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13 婚約者?
しおりを挟む朝起きると、羅王とハナが飼葉よこせコールしていた、
慌てて飼葉をあてがう
水は小川から飲めるから問題なし
僕らは朝食の支度、ではなく収納から出した作り置きを
食べることにする、出来立てのほやほやの
金鷲の止木亭の朝ごはん、
もちろん食前食後のお祈りはちゃんとしますよ?
食後に口を漱いで顔を洗って出発の準備
昼には領都に着くだろう、
昨夜二人で決めたのはまず辺境伯の館に訪ねて
面会の予約を入れること、
実際に面会できるのはいつになるかわからないけど
気長に待とう、今晩から泊まるのは戦神の寝床亭
少し上流の宿とのこと
一泊銀貨6枚 金鷲の止木亭の倍になるが
30の日ほど宿泊予定です、
さて行きますか、
領都は石壁で囲まれた中にあり
石壁は堀割りに囲まれていた
壁のところどころに塔があり 物見の兵士だろうか
ゆっくりと周りを見回している
全然だらけた感じはない 練度は高そうだ
跳ね橋を渡って門前に着いた
門衛が5人ほどで出入りの人たちをさばいていた
僕らはウマを降りて列に並ぶ
やがて順番が来て名前と目的を聞かれた
武器を卸すことと、献上の話をしておく
分隊長にひそひそ声で国宝級の剣のことを話し
商業組合の羊皮紙を出すと
物事があっけないほど簡単にすすんだ
献上する場合は入市の費用も掛からないそうです、
シェアラさんのさすがです、
剣を見せろとは言われなかったし
市内に入って宿に向かう、
そして戦神の寝床亭は立派だった、
受付する前に立派なお仕着せを着たウマ番が
ハナを曳いて行った 羅王は僕が引いてウマ房に入れて
飼葉と水を与え ブラッシングだけはした
ハナはウマ番に任せて気持ちよさそうだ
ウマ番、だけに すごくウマイ
ウマ車から武器類を下ろして一時預かりしてもらう
全部布でぐるぐる巻きしてあり中身はうかがえない
そして部屋に案内されノックして入る
シェアラさんが着替えを終えてて小卓の前に座って
茶を飲んでいた。 僕も続き部屋にある水浴場で体を洗って
一張羅に着替えた 例の恩恵授与式の礼服だ
さて部屋に案内され茶をのんで少し早いが昼ご飯を
食べてから領主様のところへ行こうか、
名剣 "足広"をもって宿を出る
箱が欲しいが無いものは仕方がない
今日はおそらく見せるだけだろう
後で屋敷に呼び出されて謁見?されて献上という
流れだろう、
なんてことを考えた僕は間抜けだった・・・
隣を歩くシェアラさんの顔が少し青い
「シェアラさん、どうしました?」
「なんだか嫌な予感がします」
「はて、それはまた、延期しましょうか?」
「嫌なことでも早めに終わらせましょう」
「そうですね」
シェアラさんはあの性急な辺境伯のことを知っていたから
顔が青くなったらしい あとで聞いた話だけど
門前に立ち 門衛の騎士に取り次いだ
「そこでしばし待て」
待つことしばし・・・
やがて門が開き出てきたのは・・・・
「「辺境伯様~~~!!」」
「よく来たな 【ミーシャの武器店】の亭主だったな
あの剣は返さぬぞ」
「ん? で、そっちの少年は?」
「はいわたくしシェアラ・サザランドの商売の相方であり
婚約者でヤーローと言う者でございます」
シェアラさん 聞いてないよ 婚約者ってなにさ
え~~! それよりサザランドってそれ貴族じゃん!
「そうか、それより立ち話など貴族にあるまじきこと
ついてまいれ、」
僕らは拉致されたようです
一階にある執務室に連れて行かれ
有無を言わせず長椅子に座らされ
「無礼講じゃ、楽にいたせ」
楽にって言ったって
元男爵、最下級貴族の身の上では 国家の重鎮たる
辺境伯様相手にリラックスなどできようはずもありません
おまけに今は追放されて、ただの遊民ですよ
「苦しゅうない 聞けば献上品があるとか?」
「はい すぐる日、勇者様が佩いていた剣
のうちの一振りであります。
名剣足広でございますが 勇者の所在が知れなくなって
以来5年、勇者の言伝で 帰って来なかったら
献上せよとのことでお持ちした次第でございます
どうぞお納めくださいませ」
護衛の騎士が5人 中の一人が進み出る
僕は剣をシェアラさんに渡し、シェアラさんは騎士に渡す
布でぐるぐる巻きのままである
巻いてあることですぐに剣を抜けないという
アピールもあって武器の献上の作法だそうだ
代表の騎士が布を解く
美しい拵えが現れた
「なんと、これほどとは」
剣をシャラリと抜く
美しい、
領主様 剣を見たまま 固まっている
魅入られたのか?
夕ご飯を食べる時間ほどそうしていたろうか
「ところでシェアラとやら、この剣を
国王に献上してもよいか?」
シェアラさんは青い顔をして
「一度献上し、持ち主が変わっておりますれば
いかようにされましても否やはございません」
「いや、俺から渡すが献上者はシェアラ・サザランド
といたすぞ」
「宿はどこだ?」
「はい戦神の寝床亭を使っております」
「ふむ、ぎりぎりか、どうだセーバッシュ?」
「はい何とか格式は保てるかと、ただ部屋は最上級を
使っていただきませんと」
「すぐに手配しろ」
「御心のままに」
騎士の一人が耳打ちされ、すぐに部屋を出た
アッと今に蹄の音が聞こえた・・・
「この剣だが箱はないのか」
「はい、遺憾ながら持ち合わせません」
「良い、作っておこう」
「ありがたき幸せ」
「すまぬ、茶も出さなかったな、余も忙しくてな
今日は下がってよいぞ」
僕らは退出した
騎士二人に至近距離から監視されて
疲れた~~~~
屋敷を出て 「シェアラさん予感が当たったね・・」
「はい・・・」
「それより、 婚約者の件だけど」
「申し訳ありません、でもヤーローさんの立場が
宙に浮いてしまうので」
「ああそか、ただの付け人?になっちゃうか」
「僕としてはシェアラさんが好きだからいいけどね」
「それより国王様に献上って なんかいろいろあれだね」
「はい、ものすごーく嫌な予感がします」
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