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54.隣にいる奴は、超人のようだ

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 ――ダンジョン核・レベル251


 攻撃力・21477
 防御力・25916
 魔法攻撃力・28203
 魔法防御力・141369
 素早さ・80017
 幸運・∞×10


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 --------


 ――勇名・レベル300


 低∶侵入者を攻撃せよ。【1000╱1000】

 低∶侵入者からの攻撃を防御せよ。【1000╱1000】

 低∶侵入者からの攻撃を避けよ。【1000╱1000】

 中∶誘惑せよ。【10╱10】

 中∶ダンジョン内を模様替えせよ。【10╱10】

 中∶小さき無垢な命に安息の場を設けよ。【10╱10】

 高∶流れる光粒を捕まえよ。【0╱1】

 高∶炎竜を使役せよ。【1╱1】 炎竜 ▶ 召喚

 高∶大陸全ての名物品を見よ。【1╱1】

 ?∶?【?】


 --------


「ん~? 無い、よな?」


 新しい機能で、炎竜の召喚はある。

 けれど、隅々まで見ても……あの幸運スキルを使用する機能はどこにも無い。


「あれは、何だったんだ?」


 状況が状況なだけに、はっきりと覚えてはいないけど――。

 幸運に抱かれし者や苦痛を察知、とか書いてあったような……?

 特定の状況下じゃなきゃ発動出来ないのか?

 う~ん、よく分からん。



「ヤマダ、終わったから行こう」
「あ、おお!」


 そうだった、今は魔術塔に来ていたんだ。

 前にあった、紫の禁術機は既に消滅したようであり。灰の禁術機は、まだ消滅はしていないが、特に怪しい動きもないようだった。



 △▼△▼△▼△▼


 魔術塔から出て、レイドと一緒に道を歩いていたら。騒いでいる人達が目に入る。


 ――ん? あそこは、ギルドか……?


 ギルドに、人がたくさん押し寄せているようだ。
 皆がギルド内に入ろうとしているから、出入り口付近がギュウギュウで隙間がなく、外にまで人が溢れだしている。


「なんでダンジョンが生まれて来ないんだよ!? おかしいだろっ!!」
「新しい武器が欲しかったのに~! これじゃあ、作れないじゃんっ!」
「なんとかならないの~? 輝石をあげる約束してんだけど~!?」


 ダンジョン? 生まれて来ないって?

 ん~……。ああ! そういえば、ダンジョンが消失したら、また新しく生まれて来るとかって馬鹿が言ってたっけな?


「……レイド、今って、全てのダンジョンが消失したままなのか?」
「それは、まだ調査中だが。いま知っている限りでは、そのようだな」


 レイドは、ギルドの方を一瞥しただけで、あまり興味が無さそうにしている。


 レイドって、俺のダンジョンには物凄い頻度で来てはいたけど。俺が輝石になってから今までで、輝石を取る目的で、ダンジョンに行ってなかったんだよな。

 武器や防具も、輝石を使っていないものを装備しているし。どちらかというと、それを避けているように見えるかも……?


 その、すし詰め状態のギルドから目を離す時。焦燥した様子の人達がいた。
 何か、立ち話をしているようだが。そこの場所は、新鮮な野菜などを置いていた八百屋の前で。まだ昼間なのに、シャッターを下ろし。店主は頭を抱えて、同業者のような人と話をしている。
 それが、少し気になり。悪いと思いながらも、俺は聞き耳を立てた――。


「なんで、こんなに急に作物が腐ったんだ。ああ~……。これじゃあ、売り物にもならんよ」
「お宅だけじゃない、私のとこもだ。しかも、この地域だけじゃなく遠い所にある農家も、いきなり土が駄目になっちまってるようだし……。こりゃあ、一体全体どうなってんだ?」


 大丈夫か、それ……。

 俺は、人間じゃないから食べ物って必要ないけど。普通の人間は、無いと死んじゃうよな?

 ――あれ、そういえば……。レイドが、飲み物をとるのは見たことがあるけど、食事をとっている様子はなかったような……?


「レイドって、いつ食事とってんの?」
「食事? 特に、必要ないな。状況によって、喉は渇くが……。飲まないなら、飲まないで問題にはならない」

 ……え? レイドって、人間、だよな?

「なんで? レイドって、人間じゃなかったのか?」

 灰の禁術機は、レイドのことを人間って確信していたようだったけど……?

「人間ではある。だが、普通の人とは違い。俺は、日の光さえあれば大丈夫な身体のようだ」
「へっ? 何それ、超人??」

 人間って域を超えてるよな、それ。

「実は、俺も……。それを、ずっと不思議に思っていたことだったが……――俺は、炎竜と深い関わりがあるようだからな。恐らく、それが要因だったのだろう」

 あ~、そうか。炎竜は、自然から生まれたって言ってたしな。

 ずっとあそこの火山にいたんなら、食事だって取ってなさそうだし。炎竜は日の光だけで生きていけるのかもしれない。

 なら、その炎竜の性質までもが、レイドに与えられていたと考えれば納得できる。

「そうか~。まあ、食べなくても良いなら、楽っちゃ楽だから良いよな~」
「ああ、そうだな」


 俺達はそのまま、いつもの森へと向かい。残った、黒の禁術機に関する動向を探りながら。それを掴むまで、暫しの休息を得ることにした。



 ********


「――……白、お前は選択を間違えたんだ」


 どろどろとしたヘドロのような汚れや、灰に似た物質が渦巻く場所で――黒い影が、ポツリと呟いた。


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