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46.火山周りの探索
しおりを挟む山頂を目指して山を登って行くと。途中で禁術機を追跡する機械が円状に変化し、浮いて俺達を案内してくれた。
だから、レイドの見立て通り。この山に禁術機が居るのは間違いない。
だが、山頂ギリギリで、機械は一帯をただグルグルと回るだけになり。なかなかそこへ辿り着けなくなった。
道をじっくりと見渡すと――巧妙に、幻影魔法をかけられているようだった。
レイドが言うには、それは禁術機の仕業ではなく。炎竜の術らしい。
炎竜は、以前から人との交流を避けている様子であり。その姿を見た者は、数えられる程しかおらず。
レイドが産まれた千年前には既に存在していたようなので。恐らく、千年以上はこのようにしてなるべく人と関わることをせず、生きていたのだろうというが……。俺は炎竜の事より、レイドの年齢に仰天してしまった。
△▼△▼△▼△▼
「あ、あち~~~」
――レイドは、かけられていた幻影魔法の仕組みを何となく分かると言い。それを解いた。
すると、術を解くまではなかった筈の道が急に現れ。機械はその道を進んで行ったので、俺達もそれに続いて歩いて行ったら――ブワァーーーっ!!と凄い熱に襲われ始めた。
今は、ボコボコと煮えたぎる火山周りを俺達は歩いているのだが。凄まじい熱気に、肌が焼かれているようで痛い。
しかも、禁術機を追跡していた機械が、強烈な暑さのせいで一瞬で壊れてしまった為。自分達の力で禁術機を探す羽目になっていた。
「はぁ……っ、攻撃等を軽減出来る、防御魔法を纏ってこれならば……。ここに人が居た場合、その者は禁術機の術にかかっている、と考えた方が良いだろう」
レイドは、パタパタと服の中に空気を送るようにしていたが。直ぐに顔をしかめ、その行動を止めた。
煮えつくような熱さである、この場所でそれをしても。更に、熱い空気を取り込んでしまっただけみたいだ。
「ああ、そっか~。灰の禁術機って、人の体力や能力を何十倍にも増やすかもしれないんだっけ?」
レイドは、ここに着く途中で。灰の禁術機のまだ確定してはいない、能力があるかもしれないということを話してくれた。
連結する前。灰の禁術機の術にかかり、国一つを滅ぼした者が過去にいたようだ。
レイドがそこに向かった時には、既に国が攻め落とされていて。手を血に染め佇んでいた者を見付け、レイドは直ぐに攻撃を仕掛けた。だが、あまりにも呆気なくその攻撃に沈んだという。
目を覚ました者を問い詰めると。気が付いた時には崩壊した国にいて、自分でも訳が分からないのだと泣き崩れていたらしい。
そして、驚くことに。その者は中級魔法しか使うことが出来ないようだった。
それなのに、国を落とすことが出来たということは、元の能力が何十倍にも増やされていたとしか考えられなかったのだ。
しかし、灰の禁術機による被害はこれきりだったということに加え、当時は禁術機という存在自体がまだはっきりと認識されてもいなかった為に。それを証明することが出来ずに終わってしまっていた。
しかし、今回のことを考えると。恐らく、レイドの予想は当たっていると俺も思う。
「そうだ、もしかすると……。その者達が、禁術機を使っている術者を守護しているのかもしれない。そうでないと、ここに居ることすら不可能だからな」
「あ~、そうか。術者は、あくまで術をかけるだけだもんな」
そういえば、確か――。
器物破損から家畜……そして、人にまで被害が加えられた頃に。犯人らしき者が山にいるらしい、という情報が流れたようだ。
それで、事実確認をする為に山に入って行った人達が最初に行方不明となったという。
だから、術者が手始めにそれらの事件を起こしておいて。山に誰かを誘い込む噂を流したと考えれば、全ての辻褄が合う。
う~ん。そう考えると、術者はあまり戦闘能力が高くないのかもしれないな~。
少人数だけを、山に誘導してから術にかけているみたいだし。
まあ、ただ単に小心者なだけかもしれないけど……。
――ギャォオオーーーーーーッッ!!!!
「――ッ!? レイドっ!!」
「この上だ! ヤマダ、十分に気を付けてくれっ!」
坂になっていた為、俺達からは見えていないその先の方から――悲痛に、鳴き叫ぶような声が聞こえてきた。
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