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悲
しおりを挟む私の意識が少しでも薄れそうになると、腰を荒々しく攻撃的に打ち付けられる。何度も何度も無理やり起こされ、気が狂いそうになる。
「ごめ………なさ、もぅ、許し……っ、ぅう! うっ……」
目の前にいる弟が、能面のような表情でひたすらに私を攻め立てている。
何故、こんな事になってしまったのか……。私がこんな事をされて当然なことを……――酷く嫌われるような事をしてしまったのかと思い、悲しくなって嗚咽を漏らす。
「……今から言う事をちゃんと出来たら、あと一度で止めてやる」
私を氷のような視線で見ている弟に、平坦な声でそう持ち掛けられた。
「な、なに……? 教え、て……」
私に打ち付けていた腰の動きが止まったことで、絶えず苦痛を感じていた身体が、久方ぶりに幾分か楽になる。
「俺の名前を呼べ」
「――……っ」
『あなたみたいな、卑しい子に親しげに名前を呼ばれるなんて……。あの子の程度が低くなりそうだから、2度と呼ばないでくれる?』
目の前に居る、弟の名前を呼ぼうとした瞬間……――過去の記憶が蘇る。
喉が詰まったかのように、何も言えなくなった。
「そ~か……。言えないなら、もう、しょうがねえよな?」
ぐっと再び腰を進められた。
中途半端な場所で止まっていた肉竿が、私のナカを掻き分けて深くまで入ってくる。
「ひぁっ! やぁっ……! ちがっ、言う……言うから、まっ、でぇ……!」
このチャンスを逃すと、この責め苦が途方もない時間続きそうで、ポロポロと涙を流しながらも懇願する。
深くまで入った肉竿をそのままに、再び動きが静止した。
「ほら、早く。名前を呼ぶだけなんだから、そう難しくはないだろ?」
お腹の中が苦しくて、息が荒くなる。
なんとか口を開けるが、言おうとすればするほどに、声が出なくなり息苦しさを感じる。
「はあ~~」
大きくため息を吐かれ、ビクッと身体が揺れた。
「なんで、あんな糞どうでも良い女に言われた事なんかに捕らわれてんだよ、お前は……」
驚きで目を見開く――。
「しっ、知ってた……の?」
「ハッ! 知ってるも何も……。俺に向かって、ご丁寧にペラペラ話して来やがったからな。あの女は、自分の言った事なんか数日すれば忘れる。だから、まともに話しを聞くだけ無駄なんだよ」
弟は顔を歪めながら、心底不快そうに言い放っている。
「で、でも……! お母さんは、あなたの事を大切にして……」
――ドンッ!! と顔の真横に、握りこぶしを叩き付けられた。
「……ひッ!?」
「はははっ!! 俺がこんな事をしても黙認してる奴なんかを庇うなんて……。まだ、愛して貰えるかも、とか思ってんのか? 美憂は、本当におめでたい頭してんなあ~」
冷淡な笑みを浮かべた弟に、馬鹿にしたような口調で言われ、頬をするりと撫でられた。
「え? こんな事、黙認って……えっ?」
意味が理解出来ず、弟を呆然と見る。
「そのまんまの意味だよ。知ってんだよ、あの女は。俺と美憂が、こうして身体の関係を持ってること、全部」
噛み砕いた説明をされて、漸く意味を理解出来た――。
頭がガンガンと痛み、世界がグルグルと回っているように感じる。
自分自身の心臓の鼓動が、激しく鳴っている音が聞こえて――……滂沱の涙が、ボタボタボタと頬を流れ落ちていった。
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