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30   勇者!恥をかく

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王宮から退出してから王都の迎賓館に滞在し王国主催で晩餐会だ、パーティだ、
音楽会だの演劇鑑賞だの博物館美術館回りなどなどと
忙しく、土産などを買う暇が全く見いだせなかったのだが
外出の度に 【廃品回収】いつものをやって気を紛らしていた、
結構な実入りがあって特に博物館 只の博物館ではない
王立博物館、ここの地下に埋もれたいた 廃品おたからがすごかった
さすが王立、全部もらっておこう、
帰国して屋敷に帰ったらどこかに地下室でも作らねばならないね、
いやいや、それより屋敷を立て直して地下室から作ればいいか
地下室作って、屋敷を収納して地下室の上に出す、
妄想が膨らむ、


それはともかく翌々日には父のグリッド男爵が王都男爵邸に到着した、
その翌日には王宮に召喚されどうやら半日ほど帰宅しなかったらしい、
楽しい時間を過ごしたのならいいのだが・・・・
だが父はなんとか無罪放免となった、のだけども宰相殿に恐れながらと
訴え出たとのこと
隣のゲールド男爵とのいさかいの原因は境界線がはっきりしないためなので
王国権限で制定してほしいと、
この件がうまくゆけば領土紛争は何とかなりそうだが領地問題は難しい
どちらかに偏った判定を下せば相手に恨まれるからだ、
下級貴族の男爵位とは言え有力な寄親がついていたりすると
また再燃しかねない、
この件に関しては僕にできることは何もない、王国文書の古い資料でも
手当たり次第に探せば境界線の資料も見つかるだろうからね
ゲールド男爵が取り潰しなんてことにならなければ良しとしよう、



さて話は変わって、
第二皇子が友好全権大使として 赴いたおもむいた大バンガード帝国では
無事に大使の役割、(今後100年間の相互不可侵条約の締結)を果たし
結婚披露の大パーティーに参加していた。

腐れ勇者とそいつが寝とった女の結婚式が聖教会で厳粛に
 り行われ華々しく執り行われ
式は無事済んだといえよう、
が、しかし皇宮で行われた大披露宴ではそうはいかなかった、
そう、あれである 我が国の皇女のお召しになったドレスが大注目されたのだ、
何せ ダイヤモンドが無数に散りばめられているのだから、
特大の紅玉八個の飾られたサッシュ、勲章の付ける場所がないから
省きたかったが、そうもいかず、せっかくのダイヤが隠れるからと皇女さま
駄々をこねたとか
最初の花嫁花婿のダンスからすでに、チラ見されてます、
ですがさすがに主役はまあ無視はされてません、
主役なんですからね、所作は洗練された貴族ばかりだし、
そうそうあからさまに無礼な真似はできません。
皇女がジト見で注目されたわけではありませんが、まあファーストダンスの間は・・・・
セカンドダンスは皇帝と正妃のダンス、そしてサードダンスは国の重鎮たちと
国賓たちのダンス、20組ほどが踊りだします。
そこに第二皇子と皇女のペアも一緒に伝統的な円舞曲を踊りだす、
自分の順番を待って見ている皆さん、遠慮会釈なく感嘆の声をあげます。
「なんとお美しい、確か隣国の皇太子と皇女様」
「友好全権大使の」「それにしてもあのような見事なドレス」
「どこで作ったのかしら、是非にも聞き出さなくては」
「教えていただけると?」「噂がございましたのよ」
「あら、どのような?」「何でも帝都のオーダーメイド専門店に
すごいドレスが入荷したとか、きっとこれの事ね」
「そんな噂が出るなんて、一体どこからかしら」
「そんなことより見てください、あの見事なサッシュの紅玉を」
「あれが一個でもあれば」
何せ特大の紅玉が8個等間隔で並ぶ
サッシュというものは原則宝石が並べられる
皇帝や他国の王や正妃ならば10個 皇太子や立太子は9個
継承権のある皇子、王子、皇女、王女らは8個、継承権は無い者は7個
このように決められている 大バンガード帝国皇帝陛下のサッシュの宝玉は
かろうじて皇女の宝玉に並ぶほどだった、事前に情報収集を欠かさなかった
皇帝陛下のナイス判断で新たに集めて作り替えた、正妃の分までも、
とんだ散財である、

やる気まんまんでやり切った皇女に後悔はない、見せつけに来たのだから

結婚式なのだが、ほとんどの国の結婚式は花嫁がかすむような服を着るのは
マナー違反なんていうことはなく、こぞって贅を尽くしたドレスをまとうのである、
花嫁さんは財政的に大変なのがこの世界、
皇帝の正妃もずいぶん頑張ったが花嫁には一歩届かなかった、
他の参加者たちに至ってはいくら頑張っても花嫁には勝てないのだからと
あきらめていたとか、
それがふたを開けてみたらこんなことになってしまった。

そして一般招待参加のダンスが始まった、
皇女、輪の真ん中で不敵な笑みを浮かべていて
小さくつぶやいた「完全勝利、前の勇者の無念いくらかは晴らした」
心の中で両手を握り顔の前

「このドレスとサッシュ、これが終わったら国宝指定ね、
残念だけど皇女たるもの同じドレスを二度は着られないし、
私の結婚式はいったい何を着たらいいのかしら」
浮いたり沈んだり忙しい皇女だった、

そんな皇女をやや離れて見ている腐れ勇者とその片割れ
そんな片割れの笑顔はややひきつっている、「ぬぐぐぐ」
「なあ、私の美しい聖女様、笑っていてくださいね」
そう 腐れ勇者の片割れはなんとまあ 聖女の肩書を頂いたのです、
聖女じゃないらしいが 皇帝が箔をつけるために贈ったんだね  知らんけど
「あれよりもっともっと素晴らしいドレスを贈るからね」
「今、それが必要だったのよ~!」
「それにしたってあの皇女、これ見よがしに、 許しがたい
何か恥をかかせてやりたいものだ」
「そうね、花婿花嫁の権利でだれか一人だけにダンスを申し込めるのよね」
「ああ、 それが?」「その時に何か・・・人知れず靴か裾を踏むとか」
「うむ、うまくやろう俺の身体能力をもってすればたやすいこと」
此奴 性根腐ってるけど とりま勇者
「いやそこまでやると被害が大きすぎて俺がやったとわかるな」
「途中でステップを一拍ずらしてはまさか勇者が間違えたとは思わないのでは?」
「そうか、皇女の足の軽くぶつけて」
「よし、さっそく申し込んで来よう」  
      ずいぶんとせこいカップルではある、
そして此奴は、いまだ腕を組んでダンスの申し込みを辞退している
皇子、王女に近づいてゆく、  ダンスパーティなどで
踊っていない人たちはパートナーと腕を組むとか
料理の皿、飲み物のグラスを持つ、誰かと話している
そういう場合はダンスの申し込みはお受けできませんとの合図
逆にメモ帳を持っている場合は申し込み受付中、順番よ というわけだ、
花嫁と花婿さん、皇子、皇女のペアに近づき「皇女殿下、花婿の特権を行使いたします、
次の曲、踊っていただけますか?」
そこに聖女もどきも寄ってきて「全権大使たる皇子様、わたくしも
花嫁の特権を行使いたします、次のダンスは是非わたくしと」
「「喜んで、」」
二人は知っている、此奴らが何か企んでいることに

さてこの主役二人、決定的なミスを犯した、
通常の場合は最も高位なペアに対して特権を行使し次のダンスを申し込むべきだったのだが
怒りと嫉妬に駆られて忘れていたらしい、まあ元をただせば只の平民だったのだし
体に刷り込まれるほどの貴族教育を叩き込まれていないのだし
仕方ないかもしれないが、
順番飛ばされてしまった皇帝と正妃、あぜんとした顔で互いの顔を見る。
始まってもいないうちに終わったフラグを盛大に掲げたことに気づかない二人に
明るい未来が来ることは無い

勇者のたくらみはいともたやすく躱されてしまった、逆に一拍遅れのダンスを
踊った勇者夫婦は盛大な赤っ恥、皇女、皇子に慰められる始末だった、


※ここでのサッシュは飾緒、右肩からかけて左腰で結びがある、勲章の肩帯、この物語の世界観では端的に地位を表す。 大授だいじゅとも
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