ダンジョンの核に転生したんだけど、この世界の人間性ってどうなってんの?

未知 道

文字の大きさ
上 下
114 / 142

114.告白って、苦しいんだな?

しおりを挟む
 


 こういうのは勢いが大事だと、両手をグッと固く握り――「レイド、ごめんな。さっき、レイドの気持ちが知りたくて、意地汚いこと言っちゃってさ……」と謝る。

 俺が、急に畏まったように言ったからか、レイドは「え、ああ……俺の方こそ」と戸惑ったような声を上げている。

 そんなレイドを、真っ直ぐに見て――。

「あ、あのな、レイド。本当は……俺、もう好きな人いるし、その人とも両想いなんだ」と声に出してから。一度、深呼吸する。

 心臓が高鳴り過ぎて、息が苦しく感じる。

 こ、告白って、こんなにドキドキするんだな……。レイド、なんで……あんなに好き好き言えるんだ?

 非常に恥ずかしくなり……頬に、じわじわと熱が上がってくる。けど、気合いを入れて口を開く。

「お、俺っ、レイ――」
「――成る程な……」


 レイドは、冷ややかな表情を浮かべ。身だしなみを整えて、スクッと立ち上がった。
 
 しかも、俺を拒絶するかのように背を向けている。


「え、ちょっと……? レイド、何処に行くんだ? まだ、話が……」
「言わずとも、分かっている。それは、炎竜だろう? すまないが、ヤツが核としての力を使う為に、俺が口づけることだけは許して欲しい。炎竜にも、それを伝えに――」
「バッカヤローーーーーっっ!!!」


 ――後ろを向いているレイドの背を、おもいっきり蹴り飛ばした。

 レイドは、ズザザザーーーとスライディングした後。俺に蹴られたところを、痛そうな顔をして押さえている。


 ふんっ! 人の話を最後まで聞かずに、変な解釈するからだよ!

 さっきまでは高鳴っていたはずの心臓が、ヒヤリと冷たくなり、しかも押し潰されたように痛む。

「……お前、馬鹿なの? 俺、言ったよな? レイドが好みだから、禁術機のことがあったとしても、身体を許せたってさ……」
「……それは、容姿だけではなかったのか?」

 は? やっぱり、馬鹿かよっ!!

「んなわけあるかっ!! だとしたら、俺どんだけ尻軽なんだよ! 顔だけ好きな奴を誘って『子供孕ませて?』って言うなんて、ヤバすぎだろ~がっ!! ――レイドのこと、昔も今もスッゲー愛してるんだよっ! それこそ、俺の命をかけられるくらいに、心からなっ!!」


 そう……。だから、ヤツィルダの時にも……レイドを助ける為なら――命だって捧げることが出来た。


「……え?」


 レイドが、ピタリと動きを止めた。


「ってかさ~……。俺が誘うようなこと、言っているの……レイドはどんな風に捉えてたんだよ? 普通に考えたら、俺の気持ちに勘づくだろ?」
「……ヤツは、今回の件などで、俺に凄く感謝をしていた。だから、俺が喜ぶように、感謝の気持ちでそれをしてくれようとしたのかと……」
「感謝でやらんわっ! あほんだらっ!!」


 脱力してしまい。ため息を吐き、地面にストンッと座り込む。


「…………ヤツ。隣、良いか?」
「ど~ぞ」


 地面にふかふかと生えている、光粒の花達をポンポンと手で軽く叩く。

 そうっと反らせてから手を離すと――ビヨンッ! と元の位置に戻るから……。

 なんだか面白くて、激しくそれをやったら。ビュンッ! ビュンッ!! と空気を切る音も鳴る。


 何これ、凄く楽しい! めっちゃ弾力性あるじゃん!!


 光粒の花の、新事実に感動していると――レイドが、俺の名前を呼んできた。


「なに? 次、くだらない話をしたら、出て行ってもらうから」

 俺、勇名レベルが500になったし。レイドを、ダンジョンから閉め出しすることも出来るんだからな!

「ヤツ、すまなかった……。ちゃんと話も聞かずに、酷いことを言った」

 レイドが、俯いた俺の顔を覗き込み。酷く申し訳なさそうに、謝っている。

「あ~あ~、そうだな~! 炎竜に伝えるとか、容姿だけとか、感謝の為にとかさ~。俺、どうすれば良いか分からなかったけど、スゲー頑張って誘って……告白も……。レイド、マジで酷――ぅっ……っ、グスッ!」

 あっ、もぅ……っ! 違うことを考えて、堪えてたのに……。

「――ッ!! あ……す、すまない…っ! 本当に、ああ、どうすれば……」

 レイドがオロオロとして、俺に手を伸ばしたり、引っ込めたりしている。


 なんだよ~。そこはガバッ!! と抱き締めて、ブチュ~!! のシーンだろ~?

 レイドって、ヘタレになったな?


 まぁ~……。そんなレイドを、可愛いとか思う俺も……昔とだいぶ変わったんだろうけど――。


「じゃあ、さ……。レイドを、俺にくれよ。俺のことも、レイドに、あげるから……」


 俺はしゃくり上げ、途切れ途切れになりながらも。落ち着きのない様子のレイドに、自分の気持ちを伝えた。


「ああ……! 俺の、全て、全てが……ヤツのものだ。ヤツも、俺の――……」


 レイドは、柔らかな笑みを浮かべ。まだ、言葉を紡いでいる途中であったその唇を、俺の唇へと優しく重ねた――。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

俺が総受けって何かの間違いですよね?

彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。 17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。 ここで俺は青春と愛情を感じてみたい! ひっそりと平和な日常を送ります。 待って!俺ってモブだよね…?? 女神様が言ってた話では… このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!? 俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!! 平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣) 女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね? モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

俺は魔法使いの息子らしい。

高穂もか
BL
吉村時生、高校一年生。 ある日、自分の父親と親友の父親のキスシーンを見てしまい、平穏な日常が瓦解する。 「時生くん、君は本当はぼくと勇二さんの子供なんだ」 と、親友の父から衝撃の告白。 なんと、二人は魔法使いでカップルで、魔法で子供(俺)を作ったらしい。 母ちゃん同士もカップルで、親父と母ちゃんは偽装結婚だったとか。 「でさ、魔法で生まれた子供は、絶対に魔法使いになるんだよ」 と、のほほんと言う父親。しかも、魔法の存在を知ったが最後、魔法の修業が義務付けられるらしい。 でも、魔法学園つったって、俺は魔法なんて使えたことないわけで。 同じ境遇の親友のイノリと、時生は「全寮制魔法学園」に転校することとなる。 「まー、俺はぁ。トキちゃんと一緒ならなんでもいいかなぁ」 「そおかあ? お前ってマジ呑気だよなあ」 腹黒美形×強気平凡の幼馴染BLです♡ ※とても素敵な表紙は、小槻みしろさんに頂きました(*^^*)

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

ブライダル・ラプソディー

葉月凛
BL
ゲストハウス・メルマリーで披露宴の音響をしている相川奈津は、新人ながらも一生懸命仕事に取り組む25歳。ある日、密かに憧れる会場キャプテン成瀬真一とイケナイ関係を持ってしまう。 しかし彼の左手の薬指には、シルバーのリングが── エブリスタにも投稿しています。

処理中です...