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112.誘ったのに……何その反応?

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「レイドも、照れることあるんだな~?」


 レイドが走り去った後。俺は、暫くの間は呆気に取られていたが……。

 あれは、照れていたのだと思い至った。

 レイドには、ヤツィルダの記憶を取り戻したとは言ったけど。禁術機の術により、心の中までもを見たのだとは、しっかりと伝えていなかった。

 だから、レイドはそれに気が付き。恥ずかしさと照れによって、逃げてしまったのだろう。

 うん、凄い分かる。俺なんて、自分の気持ちに気が付いただけで逃げたし。心の中を覗かれたなら、キレて当たっちゃうかも。……あれ、レイドのが優しくない?



 ――ふわりふわりと光粒の種が、目の前を飛んでいる。

 何気なく、それを手の中に捕らえた。


 ――ピロン。


 --------


 高∶流れる光粒を捕まえよ。【1╱1】

 -達成-

【勇名レベルが390になりました】


 --------


「あ、ああっ!! すっかり、これの存在忘れてた!」

 そうか、そうだったな~!! レベルが390かぁ……。

「うん~? あれ? じゃあ、これって……。やっぱ、500にはならな――」


 ――ピロン。


【全ての勇名を達成した為、シークレットが解放されました。】


 --------


 至高∶己の愛する者を見つけよ。【1╱1】

 -達成-

【勇名レベルが500になりました】


 --------


【シークレットの達成により、封印されていた核の妊娠機能を解除致します】



「へ? は、はぁ~……。あ~、成る程な……。うん、そうだったんか~……」


 いや、おかしいと思ったんだよな~?

 レイドに、核は性別がないみたいなことを言われたのにさ……。俺、あんなレイドにヤられても、一向に子供が出来なかったからな。

 まぁ、色々と禁術機との問題が山積みだったから……妊娠機能が封印されてて助かった。

 じゃなきゃ。子供妊娠しながら、あっち行ったり、こっち行ったりなんて、そんなのかなりキツいだろ……。


 もしかして、これも、白がつけてくれたのかな……?

 だとしたら、本当に凄いな~! まるで、こうなるのを分かって、計算してたみたいだ。

 俺が、レイドへの気持ちに気が付く。その瞬間までもを……全て――――。


 手を開くと、光粒の種は宙をふわりふわりと飛び。俺の居るところから離れて行った。

 ダンジョンの外へと飛んで行きそうな、光粒の種を目で追っていたら。いつの間にか、そこに居たらしいレイドと、パチッと目が合う。


「おっ! レイド、おかえり~!!」
「あ、ああ……。ただいま……っ、ヤ、ヤツ……」


 レイドは、また少し頬を染め。俺を『ヤツ』と呼んでくれた。


 く、くぅ~! なんだか、可愛いなぁ~!!


「なぁ……。レイド、こっち来て」
「……?」


 俺が、自分の隣をポンポンと叩くと。レイドは、不思議そうにしながらも、俺の隣へと座った。


「レイド、あのさ~!」
「ん? なんだ……?」


 俺は、レイドをじっと見詰めて――。


「俺とセックスしよーぜ! それで、レイドの子供、孕ませて?」
「――ぶはっ!?」


 レイドは、咳き込み。信じられない、というような顔を、俺に向けてきた。


 ん? あれ~? 喜んで飛び付いてくると、思ったんだけど……?


「え? レイド、どうした……? ほら、俺の身体、レイドの好きにしていいからさ……。全部、レイドにあげるよ?」


 とりあえず、脚を大きく広げて――へい、カモン~!! ってポーズをしてみる。

 痴女の真似をするのは、どうかと思ったけど……。誘い方がいまいち分かんないから、これしか考え付かなかったんだ。
 ……そういや今、ヤマダの時には絶対に嫌だって思ってた、告白の言動しちゃってんな。
 ま、元はこの世界の人間でもあるから、いっか!


「ん……? え? ちょっ、ちょっと……?」


 ――レイドの顔が、またジワジワと赤くなっていき。後退りするかのように、後ろへと下がって行った。


 はぁ~? おい、おい!! なんで、そんなチェリーボーイみたいな反応するんだ?

 え……。しかも、なんか……。レイド、目をウルウルさせてない?

 俺が、いたいけな少年に強要してる、みたいな図になってんじゃん!?

 俺に、あんなズッコンバッコンしてたくせによ~! ふざけんなー!!


「そうか、そうか。分かった……――じゃあ、俺がレイドをその気にさせてやるからな……?」


 目を見開いているレイドに向かって、俺はそう言い。ニッコリと微笑む。


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