獣(創作男女)

ENZYU

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*.種は芽吹く。土は痩せる。太陽は姿を消す。

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扉近くで立ち止まる足音を聞き逃さなかった。
それきり音沙汰のなくなった扉を見つめる男の姿。低音の声が薄暗いホテルの室内に響く。



「入れ」



沈黙、後にゆっくりとドアノブが回され扉の軋む音が響いた。
中へともうすぐ成人を向かえる少女が素早く入り込むと、扉を閉めて一度大きく深呼吸をした。
ベッドの方へと振り返り歩いていくが、さてどこに行きどういう行動をしたらいいか迷い進む足のスピードが落ちていく。



「座れ」



とりあえず座ればよいのだ。ベッドへと近づこうとすると腰を引き寄せられて浮遊感がやってきたかと思いきや、膝に乗せられる形で少女は座らされていた。
近づいた距離感に驚く間もなく、耳元に吐息の気配、生暖かい熱が耳を舐め上げると共に水音が鼓膜へと響く。

首元へと落ちていった唇がその箇所を吸い上げると、赤い痕が残った。
それは今夜このホテルの一室でジンと面会することを許されたとあるエリアのトップに君臨する少女のお話。
有体に言ってしまえば、種付けを行ってその血を受け継いだ子供を作る。そういう表向きの用件なのである。
だが血だけではなく人間性に惹かれているのは事実だ。けれど婚約をして関係を結ぶということは構わない。ならばせめて子供だけでもと。


『子が欲しいというだけなら、わざわざ体を重ねなくとも、医師に任せ、孕むまでの順序を辿ることができればそれでいいだろう』



という言葉に倣った手紙がエリア49のトップ、ジンに使える者の書いた返事として渡ってきた。
婚約という流れだけではなく、そこまで具体的に書かれた文は初めてらしく、運よく返事は届いたが姿勢がよくないと痛感した。
言葉が少しでも届いた結果として返事がきたのなら、直接出向いて頭を下げたらどうだろうか。
諦めずにそのまま行動へと移してすぐさまエリア49へと出向く。手段をしては基本的に敵国のエリアの者なのだから簡単に通してもらえるわけはない。
けれど手元には帰ってきた返事がある。粗相に対して謝りたいという事柄を伝えた。
が結果的には通してもらえなかった。
こうなればよりすべての思いのたけを曝け出せばいい。文は無事に届くらしいのでそれを利用してやれることをやれるまで。
冷たくされようとなんだろうとやってみて結果を出してみないとどうなるかなどわからない。



これはただの悪あがきの結果と、なんとか掴み取った最初で最後の時間を過ごす口実でしかなかった。
それを知ってか知らずか、ジンは細い首元に赤い印をきつく残しながら、腰を撫でさする。
そのまま下へと向かい太腿を重心的に撫でた後、左足をあげさせ太腿を沿って臀部のあたりに手を這わせると緩く揉みこむ。
官能的な吐息、肌をくすぐる艶やかな黒髪、妖しい手の動きに少女の欲望はすぐに火をつけられ腹の奥深くが熱く疼く。
その気配をすぐに察したのか、行為を静かに止めると、次の段階へと進む為に少女を誘導させる。
無知で純粋無垢な女ではない、欲望を求める為には何が必要かなど安易に予想できる。
少女は迷いなくジンの両足の間に座り込み、細い手を伸ばす。

多少の緊張に震え、興奮の末に薄らと汗を肌の上に滲ませつつ、ジンの下衣へと手をかける。
チャックを下へ下ろし緩めると、下着の上から伝わる雄の存在に鼓動が高鳴る。
これが欲しい。下着にも手をかけて中身を出すと萎えたそれへと、顔を近づけて一度口付けた後に口内へと包み込んだ。
少しずつ舐めていくと、だんだんと時間をかけて反応していくのがわかった。歯を立てぬよう意識しつつ裏筋を舌の先で舐め上げる。
そうしているとジンの右手に絡みつかせるように髪の毛を弄び始めた。



「その程度で構わん」



更に行為を続けようとした矢先にそんな言葉が少女の頭上へと降ってくる。
名残惜しくも、雄から口を離すと銀色の糸がライトの光に照らされてきらめいた。
自分から下衣を脱ぎ去って、ジンの膝の上へと膝立ちになった後に、腰を下ろしていき位置を確認しながら雄に触れ入れていく準備は整った。
潤った奥へと、思っていたよりもすんなりと挿入されていく。
一度つっかかる場所で止まると同時にそこが処女膜の在り処だと認識する。
動じずにそのまま突き破る勢いで腰を一気に下ろすと、多少の痛みと、未知の場所を貫かれる快感へと押し流されていく。





「……貴様は、…空になるまで絞りとろうとでも…企んでいるのかっ…」



擦れた低音が鼓膜を揺さぶる。もう何度少女が果てたかいざ知れず。
その数よりは少ないが中にはもう既に何度も射精させられている。
それでもまだ足りないとばかりに乱れて己から腰を振る少女にジンが付き合っている。
汗ばんだ肌、溢れ混ざり合う精液と愛液、熱い吐息、ランプの光とは真逆の漆黒の影は乱れに揺らめいている。
ジンの擦れた低音は体への快感へと繋がるばかりで、言葉としての意味を頭の中に受け容れられる余裕は少女にはなかった。
喉の奥で笑うジンの声が耳元へと響き再び少女が果てる。



「いいだろう…存分にくれてやる」



果てた後の敏感な状態でピストンが早められ、足りない酸素を求めて呼吸をしながら、もがくように両手でジンにすがりつく。
一種の女性側の破壊衝動。それは身を滅ぼすことにはなるがまあこのまま壊されても構わないとは思う。
代わりにその首を掴んで崖の真下へ突き落としたいとも。


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