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灼熱に包まれた病(ジン×アカツキ:R-18)
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熱出してる中、昨夜は事後だったので
その中に放たれた精液をかきだされて舐めさせられたり
熱を出していることでなんだかんだ最後には冷たいなりにも水分補給させてくれたり
すごく怖がっているアカツキのところがお気に入りなので修正しました。
中身はあまり読み返してません…ちょっと難解な設定ありすぎて申し訳ないです。
*
ジンが軍服のジャケットの袖に腕を通し、支度をしていると
アカツキのいる向こうの扉側から物音が聞こえた。眉間に皺を寄せながらも扉を開けると
ベッドからアカツキが身を落しており、そのままなんとなく足を進めて近づくと
荒い呼吸で眠っているアカツキを認識し、汗だくの額に触れると熱で火傷しそうな程の熱さが篭っていた。
「………」
抱き上げてベッドに戻すと、そのまま服を掴まれてジンの目が微かに驚愕に染まった。
意識がないとしても、自分に縋りつくようなそんなアカツキの姿を目の前に。
熱い吐息が漏れ出す唇を指先でなぞる。眉間に皺を寄せて苦しげなアカツキの表情。
髪の毛を掴んでそのまま引っ張り、耳元に顔を近づけた。
「起きろ」
「……ッぅ…」
「起きろと言っている」
ぎりぎりと強く髪の毛を掴まれて、痛みと頭痛にアカツキが僅かに目を覚ました。
目の前のジンの顔を見ると目を見開いて呻いて僅かに抵抗する。
「熱があるようだな」
「…ッだ…から、…な、…んなん…だよ」
自分の状況がわからないまま、やけにひどい頭痛と気だるさにアカツキは薄らと自分の状況を理解した。
冷たい瞳で見下すように赤い瞳に捕らえられる。尚も髪の毛を掴まれたまま近かった視線の距離が離れて
近くに置いてあった僅かな食料と、水の乗った小さな棚からペットボトルが一本倒れて落ちた。
水の音を聞いてぴくっとアカツキが反応したのをジンは確認した。
髪の毛を離して、身を屈めてそのペットボトルをとるとアカツキに向けてそのまま逆さにして
水を直接かけた。
「……ッ!?な」
両腕で塞ごうにも一度に水をかけられてすぐにびしょ濡れになったアカツキは唖然としてから
ジンの方を見た。すると唇を撓らせながら「それで熱が下がるだろう」といいながら
冷たい眼差しがアカツキを突き刺した。様子を変えてみたり、こんな仕打ちにされたりと
結局散々でアカツキは言葉すら出てこなかった。
熱の症状の寒気と、怒りでわなわなとアカツキの肩が震える。浅い呼吸のままにジンを睨みつけた。
顔を伝う水が、唇の隙間から口の中に入った。が何も状況が変わるわけがない。
むしろより喉の渇きが増して求めている。けれど中途半端だった水はすべてばら撒かれたようで
他に予備があるのかなどと回りを確認する体力もなく、横になろうとしたが
腕を掴まれてそのまま引きずられる。歩くのさえやっとなのにバランスがよりとれず
鉄格子や、扉に身体をぶつけながら拷問部屋から出されて普通に部屋のベッドへと放り投げられた。
「…んなんだよ……も、…放ってお……けよ」
こんな弱った身体になった上で弄ばれるのか。さすがに身が持たないし身の危険だって倍以上になる。
顎を掴まれてそれもまた砕かれそうな勢いで、微かに開かれた赤い瞳に見下されながら痛みに耐えた。
顎を離されると、横たえられて行為後に着た服がまさぐられる。昨夜犯して、今こんな状態にも関わらず
また手をつけられるのかと拒絶したが、いきなり下肢の衣服に手を突っ込まれて臀部へと渡った指は
その窄まりへと指を静めていき、中に注がれたジンの精が水音を鳴らしより熱が上がりそうになった。
力の入らない腕で弱弱しく拒否してもなんの抵抗にもならず、指が肉壁を伝い蠢きかき混ぜるように動かされると
腰が疼いて疼いてしまう。熱を出しているにもかかわらずこうなってしまう自分が嫌で固く目を閉じた。
「……はッ………」
こんな時に冗談じゃないと今日こそは中断させるべく諦めようとしなかった。
そんなアカツキの焦燥をよそに、安易に指は引き抜かれて下肢から離れると、ジンの指にアカツキの中に放たれた
ジンの精が艶めき絡み付いており目を逸らした。一体なんだというのか。病人相手に。冗談じゃない。
けれど再び別の手で顎を掴まれて否応なしに顔を正面に向かされる。
痛みぼやける頭ではあまり思考を働かせたくない。だるい。身体が重い。
その後に精を絡みつかせた指をアカツキの口元へともっていきそれが唇に触れた。
「舐めろ」
「…ぃ、…やだッ……」
「水分をとりたいのではないのか」
唇に指が触れて精が口元につく。つまりジンは強制的にその残滓を指を舐めとる形で自分に飲ませようとしている。
水をかけることといい改めてあんまりな仕打ちに腹が立って仕方がない。
貧しいものがあるもので我慢するような、そこまで切羽の詰まった状況でもないのに
それともこれを飲ませて興奮するのだろうかとどんどん心の中で悪態づいた。
が、最後にはもうどうにでもなればいいと具合の悪さも含めてそれを口に入れて舐めた。
ジンが馴染ませるように指を舌にこすり付けて絡ませる。
「……ッ…ん」
苦い味が口の中に広がった。苦味は心の中でも広がる。
強烈が欲求が動いて体は求めるが、意思はこれではないと痛い程にわかっていて。
まるで自分のいつもの姿をわかりやすく示されているような。視界が揺れて目が回りそうになる。
骨のラインを粘膜で確認して、そのままなぞらえる。姿だけでも犬や猫のような無様な姿を晒しているのだろう。
無心で喉の渇きを潤そうと丁寧に舐めとる。苦味しかない。唇の隙間から水音が漏れてみっともない吐息も漏れる。
意識しないように粘膜で指を包み込む。すると大きく指が動いて戸惑い
増やされた指が粘膜を撫でて弄び、口内で好き勝手をされると息苦しくなった。
顔を背けてもう舌を出させようと手を出したが、手は追い払われて顎を掴まれて顔を固定される。
焦燥と苦しさの中で、ジンを見上げると嘲笑の光りを映した赤い瞳があった。
「…ふッ……」
尚も口内を強引に蹂躙されて、隙間からどうにか声を出そうにも、指先でそれを阻止される。
もちろんこんな状態でも逆らえば何か罰を与えられるわけで。首輪の存在も思い出し
されるがままで苦しくても我慢するしかないのだ。
病に侵されても尚いつもどおりの扱いで、こんなに惨めで孤独で、1人で雨風をしのいでいた時を思い出した。
その時にももちろん風邪を引いたことはある。金はあったから薬を手に入れて。けれど身分上手に入れるのは
少々ややこしい手段があった。それを乗り越えて数日間は安静にした。一人の方がましだった。
なのにこいつのせいで日常はすべて変わって、今やこいつと密室とその他の存在が時々目に入る程度で
ほとんどの世界の見方が違う。けれど確かに今だにジンに殺意も憎悪も持っているのだ。
固く目を閉じて、苦しさと自分の気持ちを押し殺して、でもせめて拳を握り締めて
従順にするでもなく、抵抗するでもなく様子を伺った。
逆らうことは結局許されない。喜んで支配を受けるものにとってはご褒美になったりするのだろうかなどと
処理しきれない唾液が溢れて口端から漏れて、顎を伝い喉へと落ちる生温い感触。
それよりも熱での熱さと汗の感触の方が強く身体が重たかった。
考えるのすら気だるく、ただ目を閉じて軽く現実逃避をし始めた。
無心で行為を続けていると、ぴたりとジンの指が止まって、終わったのか、それとも次の何かがくるのかと
半ば諦め気味にゆっくりと目を開いてアカツキが様子を見ると、恐怖を感じさせる視線でも加虐を楽しむようなものでもなくて
何も映っていない空のような表情に、瞳にアカツキは怪訝に思い、様子を伺いながら警戒した。
口内の指が抜かれていき、安堵したのもつかの間、ジンが手早くペットボトルをとって飲み口をこちらに向けているのを認識すると
後頭部の髪を掴まれて、否応なしに強引な力に引っ張られて唇に生ぬるい水の伝ったペットボトルの先端が宛がわれた。
そのまま傾けると水が零れ口を開いてそれを飲まされる形になり、水が舌から喉へ行き潤される。流れていく。
のはいいが次々と口の中に溢れる水を飲みきれるはずもなく、すぐにアカツキは噎せて呼吸がままならなくなり
無理やりにジンの腕を押しのけて前かがみになり口元を押さえて咳き込む。
「……ごほッごほッ……はッ…」
その拍子にジンの持ったままのペットボトルが腕ごと動かされて口元から距離が離れる。
アカツキの口元からも飲みきれなかった水が零れ落ちて、シーツに染みを作り、生理的な涙で視界がにじみ、呼吸も苦しいままで
暫く噎せて咳き込みながら、なんとか浅い呼吸を取り戻していきそのまま見上げる力も出ず
項垂れた。掻き乱された思考の中でジンが微かに部屋を去っていくのを感じて
表情をよく伺えなかったが、弄ばれるだけではなくどんな形であれ水分を与えてもらえたことに引っ掛かりを感じた。
そのまままた弄ばれて放置されるかと思ったから酷い扱いを受けても安易にそうやって
ちょっとでも違う反応や顔を見せられて騙される、そんな心理があるのだろうかと思いながら
そのまま気だるさに意識を手放した。
再び目が覚めると、ジンは部屋にいなかった。安堵して一呼吸すると気だるい身体を起こした。
噛まれた左肩の傷が痛んで、見つめながらふとジンの左肩に刺青があったことを思い出す。
同じ場所だと思いながら傷に指を伸ばした。
何も感じなかった。起きた直後には痛みを感じたが、起きて意識していくと感覚も感情も皆無になる。
そして現実感さえもこの手から零れ落ちていく。そもそも自分がここで起きて今自分の身体に触れていて
この目の前にある景色も幻かもしれない。そう思うとアカツキの身体が勝手に立ち上がって
初めて世界を認識する赤子のように周りの景色を見つめて、ただ違うのは声を一つもあげないということ。
彷徨うように部屋をぐるりと歩いていると、扉が開いてジンと目が合った。
その場でアカツキが立ち尽くす。どくん、とないはずの心臓が跳ねるように身体が反応してゆっくりと崩れ落ちた。
「………ッ」
傷跡の奥側が傷んで胸を押さえつけた。
ジンの足音が近くまで近づく。
「……るな」
微かに声が漏れた。ざわっと黒い底知れない何かが後ろからアカツキを襲う錯覚を覚えた。
震えて自分の身体を押さえるように抱きしめて蹲る。
「くるな…ッ!!」
「喚くな目障りだ。何をそんなに1人で怯えきっている」
冷たく鋭い赤がアカツキを射る。アカツキ自身にもわからなかった。
だが身体の奥底から何か、まるで糸に繋がれたマリオネットがその糸越しから引きずられるようなそんな感覚を覚えた。
その瞬間に、自分はジンの意思一つで事切れてしまうような存在なのだ。
一度刺されてから引きずられるように呼び戻された。あの夜が蘇る。
この違和感はそこから来ているのだ。その意思一つでぷつりと細い糸が切れて動かなくなる。
自分の身の恐怖が募った。
ジンが更に近づき、アカツキの腕を掴むと、アカツキの力は抜けきって戦意喪失していた。
「………」
「………」
下を向き表情が見えないアカツキの顎をジンが掴んだ。その時
「触るんじゃねーッ!!」
噛み付くように顔を上げてジンを睨みつけた。顎を掴んだ手は音を上げて払いのけられて
そのままジンが立ったままアカツキを見下ろした。
「人のこと手の上で転がして、そんなにたのしーかよ」
「喚くなと言っているだろう。そんなことで根を上げるのかお前は」
嘲笑を乗せた笑みを湛えて赤い瞳が光るように見えた。アカツキも立ち上がり、ジンの胸元を掴もうとしたが
それが阻止されて、胸倉を掴まれそのまま力強く壁に叩きつけられて一瞬呼吸が止まる。即座に睨みつけてもがいた。
「離せッ!!この…くそッ」
いつもより力強くしつこい力で蹴り上げようとして、殴りつけようとして、激しい動きを見せる。
だがそれも安易にジンに両手を掴まれ纏め上げられて足を蹴られて踏みつけられて、今度はやけに上機嫌な笑みを見せた。
「一つだけ、選ばせてやろう」
「…ッんぅ…んんッ!!」
片手で、両腕を上に纏め上げられて、足を固定されて、開いた手で口を塞がれてただ睨みつけて呻きあげることしかできなくなった。
「その目も、そそられるな」
「……ん!……んぅッ!」
「軍に入るか、このまま俺の下にいるか、くらいは道はあるぞ」
ジンの瞳に愉悦の色と、声音は柔らかいが冷たいものを感じさせるそんな声が耳へと響く。
自分の口を押さえる手を噛もうとアカツキは口を開いたが、一瞬で開放されると共に胸倉を掴まれてベッドへと投げ飛ばされた。
薄々気付いてはいたが、直接的にジンに道を示されたことが癪に障った。
「ようやく仕留めた獲物を始末しなければならない。だからお前の相手はあとだ」
嬉々として、そして怒りも含んだようなものも漂わせてそう告げると
踵を返して扉の音が鳴り、靴音が遠ざかっていく。再び地下室の部屋がしんと静まる。
まるで水を浴びせられたような感覚の後、冷静な思考が戻ってきてこのままのうのうとここにいられるわけがないと
ジンのあとを追うことにした。
その中に放たれた精液をかきだされて舐めさせられたり
熱を出していることでなんだかんだ最後には冷たいなりにも水分補給させてくれたり
すごく怖がっているアカツキのところがお気に入りなので修正しました。
中身はあまり読み返してません…ちょっと難解な設定ありすぎて申し訳ないです。
*
ジンが軍服のジャケットの袖に腕を通し、支度をしていると
アカツキのいる向こうの扉側から物音が聞こえた。眉間に皺を寄せながらも扉を開けると
ベッドからアカツキが身を落しており、そのままなんとなく足を進めて近づくと
荒い呼吸で眠っているアカツキを認識し、汗だくの額に触れると熱で火傷しそうな程の熱さが篭っていた。
「………」
抱き上げてベッドに戻すと、そのまま服を掴まれてジンの目が微かに驚愕に染まった。
意識がないとしても、自分に縋りつくようなそんなアカツキの姿を目の前に。
熱い吐息が漏れ出す唇を指先でなぞる。眉間に皺を寄せて苦しげなアカツキの表情。
髪の毛を掴んでそのまま引っ張り、耳元に顔を近づけた。
「起きろ」
「……ッぅ…」
「起きろと言っている」
ぎりぎりと強く髪の毛を掴まれて、痛みと頭痛にアカツキが僅かに目を覚ました。
目の前のジンの顔を見ると目を見開いて呻いて僅かに抵抗する。
「熱があるようだな」
「…ッだ…から、…な、…んなん…だよ」
自分の状況がわからないまま、やけにひどい頭痛と気だるさにアカツキは薄らと自分の状況を理解した。
冷たい瞳で見下すように赤い瞳に捕らえられる。尚も髪の毛を掴まれたまま近かった視線の距離が離れて
近くに置いてあった僅かな食料と、水の乗った小さな棚からペットボトルが一本倒れて落ちた。
水の音を聞いてぴくっとアカツキが反応したのをジンは確認した。
髪の毛を離して、身を屈めてそのペットボトルをとるとアカツキに向けてそのまま逆さにして
水を直接かけた。
「……ッ!?な」
両腕で塞ごうにも一度に水をかけられてすぐにびしょ濡れになったアカツキは唖然としてから
ジンの方を見た。すると唇を撓らせながら「それで熱が下がるだろう」といいながら
冷たい眼差しがアカツキを突き刺した。様子を変えてみたり、こんな仕打ちにされたりと
結局散々でアカツキは言葉すら出てこなかった。
熱の症状の寒気と、怒りでわなわなとアカツキの肩が震える。浅い呼吸のままにジンを睨みつけた。
顔を伝う水が、唇の隙間から口の中に入った。が何も状況が変わるわけがない。
むしろより喉の渇きが増して求めている。けれど中途半端だった水はすべてばら撒かれたようで
他に予備があるのかなどと回りを確認する体力もなく、横になろうとしたが
腕を掴まれてそのまま引きずられる。歩くのさえやっとなのにバランスがよりとれず
鉄格子や、扉に身体をぶつけながら拷問部屋から出されて普通に部屋のベッドへと放り投げられた。
「…んなんだよ……も、…放ってお……けよ」
こんな弱った身体になった上で弄ばれるのか。さすがに身が持たないし身の危険だって倍以上になる。
顎を掴まれてそれもまた砕かれそうな勢いで、微かに開かれた赤い瞳に見下されながら痛みに耐えた。
顎を離されると、横たえられて行為後に着た服がまさぐられる。昨夜犯して、今こんな状態にも関わらず
また手をつけられるのかと拒絶したが、いきなり下肢の衣服に手を突っ込まれて臀部へと渡った指は
その窄まりへと指を静めていき、中に注がれたジンの精が水音を鳴らしより熱が上がりそうになった。
力の入らない腕で弱弱しく拒否してもなんの抵抗にもならず、指が肉壁を伝い蠢きかき混ぜるように動かされると
腰が疼いて疼いてしまう。熱を出しているにもかかわらずこうなってしまう自分が嫌で固く目を閉じた。
「……はッ………」
こんな時に冗談じゃないと今日こそは中断させるべく諦めようとしなかった。
そんなアカツキの焦燥をよそに、安易に指は引き抜かれて下肢から離れると、ジンの指にアカツキの中に放たれた
ジンの精が艶めき絡み付いており目を逸らした。一体なんだというのか。病人相手に。冗談じゃない。
けれど再び別の手で顎を掴まれて否応なしに顔を正面に向かされる。
痛みぼやける頭ではあまり思考を働かせたくない。だるい。身体が重い。
その後に精を絡みつかせた指をアカツキの口元へともっていきそれが唇に触れた。
「舐めろ」
「…ぃ、…やだッ……」
「水分をとりたいのではないのか」
唇に指が触れて精が口元につく。つまりジンは強制的にその残滓を指を舐めとる形で自分に飲ませようとしている。
水をかけることといい改めてあんまりな仕打ちに腹が立って仕方がない。
貧しいものがあるもので我慢するような、そこまで切羽の詰まった状況でもないのに
それともこれを飲ませて興奮するのだろうかとどんどん心の中で悪態づいた。
が、最後にはもうどうにでもなればいいと具合の悪さも含めてそれを口に入れて舐めた。
ジンが馴染ませるように指を舌にこすり付けて絡ませる。
「……ッ…ん」
苦い味が口の中に広がった。苦味は心の中でも広がる。
強烈が欲求が動いて体は求めるが、意思はこれではないと痛い程にわかっていて。
まるで自分のいつもの姿をわかりやすく示されているような。視界が揺れて目が回りそうになる。
骨のラインを粘膜で確認して、そのままなぞらえる。姿だけでも犬や猫のような無様な姿を晒しているのだろう。
無心で喉の渇きを潤そうと丁寧に舐めとる。苦味しかない。唇の隙間から水音が漏れてみっともない吐息も漏れる。
意識しないように粘膜で指を包み込む。すると大きく指が動いて戸惑い
増やされた指が粘膜を撫でて弄び、口内で好き勝手をされると息苦しくなった。
顔を背けてもう舌を出させようと手を出したが、手は追い払われて顎を掴まれて顔を固定される。
焦燥と苦しさの中で、ジンを見上げると嘲笑の光りを映した赤い瞳があった。
「…ふッ……」
尚も口内を強引に蹂躙されて、隙間からどうにか声を出そうにも、指先でそれを阻止される。
もちろんこんな状態でも逆らえば何か罰を与えられるわけで。首輪の存在も思い出し
されるがままで苦しくても我慢するしかないのだ。
病に侵されても尚いつもどおりの扱いで、こんなに惨めで孤独で、1人で雨風をしのいでいた時を思い出した。
その時にももちろん風邪を引いたことはある。金はあったから薬を手に入れて。けれど身分上手に入れるのは
少々ややこしい手段があった。それを乗り越えて数日間は安静にした。一人の方がましだった。
なのにこいつのせいで日常はすべて変わって、今やこいつと密室とその他の存在が時々目に入る程度で
ほとんどの世界の見方が違う。けれど確かに今だにジンに殺意も憎悪も持っているのだ。
固く目を閉じて、苦しさと自分の気持ちを押し殺して、でもせめて拳を握り締めて
従順にするでもなく、抵抗するでもなく様子を伺った。
逆らうことは結局許されない。喜んで支配を受けるものにとってはご褒美になったりするのだろうかなどと
処理しきれない唾液が溢れて口端から漏れて、顎を伝い喉へと落ちる生温い感触。
それよりも熱での熱さと汗の感触の方が強く身体が重たかった。
考えるのすら気だるく、ただ目を閉じて軽く現実逃避をし始めた。
無心で行為を続けていると、ぴたりとジンの指が止まって、終わったのか、それとも次の何かがくるのかと
半ば諦め気味にゆっくりと目を開いてアカツキが様子を見ると、恐怖を感じさせる視線でも加虐を楽しむようなものでもなくて
何も映っていない空のような表情に、瞳にアカツキは怪訝に思い、様子を伺いながら警戒した。
口内の指が抜かれていき、安堵したのもつかの間、ジンが手早くペットボトルをとって飲み口をこちらに向けているのを認識すると
後頭部の髪を掴まれて、否応なしに強引な力に引っ張られて唇に生ぬるい水の伝ったペットボトルの先端が宛がわれた。
そのまま傾けると水が零れ口を開いてそれを飲まされる形になり、水が舌から喉へ行き潤される。流れていく。
のはいいが次々と口の中に溢れる水を飲みきれるはずもなく、すぐにアカツキは噎せて呼吸がままならなくなり
無理やりにジンの腕を押しのけて前かがみになり口元を押さえて咳き込む。
「……ごほッごほッ……はッ…」
その拍子にジンの持ったままのペットボトルが腕ごと動かされて口元から距離が離れる。
アカツキの口元からも飲みきれなかった水が零れ落ちて、シーツに染みを作り、生理的な涙で視界がにじみ、呼吸も苦しいままで
暫く噎せて咳き込みながら、なんとか浅い呼吸を取り戻していきそのまま見上げる力も出ず
項垂れた。掻き乱された思考の中でジンが微かに部屋を去っていくのを感じて
表情をよく伺えなかったが、弄ばれるだけではなくどんな形であれ水分を与えてもらえたことに引っ掛かりを感じた。
そのまままた弄ばれて放置されるかと思ったから酷い扱いを受けても安易にそうやって
ちょっとでも違う反応や顔を見せられて騙される、そんな心理があるのだろうかと思いながら
そのまま気だるさに意識を手放した。
再び目が覚めると、ジンは部屋にいなかった。安堵して一呼吸すると気だるい身体を起こした。
噛まれた左肩の傷が痛んで、見つめながらふとジンの左肩に刺青があったことを思い出す。
同じ場所だと思いながら傷に指を伸ばした。
何も感じなかった。起きた直後には痛みを感じたが、起きて意識していくと感覚も感情も皆無になる。
そして現実感さえもこの手から零れ落ちていく。そもそも自分がここで起きて今自分の身体に触れていて
この目の前にある景色も幻かもしれない。そう思うとアカツキの身体が勝手に立ち上がって
初めて世界を認識する赤子のように周りの景色を見つめて、ただ違うのは声を一つもあげないということ。
彷徨うように部屋をぐるりと歩いていると、扉が開いてジンと目が合った。
その場でアカツキが立ち尽くす。どくん、とないはずの心臓が跳ねるように身体が反応してゆっくりと崩れ落ちた。
「………ッ」
傷跡の奥側が傷んで胸を押さえつけた。
ジンの足音が近くまで近づく。
「……るな」
微かに声が漏れた。ざわっと黒い底知れない何かが後ろからアカツキを襲う錯覚を覚えた。
震えて自分の身体を押さえるように抱きしめて蹲る。
「くるな…ッ!!」
「喚くな目障りだ。何をそんなに1人で怯えきっている」
冷たく鋭い赤がアカツキを射る。アカツキ自身にもわからなかった。
だが身体の奥底から何か、まるで糸に繋がれたマリオネットがその糸越しから引きずられるようなそんな感覚を覚えた。
その瞬間に、自分はジンの意思一つで事切れてしまうような存在なのだ。
一度刺されてから引きずられるように呼び戻された。あの夜が蘇る。
この違和感はそこから来ているのだ。その意思一つでぷつりと細い糸が切れて動かなくなる。
自分の身の恐怖が募った。
ジンが更に近づき、アカツキの腕を掴むと、アカツキの力は抜けきって戦意喪失していた。
「………」
「………」
下を向き表情が見えないアカツキの顎をジンが掴んだ。その時
「触るんじゃねーッ!!」
噛み付くように顔を上げてジンを睨みつけた。顎を掴んだ手は音を上げて払いのけられて
そのままジンが立ったままアカツキを見下ろした。
「人のこと手の上で転がして、そんなにたのしーかよ」
「喚くなと言っているだろう。そんなことで根を上げるのかお前は」
嘲笑を乗せた笑みを湛えて赤い瞳が光るように見えた。アカツキも立ち上がり、ジンの胸元を掴もうとしたが
それが阻止されて、胸倉を掴まれそのまま力強く壁に叩きつけられて一瞬呼吸が止まる。即座に睨みつけてもがいた。
「離せッ!!この…くそッ」
いつもより力強くしつこい力で蹴り上げようとして、殴りつけようとして、激しい動きを見せる。
だがそれも安易にジンに両手を掴まれ纏め上げられて足を蹴られて踏みつけられて、今度はやけに上機嫌な笑みを見せた。
「一つだけ、選ばせてやろう」
「…ッんぅ…んんッ!!」
片手で、両腕を上に纏め上げられて、足を固定されて、開いた手で口を塞がれてただ睨みつけて呻きあげることしかできなくなった。
「その目も、そそられるな」
「……ん!……んぅッ!」
「軍に入るか、このまま俺の下にいるか、くらいは道はあるぞ」
ジンの瞳に愉悦の色と、声音は柔らかいが冷たいものを感じさせるそんな声が耳へと響く。
自分の口を押さえる手を噛もうとアカツキは口を開いたが、一瞬で開放されると共に胸倉を掴まれてベッドへと投げ飛ばされた。
薄々気付いてはいたが、直接的にジンに道を示されたことが癪に障った。
「ようやく仕留めた獲物を始末しなければならない。だからお前の相手はあとだ」
嬉々として、そして怒りも含んだようなものも漂わせてそう告げると
踵を返して扉の音が鳴り、靴音が遠ざかっていく。再び地下室の部屋がしんと静まる。
まるで水を浴びせられたような感覚の後、冷静な思考が戻ってきてこのままのうのうとここにいられるわけがないと
ジンのあとを追うことにした。
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