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第57話 グレーダイヤの導き
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【Side アレクサンドル】
マリーの手を引いてマルシェから離れ、人気の無い路地へと入る。
「……あの、アレク?」
戸惑う声を聞きながらもその体を引き寄せると、私は彼女を思い切り抱き締めた。
(……何だったんだ? さっきのあの感覚は……?)
――言ってしまえば、よくあるナンパの光景だった筈だ。
その対象が私のマリーだったことには怒りを覚えたが、彼女の可愛さを考えれば想定の範囲内で。だからこそ、今日はずっと手を離さないようにしていたのだ。
喧嘩を止めるために仕方なく側を離れて、戻って来てみれば、案の定ナンパをされていて。知らない男が彼女に触れているのを見て苛立ちがピークに達したのは確かだが、それでもまだ、どう対処しようかと考える余裕はあったのだ。
それが、男の手がマリーの頭を掴もうとするのが見えた瞬間。
(……何だったんだ?! さっきのあの映像は……?!)
彼女のその白い喉から血が噴き出る映像が脳を掠め、それと同時に、彼女を喪う恐怖と絶望感が私を襲い、余裕なんて消え失せて。
気付けば、私は男の喉を掴んでいた。
(まだ……、心臓がドクドクしている……)
彼女を抱き締めてから気持ちは少しは落ち着いてきていたが。
未だ心臓は大きく脈を打ち続け、あの映像を思い出すたびに息は詰まって目には涙が滲む。
「……大丈夫。マリーはここにいる。……ちゃんと、生きてる……」
存在を確認するようにそう声に出せば、堪えきれない涙が一筋、頬を伝った。
「アレク様……?」
彼女の少し震える声に顔をゆっくり上げる。すると、涙を溜めたダークブラウンの瞳と目が合った。恐る恐る彼女の首筋に手を添えれば、彼女の手が重ねられ、その温かい体温に包まれる。
「……大丈夫です。私はここにいますわ。ほら、ちゃんと温かいでしょう? 貴方が助け出してくれたから、……生きて、ちゃんと貴方の腕の中にいるでしょう? 手だって、まだ繋げるわ」
涙を零しながらも、笑顔で、全てを理解しているかのように私を落ち着かせる言葉を話すマリー。
――その笑顔が。その体温が。その全てが温かくて。
心の底から安堵が広がり、私はようやく息がつけた気がした。
「ああ……。マリーは確かにここにいる。……すまなかった。怖かっただろう?」
彼女の頬に手を添え、親指で涙を拭い、目元にキスをしながらそう謝れば。
「たしかにちょっと怖かったですけど、……ふふふ。護身術を習っていて良かったと思いましたわ。まぁ、最終的にはアレク様に助けていただかなければならなかったですけど」
彼女も私の頬に手を添えて、指で私の涙を拭いながら、笑顔でそう答えた。
「ハハ。たしかに、さっきのあの一撃は見事だったよ」
「ふふっ。帰ったらジルとサラに報告しなくっちゃ」
「ああ、そうだな。……あーっと、すまない、買い物もまだ途中だったね。……君を一人にしたり、買い物途中で出てきたり、今日の私はダメダメだな」
「いいえ、そんな事ありませんわ。ジャムも買えましたし、お店もたくさん見る事ができました。今日はとても楽しかったです。……だから、夫婦になってもまたデートして下さいね」
「もちろん。また、一緒に来よう」
私たちはそう約束した後に一度キスをして、馬車の待つ広場へと足を向けた。
*
「こ、れは……、結構濡れてしまったな……」
広場へと向かう途中、急な通り雨にあった。
馬車の待つ場所まであと少しという所だったので走ることにしたのだが、結構濡れてしまったのである。
馬車の中から外を見れば、すでに雨はあがり、カラリと晴れていた。
「ええ。でも、ふふっ、あんな風に走るのも久しぶりで、ちょっと楽しかったです」
「ハハハ、そうだね。……あー、これももういいか」
二人で笑い合いながらタオルで濡れた部分を拭いていく。
ウィッグももう不要なので外した。
「……その髪色も新鮮で良かったですけど、やはりアレク様は黒髪の方が似合いますわ」
「そうかい?」
「ええ。なんと言うか、安心します」
「それは良かった。……さてと……」
話をしながらザッと手櫛で髪を整えた後、今何時だろうかと時計を取り出すためにポケットへ手を入れる。すると、コツリ、指先に触れる物があった。
(ああ、しまった。せっかくコレを渡すタイミングを計っていたのに、騒ぎのせいで忘れていた……)
一瞬、日を改めようかとも考えたが、やはり今日中に渡したいと思い直す。
(馬車の中とは少々ムードがないが、……仕方あるまい)
「……マリー。あの、これなんだが……」
そう言いつつ、ポケットからベロアでできた濃紺の小さな袋を取り出す。キョトリとした表情をするマリーの手を取り、私はその小袋を手渡した。
「……中を見ても?」
「もちろんだ。……すまない、本当はもっとちゃんとした場面で渡すべきだったんだろうが、タイミングを逃してしまってね。だが、どうしても今日中に渡したくて、…………マリー??」
唖然とした顔のまま、手のひらに乗ったソレを凝視して固まるマリー。その様子を不思議に思い、声をかける。
「……あの、……コレが、何故ここに? 後日屋敷に届くのではないのですか……?」
「あーー……、実は……、アナトールから戻った夜、君に寂しい思いをさせていたのだと本当に申し訳なく思ってね。ただその、私は仕事上、どうしても君を一人にする事が多くなってしまうから、何かこう、私の色の物を身につけてもらえたらと思ったんだよ」
ソレを乗せたマリーの両手に、私も手を添えて、彼女の目を見ながらゆっくりと話す。
「何がいいかと考えた時に自然と指輪がいいと思って、マダムのところに相談しに行っていたんだ。普段からつけてもらえるように、シンプルで、君が綺麗と言ってくれる私の瞳と同じ色のグレーダイヤを使った指輪が欲しくてね」
そこまで話をした後、彼女の手のひらからソレをもらい、次にゆっくりと彼女の左手を取る。
「私が衝動的に勝手に作っていた物だったから、お揃いで作るとか、君の好みとかまで気が回らなくて……。今日、マダムの店でデザイン画を見せた時に君が喜んでくれて、内心すごくホッとしていたんだ」
ソレは、先ほどマダム・リリアーヌのところでオーダーしたものと同じ、グレーダイヤが塡ったプラチナリング。
それをゆっくりとマリーの左手の薬指につけてから彼女の顔を見れば、瞳には今にも零れ落ちそうなほど涙が溜まっていて。
「……もらってくれる?」
私がそう聞けば、くしゃりと笑顔を浮かべて涙を溢れさせた。
「……ふっ、う、……ッ、嬉しぃ……ですっ。……あぁ、ほんとに、とてもキレイ……。貴方の瞳と同じで、とても……」
「うん。……ありがとう」
「グレーダイヤ……、運命の人と巡り合える石ですね……」
「……え?」
少し雨の香りが残る馬車の中、マリーが呟くように発したその言葉に、何故か心が反応して。
「ふふ。……知りません? グレーダイヤには色々と良い意味と効果があるんですよ。『永遠の愛』とか、『持ち主の願いにリンクしてパワーを与える』とか。あとは……」
「……『運命の人と巡り合う』……?」
マリーが話す言葉に続けて、自分でそう言った、その瞬間。
――「……変な色じゃないです。すごく綺麗じゃないですか。まるで磨かれたグレーダイヤみたい。とっても素敵で、私は好きです」――
――「光を当てるとキラキラ光って、先輩の瞳みたいにすごく綺麗なんですよ」――
……"彼女"の声が脳に響いた。
「……""俺"の目に……そんなパワーがあったらいいなー"……?」
マリーの顔を見つめながらその声につられてそう呟けば、マリーが驚いたように目を見開き、息を飲む。
そしてそれは、いつかの日のように。
恐る恐る何かを探るように私の目を見つめてきた後、再びくしゃりと笑顔を浮かべ、涙を零した。
「"先輩の瞳……本当に綺麗だから、……本物以上に、効果があるかもしれませんよ"……」
――っ、嗚呼。
(私は何故、今まで忘れていられたのか……!!)
――嗚呼、こんなにも大切な存在を。何故。
胸に掻き抱き、抱き締める。
「……ッッ、"万里"!!」
ああ、そうか。
"俺"だったのだ。あの時、この人が私の奥に見ていたのは。
私の奥に"俺"を見付けてしまったから、"自分"を責めていたのだ。
"自分"のせいだと。"自分"のせいで"俺"が死んだと。だから自分には私の側にいる資格はないのだと、そう、責めていたのだ。
(私がもっと早く思い出していれば……!!)
私の死について、自分を責める事は何一つとしてないのだと言ってあげられたのに。
「ごめん……っ。私こそ君を護りきれずに、……死なせてしまったのに……」
私がそう零せば、彼女が胸の中で強く首を横に振った。
「……ああ! ……マリ! ……マリ、マリ!! ……ずっと、ずっと! この名前を呼びたかった……!」
そう私が言った後、彼女がゆっくりと顔を上げたのでその顔を覗き込めば、少し眉を寄せて、泣き笑う彼女と目が合った。
「……私も、呼んでほしかったんです……。アレク様、貴方に……」
「何度でも呼ぶよ。マリ、何度でも。この先一生、何度でも呼んで、何度でも言うよ。…………マリ、愛してる。一生大事にするから、側にいてくれ」
「……ッ……は、い。私も。……私も愛してゆきます。……アレク様、貴方だけを」
窓から明るい光が差し込む中。
私たちはそう誓い合い、キスを交わしたのだった。
マリーの手を引いてマルシェから離れ、人気の無い路地へと入る。
「……あの、アレク?」
戸惑う声を聞きながらもその体を引き寄せると、私は彼女を思い切り抱き締めた。
(……何だったんだ? さっきのあの感覚は……?)
――言ってしまえば、よくあるナンパの光景だった筈だ。
その対象が私のマリーだったことには怒りを覚えたが、彼女の可愛さを考えれば想定の範囲内で。だからこそ、今日はずっと手を離さないようにしていたのだ。
喧嘩を止めるために仕方なく側を離れて、戻って来てみれば、案の定ナンパをされていて。知らない男が彼女に触れているのを見て苛立ちがピークに達したのは確かだが、それでもまだ、どう対処しようかと考える余裕はあったのだ。
それが、男の手がマリーの頭を掴もうとするのが見えた瞬間。
(……何だったんだ?! さっきのあの映像は……?!)
彼女のその白い喉から血が噴き出る映像が脳を掠め、それと同時に、彼女を喪う恐怖と絶望感が私を襲い、余裕なんて消え失せて。
気付けば、私は男の喉を掴んでいた。
(まだ……、心臓がドクドクしている……)
彼女を抱き締めてから気持ちは少しは落ち着いてきていたが。
未だ心臓は大きく脈を打ち続け、あの映像を思い出すたびに息は詰まって目には涙が滲む。
「……大丈夫。マリーはここにいる。……ちゃんと、生きてる……」
存在を確認するようにそう声に出せば、堪えきれない涙が一筋、頬を伝った。
「アレク様……?」
彼女の少し震える声に顔をゆっくり上げる。すると、涙を溜めたダークブラウンの瞳と目が合った。恐る恐る彼女の首筋に手を添えれば、彼女の手が重ねられ、その温かい体温に包まれる。
「……大丈夫です。私はここにいますわ。ほら、ちゃんと温かいでしょう? 貴方が助け出してくれたから、……生きて、ちゃんと貴方の腕の中にいるでしょう? 手だって、まだ繋げるわ」
涙を零しながらも、笑顔で、全てを理解しているかのように私を落ち着かせる言葉を話すマリー。
――その笑顔が。その体温が。その全てが温かくて。
心の底から安堵が広がり、私はようやく息がつけた気がした。
「ああ……。マリーは確かにここにいる。……すまなかった。怖かっただろう?」
彼女の頬に手を添え、親指で涙を拭い、目元にキスをしながらそう謝れば。
「たしかにちょっと怖かったですけど、……ふふふ。護身術を習っていて良かったと思いましたわ。まぁ、最終的にはアレク様に助けていただかなければならなかったですけど」
彼女も私の頬に手を添えて、指で私の涙を拭いながら、笑顔でそう答えた。
「ハハ。たしかに、さっきのあの一撃は見事だったよ」
「ふふっ。帰ったらジルとサラに報告しなくっちゃ」
「ああ、そうだな。……あーっと、すまない、買い物もまだ途中だったね。……君を一人にしたり、買い物途中で出てきたり、今日の私はダメダメだな」
「いいえ、そんな事ありませんわ。ジャムも買えましたし、お店もたくさん見る事ができました。今日はとても楽しかったです。……だから、夫婦になってもまたデートして下さいね」
「もちろん。また、一緒に来よう」
私たちはそう約束した後に一度キスをして、馬車の待つ広場へと足を向けた。
*
「こ、れは……、結構濡れてしまったな……」
広場へと向かう途中、急な通り雨にあった。
馬車の待つ場所まであと少しという所だったので走ることにしたのだが、結構濡れてしまったのである。
馬車の中から外を見れば、すでに雨はあがり、カラリと晴れていた。
「ええ。でも、ふふっ、あんな風に走るのも久しぶりで、ちょっと楽しかったです」
「ハハハ、そうだね。……あー、これももういいか」
二人で笑い合いながらタオルで濡れた部分を拭いていく。
ウィッグももう不要なので外した。
「……その髪色も新鮮で良かったですけど、やはりアレク様は黒髪の方が似合いますわ」
「そうかい?」
「ええ。なんと言うか、安心します」
「それは良かった。……さてと……」
話をしながらザッと手櫛で髪を整えた後、今何時だろうかと時計を取り出すためにポケットへ手を入れる。すると、コツリ、指先に触れる物があった。
(ああ、しまった。せっかくコレを渡すタイミングを計っていたのに、騒ぎのせいで忘れていた……)
一瞬、日を改めようかとも考えたが、やはり今日中に渡したいと思い直す。
(馬車の中とは少々ムードがないが、……仕方あるまい)
「……マリー。あの、これなんだが……」
そう言いつつ、ポケットからベロアでできた濃紺の小さな袋を取り出す。キョトリとした表情をするマリーの手を取り、私はその小袋を手渡した。
「……中を見ても?」
「もちろんだ。……すまない、本当はもっとちゃんとした場面で渡すべきだったんだろうが、タイミングを逃してしまってね。だが、どうしても今日中に渡したくて、…………マリー??」
唖然とした顔のまま、手のひらに乗ったソレを凝視して固まるマリー。その様子を不思議に思い、声をかける。
「……あの、……コレが、何故ここに? 後日屋敷に届くのではないのですか……?」
「あーー……、実は……、アナトールから戻った夜、君に寂しい思いをさせていたのだと本当に申し訳なく思ってね。ただその、私は仕事上、どうしても君を一人にする事が多くなってしまうから、何かこう、私の色の物を身につけてもらえたらと思ったんだよ」
ソレを乗せたマリーの両手に、私も手を添えて、彼女の目を見ながらゆっくりと話す。
「何がいいかと考えた時に自然と指輪がいいと思って、マダムのところに相談しに行っていたんだ。普段からつけてもらえるように、シンプルで、君が綺麗と言ってくれる私の瞳と同じ色のグレーダイヤを使った指輪が欲しくてね」
そこまで話をした後、彼女の手のひらからソレをもらい、次にゆっくりと彼女の左手を取る。
「私が衝動的に勝手に作っていた物だったから、お揃いで作るとか、君の好みとかまで気が回らなくて……。今日、マダムの店でデザイン画を見せた時に君が喜んでくれて、内心すごくホッとしていたんだ」
ソレは、先ほどマダム・リリアーヌのところでオーダーしたものと同じ、グレーダイヤが塡ったプラチナリング。
それをゆっくりとマリーの左手の薬指につけてから彼女の顔を見れば、瞳には今にも零れ落ちそうなほど涙が溜まっていて。
「……もらってくれる?」
私がそう聞けば、くしゃりと笑顔を浮かべて涙を溢れさせた。
「……ふっ、う、……ッ、嬉しぃ……ですっ。……あぁ、ほんとに、とてもキレイ……。貴方の瞳と同じで、とても……」
「うん。……ありがとう」
「グレーダイヤ……、運命の人と巡り合える石ですね……」
「……え?」
少し雨の香りが残る馬車の中、マリーが呟くように発したその言葉に、何故か心が反応して。
「ふふ。……知りません? グレーダイヤには色々と良い意味と効果があるんですよ。『永遠の愛』とか、『持ち主の願いにリンクしてパワーを与える』とか。あとは……」
「……『運命の人と巡り合う』……?」
マリーが話す言葉に続けて、自分でそう言った、その瞬間。
――「……変な色じゃないです。すごく綺麗じゃないですか。まるで磨かれたグレーダイヤみたい。とっても素敵で、私は好きです」――
――「光を当てるとキラキラ光って、先輩の瞳みたいにすごく綺麗なんですよ」――
……"彼女"の声が脳に響いた。
「……""俺"の目に……そんなパワーがあったらいいなー"……?」
マリーの顔を見つめながらその声につられてそう呟けば、マリーが驚いたように目を見開き、息を飲む。
そしてそれは、いつかの日のように。
恐る恐る何かを探るように私の目を見つめてきた後、再びくしゃりと笑顔を浮かべ、涙を零した。
「"先輩の瞳……本当に綺麗だから、……本物以上に、効果があるかもしれませんよ"……」
――っ、嗚呼。
(私は何故、今まで忘れていられたのか……!!)
――嗚呼、こんなにも大切な存在を。何故。
胸に掻き抱き、抱き締める。
「……ッッ、"万里"!!」
ああ、そうか。
"俺"だったのだ。あの時、この人が私の奥に見ていたのは。
私の奥に"俺"を見付けてしまったから、"自分"を責めていたのだ。
"自分"のせいだと。"自分"のせいで"俺"が死んだと。だから自分には私の側にいる資格はないのだと、そう、責めていたのだ。
(私がもっと早く思い出していれば……!!)
私の死について、自分を責める事は何一つとしてないのだと言ってあげられたのに。
「ごめん……っ。私こそ君を護りきれずに、……死なせてしまったのに……」
私がそう零せば、彼女が胸の中で強く首を横に振った。
「……ああ! ……マリ! ……マリ、マリ!! ……ずっと、ずっと! この名前を呼びたかった……!」
そう私が言った後、彼女がゆっくりと顔を上げたのでその顔を覗き込めば、少し眉を寄せて、泣き笑う彼女と目が合った。
「……私も、呼んでほしかったんです……。アレク様、貴方に……」
「何度でも呼ぶよ。マリ、何度でも。この先一生、何度でも呼んで、何度でも言うよ。…………マリ、愛してる。一生大事にするから、側にいてくれ」
「……ッ……は、い。私も。……私も愛してゆきます。……アレク様、貴方だけを」
窓から明るい光が差し込む中。
私たちはそう誓い合い、キスを交わしたのだった。
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