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36.戯れて、状況悪化 ※
しおりを挟むコキコキと首を鳴らし、身体を伸ばす。
うん、もう大丈夫そうだな。
本当は、痴女が俺にチラチラとキモい視線を向けていた時には動けたけど……。レイドの意識が、完全にそいつだけに向くまで待ってた。
流石に、あの光を避けながら、レイドの相手は難しいからな。
痴女が吹っ飛んでった方向を、目を丸くして見ていたレイドが。慌てた様子で、そちらに走って行こうとしたから、その進行を邪魔する。
「おっと、行かせね~よ?」
「……チッ! そこをどけっ!! あのような美しい人に、なんて事をっ! 下劣な屑が!!」
レイドに、怒りを含んだ目つきで睨まれ。辺りに反響するほどの声量で、怒鳴られた。
「はあああ~~~??」
マジで、マジで、マジで、苛つくんだけどっ!!!
はああ~! でも、術……かかってるんだもんな? 記憶も弄られてるみたいだし、これは本当のレイドじゃない。そう、顔は同じでも……違う人格、違う人格……!
ふぅ……。よし! さっさと、レイドに魔力切れを起こさせて、変な邪魔立てが出来ないようにしてから――あの痴女から、禁術機を奪い取る!!
「おい、久しぶりに戯れでもしようぜ?」
「は? 意味の分からぬことを……――なっ!?」
こいつに、他の人みたいな手加減は必要ない。だから、極級魔法をそのまま撃ちまくった。
「はっはっは!! いつまで持つかな……?」
「この! 小癪なっ!!」
レイドも、極級魔法を大量にこっちにぶつけて来たけど。俺の魔法防御力が高くて、そんなの全然ききやしない。
「バーカバーカバーカ!! 俺の魔法防御力、舐めんなよ~?」
「はっ! ならば、これはどうだ?」
――ゾワワワワワッッ!!!!
「――――ッ!!?」
今までに無い寒気を感じ。俺は、居た場所から瞬時に飛び退くと――。
これは……。まさか、極・拘束魔法か?
「うわっ!? マジか!! くっ……! うっ!!」
なんだこれ!? 俺がしてた想像以上に、最・拘束魔法と比べ、技のスピードが桁違いだ。これは、ヤバいぞ。
「ははっ! なんだ……? 先程までの威勢はどうした?」
ああっ! でも、やっぱ苛つくわ~!!
レイドが、めちゃくちゃ悪い顔してやがる。
お前、キャラ崩壊してるぞ……?
「……うお、とっ!!」
また、ギリギリで何とか避ける。
「チッ! ちょこまかと……」
レイドは顔をしかめ。煩わしい、といった様子で俺を見ている。
でも、逆に新鮮な気持ちにもなるな~。いつも、口を開けばシモのことばっかり俺に言うからさ。普段と今を、足して2で割ると丁度いいんじゃね~の?
――俺は、レイドの方に魔法を撃ち込みながら、拘束魔法を避け続けた。
「早く、魔力切れになってくれよ~……。俺、疲れたんだけど?」
「癪に障る奴だな……! さっさと、地に伏せろっ!」
凄い数の、極・拘束魔法が俺に降り注ぐ。
俺は魔法を構築していたのを一旦中断し、それらを避けるのに集中する。
あっぶね~~っ!! マジで、ヤバ――。
「――――ッ!!!」
気が付いたら、俺の身体が力なく。地面に崩れ落ちていた。
――あっ……!!?
苦しい! 苦しい!! 苦しい!!!
な、んだ? これ、苦し……。
「……カヒュッ!! カハッ! はぁっ、はぁっ……!! う、ああ……ふぅっ!」
「ん……? どんな気分だ? 貴様などに、この術を使ってやったんだ。有り難く思え」
え……? うそ、だろ……。術、食らっちまったのか?
身体の生理的な機能や、声を出すことに関してなど、レイドは行うことが出来るようにしたみたいだが……動くことは一切出来ない。
「まったく、こんなに時間を使ってしまうなんてな。さて、どうするか……」
レイドは、ニッと口の端を上げて嗤い。ゆっくりとこちらに近づいて来ていた。まるで、弱らせた獲物を仕留めようとする肉食獣のようだ。
俺は、その表情を見て理解する。どう殺そうか、考えているのだと……。
どうしよう、これじゃあ――――。
レイドの姿を見ているうちに。だんだん視界が悪くなっていき……。瞬きした時に、それが零れて耳の中に入ってきた。それが合図のように、目から涙が次々と流れ出てくる。
「うぅ……。ヒック! グスッ、グスッ、うぅう……っ!」
アホっ! 俺、泣くなよ!!
泣いたって、状況が改善するわけじゃないだろっ!
考えろ! 考えなきゃ、どうすればいい……?
けど、動かせない身体では、結局どうすることも出来ず。レイドが手を伸ばしてきたのを、ギュッと目を閉じ。与えられる、痛みを覚悟した。
大丈夫、大丈夫……。最悪、この身体がなくなっても。俺の体質から考えると、前と同じになる可能性が高い。
だとしたら、また輝石にはなるだろうけど。以前の方法で、身体を元に戻せば……――いや、そうなった時に。レイドは、俺を助けてくれる状態か……?
紫の禁術機の解術方法は、【愛する者を殺し、憎んでいる者と結ばれること】だ。
なら、輝石になった俺が、まだ死んでいないのだと認識されてしまったとしたら。レイドは、ずっと禁術機の術にかかったままになって……。俺、一生……輝石じゃないのか?
――そうなってしまった場合の、孤独な状況が脳裏を掠め。更に、涙が溢れた。
レイドが舌打ちをし『……っ、くそが……!』と低い声で言って、俺の身体を強く掴んできた。
それで、いよいよ殺されるんだと思い。恐怖に、呼吸が詰まる。
「――ひぃ……っ! ぅうっ、いや、だ……! グスッ、……グスッ……――えっ?」
は……? え、え? なに、なにを……?
俺の履いているズボンが、急に下ろされ。驚いて、パッと目を開けると――レイドが、俺のズボンを乱暴に脱がしていて……。
俺は意味が分からず、レイドがしている行動をただ呆然と見ていた。
そうしている間に、グイッと脚を広げられて――俺の蕾に、硬いモノがピタリと宛てがわれていた。
「え? な、な……なんで? ま、まって! ……――ッ!!」
解していない後孔に、ぐぷぷッ……と質量のあるモノが埋め込まれ――俺は、声にならない悲鳴を上げた。
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