強制悪役令息と4人の聖騎士ー乙女ハーレムエンドー

チョコミント

文字の大きさ
33 / 61

秘密

しおりを挟む
『俺の傍が君の唯一の居場所になりたいんだ』

そうフリードに言われて正直な気持ちは嬉しかった。
下級だと分かっても一緒に居てくれると言われて嬉しくないわけない。

でも俺は無理だと言った、この気持ちをフリードに言ったらどんなに心が広い人でもその人の気持ちを裏切る行為のような気がした、付き合っていてもいなくても傷付ける。

俺はフリードだけじゃなく、ジョーカーの事も好きなんだ。
ど…どうすればいいんだ?俺ってこんなに気の多い奴だったのか!?

ヒロインだったら聖騎士に愛を与える共魔術師という存在だから分かる。
共魔術師は聖騎士に惹かれるものだし聖騎士もそれを分かっている、だから恋が多くても不思議じゃない。
じゃあ俺はいったいなんなんだ?ただの浮気性じゃないか。

どうすればいいんだ、素直に言うか?きっと軽蔑されてもう俺の事を好きじゃなくなるかもしれないな。
それならそれでいいと思えたらいいけど、嫌われたくはないんだ……好きだから…

好きなのに好きじゃないと言ったが嫌われたくない…自分で思って俺、本当に面倒くさい奴だな。

考えすぎて気付かなかったが、時計を見るともう寝る時間だった。
トイレに行って歯を磨いて寝るかなとこれからする事を考える。
本を閉じてベッドから腰を上げて本棚に本を入れた。

少し歩くだけで足元には黒猫が着いてくる、猫って気ままだって言うけどこの子は甘えん坊だなぁ。
ずっと黒猫だとなんか可哀想だから名前で呼んだ方がいいよな。

「君は名前なんて言うの?」

「ニャア」

ジョーカーは使い魔って言ってたから喋れるかと思ったがダメだった。
じゃあそうだな、と周りを見るとフリードがくれた花が見えた。
そこでフリードの言葉を思い出して黒猫を抱き抱えた。

この子の名前は「スノー」にしよう、うん…そうしよう。
スノーと呼ぶと黒猫は目を細めて可愛く一鳴きした。

気に入ってくれたかな?と思い、スノーと一緒に部屋を出た。

もう遅い時間だからか廊下には使用人がほとんどいなくて灯りも足元をぼんやりと照らすだけの薄暗さでちょっと怖かった。

冷たいすきま風が吹き、肩を震わせ早く行こうと思い足を早める。
アル様は今この屋敷にいないみたいだから一先ず安心出来るかな、スノーも居てくれるし…

洗面所で歯を磨き終わり、部屋に戻る帰り道での事だった。
ふと歩く俺の前を誰かが横切って足を止めた、一瞬幽霊かと冷や汗が流れたがすぐに違うと自分に言い聞かせた。

暗くて顔は分からなかったけど、使用人が着ている服とは違って見えた。
じゃあホワイト家の誰かだろうかと思っていたが、何だか不自然な気がした。

随分腰を曲げて走っているように見えた、それに大きなバックを持っていて行ってしまった。
その先は立ち入り禁止と書かれた札が掛かっている場所だった。
鍵を開けているようには見えなくて誰かが鍵を掛け忘れて入ったのだろうか。

誰か確認したいが俺は勿論入ってはいけないと分かるから入れない。
見なくても大丈夫だよね、だってそう簡単に家に不審者が来るなんて…

そう思い立ち去ろうとした時、なにかガラスが割れる音が聞こえた。
それだけじゃなく荒らすようないろんな音が聞こえて不安でいっぱいになる。
誰か呼んできた方が…で、でもその間にもし泥棒だったら逃げられてしまう。

周りをキョロキョロ見ると掃除用具入れが見えて、すぐに開けてほうきを掴んだ。
大丈夫だ、逃げるな…俺だって男だ…不審者を撃退する事は出来る筈だ。
俺は立ち入り禁止の部屋に入り怒られる事より、自分に出来る事を優先して物音がする扉を開けた。

「だ、誰だっ!!」

「…っ!?」

扉の近くにある電気を付けるスイッチを押すと部屋が明るくなった。
床が白い、なにかの紙が大量に散乱しているようだった。

そして割れた瓶のような物も落ちていて気を付けないと足を怪我をしてしまう。

窓から逃げようとしているニット帽の明らかに怪しい風貌の男はカバンを大事そうに抱えていた。
もしかしてあの中に大切ななにかがあるのだろうか。

再び窓から逃げようとしていたから俺はとっさに飛びかかった。
紙を踏み、滑りとっさに男が持つカバンを掴むと男は俺を振り払おうとカバンを振るが、何やら部屋の外が騒がしくなり舌打ちしてカバンを離し窓から飛び降りてしまった。

いきなりカバンを離したからバランスを崩しカバンが地面に叩きつけられ中身が出てきた。
俺も尻餅を付いて尻の痛みに我慢しながら盗まれそうになったものは無事か確認した。
……そしてあるものが見えて驚きで目を見開いて固まった。

「なに、これ…」

「それはこちらのセリフです、随分大きなネズミね」

頭の上から冷めたような声が聞こえて恐る恐る見上げる。
そこには俺を睨み付ける義母と使用人数人の姿があった。
俺の両隣に使用人が立ち俺に触れようと腕を伸ばしてきた。

しかしその手は俺に触れられる事はなくすぐに引っ込められた。
電流のようなものが身体中にまとい、誰一人指一本も触れられない状態だった。
魔法が使えない筈の本人である俺も理解出来ず戸惑う。

もしかしてこれ、ジョーカーが言っていた守護の力?

「反抗も出来ないほどの魔力の弱い息子と聞いていたのですが、これはどういう事です?」

「お、俺は泥棒を捕まえようとして…」

「おや?その泥棒とは何処にいるんです?ご自分がこそ泥と自己紹介しているんですの?」

泥棒は取り逃がし、この場だけを見ていればまるで俺が泥棒だ。
この人達は俺が何を言ってもきっと信用しないだろう。
だからといって泥棒がいた証拠なんて何処にもない。
証拠を残さないところはこれが初めてではなさそうだけど、なんでこんなものを盗むのか分からない。

そしてあれはいったいなんだったのか、盗まれそうになったものを回収された今再び確認する事が出来ない。

誰にも俺が触れないみたいで義母は俺に背を向けた。

「本来なら重要機密を知ったからにはそれ相応の処罰を与えるのですが、貴方は私達ホワイト家の重要な駒…部屋から一歩も出ない事を命じます」

「……えっ、でもそれって…」

「トイレや風呂などは使用人と常に行動を共にしなさい、食事は部屋に運びます」

「…………はい」

こそ泥に間違われたわりに、それだけで済んで良かったのかもしれない。
本当なら牢獄に閉じ込められるところだっただろう。
そうなればフリードとジョーカーに二度と会えない……そうなってしまったら、俺のささやかな楽しみがなくなるところだった。

自分の足で着いてこいと義母に言われ後ろを着いていく。
俺は駒、俺はまだそれの本当の意味を知らなかった。
アル様の婚約者だからだろうか、そのくらいにしか考えていた。

部屋に到着すると何も発せずドアは無機質に閉められた。
外でカチャカチャと金属の音が聞こえた、南京錠でも掛けられたのだろうか。
今までは自由に外に行けたが本当に閉じ込められたようだ。

いつまでなんだろう、義務教育だから学校には通わせてくれるからそれまでだろうか。
長いな、ずっとこのままか…部屋にずっといたら運動不足になりそう。

足を折り曲げて部屋の隅に小さく座る、電気が付いているのに何故か部屋が薄暗く感じた。

あの泥棒探してるのかな、いや…俺の事を疑っているから探していないのかもしれない。
俺はあの部屋の事を何も知らなかった、あれはどういう意味なんだ?

なんであの泥棒はあんなものを盗もうとしていたんだろう。

「人工聖騎士の作り方…」

小さく口にした言葉はすぐに何処かに消えて誰にも届く事はなかった。
泥棒が盗もうとしていたあの紙にはそう書いてあった。

人工聖騎士ってなんの事だ?そんなのゲームにはなかった。
俺はなにかとんでもないものを見てしまったのではないかと不安だった。
内容は確認していないから何の事かさっぱり分からないが疲れてしまって目蓋が重い。
そのまま床に寝転がり瞳を瞑って眠ってしまいたかった。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 説明は初めの方に詰め込んでます。 えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?) ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます! 5/25 お久しぶりです。 書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。

処理中です...