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再会の光の話 ※悪魔視点

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ダンジョンの主としての仕事を終えて、王座に深々と腰をおろした。

ダンジョン内の魔物は全て復活させた。
罠の調整も全て終えた。

淡々と作業として毎日をこなした。


…………ヤマトと離れて何日が過ぎただろうか。

淫魔達の魂がヤマトから離れてからも、あの空間の結界だけはいきている様で中の様子は見えない。
最後に見たヤマトの姿は俺の魔力に押し潰されて苦しむ姿。

怖くて姿を盗み見に行くことさえ出来ない。

こんなつもりで淫魔の夫の相手を許した訳じゃ無かった。

淫魔達本人だって予想外の出来事だったろう。
ヤマトが望んでしまったから。
淫魔達を夫の元へ返してあげたいと……。

無意識だったのかもしれないがヤマトの望みは叶えられてしまった。

ヤマトの望みなら仕方ないと思った……変わったあのスキルが無くてもヤマトが側にいてくれるだけで幸せだからと思っていたのに、人間があんなに弱いと思わなかった。俺の魔力の前で立ち上がれない程になるなんて知らなかった。

生きている気がしない。
生きる気力が無い。

いっそ後継を見つけて何処かへ移り住もうか……いや、ヤマトはまだこのダンジョンにいる。
せめてヤマトが平穏にその生を全うするまではこのダンジョンを守っていかねば。


「アストラウス様、ヒュウガ殿がお見えです」

ガーゴイルに連れられて、ヒュウガが顔を見せた。
ヤマトの匂いをぷんぷんさせて……。
イラッと来たが、こいつとは血の契りを交わしたのでそれを反古する事は出来ないし、こいつを殺せばヤマトが悲しむ。

久しぶりのヤマトの匂いに涙が溢れそうになるのをヒュウガに敵意を向けることで堪えた。

「あ~アス……久しぶり……」

挙動不審に視線が定まらない。
こいつは馬鹿正直で隠し事をするのには向かない。

「何を隠している……前置きは良い。用件を言え」

会えないのにヤマトの匂いだけ嗅がされるなんてただの拷問じゃないか。

「あのな……俺は止めたんだぞ?でも、カラスマ言い出したら聞かなくて……おいカラスマ、ここまで来て恥ずかしがって無いで出てこいって……」

ヤマトが来てるのか!?
…………いや、気配は感じない。

「大丈夫だって……アスはお前のやる事に怒りはしねぇだろ」

ヒュウガは自分の胸元を見ながら喋っている。
……ついにおかしくなったか?


おずおずと…………。

ヒュウガの服の胸元から飛び出して来たもの……。

慣れない様に、ふらふらしながらこちらに向かって飛んで来た小さな小さな………黒い光の粒。

生まれたての闇の聖霊。

「……ヤマト?」

俺が名を呼ぶと嬉しそうに俺の手のひらに乗っかった。

手のひらの中の小さな微弱過ぎる存在。

「本当に……ヤマトなのか?」

黒い光がふるふる震えた。

「何でっ!?」

責める様にヒュウガを睨む。

「いろいろあって……カラスマがどうしてもアスの側に居たいって聞かなくて……そうなりました……」

ヒュウガも不本意だったのだろう。
口を尖らせて、拗ねている。

何があったのか問いただしたい、ヤマトに人間を止めさせたことを責め立てたい……だけど……今は喜びで胸が苦しい。

人間としての生を捨ててまで俺に会いに来てくれた。
俺は怖くて何も出来なかったのに……。

「ありがとう……ありがとう、ヤマト」

握り潰して仕舞わぬよう、ヤマトの体を握り込み……拳にキスをした。
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