい、地下室へ運び込んだ。
「種は植えないのか?」
「とりあえずノウモを収穫して植木鉢が空いたらですかね」
詳しいベルムントさんとオットーさんの意見も聞かないと、俺は家庭菜園すらした事ないからね。
「中庭に植えたら良いのに」
「流石にそれは……」
中庭は演習場として使っているのに、そんな事をしたら隊長から俺の顔に畝を作られちゃうよ。
「それよりルノさんお腹空いてませんか?何か軽くつまみます?」
「そうだな……ホットポムポムが飲みたいかな」
そんな話をしながら地下室の階段を昇っていると俺を呼ぶ声が聞こえる。カカルさんが何か忘れ物とかだろうか?
「何ですか?」
少し急いで階段を登りきるとナタスンさんが食堂から顔を覗かせた。
「ああシーナそこにいたのか。領主様からの令状だ。今すぐ屋敷に来いと馬車がお前を待ってる」
なんですと!?せっかく忘れてたのに……災いは忘れた頃にやって来るものなのか。
『行きたくない』とルノさん袖を握り締めた。
『青い竜人が、現れた魔物を次々になぎ倒して行った』
うん。
それは半魔物化していたルノさんだね。
実際に神様は復活したけどすぐにドロップアウトしたし、神竜の像の様な猛々しい姿ではなくひょろっとしていて全体的に黒く目の下に深い隈のある引きこもり廃ゲーマーみたいな風貌だった。
でもそれは街の人は知らなくて良い……隊員達はみんな気がついているけれど、何も言わない。でも街の人にルノさんが魔物化しかけていたなんて知られたら、次はルノさんが討伐対象にされてしまう。
隊員達にはいろいろ端折りはしたけど『神様が復活して助けてくれた』と、伝えたのでみんなは神の復活について知ってはいる、また消えてしまった事も。
神が悪魔との戦いで敗れて消失していた事も教えると「見捨てられた訳ではないのか」と隊長は何故か少し嬉しそうだった。
ハイケンさんなんかは『聖女様』と手を組んで天を仰気ながら泣いていたから、無宗教の俺にはわからないけど、信仰心というものが完全に捨てられていた訳ではなく、みんな心の片隅で神様の帰還を待ち望んでいたんだろうな……あんな神でも。
心の拠り所である神は偉大な方が良いに決まっている。
真実は墓場までなんとしても持っていかなければ……俺がルノさんの人形を勝手に作って、ルノさんの毛髪、制服、パンツを隠し持っていた真実は……。
『公認ストーカーと非公認ストーカーが戦った』より『街の危機を神の化身が救った』の方がかっこいい。
獣人の中でも上位に置かれることの多い竜人。
ヤバイ……ルノさんのかっこいいが止まることを知らない。どこまでイケメン要素をガン積みしていくつもりだ。
自称神よりルノさんの方が何倍も強いしルノさんが神だってほうがしっくり来てしまう。ルノさんが神だったらきっと魔物なんていない平和な世界になるよ。
『(エンドロール)』
『ルノさん、ついに魔物のいない世界を実現させる事が出来ましたね。でも、警備隊の仕事なくなっちゃいましたね』
『ああ……そうだな。でもこの平和な世界なら君を連れて何処までだって行ける』
『ルノさん?』
『シーナ、君のいた世界には敵わないかもしれないが、これが君に贈れる精一杯の世界だ。この世界の良さを君に伝えたい。俺と一緒に……旅してくれないか?』
『ルノさん……これから、ここから俺達の旅が始まるんですね……』
「お前は本当に土を見ながらニヤニヤするのが好きだな」
「失敬な。こうして愛情たっぷりに命を育みながら、いかにしてこの街に緑溢れる未来を残そうかと考えているところです」
「へぇ~でも、食うんだろ?その命」
まあ……その為に育ててますから……。
隊長は情緒と言うものが無い。
「このノウモ一つが大勢の人の命を救うかもしれないでしょう。若い命を繋ぐために俺はノウモを育てるんですよ」
エレーナの襲撃から難を逃れた植木鉢産ノウモはオットーさんの『灰になったドュリュス』のお陰でスクスクと育ち過ぎて緑の蔓は植木鉢からはみ出している。体に悪いものでは無いと信じたい。
「はい、立派立派。だがお前が憂いていなくても世界は常に動いてる。新しい領主も決まったしな」
「え!?もう領主決まったんですか?早くないですか?」
領主の家の跡取りはあの魔物騒ぎの中、街を見捨て、自警団を連れて誰よりも早く逃げ出したくせに、戻ってきた途端に必死で復興作業をしている人たちに対し、武力で自分の分の食料や倒壊した屋敷の代わりの住居を要求して来て、街の人と対立してるって先日まで隊長、鬼瓦みたいな顔してたのに……。
「ああ、3日程前に兵を連れたヤシルの領主に攻め込まれたからな。国は国王の土地を侵さなければ領地争いに口出しはしねぇし、ヤシルの領主は一流貴族、三流貴族の能無しは降伏するしかねぇわ」
貴族の位は流なのか。一流と三流にどれ程の力の差があるか知らないけど領地争いの戦争が普通にあるんだ。
しかし国が何も関与してこないとか……放任主義で大丈夫?力を持った貴族が反旗を翻すとかないのか?
「もともと王都の奴らに取ってユノスは流刑地みてぇな扱いだしヤシルの領主に口出ししてまで欲しがる貴族なんて物好きは居ねぇよ。こんな辺境の街を手に入れたところで旨味がねぇ」
その流刑地の警備隊の隊長ですよね。俺も魔物だらけのこの世界に流刑として飛ばされて来たんだけどさ。
「新領主様がえらくお前存在を気にしているんだが……」
「俺の事話したんですか!?いやですよ!?王様とか貴族様とか面倒な事になる匂いしかしない!!」
きっと身柄を拘束されて無茶な事をやらされるに決まってる。雑巾で国中の土地を磨けとか、全ての土地の地図をかけとか……。
「俺は何も言ってねぇよ。まあ、力の事はバレてねぇと思う……ただ、昨日面会した時に『君たちの詰所でとても可愛らしい子を隠しているそうじゃないか。そんなに可愛い子ならぜひ俺も会ってみたいものだな』と言われた。まぁ貴族さんは好きもんが多いらしいし……気を付けろ」
何か意味深な視線で立ち去りぎわに腰を叩かれた。
「お、おれはかわいくないので、あんしんですね」
言いながらも背筋がゾクリと冷える……世の中には容姿関係なく、とにかく若ければ良いという人種もいなくはない。何をどう気をつけたら良いのかアドバイスをください!!
俺の救いを求める視線に気づいたのか、隊長は振り返りニッと笑って手をあげた。
「そんな事ねぇぞ?お前は十分可愛いさ。じゃ、見回り行ってくる。気をつけろよぉ~」
またそうやってあんたは、中途半端に言い捨てて……だから何をどう気をつければ良いか教えろよっ!!
相手領主だぞ!?貴族だろ!?
貴族といえば横暴で権力を振りかざし、平民の全てを毟り取っていくある意味『魔物』!!
魔物退治は十八番なんだから守ってくれよと心で泣いていたその時……。
「シーナ~!!お前に客だぞ!!」
「ひいっ!!」
ナタスンさんに呼ばれ、手が早いお貴族様は行動が早いっ!!と逃げ出そうと思ったが、ナタスンさんに連れられて中庭に入って来たのは、エレーナの魅了の驚異も消え、顔パスとなったカカルさんだった。
「大丈夫ですか?なんか顔色も悪いですね」
「変な声出してすみません。俺の大切な物が奪われそうだったもので……」
何としてでも守り抜かなければ……俺は権力には屈しない!!
「ルノルトスさん何処か悪いんですか!?まさかこの間の事件で大怪我を!?」
ルノさん?
「今はゆっくり休んでいるので大丈夫ですよ」
ただの二日酔いだし。ヒール薬は怪我は治しても二日酔いは治してくれないみたいだ。
「そうですか……良かった」
「そういうカカルさんは?もう得意先まわりしてるんですね。お店の方とか大丈夫だったんですか?」
食べ放題パーティーで在庫が心許なくなっていたから助かるけど、マルトリノさん達は大丈夫だったのだろうか?
「はは、マルトリノさんこういう時こそ商売だって言って燃えてますよ。たくさん持って来たし半額中なんで、いっぱい買ってください」
どこも食べ物に苦労してるだろうからって事か、さすがマルトリノさん。もし俺ブランドが立ち上がったらマルトリノさんと専売契約してもらおう。
シートの上に並べられていく食材達。
肉に関してはまだ余裕があるし、もしもの時はみんなにお願いすれば魔物を狩って来て解体してくれるから他の人達に回してもらおう……やっぱり欲しいのは野菜や調味料類だな。
必要な物を選んでいると、小さな袋がいくつか置いてある。
「これは?」
鑑定してみると『チェッドの種』と出た。
「種?」
カカルさんは、してやったりとドヤ顔で笑った。
「はい!!シーナさんノウモを育ててましたよね。うちで買ってくれる量が減るのは困るんですけどね……マルトリノさんにお願いしておきました」
俺が欲しがっていると思って用意してくれたのか……そんなんされたらもう買うしかないじゃん!!
こんなに気遣って貰ったら何かをお返ししたくなるけど……持ち物の中に何か良い物あったかな?
「シーナの声がすると思ったらカカルが来てたのか」
階段をルノさんが降りてきた。
「ルノさんもう起きて大丈夫なんですか?」
「ああ、シーナに呼ばれた気がしたから」
呼んでないけど、ナイスタイミングです!!
カカルさんには何よりのお礼になる。ルノさんファンサービスお願いします。
拝み始めた俺にルノさんは笑顔で首を傾げた。
「ルノルトスさん!!お怪我は大丈夫ですか!?まさかあんなに大勢の人が魔物化するなんて何かの前触れでなければいいんですが……」
「……そうだな」
あからさま過ぎるルノさんの塩対応だがカカルさんは喜んでいたのでお礼は出来た……のかな。
ーーーー
買った物を一旦収納鞄へしまい、地下室へ運び込んだ。
「種は植えないのか?」
「とりあえずノウモを収穫して植木鉢が空いたらですかね」
詳しいベルムントさんとオットーさんの意見も聞かないと、俺は家庭菜園すらした事ないからね。
「中庭に植えたら良いのに」
「流石にそれは……」
中庭は演習場として使っているのに、そんな事をしたら隊長から俺の顔に畝を作られちゃうよ。
「それよりルノさんお腹空いてませんか?何か軽くつまみます?」
「そうだな……ホットポムポムが飲みたいかな」
そんな話をしながら地下室の階段を昇っていると俺を呼ぶ声が聞こえる。カカルさんが何か忘れ物とかだろうか?
「何ですか?」
少し急いで階段を登りきるとナタスンさんが食堂から顔を覗かせた。
「ああシーナそこにいたのか。領主様からの令状だ。今すぐ屋敷に来いと馬車がお前を待ってる」
なんですと!?せっかく忘れてたのに……災いは忘れた頃にやって来るものなのか。
『行きたくない』とルノさん袖を握り締めた。
122
お気に入りに追加
2,696
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる