可哀想な君に

未知 道

文字の大きさ
上 下
18 / 36

白井 真 13

しおりを挟む
 


「奏多、んんっ、気持ちい、そこ気持ちいいっ!」
「本当、真くんここ好きだね?」

 何度も、何度も、いいところを突かれる。
 ビリビリと背筋が痺れ、何度目か分からない熱を吐き出し、お腹周りがどろどろになっている。
 俺の後ろの蕾も、奏多の出した大量な精で濡れそぼり。出し入れする度に、コポコポと溢れ出てくる。

 荒く息を吐く俺の口を、塞がれ。すぐに侵入してきた舌に、自分の舌を絡めた。

 口に入っているヌルリとする舌も、身体を貫いている硬い杭も。全てが、気持ちいい。

 けど、口の中にあった舌が出ていってしまう。

「ん~、まだ行かないで……」
「ふふっ、すごく可愛い」

 再び、口を合わせられ。お互いの口が、ペチャリペチャリと濡れた音を鳴らす。

 気持ちよくて、気持ちよくて、もっとその気持ちいいが欲しいと、対面にある腰に脚を絡めて腰を揺らしたら。
 奏多は、口を重ねながらも、笑ったような息を漏らし。俺の腰を掴み、肌を叩くような乾いた音を立たせて、深く突き上げてくる。
 揺れる身体を安定するため、硬い背を引っ掻くようにして抱き寄せ。上と下から与えられる快楽に身体が喜び、貪欲に迎え入れる。

 抜ける寸前まで引いてから、グチュンッ! と、奏多のモノを奥深く埋め込まれ、熱い迸りを注ぎ込まれていく――。

 その熱が全て、中に収められた途端。急に力が抜け、手足が乱れたシーツの上にストンと落ちた。

 奏多の舌が、俺の口内をグルリと円を描くようにしてから、ゆっくりと舌を抜かれ――「真くん、気持ち良かった?」と笑顔で問いかけられる。

「……ぅん、よかった……」

 本当に気持ち良かったと、満足する。
 ずっと耐えていたから、余計に。充足感を得たのかもしれない。



 ♢◆♢


「ああ……くそっ! あの、最悪最低クソ野郎……!」

 意識が落ちる前の、記憶全て。はっきりと覚えている。
 せめて、忘れていてくれと羞恥に悶えた。

「ってか……。たかが名前を呼ばせるだけで、やり過ぎだろ! クソがっ!」

 あの時は、色々と周りが見えずに錯乱していたが……。よくよく考えたら、あれは『奏多って呼ばなきゃ、許してあげないから! ぷんぷん(激怒)』ってことだったのだろう。

(あいつ、なんだか……ガキっぽいんだよな)

 見た目や、雰囲気は洗練された男性だが。行動と言動が、幼い。
 でも……これは俺に限ってなのかもしれない。
 それが何故かは――篠崎家の【影】が付いたり、当主に認められるくらいの器ならば、幼かったら目に留まることすらないからだ。

 はぁあ~! と、大きくため息をつく。

「落ち着いたら、話してみよう……」

 奏多が次に来て、機嫌が直っていたら。小南が言っていた通りに、奏多に今ある権力を放棄させて……。俺と一緒に、何処か遠くへ――。
 すると、ちょうどガチャンと部屋の扉が開く。

「あっ、奏……――え?」

 扉の近くには、美少女といわれるくらい容姿の整った女の子が立っていた。

「えっと、誰だ?」
「私よ、小南 奈央子。鍵、出来たよ」

 そう言って小南が、銀色の鍵を手に持ち近付いて来た。

 この部屋には三葉も訪れていたし、小南がスペアキーを作っていたのだろうと、驚きはしなかったが……。

「あんた、何歳?」

 小南は、見た感じだと……15、16歳くらいに見える。

 初め、声だけで判断した時は、20歳半ばに感じた。話しているうちに、確かに少女らしいと思ったが……。でも、達観した話しぶりに、大人だと考えていたのだ。

「そんなの、どうだっていいでしょ。ちょっと、屈んで」

 小南は、鍵をこちらに向けているから、今すぐに解錠するつもりのようだった。

「え、ちょっと、待ってくれ。奏多に、お願いしてみるから……」
「……ああ、アレはもういいの」

(もういい? なんだ、この前はあんなにも必死に……)

 言っているけとが180度変わっていて、疑問に思う。

「この鍵、俺が奏多を殺してから解錠するとか言っていたのに……。なんでだ?」
「だから、もういいのよ。ペチャクチャうるさいわね……。解放されるんだから、喜べばいいでしょ!」

 グイと鎖を引かれてバランスを崩し、床に転がる。
 そして、あっという間に。首輪を解錠された。

「はい、おめでとう。これで、貴方は自由の身ね」
「……」

 首を触ると、硬い首輪の感触が消え。自分の柔らかい肌の感触になっている。

 ずっと首を締め付けていた存在がなくなり、スッキリするはずなのに……何だか気分が晴れない。

「じゃあ、行くわよ」
「え? どこに……?」

 小南は表情の無い冷たい顔で、俺を見下ろす。

「――三葉の元に」

 抑揚のない声で、そう伝えられた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

俺の好きな人

𝓜a𝓨̆̈𝕦
BL
俺には大、大大、大大大大大大大大好きな人がいる 俺以外に触れらせないし 逃がさないよ?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世
BL
大輝は悩んでいた。 完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。 自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは? 自分は聖の邪魔なのでは? ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。 幼なじみ離れをしよう、と。 一方で、聖もまた、悩んでいた。 彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。 自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。 心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。 大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。 だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。 それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。 小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました) 受けと攻め、交互に視点が変わります。 受けは現在、攻めは過去から現在の話です。 拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。

ヤンデレ蠱毒

まいど
BL
王道学園の生徒会が全員ヤンデレ。四面楚歌ならぬ四面ヤンデレの今頼れるのは幼馴染しかいない!幼馴染は普通に見えるが…………?

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

重すぎる愛には重すぎる愛で返すのが道理でしょ?

チョコレートが食べたい
BL
常日頃から愛が重すぎる同居人兼恋人の深見千歳。そんな彼を普段は鬱陶しいと感じている主人公綾瀬叶の創作BLです。 初投稿でどきどきなのですが、良ければ楽しんでくださると嬉しいです。反響次第ですが、作者の好きを詰め込んだキャラクターなのでシリーズものにするか検討します。出来れば深見視点も出してみたいです。 ※pixivの方が先行投稿です

嘘つき純愛アルファはヤンデレ敵アルファが好き過ぎる

カギカッコ「」
BL
さらっと思い付いた短編です。タイトル通り。

処理中です...