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心にも懐にも優しい
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見回りから帰ってきたのかルノさんが風呂場の入り口に立っていた。
「二人で風呂に籠もっていると聞いたので心配になって来てみたら……隊長……あんた何してんだ」
冷たい風が吹き込んで来て上半身裸のままの隊長の体が震えた。これだけ筋肉が付いていても寒さは感じるのか。
隊長の膝の上から飛び降りるとルノさんにナイフを差し出した。
「これ良かったら使って下さい!!肌を傷付ける事は無いので髭の手入れが楽になると思います!!効果は隊長で確認済みですよ」
「俺……に……?」
「火は危ないですし……ヒール薬だって高価な物なんですよね?」
下級とはいえ毎日使っていればかなりの出費だと思う。そこを抑える事が出来たら中級のヒール薬を常備出来るぐらいの節約になるんじゃないか。
「シーナ……そうだったのか、ごめん……ありがとう」
ルノさんはそう言って笑顔を見せてくれた。いつも笑顔のルノさんだけどこういう時の笑顔は最強にカッコいい。
2度と顔面を焼くなんて事はしないでいただきたい。
「何で謝るんですか?喜んで貰えたなら良かったです」
これで朝から衝撃的な髭処理現場を見なくて済むしね。
「おい……イチャつくのは良いが早く俺の髭を何とかしろ」
「あ、忘れてました。すみません」
すっかり隊長の事を忘れていた。
隊長の右半分は綺麗に髭が剃られていて、左半分は残ったままだった。
「お前なぁ……初めはルノの後ろで不安そうな面してた癖に随分な態度じゃねぇか」
「隊長が悪い人じゃ無いって分かったからですよ」
ルノさんからナイフを受け取って隊長の髭の残りを剃っていった。
……あれ? 髪はまだ山賊風な伸ばしっぱなしだけど、きちんと髭を剃ると何ていうか……印象が違う。
「隊長も男前だったんですねぇ……」
厳ついと思っていた顔は芯の強そうな精悍な顔。これ髪も整えたら隊長ってば、かなり顔面偏差値高いのでは?
「ついでなんで髪も一緒に切ってしまいませんか?」
床に置いていた鋏を持ち上げた。
この鋏もすでに俺のお手製で切れ味抜群、追加効果で思いのままに切れるらしい。
「は?お前髪なんて切れんのかよ」
「切るだけなら子どもにだって出来ますよ。整えられるかどうかはやってみないとわかりませんけど……」
この先、髭はまだ先でも俺だって髪は伸びていく。人はともかく自分の髪を上手く整えられる様に練習しないと……シャキシャキと鋏を鳴らすと隊長は嫌そうに眉を潜めた。
「シーナが切ってくれるなら俺もお願いしようかな?」
「え……ルノさんの髪をですか?」
せっかく綺麗な髪なのに切っちゃうんだ。
「長い髪や髭は戦闘するのには不向きだ。特に俺の剣は攻撃範囲が狭いから相手に近づかないといけないからね」
趣味で伸ばしていたんじゃないんだ。
「わかりました!!隊長でしっかり練習します!!」
「何で俺が実験台なんだよ!?ルノの髪で試せば良いだろうが!!」
「そんな伸ばし放題にしていて身なりを気にしているなんてないでしょう?大丈夫!!やれる気がします!!」
「その自信は何処から来るんだ!!ううん……まあ良い。やってみろ」
腕を組んで堂々と座る隊長の背後に鋏を持って回った。
隊長はもうばっさり短髪でいいよね。
この顔でちょっと憂いのある長めの前髪とか似合わない。チョコレートの様な深い茶色の髪を1束掴むと、思い切りよくばっさりと鋏を入れた。
「おい……大丈夫なんだろうな……」
隊長は不安そうにバサリと切り落とされた髪を見た。
「大丈夫ですって、駄目でもハイケンさんかっこいいじゃないですか」
「……」
押し黙った隊長の髪を指で挟み込んで、第一刀に長さを合わせて切っていく。美容師さんの手の動きを思い出しながら細かく鋏を動かした。
記憶力頼みの真似事だったけど、なかなかいい感じじゃないか? 俺やっぱすごいかも……食堂経営もいいけどこの街に信用のおける美容院はないらしいから、美容院を開店させるのもいいなぁ。
この世界の女性の美のカリスマなんて言われて尊敬の眼差しを向けられちゃったりしてさ。
「上手に出来ました!!」
妄想に浸りながらもなかなかの出来栄えで、短い髪が爽やかな筋肉マッチョが出来上がった。
「首元がスースーするな。だが肩が軽くていいや」
「よく似合ってますよ。まるで王都にいた時の様です」
「……そうか」
ん? ルノさんも褒めてるのになんか微妙な感じ? 鏡があれば隊長にも出来栄えを確認してもらえるんだけど、鏡はすぐに割ってしまうらしく設置されていない。
「シーナの腕前が十分だって事はわかったよね?次は俺の髪を切ってくれる?」
ルノさんに肩を抱かれ体を引かれた。
見上げるといつもと変わらず微笑んでくれているのだが、何だか少し機嫌が悪そうな?
「ご飯の準備がありますし、ルノさん今日は午後も見回りって言ってましたよね?夕飯後、時間の余裕がある時でもいいですか?」
「ああ、楽しみがあると午後の仕事の活力になりそうだよ」
切った髪を片付けようとしたら、隊長は自分でやるから、飯の準備に行けと風呂場を追い出された。
中庭を横切り厨房へ入ると、棚の上のドラゴン像へお祈りして地下の食糧庫へ向かった。
地下室の扉を開けるとひんやりとした空気に包まれる。隊員さん達が買いだめしてくれた物をしまっているこの部屋は魔石にルノさんの氷魔法が込められているので食料が傷みづらい。生肉など危ないものはこっそり自分の収納鞄にしまってあるので安全。
「昼は何を作ろうかなぁ~ルノさんが買ってきてくれたサンドイッチみたいなの美味しかったし、作ってみようかな。出来たらパンも作れたら良いんだけど……」
この国の食べ物は全体的に歯応えがあり過ぎる。初めてルノさんにもらったパンはパン粉の塊を齧ってる気分だったもんな。
小麦粉を鑑定するとレシピが表示される様になった。
これは『鑑定』と『愛情』のスキルの相乗効果だろう。
小麦粉から『レシピ』を選んでパンを選択するとパンの種類がいくつか表示される。その中で光っているのは『無発酵パン』だけだった。パンなんて作ったことはないけど『発酵』ぐらいは聞いたことある。
でも『無発酵』だとどうなるのか分からないし、美味しいのか分からないけど、パンを焼くオーブンとか無いけどフライパンで作れるみたいだからそれを選択した。
大袋の小麦粉に悪戦苦闘して一階に運び終わってから収納鞄を使えば良かったと愕然としたりもしたけれど、俺は料理番を任されたんだ、みんなが帰ってくる前にご飯の支度を整えておくのがプロ!!落ち込んでいる暇はない。
さっそくパン作りへ取りかかった。
スキルに分量を聞かれてちょっと多めの12名分にしようとしたけれど、昨夜の食いっぷりから20名分で作る事にした。余ったら時間経過の無い素晴らしい俺の収納鞄へ入れておけば良いだけだ。
大きなボールにコップを使って小麦粉を移していく。秤を使わなくてもスキルが大体この位というのを教えてくれるので傍から見たら、感覚で調理する手慣れたプロに見えるだろう。
規定の量を出したら『ぽ~ん』と軽快な音が聞こえたので『ホエルメル』『ショガラン』と油を入れてこね合わせた。
力の無い俺には結構な重労働だ。混ざり合った物を調理の上で休ませている間に挟む具を用意しよう。
折角だし具材は色々あった方が楽しいな、肉をメインに何種類かおかずを作ってみよう。パンに挟めば大体の物は美味しくなるだろう。
カミソリをお手製にする為に頑張ったおかげで包丁もお手製に出来て、手を切る心配がなくなり、大胆な包丁捌きで中の具材をどんどん作っていった。
「二人で風呂に籠もっていると聞いたので心配になって来てみたら……隊長……あんた何してんだ」
冷たい風が吹き込んで来て上半身裸のままの隊長の体が震えた。これだけ筋肉が付いていても寒さは感じるのか。
隊長の膝の上から飛び降りるとルノさんにナイフを差し出した。
「これ良かったら使って下さい!!肌を傷付ける事は無いので髭の手入れが楽になると思います!!効果は隊長で確認済みですよ」
「俺……に……?」
「火は危ないですし……ヒール薬だって高価な物なんですよね?」
下級とはいえ毎日使っていればかなりの出費だと思う。そこを抑える事が出来たら中級のヒール薬を常備出来るぐらいの節約になるんじゃないか。
「シーナ……そうだったのか、ごめん……ありがとう」
ルノさんはそう言って笑顔を見せてくれた。いつも笑顔のルノさんだけどこういう時の笑顔は最強にカッコいい。
2度と顔面を焼くなんて事はしないでいただきたい。
「何で謝るんですか?喜んで貰えたなら良かったです」
これで朝から衝撃的な髭処理現場を見なくて済むしね。
「おい……イチャつくのは良いが早く俺の髭を何とかしろ」
「あ、忘れてました。すみません」
すっかり隊長の事を忘れていた。
隊長の右半分は綺麗に髭が剃られていて、左半分は残ったままだった。
「お前なぁ……初めはルノの後ろで不安そうな面してた癖に随分な態度じゃねぇか」
「隊長が悪い人じゃ無いって分かったからですよ」
ルノさんからナイフを受け取って隊長の髭の残りを剃っていった。
……あれ? 髪はまだ山賊風な伸ばしっぱなしだけど、きちんと髭を剃ると何ていうか……印象が違う。
「隊長も男前だったんですねぇ……」
厳ついと思っていた顔は芯の強そうな精悍な顔。これ髪も整えたら隊長ってば、かなり顔面偏差値高いのでは?
「ついでなんで髪も一緒に切ってしまいませんか?」
床に置いていた鋏を持ち上げた。
この鋏もすでに俺のお手製で切れ味抜群、追加効果で思いのままに切れるらしい。
「は?お前髪なんて切れんのかよ」
「切るだけなら子どもにだって出来ますよ。整えられるかどうかはやってみないとわかりませんけど……」
この先、髭はまだ先でも俺だって髪は伸びていく。人はともかく自分の髪を上手く整えられる様に練習しないと……シャキシャキと鋏を鳴らすと隊長は嫌そうに眉を潜めた。
「シーナが切ってくれるなら俺もお願いしようかな?」
「え……ルノさんの髪をですか?」
せっかく綺麗な髪なのに切っちゃうんだ。
「長い髪や髭は戦闘するのには不向きだ。特に俺の剣は攻撃範囲が狭いから相手に近づかないといけないからね」
趣味で伸ばしていたんじゃないんだ。
「わかりました!!隊長でしっかり練習します!!」
「何で俺が実験台なんだよ!?ルノの髪で試せば良いだろうが!!」
「そんな伸ばし放題にしていて身なりを気にしているなんてないでしょう?大丈夫!!やれる気がします!!」
「その自信は何処から来るんだ!!ううん……まあ良い。やってみろ」
腕を組んで堂々と座る隊長の背後に鋏を持って回った。
隊長はもうばっさり短髪でいいよね。
この顔でちょっと憂いのある長めの前髪とか似合わない。チョコレートの様な深い茶色の髪を1束掴むと、思い切りよくばっさりと鋏を入れた。
「おい……大丈夫なんだろうな……」
隊長は不安そうにバサリと切り落とされた髪を見た。
「大丈夫ですって、駄目でもハイケンさんかっこいいじゃないですか」
「……」
押し黙った隊長の髪を指で挟み込んで、第一刀に長さを合わせて切っていく。美容師さんの手の動きを思い出しながら細かく鋏を動かした。
記憶力頼みの真似事だったけど、なかなかいい感じじゃないか? 俺やっぱすごいかも……食堂経営もいいけどこの街に信用のおける美容院はないらしいから、美容院を開店させるのもいいなぁ。
この世界の女性の美のカリスマなんて言われて尊敬の眼差しを向けられちゃったりしてさ。
「上手に出来ました!!」
妄想に浸りながらもなかなかの出来栄えで、短い髪が爽やかな筋肉マッチョが出来上がった。
「首元がスースーするな。だが肩が軽くていいや」
「よく似合ってますよ。まるで王都にいた時の様です」
「……そうか」
ん? ルノさんも褒めてるのになんか微妙な感じ? 鏡があれば隊長にも出来栄えを確認してもらえるんだけど、鏡はすぐに割ってしまうらしく設置されていない。
「シーナの腕前が十分だって事はわかったよね?次は俺の髪を切ってくれる?」
ルノさんに肩を抱かれ体を引かれた。
見上げるといつもと変わらず微笑んでくれているのだが、何だか少し機嫌が悪そうな?
「ご飯の準備がありますし、ルノさん今日は午後も見回りって言ってましたよね?夕飯後、時間の余裕がある時でもいいですか?」
「ああ、楽しみがあると午後の仕事の活力になりそうだよ」
切った髪を片付けようとしたら、隊長は自分でやるから、飯の準備に行けと風呂場を追い出された。
中庭を横切り厨房へ入ると、棚の上のドラゴン像へお祈りして地下の食糧庫へ向かった。
地下室の扉を開けるとひんやりとした空気に包まれる。隊員さん達が買いだめしてくれた物をしまっているこの部屋は魔石にルノさんの氷魔法が込められているので食料が傷みづらい。生肉など危ないものはこっそり自分の収納鞄にしまってあるので安全。
「昼は何を作ろうかなぁ~ルノさんが買ってきてくれたサンドイッチみたいなの美味しかったし、作ってみようかな。出来たらパンも作れたら良いんだけど……」
この国の食べ物は全体的に歯応えがあり過ぎる。初めてルノさんにもらったパンはパン粉の塊を齧ってる気分だったもんな。
小麦粉を鑑定するとレシピが表示される様になった。
これは『鑑定』と『愛情』のスキルの相乗効果だろう。
小麦粉から『レシピ』を選んでパンを選択するとパンの種類がいくつか表示される。その中で光っているのは『無発酵パン』だけだった。パンなんて作ったことはないけど『発酵』ぐらいは聞いたことある。
でも『無発酵』だとどうなるのか分からないし、美味しいのか分からないけど、パンを焼くオーブンとか無いけどフライパンで作れるみたいだからそれを選択した。
大袋の小麦粉に悪戦苦闘して一階に運び終わってから収納鞄を使えば良かったと愕然としたりもしたけれど、俺は料理番を任されたんだ、みんなが帰ってくる前にご飯の支度を整えておくのがプロ!!落ち込んでいる暇はない。
さっそくパン作りへ取りかかった。
スキルに分量を聞かれてちょっと多めの12名分にしようとしたけれど、昨夜の食いっぷりから20名分で作る事にした。余ったら時間経過の無い素晴らしい俺の収納鞄へ入れておけば良いだけだ。
大きなボールにコップを使って小麦粉を移していく。秤を使わなくてもスキルが大体この位というのを教えてくれるので傍から見たら、感覚で調理する手慣れたプロに見えるだろう。
規定の量を出したら『ぽ~ん』と軽快な音が聞こえたので『ホエルメル』『ショガラン』と油を入れてこね合わせた。
力の無い俺には結構な重労働だ。混ざり合った物を調理の上で休ませている間に挟む具を用意しよう。
折角だし具材は色々あった方が楽しいな、肉をメインに何種類かおかずを作ってみよう。パンに挟めば大体の物は美味しくなるだろう。
カミソリをお手製にする為に頑張ったおかげで包丁もお手製に出来て、手を切る心配がなくなり、大胆な包丁捌きで中の具材をどんどん作っていった。
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