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有効利用の話
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狼の姿のなったヒュウガに押し倒されて、喉元に牙が……刺さらない。
ぷるぷると振るえた後、狼は大きく息を吐き出した。
俺の首元に触れたのは人の姿に戻ったヒュウガの唇だった。
「はぁぁ……こんだけ尽くしてきたのに、酷い仕打ちだな……俺にお前を殺せるわけ無いだろう……淫魔達も手を降ろせ……」
お姉様達は咄嗟に助けようとしてくれた様だ……ヒュウガの首には剣が……。
「ヤマトちゃんの考えてる事は分かってたけど……つい止めに入っちゃったわ」
「ヤマトちゃんには死んでもらうつもりだけど、それは狼が哀れすぎるものね」
「いや……どうせ死ぬならヒュウガに食べてもらった方が、ヒュウガと一緒に居られるかなって?」
魂の話だから肉体は不要品なんだよね……なら、有効利用しないと。
「俺は人間食わねぇし!!何だよその危ない思考はっ!!」
「でも……実家にって言うのは本当だよ?淫魔の力もないしこの先、俺はヒュウガを満足させられないと思う」
精霊になれたとして、あの光の玉とエッチは出来ないだろう。
「体の繋がりなら、もう十分やってきた……俺がカラスマの側に居たのは体だけが目的じゃねぇよ」
う~ん。
ヒュウガは常に盛ってたイメージが……体……というか、匂いやらに誘われてしまうだけだと言ってるけど……。
「……俺は二号だからな……アスを一番に思うお前ごと愛してる……狼の人獣だ……序列に従う事も本能に焼き付いてる」
それは、俺に……というよりは自分自身に言い聞かせている様だった。
「話まとまった?そろそろ、アストラウス様がダンジョン内の魔物を一斉に復活させるお時間だからさくっといっちゃお?」
「そうそう、ぐだぐだやっててもしょうがない!!痛くない様に私たちが魂、抜いてあげるからリラックスしててね」
え……淫魔のお姉様達が魂を抜いてくれるってことは……俺、ついに童貞卒業か?
ドキドキとわずかな期待を胸に頷く。
「……何赤くなってんだよ……お別れかも知れないのに緊張感ねぇな……」
ヒュウガにギュウッと抱きしめられた。
「行って来い……ここで待ってる。必ず帰って来いよ?」
「……いってきます。ヒュウガ、大好きだよ」
軽くいってらっしゃいのキスを交わすとお姉様達の前に進み出た。
「お……お願いします……」
お姉様達はプロだから……素人童貞か。
ドキドキしながらお姉様達の反応を待っていると……お姉様の手が俺の頭に乗せられて……。
ベリッと何かを剥がされた感覚とともに、足元に俺の体が倒れていた。
『え……?もうこれ、魂抜けたの?』
皆に話しかけるけど、もう声は届いていないようで誰も反応してくれない。
向こうの声ももう聞こえない。
『どうしたら良いんだろう……』
お姉様達と話していたヒュウガが俺の体を抱き上げて歩いていった。
お姉様達はどこかへ去っていった。
ついて行こうかと思ったけど地面に根がはえたみたいに動けない。
しばらくするとヒュウガが帰ってきた。
泥まみれ……俺の体を埋めてきてくれたのかな?
暇なのでとりとめのない事を考える。
闇の精霊か……。
だから俺は童貞卒業できなかったんだなぁ……。
…………。
アスの声が聞こえた気がしてフラフラとそちらへ向かって飛んでいく。
……眠りに落ちる様に、ゆっくりと意識が遠のいていった。
ぷるぷると振るえた後、狼は大きく息を吐き出した。
俺の首元に触れたのは人の姿に戻ったヒュウガの唇だった。
「はぁぁ……こんだけ尽くしてきたのに、酷い仕打ちだな……俺にお前を殺せるわけ無いだろう……淫魔達も手を降ろせ……」
お姉様達は咄嗟に助けようとしてくれた様だ……ヒュウガの首には剣が……。
「ヤマトちゃんの考えてる事は分かってたけど……つい止めに入っちゃったわ」
「ヤマトちゃんには死んでもらうつもりだけど、それは狼が哀れすぎるものね」
「いや……どうせ死ぬならヒュウガに食べてもらった方が、ヒュウガと一緒に居られるかなって?」
魂の話だから肉体は不要品なんだよね……なら、有効利用しないと。
「俺は人間食わねぇし!!何だよその危ない思考はっ!!」
「でも……実家にって言うのは本当だよ?淫魔の力もないしこの先、俺はヒュウガを満足させられないと思う」
精霊になれたとして、あの光の玉とエッチは出来ないだろう。
「体の繋がりなら、もう十分やってきた……俺がカラスマの側に居たのは体だけが目的じゃねぇよ」
う~ん。
ヒュウガは常に盛ってたイメージが……体……というか、匂いやらに誘われてしまうだけだと言ってるけど……。
「……俺は二号だからな……アスを一番に思うお前ごと愛してる……狼の人獣だ……序列に従う事も本能に焼き付いてる」
それは、俺に……というよりは自分自身に言い聞かせている様だった。
「話まとまった?そろそろ、アストラウス様がダンジョン内の魔物を一斉に復活させるお時間だからさくっといっちゃお?」
「そうそう、ぐだぐだやっててもしょうがない!!痛くない様に私たちが魂、抜いてあげるからリラックスしててね」
え……淫魔のお姉様達が魂を抜いてくれるってことは……俺、ついに童貞卒業か?
ドキドキとわずかな期待を胸に頷く。
「……何赤くなってんだよ……お別れかも知れないのに緊張感ねぇな……」
ヒュウガにギュウッと抱きしめられた。
「行って来い……ここで待ってる。必ず帰って来いよ?」
「……いってきます。ヒュウガ、大好きだよ」
軽くいってらっしゃいのキスを交わすとお姉様達の前に進み出た。
「お……お願いします……」
お姉様達はプロだから……素人童貞か。
ドキドキしながらお姉様達の反応を待っていると……お姉様の手が俺の頭に乗せられて……。
ベリッと何かを剥がされた感覚とともに、足元に俺の体が倒れていた。
『え……?もうこれ、魂抜けたの?』
皆に話しかけるけど、もう声は届いていないようで誰も反応してくれない。
向こうの声ももう聞こえない。
『どうしたら良いんだろう……』
お姉様達と話していたヒュウガが俺の体を抱き上げて歩いていった。
お姉様達はどこかへ去っていった。
ついて行こうかと思ったけど地面に根がはえたみたいに動けない。
しばらくするとヒュウガが帰ってきた。
泥まみれ……俺の体を埋めてきてくれたのかな?
暇なのでとりとめのない事を考える。
闇の精霊か……。
だから俺は童貞卒業できなかったんだなぁ……。
…………。
アスの声が聞こえた気がしてフラフラとそちらへ向かって飛んでいく。
……眠りに落ちる様に、ゆっくりと意識が遠のいていった。
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