最凶のダンジョンで宿屋経営

お風呂へ入れさせる話

なんで俺がこんな事をしなければならないのか……。


怪我人を風呂へ入れるわけにはいかず、仕方ないので怪我人はベッドに寝かせて置いて、残り二人を温泉へつれていった。

脱衣所で服を脱がせて風呂の入り方を説明するが、シャンプーやボディーソープにポカンとしている。
この世界の奴等の汚れは……どうしているんだ?

イライラしたので俺もシャツとズボンを脱いで、下着姿で座らせた奴等の頭を洗ってやっている。

うわっ……泡が茶色い……。
シャワーで流すと茶髪だと思っていた髪は綺麗な金髪だった。
この人どんだけ汚れてたんだよ……。

ボディタオルを泡立てて背中を擦る。
流石に股間やらまで洗ってやる気にはならないのでボディタオルを渡した。

「後は自分でやってくれ……」

男達は素直に俺がやったように身体を洗っていく。
シャワーで泡を落として湯船に浸かるように指示した。

「長く浸かり過ぎると逆上せるからな。頭の中まで熱くなってきたと思ったらすぐに出てきてくれよ」

こんなデカい人たちにのぼせられたら俺では何にも出来ないんだからな。

二人を残して脱衣所に戻ってタオルで濡れた身体を拭いているとあいつらの脱いだ服が目についた。
折角身体を綺麗にしても、この服を着るんじゃ意味ないよな……。

洗濯機とか……無いよな?
脱衣所を見渡すがそんなものは当然ない。

大体、防具って洗濯機にいれて良いもんか?
……手洗いとか面倒くさい。

もう一度脱衣所を見渡すと、ドラム式洗濯機っぽい物がある。

中に奴等の着ていたものを無造作に入れて1つしかないボタンを押す。
どうなるかなんてやってみないとわからない。
失敗した時は……失敗した時だよな。潔く土下座しよう。

俺は決して潔癖などではないが奴等は汚なすぎる。

浴場への扉が開いて奴等が上がってきたのでバスタオルを投げて身体を拭くように言った。
洗濯が終わるまでどうしよう……裸でうろつかれるのはなぁ。

脱衣篭に作務衣が入っていた。
この洋風な方々に作務衣?バスローブとかかと思ったんだけど……。
まぁ裸でうろつかれるよりは良いか。

着方を教えてから部屋に戻ると、怪我をしていた男の息が上がっている。

おでこを触ると熱が高い。

残念ながら俺に医学の知識はないので取りあえず頭に濡らしたタオルをのせてやると、怪我人の腹の虫が鳴った。怪我をしてても腹は減るのか、飯の催促までされた。

「図々しいな……」

しかしここで死なれて死体を置いていかれても困るしなぁ……何よりも人が死ぬところなんて見たくないな。

……しょうがない。
さっき見た館内図に食堂があったはずだ。
行けば何か食べ物があるだろう。

今だこの状況についてこれずに口を開けて呆然としている男達を残して部屋を出た。