可哀想な君に

未知 道

文字の大きさ
上 下
33 / 36
番外編

篠崎 奏多『許せること、許せないこと』

しおりを挟む
 


「鮭、好きじゃないから……あげる」

 僕のお皿に、鮭が乗せられる。

「ふふ、ありがとう。僕が、好きなものだからくれたんだよね?」
「……っ、ち、違う! 骨あって、食べづらいからだよ!」

 真くんは顔を真っ赤に染め、パクパクとご飯をかきこむ。すごく可愛い。

 素直じゃない真くん、許せちゃう。


 ♢◆♢


「これさ~、たまたま間違えて、2枚購入しちゃって……。余分にあるから、一緒に行かない? ほ、ほらっ! 捨てるの勿体無いし!」

 差し出されたチケットを見る。
 イルカやペンギンがプリントされていて、【水族館】と書かれている。
 その下には【ペアチケット】とも書かれていた。

「水族館? ペアチケットみたいだけど。これを、間違えて購入しちゃったの?」
「だ、だからっ、間違えたんだよ! もう、行きたくないならいいっ!」

 真くんは慌てたように言った後、真っ赤になっていじける。

 恥ずかしがって、デートにちゃんと誘えない真くんも、許せちゃう。



 ♢◆♢


「奏多。これからは、普通の人間らしく生きるんだからな?」
「……? 普通の? まぁ、そのつもりだけど……」
「よし! 俺が嫌だって言ったら、すぐに止めるんだぞ? 普通の人間はそういうものなんだ。分かったか?」
「真くんが、そうして欲しいなら……」

 意味の分からないことを言って、ガッツポーズをする真くんも、許せちゃう。



 ♢◆♢



「奏多~! 今日、ちょっと出てくるな」
「ん? どこに?」
「蒼井……えっと、おばあちゃんの手紙くれたダチに、会ってくる。夕飯も食べて帰るから、遅くなると思う。だから、今日は飯、別々な」
「…………」

 ――それは、許せない。



 ♢◆♢


「奏多、やめっ……! ぁああっ! 止めてって、言ったら……止め……っ、んぁあっ!」

 腕を一纏ひとまとめにされ、バンザイした真くんは、僕の動きでガクガクと揺らされている。

「止める? うん、僕が許せる範疇はんちゅうならね? 真くんが悪いんだよ。僕の、広い許しを飛び越えることをするから……」
「広くな……っ、ひぁあ! 奏多、激しっ、……まっ、またイっちゃ……っ!」

 ナカを強く突き上げる――。
 真くんは身体を震わせ、ぴゅくぴゅくと少量の精を吐き出した。

「真くん。まだまだ、たくさん気持ち良くなろうね?」
「か、奏多……! もぅ、許し……ふぁああっ!」

 胸の粒を、ちゅぅと吸うと。真くんは、気持ち良さそうに甘い声を出す。
 舌で粒をクニクニと潰し、甘噛みし、チュパチュパと刺激する。
 勿論。腰も忘れず、打ちつける。

 最奥に、精を注ぎ入れた時――プシュッと、真くんのモノが潮を吹いた。

「ふふ、真くんの元気だね?」

 僕のお腹や、顔も。真くんの潮で濡れ、それがポタポタと滴り落ちている。

「か、奏多、ひどいっ……! 奏多なんて……大嫌いだっ!」
「……ふ~ん、そんなこと言うんだ? それじゃあ、仕方ないね」

 真くんから、身を離し。扉の方に足を向ける。

「え、奏多……。ちょっ、ちょっと、待って……! 嘘、嘘だから! 待てよ、奏多っ!」

 僕を止めようと、真くんが必死に叫ぶ声が、可愛らしくて。口元が上がってしまう。

 ――扉の近くにある棚の引き出しを開け、小瓶を手に持つ。

「久しぶりに、これ使ってあげるね?」

 真くんに視線を戻すと。ホッとしたような、絶望したような、面白い表情をしていた。



 ♢◆♢


「次したら、マジで許さないからなっ! こっちは、身体が辛いんだ。少しは、気を遣えよ!」

 起きた真くんは、ベッドの上でグッタリした様子だが。非常に怒り顔で、僕を責める。

「真くんが、気を付ければ大丈夫だよ」
「それ! そういう、自己中全開がヤバいんだよ、お前! 直せよ、マジでっ!」

 ぷんぷんと怒った真くん、可愛い。
 スッキリしたし、許せちゃう。


「これが僕だから、無理。この、僕の全てで、真くんを愛してるからね」
「……ぅっ、ずりぃ!」

 真くんの顔が、今までで一番なくらいに、ボボボッと真っ赤になる。

 少し間を置いて、真くんが――。

「……俺も、奏多を愛してるからな」

 最高に可愛く、はにかむ。

 堪らなく身体が熱くなり。我慢できず、再び襲ってしまった。


 ――それから二週間、真くんは口をきいてくれなかった。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

俺の好きな人

𝓜a𝓨̆̈𝕦
BL
俺には大、大大、大大大大大大大大好きな人がいる 俺以外に触れらせないし 逃がさないよ?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世
BL
大輝は悩んでいた。 完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。 自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは? 自分は聖の邪魔なのでは? ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。 幼なじみ離れをしよう、と。 一方で、聖もまた、悩んでいた。 彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。 自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。 心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。 大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。 だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。 それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。 小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました) 受けと攻め、交互に視点が変わります。 受けは現在、攻めは過去から現在の話です。 拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。

ヤンデレ蠱毒

まいど
BL
王道学園の生徒会が全員ヤンデレ。四面楚歌ならぬ四面ヤンデレの今頼れるのは幼馴染しかいない!幼馴染は普通に見えるが…………?

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

重すぎる愛には重すぎる愛で返すのが道理でしょ?

チョコレートが食べたい
BL
常日頃から愛が重すぎる同居人兼恋人の深見千歳。そんな彼を普段は鬱陶しいと感じている主人公綾瀬叶の創作BLです。 初投稿でどきどきなのですが、良ければ楽しんでくださると嬉しいです。反響次第ですが、作者の好きを詰め込んだキャラクターなのでシリーズものにするか検討します。出来れば深見視点も出してみたいです。 ※pixivの方が先行投稿です

嘘つき純愛アルファはヤンデレ敵アルファが好き過ぎる

カギカッコ「」
BL
さらっと思い付いた短編です。タイトル通り。

処理中です...