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第1話
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「ねぇ!!酷いと思わない!?」
「真由美、悪酔いしすぎだって一旦水飲みな」
大きな瞳に涙を溜めながらジョッキでビールを煽る幼馴染の真由美を何とか宥める。
土曜日の23時に女2人で居酒屋に集まってする話なんてたかが知れている。
今回の話題は真由美の別れた恋人の愚痴である。
「で、今回は何だっけ?」
「二股してたくせに謝罪もなく急に別れるって言われて、問い立てる前に浮気相手に暴言吐かれた…本命はこっちだったんだよ泥棒猫!!」
「あちゃー……」
真由美の彼氏はいつもろくでもないやつばかりだった。
イケメンで高身長が大好きな面食いだから付き合った後で金遣いの荒さや暴力、浮気性などの問題点がどんどん見つかる。
それでもめげない真由美を私は1周回って尊敬している。
「まともな高身長イケメンっていないの…?」
「いたとしても絶滅危惧種レベルだろうね」
「追い打ちかけないで~…」
半泣きになって机に伏せる真由美を見ながら私もジョッキに手を伸ばす。
土曜日だからということで少々飲みすぎている気もするが許してほしい。
だってこんなドロドロした話素面では聞いていられない。
「っていうか、紫苑はないの?」
顎を机につけたまま彼女は私を見上げる。
急に変わった話題に私を首を傾げるしかない。
「何が?」
「浮ついた話♡」
愛らしくウインクする彼女に私は苦笑いで返す。
「あると思う?」
「ええー?ないのー?」
唇を尖らせる真由美はつまらなさそうに枝豆を摘まむ。
「結婚願望がないんだもん」
「恋人は?」
「今は仕事を頑張りたいの」
そんなありきたりな理由を真由美に伝える。
正直この話はしたくない話題だった。
「紫苑は可愛いからモテそうなのに」
「……私より可愛い子はいっぱいいるよ」
「好きな人はいないのー?」
質問を無視して焦点の合わない真由美の目の前で手を振ってみる。
あーあ、こりゃもう帰した方がいいな。
「その話はまた今度ね」
残りのお酒を飲み切ってからスマホを取り出す。
それからタクシーを1台呼び、真由美に声をかける。
「ほら、タクシー来るから行くよ」
「やだ……」
「やだじゃないって……ああもう……」
駄々をこねる彼女を引っ張りながらお会計を済ませて店を出る。
酔っぱらいの介抱に思ったよりも時間がかかったようで、お店を出たのはちょうどタクシーがお店の前に止まった時だった。
「この子よろしくお願いします。住所は__」
真由美の住所を伝えてタクシーを見送る。
はぁ…何となく疲れた。
どこかで飲み直そうかな。
意外と冷静な頭で近くのバーを検索にかけてみると、良さそう店が何件かヒットする。
少し迷ったが土曜日であることを理由に私はスマホの道案内に従って歩き始めることにした。
「真由美、悪酔いしすぎだって一旦水飲みな」
大きな瞳に涙を溜めながらジョッキでビールを煽る幼馴染の真由美を何とか宥める。
土曜日の23時に女2人で居酒屋に集まってする話なんてたかが知れている。
今回の話題は真由美の別れた恋人の愚痴である。
「で、今回は何だっけ?」
「二股してたくせに謝罪もなく急に別れるって言われて、問い立てる前に浮気相手に暴言吐かれた…本命はこっちだったんだよ泥棒猫!!」
「あちゃー……」
真由美の彼氏はいつもろくでもないやつばかりだった。
イケメンで高身長が大好きな面食いだから付き合った後で金遣いの荒さや暴力、浮気性などの問題点がどんどん見つかる。
それでもめげない真由美を私は1周回って尊敬している。
「まともな高身長イケメンっていないの…?」
「いたとしても絶滅危惧種レベルだろうね」
「追い打ちかけないで~…」
半泣きになって机に伏せる真由美を見ながら私もジョッキに手を伸ばす。
土曜日だからということで少々飲みすぎている気もするが許してほしい。
だってこんなドロドロした話素面では聞いていられない。
「っていうか、紫苑はないの?」
顎を机につけたまま彼女は私を見上げる。
急に変わった話題に私を首を傾げるしかない。
「何が?」
「浮ついた話♡」
愛らしくウインクする彼女に私は苦笑いで返す。
「あると思う?」
「ええー?ないのー?」
唇を尖らせる真由美はつまらなさそうに枝豆を摘まむ。
「結婚願望がないんだもん」
「恋人は?」
「今は仕事を頑張りたいの」
そんなありきたりな理由を真由美に伝える。
正直この話はしたくない話題だった。
「紫苑は可愛いからモテそうなのに」
「……私より可愛い子はいっぱいいるよ」
「好きな人はいないのー?」
質問を無視して焦点の合わない真由美の目の前で手を振ってみる。
あーあ、こりゃもう帰した方がいいな。
「その話はまた今度ね」
残りのお酒を飲み切ってからスマホを取り出す。
それからタクシーを1台呼び、真由美に声をかける。
「ほら、タクシー来るから行くよ」
「やだ……」
「やだじゃないって……ああもう……」
駄々をこねる彼女を引っ張りながらお会計を済ませて店を出る。
酔っぱらいの介抱に思ったよりも時間がかかったようで、お店を出たのはちょうどタクシーがお店の前に止まった時だった。
「この子よろしくお願いします。住所は__」
真由美の住所を伝えてタクシーを見送る。
はぁ…何となく疲れた。
どこかで飲み直そうかな。
意外と冷静な頭で近くのバーを検索にかけてみると、良さそう店が何件かヒットする。
少し迷ったが土曜日であることを理由に私はスマホの道案内に従って歩き始めることにした。
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