恐愛ナマコにストーカーされて、常識はずれな星に落とされました

未知 道

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9.飽きた?だったら色々返せよ

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「クスクスクス。あんたは、シコシコ~ル様に飽きられたのよ。今、シコシコ~ル様は、ヤルデ~チャウ様とラブラブなんだから」

 カラフルさんのメイドが、食事などでいない時間を見計らって。俺にイジメをしていたメイドが、いつも何かしら言いにくる。

(いや、誰だよ……ヤルデ~チャウって? この星の人の名前って、なんでそんな感じなんだよ。てか、だからあの野郎ずっと来てね~のかよ! ふっざけんな! 人の腱返せやっ!! 地球にも返せやっ!! 俺の初めても返せやっ!!)

「へ~。じゃあ、あんたからアイツにさ、俺に色々と返せって言っといてくんない?」
「はぁ……っ!? ア、ア、アイツですって!? シコ、シコシコ、シコシコシコ~ル様に、何てことを言ってっ!!」

 こいつの方が、何てことを言ってんだと半目になる。何度もシコシコって言ってて、色々とヤバすぎるだろう。

「え~? 変なこと俺言ってね~し。俺さ~自分の家に帰りたいんだよね。まだ見てね~漫画もあるし、来月発売だったゲームだってあるし。会社は最悪だけどさ、そんなかでも楽しみを見つけながら生きてきたのよ。それをアイツが全部ぶっ壊したわけ。意味分かる? だから、飽きたんなら、さっさと俺を地球に返してってあんたから言って欲しいんだけど~。あ~それと、俺、アイツ好きでも何でもないから。誰かとラブラブだとしても、どうでも良いから~」

 そんなこと、こんなメイドから言えないのは分かってるけど。俺だって、そろそろ怒り心頭なわけだ。だから、八つ当たりしてる。
 とはいっても。こいつのが、いつも俺に何か言ってんだから、これくらい可愛いもんだと思う。

『――成る程。もう一度、躾直さなければならぬか』
「ふへぁっ!? な、なん、なんでっ!!?」

 ムカつく程の美声が聞こえ。ギギギ……とその方向を見る。
 テーブルの上に、ナマコが生えている。
 そして、ニョッキリと本体が飛び出してきた。デジャヴだ、デジャヴを感じる。

「あっ……! シコ、シコシコ~ル様」

 メイドが顔を赤らめ、シコ様をじっと見ているけど。シコ様は、俺のことしか見ていない。
 だからか、メイドは俺をスッゲー睨んできた。

(は? なんでだよ? お前が見てもらえないのに、俺関係ある? もっと、グイグイ押せよっ! いつも俺にペチャクチャ喋るみたいにさぁ~)

『いつまでいるつもりだ。さっさと立ち去れ』

 シコ様は、メイドを一切見ずにそう言った。

(うわぁ、ちょびっとでも見てやれよ~。俺、好きな人にこんな態度とられたら立ち直れねぇわ。別に、そう言ってやらんけどな~。メイドムカつくし)

「~~~~ッ!」

 再び、ギロリとメイドにすんごく睨まれ。メイドは、逃げるように部屋を出て行った。

 だから、なんでそんなに敵対するのかが分からない。俺がそうしてくれなんて、一言もいってないのに……。

『さて、覚悟はよいな?』

 シコ様が、俺の服を捲ったことで。また、行為をしようとしているのだと気付いた。

「ムリムリ! 俺、相思相愛な人とじゃなきゃ、もうしたくない。お前とは、そうじゃね~だろ?」

 あんなことしておいて、何十日も放置した奴。これ以上、敬わない。
 勝手に、ここへ閉じ込めたくせに。俺、かなり不遇な扱いされてると思う。
 カラフルさんが、もし、シェフやメイドを貸してくれなかったら。さっき出て行ったメイドが俺に何かして、こうやって無事でいられなかったかもだし。こいつは偉い筈なのに、それをちゃんと正してもくれない。
 だから、俺がこいつの言うこと聞く必要は無い。そう、まったく無いはずだ。


『………許さぬ』
「うぎゃあっ!?」

 ナマコが鞭みたいに伸びて、俺の服をババババッて散り散りにした。
 このナマコは、鋭く尖らせるだけではなく、伸縮性もバッチリのようだ。

 そして、俺は全裸にされ、シコ様に乱暴に押し倒されてしまった。

(……え? ま、待って。飽きたんじゃないの? 一体、どういうこと……?)

 混乱している間に、脚を痛いくらい大きく広げられ。凶器のようなナマコが、俺のナカにグググと押し入ってきた――。


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