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思い立ったが吉日。

早速探しに行こうと思ったが、よく考えてみるとムゲンは公爵家の一人っ子坊ちゃんなのだ。そこら辺の商店や公園になどいるはずもない。
さてどうするか。


思い切って公爵家に突撃するか...?でも伯爵家の次男である僕なんかが行っても追い返されるだけだろう。

ストーリー上のリョウはどうやってムゲンと出会い、仲を深めて言ったのだろうか。友人どころか知り合いにすらなれそうにないぞ...!

...いっその事公爵家の執事として雇ってもらうのもありなのかもしれない。僕は地位や名誉などは興味無いのだ。何せゲームの中の世界だしね。
それに公爵家に仕えられたら、伯爵家の次男としても上出来だろう。

そんなものよりも僕はblを摂取したい。
I want bl.I need bl.
しかも執事になれたらムゲンと攻略対象者とのエッッッな事象だって合法的に聞けるかもしれないのだ。
やっばい僕は天才なのかもしれない!早速父上に話に行こう!



前世では見たことのないような大きな扉をノックすると数秒後に中から父上の声がする。

「誰だ」

「リョウです。父上にご相談があり、まいりました。お時間よろしいでしょうか?」

「リョウか、入ってこい」

軋む音ひとつしない扉を開けると中には父上と兄上であるリュウトがいた。


エルダー・リョウには兄がいたというのもこの世界に来て初めて知ったことの一つだ。リョウと同じくよく言えば人当たりがよく、悪く言えば印象に残らない顔なのだが、頭が良く、魔術も一通りできる出来のいい兄なのだ。


「兄様もいらっしゃったのですか!お話中に邪魔してしまい、申し訳ございません」

「大丈夫だよ、気にしないで。たわいのない世間話だったしね」

兄がにこやかに言う。
気分を害してはいなさそうだ。

「どうしたリョウ、珍しいな私の書斎に来るなんて」

あはは、、と愛想笑いをする。

小さい頃は何かこの世界や異世界転生に関する本やらがあるかとたむろっていたのだが、今は勉強やら魔術やらで読む時間もなかったのだ。

兄がおいでと言って隣を空けてくれる。
こんなに真剣な空気になるとは思わなくて急に緊張してきた。

「ありがとうございます。実は相談がありまして...」

「ほう、どうしたのだ」

「昨今貴族同士の関係が薄れており、それは当家も同じであると考えております。」

単刀直入に公爵家の執事になりたいです!なんては言うべきでは無い。敢えてざっくりとした指針や希望を伝え、提案してもらうのだ。

「そのため公爵家や他の家との繋がりを作るためにも、交流が必要だと思うのです」

「確かにね、パーティとかも特に参加していないし」

パーティ!そんなものもあった!すっかり忘れていた...もしかしたら本物のリョウはパーティでムゲンと知り合ったのかもしれない!

「なるほど。リョウの言うことも一理ある。伯爵家の我々では力不足ではあるが...上に進言してみよう」

「やったぁ!ありがとうございます!」
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