28 / 37
第28話
しおりを挟む「バレッサ」
入れ替わるようにシャワー室に消えていった彼は戻ってくるなり開口一番そう言った。
振り返るとダレス様__いや、グアハルドはベッドに腰かけて手招きしていた。
彼がシャワーを浴びている間に部屋はできるだけ暗くしておいたが、カーテンの隙間から漏れる日差しに変な背徳感を感じてしまう。
その感覚を無視してゆっくり彼に近づく。
手の届く範囲まで近づくと彼は強引に私の腰を抱き寄せた。
「背中の傷は大丈夫か?」
「手当てしてもらったので大丈夫で……大丈夫だよ」
敬語を使いかけてから彼と付き合っていた時のことを思い出して言い直す。
するとそれに気づいたのかグアハルドの口元は緩み、抱き寄せる腕に更に力がこもった。
「あぁもう……本当に可愛いな」
そう言うと彼は私の髪の毛を優しく撫で始めた。
昔と比べると随分短くなってしまったが彼は全く気にしていないようだ。
しばらくそれを受け入れた後で彼の身体に体重を預けると彼は嬉しそうに首に軽くキスをしてきた。
「機嫌いいね」
「当たり前だ。お前が甘えてくれたからな」
そんな言葉と共に腰を撫で上げられてしまえば思わず身体から力が抜けてしまう。
その隙に彼は私をベッドに押し倒すと、逃がさないとばかりに両手を頭上でまとめてきた。
「久しぶりにお前を堪能できるな」
「言い方」
「別に間違っていないだろ?」
グアハルドは私の額に口づけを落とすとゆっくり顔を近づけてきた。
それに応えるように目を閉じると最初は軽く触れるだけ、その後はお互いの唇を味わうように舌を絡めていく。
久しぶりのキスに酔いしれていると、パーカーの裾から彼の左手が侵入してきた。
脇腹を優しく撫でられればくすぐったくて身をよじると彼は少しだけ笑って今度は舌で首をなぞってきた。
「相変わらず首が弱いんだな」
「っ……ぁ、ちょ、そこでしゃべらなっ……」
首筋を舐め上げられる感触と耳元で囁かれる言葉に背筋にゾワゾワとしたものが這い上がってくる。
しかしそれを悟られまいと声を抑えようとすればするほど彼の手は好き放題に這い回っていき、私はあっという間に追い詰められていった。
「脱がせるぞ」
「わざわざ言わないで」
「相変わらず肌が白いな。サラシはもう巻かないのか?」
「どうせ脱ぐのにわざわざ巻くのが面倒だったの」
そんな話をしながら衣服を全て剥ぎ取られる。
私の服を全て脱がし終えると彼も上半身の服を脱いでくれた。
程よく筋肉のついた上半身に見惚れていると彼はくすりと笑った。
「穴が開くほど見つめてくれるな。恥ずかしいだろ」
「嘘ばっかり」
「本当なんだがなぁ……なんなら触ってみるか?」
そう言うと彼は私の手を自分の腹筋に引いた。
触れた部分から伝わる彼の体温に心臓が大きく跳ね上がる。
そんな私の様子を楽しそうに見つめている彼に何とも言えない恥ずかしさを感じた私は思わず顔を逸らした。
「そうやって恥ずかしがる所も可愛いな」
「……もう、黙って」
そう言って顔を背ければ、彼は愉快そうに笑って私の身体をなぞり始めた。
彼の大きな手が身体の線をたどり、そのまま胸の突起を軽く弾かれる。
それだけで甘い声が漏れそうになり慌てて口を押さえた。
「声を抑えなくていいんだぞ」
「嫌だって……っぁ」
彼はもう一度深いキスをした後、胸を包み込むように揉んできた。
まるで愛おしむようなその動きに段々と甘い声が堪えられなくなる。
「ん……ぅ、あっ」
「やっぱりバレッサの声好きだな」
そう言って彼は私の胸の突起を口に含み、舌で転がすように愛撫し始めた。
同時に空いている手でもう片方の胸を揉みしだかれればあっという間に思考が快楽に塗りつぶされていく。
久しぶりの快感に身体は正直に反応してしまい彼に触れられる度に奥の奥から蜜が溢れ出す。
しかし彼は期待させるように太ももをゆっくりと撫でるだけだ。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
俺の妖精すぎるおっとり妻から離縁を求められ、戦場でも止まらなかった心臓が止まるかと思った。何を言われても別れたくはないんだが?
イセヤ レキ
恋愛
「離縁致しましょう」
私の幸せな世界は、妻の言い放ったたった一言で、凍りついたのを感じた──。
最愛の妻から離縁を突きつけられ、最終的に無事に回避することが出来た、英雄の独白。
全6話、完結済。
リクエストにお応えした作品です。
単体でも読めると思いますが、
①【私の愛しい娘が、自分は悪役令嬢だと言っております。私の呪詛を恋敵に使って断罪されるらしいのですが、同じ失敗を犯すつもりはございませんよ?】
母主人公
※ノベルアンソロジー掲載の為、アルファポリス様からは引き下げております。
②【私は、お母様の能力を使って人の恋路を邪魔する悪役令嬢のようです。けれども断罪回避を目指すので、ヒーローに近付くつもりは微塵もございませんよ?】
娘主人公
を先にお読み頂くと世界観に理解が深まるかと思います。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる